銀河英雄伝説

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銀河英雄伝説





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曖昧さ回避 この項目では、田中芳樹の小説について説明しています。 1988年から2000年までのアニメ化作品については「銀河英雄伝説 (アニメ)」をご覧ください。
ゲーム化作品については「銀河英雄伝説 (ゲーム)」をご覧ください。


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『銀河英雄伝説』(ぎんがえいゆうでんせつ)は、田中芳樹によるSF小説。また、これを原作とするアニメ、漫画、コンピュータゲーム、朗読、オーディオブック等の関連作品。略称は『銀英伝』(ぎんえいでん)。原作は累計発行部数が1500万部を超える[1]ベストセラー小説である。1982年から2009年6月までに複数の版で刊行され、発行部数を伸ばし続けている。



目次 [非表示]
1 作品概要 1.1 出版歴

2 あらすじ
3 登場人物
4 物語の世界
5 戦争小説としての側面とその設定
6 初出 6.1 本編(本伝)
6.2 外伝 6.2.1 短篇
6.2.2 長篇


7 刊行リスト 7.1 トクマ・ノベルズ(1982年 - 1989年)
7.2 愛蔵版(1992年、1998年)
7.3 徳間文庫(1988年、1996年 - 1998年)
7.4 徳間デュアル文庫(2000年 - 2002年)
7.5 創元SF文庫(2007年 - 2009年)
7.6 らいとすたっふ文庫(2012年 - )
7.7 外国語版 7.7.1 中国語版
7.7.2 韓国語版
7.7.3 英語版


8 関連書籍 8.1 登場人物辞典
8.2 副読本
8.3 同人誌アンソロジー

9 メディア展開・商品化 9.1 漫画版 9.1.1 初出・連載
9.1.2 単行本リスト 9.1.2.1 本編、外伝
9.1.2.2 英雄たちの肖像
9.1.2.3 集英社発行


9.2 アニメ版 9.2.1 20世紀アニメ版
9.2.2 21世紀アニメ版『銀河英雄伝説 Die Neue These』 9.2.2.1 スタッフ
9.2.2.2 主題歌


9.3 演劇版 9.3.1 第一章
9.3.2 第二章
9.3.3 第三章
9.3.4 第四章

9.4 実写版
9.5 朗読・オーディオブック版 9.5.1 銀河英雄伝説 下山吉光独唱版 本伝・外伝
9.5.2 ユリアンのイゼルローン日記 キクボン オーディオブックCDボックス


10 脚注 10.1 出典

11 関連項目
12 外部リンク


作品概要[編集]


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この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2017年7月)

遠未来の銀河系を舞台に、数多くの英雄たちによる攻防と権謀術数を、ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーのふたりを軸に描くスペースオペラ。

対立する陣営のイデオロギー、人物像、権謀術数、歴史、人物模様などの群像劇の流れを前面に出し、「後世の歴史家」の観点から叙述することで、架空の歴史小説のような体裁をとっている。作者はのちに架空の歴史小説『アルスラーン戦記』を発表することになるが、この『銀河英雄伝説』においても、作者の歴史・文学の知識は色濃く反映されており、中国史をはじめとする歴史上のエピソードがしばしば顔をのぞかせている。

架空の要素としては、「超光速通信」「ワープ航法」「宇宙艦艇」「宇宙要塞」「ビーム兵器」などが登場するが、運用法は地上の戦線や陣形などの概念の延長上にある。「超能力」や「未知のエネルギー」「戦闘用ロボット」「アンドロイド」といった世のありかたを大きく変える要素や、「異星人種族」を登場させなかったのは、史実、あるいはそれを基にした過去の文学作品を念頭に、人間同士の営みから生み出される歴史ドラマとしての構成を意図したためである[要出典]。

出版歴[編集]

本作の原形となったのは、1970年代の末に当時は李家豊(りのいえ ゆたか)名義であった田中芳樹が、幻影城の「幻影城ノベルス」から新書ノベルズとして出版する予定で書き進めていた『銀河のチェス・ゲーム』である[2]。この作品は幻影城の倒産によって未完のまま中断したが、のちに徳間書店の編集者がその原稿を読み、本編より数世紀前のエピソードを描いた序章の部分を膨らませて描くよう勧めた。

1982年11月、徳間書店のトクマ・ノベルズより『銀河英雄伝説』が刊行された。これは本編第1巻「黎明篇」に当たるが、本作に先立ち同社から刊行された著作『白夜の弔鐘』の売り上げ不振[要出典]、その時点では2巻以降を出すかどうかは未定(売れ行き次第)だったため、初版には巻数及びサブタイトルが入っていない。結果的には第1巻が増刷されるに至り、第2巻も刊行されることとなり、以後は第1巻も含めてローマ数字で巻数表記が付くようになった。当初はさほどの売れ行きではなかったものの、3巻を皮切りに人気に火がつき、1987年までに本編全10巻が書き下ろし刊行された。1988年には読者の支持を得て、第19回星雲賞日本長編部門を受賞した[3]。

本編以外に外伝があり、1984年から1989年にかけ、徳間書店『SFアドベンチャー』に連載または同誌増刊号に一括掲載された長篇が4本(いずれも新書ノベルス1冊分)、同誌読み切りの短篇4本に、漫画の原作になった短篇『黄金の翼』がある。短篇の方は長らく単行本未収録であったが、徳間デュアル文庫版で1冊にまとめられた。外伝は全6冊の執筆が予告され5冊が刊行されているが、最後の1冊分は未だ書かれていない。

本作はラインハルトの死をもって完結しており、最終巻あとがきで著者は後日談も含めた続編を書かないことを宣言している。実際、前述の外伝は全て、本編以前あるいは本編では描かれなかった隙間を埋めるエピソードとなっている。

本作はベストセラーかつロングセラーとなり、刊行以来重版増刷が繰り返されてきたトクマ・ノベルズ版の第1巻は初刊からほぼ20年目にして100刷の大台を超えている。新書ノベルス版以外に、箱入りハードカバーの愛蔵版、徳間文庫版、2000年から2003年にかけて「ファイナルバージョン」と銘打って刊行された本編全20巻、外伝全9巻、これにハンドブックを加えた全30巻の徳間デュアル文庫版(巻数が増しているのは、ジュブナイル向けに従来の1巻分を2分冊にしているため)など、様々な版が刊行されている。各版の主な違いについては刊行リストの項を参照のこと。

版元を徳間書店から東京創元社に変えた新装版が、2007年2月から2009年6月にかけて、創元SF文庫より全10巻+外伝全5巻として刊行された。

2013年6月には創元SF文庫の朗読・オーディオブック版も株式会社アールアールジェイのサイト「キクボン」にて発売され、更に2015年12月に唯一アニメ化されていなかった『銀河英雄伝説 外伝 ユリアンのイゼルローン日記』が、アニメの声優陣が再集結して制作された[4]。

1988年から2000年にかけて劇場版アニメ及びOVAシリーズ『銀河英雄伝説』が制作されるなど、アニメを筆頭に関連作品も数多く制作されており、数多い和製スペースオペラ作品の中でも、最も商業的に成功した作品のひとつと言える。

あらすじ[編集]

遥かな未来、銀河に進出した人類は、二大陣営に分かれて戦っていた。皇帝と貴族が支配する銀河帝国と、帝国から脱出した人々が建国した自由惑星同盟である。戦争は150年間膠着していたが、ラインハルトとヤンという若き英雄が相次いで両陣営に登場することで、歴史は大きく動き始める。

帝国の貧しい貴族に生まれたラインハルトには母代りの敬愛する姉と、無二の親友がいた。しかし、彼が10歳の時に、姉が皇帝の後宮に収められたことを契機として、ラインハルトは軍人の道を歩み始める。それは、いつか皇帝から姉を取り戻す力を得るためだった。彼は親友と共に戦場で武勲を重ね、後に"常勝の天才"と呼ばれることになる軍事的才能と、皇帝の寵姫となった姉の後ろ盾により、20歳の若さにして帝国元帥の地位を手に入れる。皇帝はラインハルトが倒す前に自然死するが、その後に起きた帝位継承権争いの内戦にもラインハルトは勝利する。憎んできた大貴族達を滅ぼし、新皇帝を傀儡として、ついに彼は帝国の最高権力者にまで登りつめる。しかし、その内戦でラインハルトは親友を失い、それにより姉も彼と距離を置くようになる。ラインハルトは心の渇きを感じるようになり、まるでそれを満たそうとするかのように、亡き親友と約束した宇宙の統一へと邁進して行く。

一方、同盟に生まれたヤンは、歴史家を志す青年だったが、経済的事情により士官学校に入学する。軍で思わぬ功績を立てたヤンは宇宙艦隊の幕僚となり、ラインハルトが指揮する帝国軍との戦いで、劣勢な味方の全面的な崩壊を防いだことにより、若くして艦隊司令官に抜擢される。ヤンは、帝国軍の前線基地であるイゼルローン要塞を無血占領し、それに続く戦いで、またもやラインハルトの完全勝利を阻止したことで、"不敗の魔術師"と呼ばれるようになる。ヤンは民主主義を信奉していたが、同盟政府の腐敗や安全な場所にいる権力者が戦争を賛美することを嘆いていた。その一方で、ラインハルトが清廉な政治を行い、戦場では常に陣頭に立つことを高く評価して、その矛盾に悩むのだった。だが、同盟軍の戦力はラインハルトとの戦いで著しく損耗してしまい、国防の要はヤンが占領したイゼルローン要塞と、そこに駐留するヤン艦隊に託されるようになる。

しかし、宇宙統一を目指すラインハルトは、要塞とは別方面から、圧倒的戦力で同盟領に侵攻する。ヤンは劣勢を覆すためにラインハルトとの直接対決を望み、彼を戦場に引きずり出すために、帝国軍の艦隊を各個撃破していく。ラインハルトはヤンの意図を見抜いたが、ヤンに勝利することに拘り過ぎて敗北寸前にまで追い込まれる。ところが、帝国軍の別働隊が首都を包囲したことにより、同盟政府は停戦命令を出して宇宙はラインハルトによって統一される。

ラインハルトは傀儡としていた幼帝を廃して皇帝に即位し、ヤンも軍を退役する。しかし、同盟領に進駐した帝国軍の司令官は潜在的な脅威としてヤンを排除しようとし、その意を汲んだ同盟政府までもがヤンの殺害を謀ったので、ヤンは同盟領を脱出してイゼルローン要塞を再占領し、宇宙に民主共和制の種を残そうとする。ラインハルトはそれを討伐するために出兵するが、ヤンは圧倒的な大艦隊を相手に善戦を続ける。交戦中にラインハルトは熱を発して倒れ、ヤンとの会見を望むようになる。だが、ヤンは会見に向かう途中でテロリストに暗殺されてしまい、ラインハルトは好敵手の死に失望して、そのまま軍を引き上げる。

ヤンの死後、元戦災孤児であり、ヤンの被保護者だったユリアンが若くして後継者に選ばれる。ユリアンは、帝国と対等に交渉するには何らかの軍事的成果が必要であると考えていた。彼は、ラインハルトの本性が"戦士"であり、戦うことによって相手の意志の重さを測る人物であることを見抜いて、ラインハルトに最後の決戦を挑む。艦隊戦の最中、ユリアンはラインハルトの旗艦に乱入し、多くの味方の死と引き換えにラインハルトの前にたどり着いて、そこで力尽きて気を失う。すると、その姿に心を動かされたラインハルトは全軍に停戦を命令し、戦いは終結する。

しかし、以前より謎の発熱を繰り返していたラインハルトは、もはや死を避けられないまでに衰えていた。ユリアンと数回の会談を重ねたラインハルトは、一星系での共和主義者の自治を認めた後に、崩御する。時にラインハルト25歳。皇帝に即位して、わずか2年余りのことだった。

登場人物[編集]
ラインハルト・フォン・ローエングラム銀河帝国側の主人公。
詳細は「ラインハルト・フォン・ローエングラム」を参照
ヤン・ウェンリー同盟側の主人公。
詳細は「ヤン・ウェンリー」を参照

その他の主な登場人物については「銀河英雄伝説の登場人物」を参照


所属別の一覧は「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」と「銀河英雄伝説の登場人物・自由惑星同盟」を参照


その他には「銀河英雄伝説の歴史上の人物」と「銀河英雄伝説の登場人物・その他」を参照

物語の世界[編集]

銀河英雄伝説の用語については「銀河英雄伝説の用語」を、登場勢力については「銀河英雄伝説の登場勢力」を、舞台については「銀河英雄伝説の舞台」を参照

物語の舞台となる未来の宇宙、人類はワープ航法を実現させて太陽系外に進出し、銀河系の3分の1にまでその居住圏を広げている。
舞台設定地理銀河帝国と自由惑星同盟の間には航行不能な宙域が広がり、ワープ航法でも飛び越えることのできない障壁となっている。両国の間はイゼルローン回廊ならびにフェザーン回廊と呼ばれる二つの狭隘な航行可能宙域を介してのみ往来できる。イゼルローン回廊には要塞が置かれ民間船の往来を扼する一方、フェザーン回廊にはフェザーン自治領が存在し、両国間の交易の要衝として富を蓄積するとともに、その富を背景に帝国・同盟に対して政治力・経済力を及ぼして軍事行動を抑制している。このため、帝国軍と同盟軍の衝突は専らイゼルローン回廊側で発生するのに対してフェザーン側には軍事行動が及ばず「フェザーン回廊は平和の海」であるという固定観念を人々に抱かせている。地球地球は帝国領内にあり「人類発祥の地」と認識されているが、人類社会の中では政治的な地位も経済力も喪失した辺境の忘れ去られた一惑星に零落し、歴史的・考古学的な存在として、また、西暦の時代に宇宙に拡大しつつあった人類社会を資本と軍事力で統制・抑圧した強欲な歴史の記憶から負のイメージを伴って描かれている。一方では人類社会に浸透しつつある地球教の総本山であり、宗教を媒介にして人類社会の裏側から隠然たる影響力を及ぼすカルト的活動の中枢となっている。人口人口は、かつての銀河連邦の最盛期に3,000億人を数えるほどだったが、銀河帝国の圧政とその後の慢性的な戦乱の中で、帝国250億人・同盟130億人にまで減少している。両国の社会が長期にわたる戦争により疲弊する一方で、フェザーンは一惑星でありながら20億人を擁し、帝国・同盟との交易により経済も潤っている。医療技術医療技術は飛躍的に進歩し、癌などはすでに不治の病ではなくなった[5]。しかし、人工器官(人工臓器・義肢)やタンク・ベッド睡眠などの技術は戦争継続のために利用されており、多少の負傷では容易に死ぬ事はない。ただし宇宙空間の戦闘では即死するケースがほとんどであるため、戦傷者より戦死者のほうが圧倒的に多い。生活人々の生活環境は居住する星系により様々で、フェザーンやハイネセンなど多数の住民を抱える惑星では、超高層建築なども発達し非常に未来的な生活環境を享受できる。都市部では立体TVなどが普及し、低重力下で行われるフライングボールというスポーツが帝国・同盟問わず人気の娯楽となっている。一方、辺境部などでは人口も少なく、帝国では領主である貴族の下で中世的な生活を強いられている人々も多いが、民主主義の概念が途絶えて何世代も経ており、領主に酷使される農奴として生きることに格別疑問を抱いていない者も多いようである。宗教かつて地球上を覆った破滅的な戦争において、救世主たる神がついに現れず、宗教の概念が著しく衰退した時期があり、キリスト教が滅んだことが間接的に記述されている。そのため道徳的な規範が脆く社会の退廃が進みやすい側面を持つ。なお、宗教自体は衰退しているが、それに由来する故事来歴やジンクスなどは幾分残っており、例えば13を忌み数とする概念がある。本編開始後の時系列においては、銀河帝国で北欧神話の復権が進み、帝国では軍人がしばしばオーディンやヴァルハラの語を口にしている。また、人類の発祥の地である地球を信仰の対象とした「地球教」が、社会に密やかながらも急速に浸透しているが、その本質と実態が、物語の展開にも大きく関わってくる。言語使用される言語については、帝国側ではドイツ語を基本とした言語(銀河帝国公用語)が想定されており[6]、人名や都市名などの固有名詞はドイツ語風に統一されている。一方の同盟側は英語を基本とした言語が想定されており、人名は姓を先におくE式や後におくW式の両方が使われ、東洋風から西洋風まで様々な文化を引き継いだ名前が入りまじるなど、さながら多民族国家のアメリカのごとく雑多なものとなっている。また、兵器の名称などには、帝国軍は専ら北欧神話やドイツ語圏の地名などから引用しているが、同盟軍はオリエント・ラテンアメリカ・中国・中央アジアなど世界各地の神話からの引用が数多くみられる。暦作中では、西暦の延長にあたる「宇宙暦・帝国暦・新帝国暦」という暦が使用されている。宇宙暦は銀河連邦が成立した時、帝国暦は銀河帝国が成立した時、新帝国暦はローエングラム王朝が成立した時、をそれぞれの元年としている。宇宙暦は帝国暦制定時に廃止されたが、自由惑星同盟成立時に復活している。簡易な換算式を示すと、西暦3599年=宇宙暦799年=帝国暦490年=新帝国暦1年、となる。1日を24時間とし、1年を365日、閏年は366日とする暦法を標準時として、地球を離れた今でも全人類社会で共通して使用されている。自転時間が極端にずれている惑星においては、1日に太陽が複数回昇ったり、逆に数日にわたって昼や夜が続くという事になる。中途半端に24時間に近い自転周期の惑星では、その惑星の自転時間にあわせた地方時を使う派と、不便をしのんであくまで標準時にあわせる派にわかれている。なお、作中において舞台となった惑星においては、帝国・同盟を問わずして季節も全て同一となっているが、これは実際にあり得ない事を承知の上での、演出上のフィクションである。
戦争小説としての側面とその設定[編集]

上記のように、この作品は未来の宇宙を舞台にした架空の歴史小説という体裁をとっている。様々な登場人物が織り成す、政治や思想を絡めた人間ドラマが主体であるが、一方で異なる勢力による宇宙(銀河系の一部)を舞台にした戦争小説としての側面も持つ。作品中では、銀河帝国と自由惑星同盟(あるいは共和主義勢力)の二大勢力による数々の戦闘が描かれており、主人公的存在であるラインハルトとヤンも(本人たちの望むと望まざるとは無関係に)職業軍人として栄達してゆく人物である。

作品中における戦争描写は基本的に、宇宙空間での数千~数万隻の艦艇(戦闘用の武装宇宙船)同士による、ビームやミサイル兵器等を使用した艦隊決戦が中心である。一度の会戦には概ね数百万人単位の将兵が動員され、司令官である提督は主に前線の旗艦級戦艦から指揮する。個人・個艦を主体とする現代的な散兵戦法ではなく、近代以前の陣形を重視した集団戦法が用いられており、敵軍の陣形を崩す、もしくは統率を失わせることで実質的な戦力を損なわせる。ワープ航法を戦闘に直接用いることはなく[7]、もっぱら目的地や戦場への移動手段としてのみ用いている。

局地的には小型戦闘艇同士による近接戦闘(作中では「空戦」と称される)や、地上・屋内での人間同士による白兵戦も繰り広げられる。白兵戦では、ミラーコーティングを施された装甲服は光学兵器を無効化し、さらに可燃性ガスのゼッフル粒子というアイテムによって火器を使用できない状況を作り、戦斧やナイフ、ボウガンなどの原始的な武器による戦闘がしばしば行われる[8]。

かつて人類を滅亡の淵に追い込んだ地球時代の戦争の教訓から、有人惑星上での熱核兵器の使用はタブーとされている[9]。宇宙空間においても戦場は平面的に捉えられており、立体的な戦術・陣形は本編ではイゼルローン回廊を舞台とした戦い以外はほとんど登場せず、外伝などで追加されているにとどまる。アニメ版では艦隊布陣や艦隊決戦等で、立体的な布陣・戦闘描写で描かれている(紡錘陣形は文字通り、旗艦を中心とした紡錘状の布陣を行っている)。

ワープや核融合などのテクノロジーの成立が設定上の大前提となっているが、たとえば「ガンダムシリーズ」のモビルスーツのような高機能な人型機動兵器などは登場しない(作中では等身大を越えるパワードスーツが実用化されたものの、その後廃れたことが記述されている)。また、人工知能を備えたアンドロイド、異星人や超能力、神秘主義的な作用を伴う力も一切介在しない。
戦役
詳細は「銀河英雄伝説の戦役」を参照
艦隊作品で『一個艦隊』と呼ばれる存在は、通常は約1万5000隻程度の宇宙艦艇で編成されている[10]。これが戦力の基本単位となり、原則として中将以上の階級で艦隊司令官の任に就く[11]。一個艦隊は司令官の直属部隊と幾つかの分艦隊で構成されている。分艦隊は原則として約2000から2500隻程度の規模を有し、准将以上が指揮を執る[12]。分艦隊が数百隻程度の戦闘グループに分けられて、准将が指揮を執る場合もある[13]。艦船
詳細は「銀河英雄伝説の登場艦船」を参照
要塞艦隊決戦が描かれるこの作品では、その軍事拠点となる宇宙要塞が登場する。特にイゼルローン要塞は、地理的に両国家の戦略全般に影響を及ぼす重要拠点であり、ヤン一党の根拠地ともなる事から、作品における主要な舞台の一つである。詳しくは銀河英雄伝説の舞台#要塞・軍事基地を参照。星系、星域この作品では、各恒星系、宙域を表す言葉として星系、星域という言葉で表現される。一部例外として回廊という呼び名を使っているものもある。主な星系、星域は、ティアマト星域、アスターテ星域、アムリッツァ星域など。詳しくは銀河英雄伝説の舞台#星域・天体を参照。
初出[編集]

本編(本伝)[編集]

全てトクマ・ノベルズによる書き下ろし刊行(1982年-1987年)。刊行リストの項を参照。

外伝[編集]

短篇[編集]
ダゴン星域会戦記『SFアドベンチャー』1984年9月号。1984年9月1日発行。銀河英雄伝説外伝としては初めて発表された作品。白銀の谷『SFアドベンチャー』1985年6月号。1985年6月1日発行。汚名『SFアドベンチャー』1985年7月号。1985年7月1日発行。朝の夢、夜の歌『SFアドベンチャー』1986年7月号。1986年7月1日発行。
以上4篇の挿絵は横山宏。その後、らいとすたっふ 編『「銀河英雄伝説」読本』(徳間書店、1997年3月31日、ISBN 4-19-860661-7)に初収録。
黄金の翼1986年、道原かつみの漫画用に原作として書き下ろされたもので、この漫画はアニメージュコミックスから発刊された(発行日:1986年8月10日)。執筆当時は小説単体での発表予定がなかったため、1992年に本編シリーズの愛蔵版の購入者特典として配布されたのが初出と言える。単行本では短篇集『夜への旅立ち』(トクマ・ノベルズ、1995年1月31日、ISBN 4-19-850184-X)に初収録された。
長篇[編集]
星を砕く者『SFアドベンチャー』1985年11月号、12月号、1986年1月号に各3章ずつ掲載された。挿絵は横山宏。ユリアン・ミンツのイゼルローン日記『SFアドベンチャー』1987年1月号、2月号、3月号に各3章ずつ掲載された。挿絵は道原かつみと笠原彰。トクマ・ノベルズ収録時に『ユリアンのイゼルローン日記』に改題されている。千億の星、千億の光『SFアドベンチャー』1987年12月増刊号・銀河英雄伝説特集号に一括掲載された。挿絵は落合茜と是枝みゆき。螺旋迷宮(スパイラル・ラビリンス)『SFアドベンチャー』1989年4月号、5月号、6月号、7月号に各3章ずつ掲載された。挿絵は薙あかね。長篇としては最後の銀河英雄伝説外伝であることが、当時の『SFアドベンチャー』のフーズフー欄でも明記されている。
刊行リスト[編集]

2009年6月時点までに、既に絶版したものを含め、トクマ・ノベルズ版、愛蔵版、徳間文庫版、徳間デュアル文庫版、創元SF文庫版、以上5つの版が刊行されている。以下では、各版の刊行リストを掲載するとともに、各版の主な違いを述べる。

2012年には「らいとすたっふ文庫」から初の電子書籍版が随時刊行されている(詳細は後述)。

トクマ・ノベルズ(1982年 - 1989年)[編集]

最初に書籍となった新書版。シリーズ本編は、書き下ろしで1982年から1987年にかけて刊行。外伝シリーズは、SFアドベンチャー誌に先行掲載された作品を収録する形で、1986年から1989年にかけて発刊された。5巻と10巻に作者あとがきが記載されている。

本編第1巻の初版は、巻数表記と副題が無く、2刷目以降でローマ数字による巻数表記と副題が付くようになり、6巻目刊行に前後して巻数表記が、アラビア数字に改められた。第2巻から第5巻も当初はローマ数字による巻数表記であったが、同様に改められた。

印刷技術の向上により、初期の版に比べ後期の版は、最初の数巻は活字が改版され、より明瞭になり読みやすくなっている(装丁変更は無し)。
本編(本伝)1.銀河英雄伝説(I 黎明篇、1 黎明篇)(1982年11月30日発行)ISBN 4-19-152624-3
2.銀河英雄伝説 II 野望篇(2 野望篇)(1983年9月30日発行)ISBN 4-19-152790-8
3.銀河英雄伝説 III 雌伏篇(3 雌伏篇)(1984年4月30日発行)ISBN 4-19-152894-7
4.銀河英雄伝説 IV 策謀篇(4 策謀篇)(1984年10月31日発行)ISBN 4-19-152978-1
5.銀河英雄伝説 V 風雲篇(5 風雲篇)(1985年4月30日発行)ISBN 4-19-153068-2
6.銀河英雄伝説 6 飛翔篇(1985年10月31日発行)ISBN 4-19-153151-4
7.銀河英雄伝説 7 怒濤篇(1986年5月31日発行)ISBN 4-19-153256-1
8.銀河英雄伝説 8 乱離篇(1987年1月31日発行)ISBN 4-19-153384-3
9.銀河英雄伝説 9 回天篇(1987年5月31日発行)ISBN 4-19-153445-9
10.銀河英雄伝説 10 落日篇(1987年11月15日発行)ISBN 4-19-153530-7
カバーイラスト:加藤直之(全巻)、本文挿絵:加藤直之(1 - 5巻)、鴨下幸久(6 - 10巻)外伝1.銀河英雄伝説 外伝1 星を砕く者(1986年4月30日発行)ISBN 4-19-153236-7
2.銀河英雄伝説 外伝2 ユリアンのイゼルローン日記(1987年3月31日発行)ISBN 4-19-153418-1
3.銀河英雄伝説 外伝3 千億の星、千億の光(1988年3月31日発行)ISBN 4-19-153634-6
4.銀河英雄伝説 外伝4 螺旋迷宮(スパイラル・ラビリンス)(1989年7月31日発行)ISBN 4-19-153995-7

カバーイラスト:道原かつみ(全巻)、笠原彰(2巻以外)、本文挿絵:道原かつみ(全巻)、笠原彰(全巻)

愛蔵版(1992年、1998年)[編集]

1992年に、トクマ・ノベルズの第1巻発行10周年を記念した企画の一環として、徳間書店から箱入りハードカバーの愛蔵版として本編シリーズが全5巻で刊行された。1998年には、ほぼ同装丁で外伝も刊行されている。こちらは徳間文庫版の刊行に合わせたものである。いずれも限定生産であり、現在は双方とも入手困難。
本編(本伝)愛蔵版 銀河英雄伝説 全5巻セット(1992年6月30日発行)ISBN 4-19-124890-1
1.愛蔵版 銀河英雄伝説 I(1992年6月30日発行)ISBN 4-19-124889-8 黎明篇と野望篇を合冊

2.愛蔵版 銀河英雄伝説 II(1992年6月30日発行)ISBN 4-19-124892-8 雌伏篇と策謀篇を合冊

3.愛蔵版 銀河英雄伝説 III(1992年6月30日発行)ISBN 4-19-124893-6 風雲篇と飛翔篇を合冊

4.愛蔵版 銀河英雄伝説 IV(1992年6月30日発行)ISBN 4-19-124894-4 怒濤篇と乱離篇を合冊

5.愛蔵版 銀河英雄伝説 V(1992年6月30日発行)ISBN 4-19-124895-2 回天篇と落日篇を合冊

外伝愛蔵版 銀河英雄伝説外伝 全2巻セット(1998年3月31日発行)ISBN 4-19-860818-0
1.愛蔵版 銀河英雄伝説外伝I(1998年3月31日発行)ISBN 4-19-860816-4 『星を砕く者』と『ユリアンのイゼルローン日記』を合冊

2.愛蔵版 銀河英雄伝説外伝II(1998年3月31日発行)ISBN 4-19-860817-2 『千億の星、千億の光』と『螺旋迷宮』を合冊


徳間文庫(1988年、1996年 - 1998年)[編集]

1988年に、外伝第1巻である『星を砕く者』の文庫版が刊行された。これはアニメ版『わが征くは星の大海』の上映に併せた「タイアップ企画」としての出版だったので、この巻のみであった。

1996年から1998年にかけて、本編の文庫版が刊行された。これまでに出された版での誤字が修正され、後に出された版の底本となったが、未修正の誤字も依然多かった。口絵には各巻毎、作品に縁のあるもしくは思い入れのあるイラストレーター、漫画家らを起用し、巻末解説を竹河聖、 太田忠司、連城三紀彦、小野不由美、梶尾真治といった作家たちが寄稿した。本文中に挿絵はない。

いずれも現在は絶版となっており、入手は困難。
本編(本伝)1.銀河英雄伝説 1 黎明篇(1996年11月15日発行)ISBN 4-19-890592-4
2.銀河英雄伝説 2 野望篇(1997年1月15日発行)ISBN 4-19-890624-6
3.銀河英雄伝説 3 雌伏篇(1997年3月15日発行)ISBN 4-19-890652-1
4.銀河英雄伝説 4 策謀篇(1997年5月15日発行)ISBN 4-19-890689-0
5.銀河英雄伝説 5 風雲篇(1997年7月15日発行)ISBN 4-19-890717-X
6.銀河英雄伝説 6 飛翔篇(1997年9月15日発行)ISBN 4-19-890754-4
7.銀河英雄伝説 7 怒濤篇(1997年11月15日発行)ISBN 4-19-890787-0
8.銀河英雄伝説 8 乱離篇(1998年1月15日発行)ISBN 4-19-890819-2
9.銀河英雄伝説 9 回天篇(1998年3月15日発行)ISBN 4-19-890856-7
10.銀河英雄伝説 10 落日篇(1998年6月15日発行)ISBN 4-19-890889-3
外伝銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者(1988年2月15日発行)ISBN 4-19-568452-8
徳間デュアル文庫(2000年 - 2002年)[編集]

徳間デュアル文庫の創刊に伴い、その目玉として“ファイナルバージョン”と銘打ち、各巻は2冊に分冊して再文庫化された。本文中の挿絵は廃し、ストイックな体裁をとっていた徳間文庫版と異なり、全巻に道原かつみの手になるイラストをふんだんに使ったほか、文字を大きくして難解な漢字を仮名に直すなど、より低い年齢層(ジュブナイル)向けになっている。シリーズ偶数巻の巻末には、著者インタビューが掲載されているほか、外伝第1巻『黄金の翼』に、短篇「黄金の翼」も含めた既発表の短篇集が、初めて一括収録された。
本編(本伝)1.銀河英雄伝説 Vol.1 [黎明篇・上](2000年8月31日発行)ISBN 4-19-905003-5
2.銀河英雄伝説 Vol.2 [黎明篇・下](2000年8月31日発行)ISBN 4-19-905004-3
3.銀河英雄伝説 Vol.3 [野望篇・上](2000年9月21日発行)ISBN 4-19-905010-8
4.銀河英雄伝説 Vol.4 [野望篇・下](2000年9月21日発行)ISBN 4-19-905011-6
5.銀河英雄伝説 Vol.5 [雌伏篇・上](2000年10月31日発行)ISBN 4-19-905017-5
6.銀河英雄伝説 Vol.6 [雌伏篇・下](2000年11月30日発行)ISBN 4-19-905021-3
7.銀河英雄伝説 Vol.7 [策謀篇・上](2000年12月31日発行)ISBN 4-19-905029-9
8.銀河英雄伝説 Vol.8 [策謀篇・下](2001年1月31日発行)ISBN 4-19-905032-9
9.銀河英雄伝説 Vol.9 [風雲篇・上](2001年2月28日発行)ISBN 4-19-905040-X
10.銀河英雄伝説 Vol.10 [風雲篇・下](2001年3月31日発行)ISBN 4-19-905045-0
11.銀河英雄伝説 Vol.11 [飛翔篇・上](2001年4月30日発行)ISBN 4-19-905049-3
12.銀河英雄伝説 Vol.12 [飛翔篇・下](2001年5月31日発行)ISBN 4-19-905053-1
13.銀河英雄伝説 Vol.13 [怒濤篇・上](2001年6月30日発行)ISBN 4-19-905058-2
14.銀河英雄伝説 Vol.14 [怒濤篇・下](2001年7月31日発行)ISBN 4-19-905063-9
15.銀河英雄伝説 Vol.15 [乱離篇・上](2001年8月31日発行)ISBN 4-19-905070-1
16.銀河英雄伝説 Vol.16 [乱離篇・下](2001年9月30日発行)ISBN 4-19-905076-0
17.銀河英雄伝説 Vol.17 [回天篇・上](2001年10月31日発行)ISBN 4-19-905082-5
18.銀河英雄伝説 Vol.18 [回天篇・下](2001年11月30日発行)ISBN 4-19-905085-X
19.銀河英雄伝説 Vol.19 [落日篇・上](2001年12月31日発行)ISBN 4-19-905091-4
20.銀河英雄伝説 Vol.20 [落日篇・下](2002年1月31日発行)ISBN 4-19-905095-7
外伝1.銀河英雄伝説外伝 Vol.1 [黄金の翼](2002年3月31日発行)ISBN 4-19-905101-5
2.銀河英雄伝説外伝 Vol.2 [星を砕く者・上](2002年4月30日発行)ISBN 4-19-905105-8
3.銀河英雄伝説外伝 Vol.3 [星を砕く者・下](2002年5月31日発行)ISBN 4-19-905108-2
4.銀河英雄伝説外伝 Vol.4 [ユリアンのイゼルローン日記・上](2002年6月30日発行)ISBN 4-19-905110-4
5.銀河英雄伝説外伝 Vol.5 [ユリアンのイゼルローン日記・下](2002年7月31日発行)ISBN 4-19-905113-9
6.銀河英雄伝説外伝 Vol.6 [千億の星、千億の光・上](2002年8月31日発行)ISBN 4-19-905115-5
7.銀河英雄伝説外伝 Vol.7 [千億の星、千億の光・下](2002年9月30日発行)ISBN 4-19-905123-6
8.銀河英雄伝説外伝 Vol.8 [螺旋迷宮・上](2002年10月31日発行)ISBN 4-19-905124-4
9.銀河英雄伝説外伝 Vol.9 [螺旋迷宮・下](2002年11月30日発行)ISBN 4-19-905128-7

創元SF文庫(2007年 - 2009年)[編集]

徳間デュアル文庫版の刊行に伴い、諸般の事情から徳間書店の従来の版は全て入手困難となっていた。

作者サイドと各方面が折衝に努めた結果、デュアル文庫版を“ファイナルバージョン”と銘打っている関係で更なるバージョン本を出しづらい徳間に代わり、SF関連ではハヤカワ文庫と並ぶ東京創元社の文庫レーベル“創元SF文庫”に円満移籍し、2007年より新版が刊行開始された。著者によると、「終の棲処」。ハヤカワや創元推理文庫と違い創元SF文庫は、これまで海外SF作品のみを刊行しており、本作第1巻と、同時に出された堀晃『バビロニア・ウェーブ』とが、同文庫から出された初めての日本SF作品となった。

カバーイラストは星野之宣による描き下ろしで、本文中に挿絵はない。各篇とも分冊せず1巻1篇での装丁になっている。
本編(本伝)1.銀河英雄伝説 1 黎明篇(2007年2月23日発行)ISBN 978-4-488-72501-3
2.銀河英雄伝説 2 野望篇(2007年4月27日発行)ISBN 978-4-488-72502-0
3.銀河英雄伝説 3 雌伏篇(2007年6月29日発行)ISBN 978-4-488-72503-7
4.銀河英雄伝説 4 策謀篇(2007年8月24日発行)ISBN 978-4-488-72504-4
5.銀河英雄伝説 5 風雲篇(2007年10月31日発行)ISBN 978-4-488-72505-1
6.銀河英雄伝説 6 飛翔篇(2007年12月28日発行)ISBN 978-4-488-72506-8
7.銀河英雄伝説 7 怒涛篇(2008年2月29日発行)ISBN 978-4-488-72507-5
8.銀河英雄伝説 8 乱離篇(2008年4月25日発行)ISBN 978-4-488-72508-2
9.銀河英雄伝説 9 回天篇(2008年6月27日発行)ISBN 978-4-488-72509-9
10.銀河英雄伝説 10 落日篇(2008年8月29日発行)ISBN 978-4-488-72510-5
外伝1.銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者(2008年10月31日発行) ISBN 978-4-488-72511-2
2.銀河英雄伝説外伝 2 ユリアンのイゼルローン日記(2008年12月26日発行) ISBN 978-4-488-72512-9
3.銀河英雄伝説外伝 3 千億の星、千億の光(2009年2月27日発行) ISBN 978-4-488-72513-6
4.銀河英雄伝説外伝 4 螺旋迷宮(2009年4月28日発行) ISBN 978-4-488-72514-3
5.銀河英雄伝説外伝 5 黄金の翼(2009年6月30日発行) ISBN 978-4-488-72515-0

らいとすたっふ文庫(2012年 - )[編集]

2010年代前後から始まった小説の電子書籍化の潮流を受け、銀英伝もオフィシャルな電子書籍版刊行の要望が高まり、これを受けて田中が創作物著作権を委託管理している会社・らいとすたっふが直接電子書籍事業「らいとすたっふ文庫」を立ち上げ、その第1弾として刊行される。

当初は、MCBookベースで、iPhone/iPad対応版(無料アプリ「銀河英雄伝説」のアプリ内課金として本編10部・外伝5部が分売)、および、Android対応版(1巻ごとに1アプリケーション形式)がリリースされた。後に、リーダーストア、GALAPAGOS STOREでも配信が開始された。それぞれ、カバー絵や挿画は無い。
本編(本伝)1.銀河英雄伝説 1 黎明篇(MCBook版: 2012年3月1日発行)
2.銀河英雄伝説 2 野望篇(MCBook版: 2012年4月2日発行)
3.銀河英雄伝説 3 雌伏篇
4.銀河英雄伝説 4 策謀篇
5.銀河英雄伝説 5 風雲篇
6.銀河英雄伝説 6 飛翔篇
7.銀河英雄伝説 7 怒涛篇
8.銀河英雄伝説 8 乱離篇
9.銀河英雄伝説 9 回天篇
10.銀河英雄伝説 10 落日篇
外伝1.銀河英雄伝説外伝 1 星を砕く者
2.銀河英雄伝説外伝 2 ユリアンのイゼルローン日記
3.銀河英雄伝説外伝 3 千億の星、千億の光
4.銀河英雄伝説外伝 4 螺旋迷宮
5.銀河英雄伝説外伝 5 短編集

外国語版[編集]

日本語以外にも翻訳されて刊行されている。

[icon] この節の加筆が望まれています。

中国語版[編集]
中国語版[銀河英雄伝説]全20冊(台湾尖端出版社,1991) 中国語の翻訳。繁体字を採用している、右綴じ縦書き。台湾と香港で流通。愛稱「黑皮版」。

中国語版[銀河英雄伝説]全20冊(台湾尖端出版社,1996) 中国語の翻訳の改版。愛稱「銀皮版」。

中国語版[銀河英雄伝説]全10冊(台湾尖端出版社,2000) 中国語の翻訳の再改版。

中国語版[銀河英雄伝説]全10冊(北京十月文芸出版社,2006) 中国語の翻訳。簡化字を採用している。左綴じ横書き。イラストはデュアル文庫版の道原かつみのものを採用。


韓国語版[編集]
韓国語版[銀河英雄伝説]全14冊(ソウル文化社,2001) 本編10冊、外伝4冊。

韓国語版[銀河英雄伝説]全15冊(D&C MEDIA,2011) ハードカバー本。本編10冊、外伝5冊。


英語版[編集]
英語版[銀河英雄伝説]既刊3冊(Haikasoru,2016-) ペーバーバック。2015年7月3日に本編3巻までの出版が発表され、2016年11月時点で3巻まで発行されている。4巻以降の続刊は既刊の売り上げによるとされているが、3巻巻末で4巻の刊行が予告されている。翻訳者Daniel Huddleston。カバーイラストは創元SF文庫版の星野之宣のものを採用。

1.Legend of the Galactic Heroes, Vol. 1: Dawn(2016年3月8日発行) ISBN 978-1-4215-8494-2
2.Legend of the Galactic Heroes, Vol. 2: Ambition (2016年7月19日発行) ISBN 978-1-4215-8495-9
3.Legend of the Galactic Heroes, Vol. 3: Endurance (2016年11月15日発行) ISBN 978-1-4215-8496-6
4.Legend of the Galactic Heroes, Vol. 4: Stratagem (2017年夏予定) ISBN 978-1-4215-8497-3

関連書籍[編集]

以下はすでに絶版になっている書籍も含む。フィルムコミックなど、アニメ版とより関係が深いものについては、ここでは除外する。()内は発行年月日と編著者などである。

登場人物辞典[編集]
『エンサイクロペディア銀河英雄伝説』(1992年7月31日発行、編著:らいとすたっふ)ISBN 4-19-124916-9 銀河英雄伝説の原作の登場人物を紹介した人物辞典。愛蔵版の刊行にあわせて刊行された。この版において掲載された、物語中の登場人物は計614名となっている。

『新訂 エンサイクロペディア「銀河英雄伝説」』(1997年5月31日発行、編著:らいとすたっふ)ISBN 4-19-850377-X 大幅に加筆修正した新版。徳間文庫版の刊行にあわせて刊行された。以前の版に「OVAオリジナルキャラクターの紹介」、「用語解説」が追加され、「銀河メカニック列伝」、「大年表」が削除されている。

『銀河英雄伝説ハンドブック』(2003年1月31日発行、監修:田中芳樹、協力:らいとすたっふ)ISBN 4-19-905132-5 さらに大幅に加筆修正した新版。徳間デュアル文庫版の30巻目として掉尾を飾った。主に人名事典、大年表、用語辞典からなり、徳間文庫版に収録されていた他作家の解説、田中芳樹の1980年代の対談なども収録されている。人名事典については以前の版から長足の進歩を遂げている。


副読本[編集]
『「銀河英雄伝説」読本』(1997年3月31日発行、編著:らいとすたっふ)ISBN 4-19-860661-7 アニメ版の本編シリーズ終了に合わせて刊行。原作者インタビューなどのほか、当時単行本未収録の外伝「ダゴン星域会戦記」など、「黄金の翼」以外の短篇の外伝が一括収録されていた。道原かつみによる解説や対談のほか、藤田和日郎の対談なども収録されている。


同人誌アンソロジー[編集]
『全艦出撃!!』シリーズ 『全艦出撃!!』(1992年2月18日発行、監修:田中芳樹事務所)ISBN 4-19-124770-0
『全艦出撃!!2 出力全開』(1992年10月31日発行、監修:らいとすたっふ)ISBN 4-19-124988-6
『全艦出撃!!3 凱旋勝利』(1993年9月30日発行、監修:らいとすたっふ)ISBN 4-19-125286-0 『銀河英雄伝説』(原作小説)発刊10周年記念企画の一環[14]として、徳間書店より1992年 - 1993年に3巻発行された。第1巻及び第2巻は、同人誌として発表された『銀河英雄伝説』に関連する小説/漫画/イラスト等の選集。第3巻はそれに加えて同巻の作成に際して募集した作品及びゲストによる作品が収録されている。『全艦出撃!!』第1巻に収録された対談によると、『銀河英雄伝説』の同人誌が出現し始めたのは原作第5巻が出版された頃(1985年4月)であり、その後道原かつみによる『黄金の翼』の発表やアニメ化などによって拡大が起こった。劇場版アニメ第1作公開 - OVA版第1期リリースの時期にあたる1988年から1989年には同人誌の即売会などでもそれが具現化しており、1989年8月に開催された第36回コミックマーケットでは『銀英伝』という名称でジャンルとして確立している(同カタログP277)。

『天下無敵あどりぶ銀英伝』(1994年9月30日発行、監修:らいとすたっふ)
『あなたの知らない銀英伝』(高橋なの、1994年、徳間書店、アニメージュコミックススペシャル、ISBN 978-4197700295) 『アニパロコミックス』(みのり書房)で連載していたパロディ作品。帝国、同盟がそれぞれ帝国町、同盟町という隣接した町にある高校となっており、ラインハルト、ヤンはそれぞれの高校の生徒会長となっている。

メディア展開・商品化[編集]

出版元である徳間書店が各メディアへの進出を画策していたことから、徳間の人気作であった本作は漫画・アニメといった各娯楽メディアへの展開がなされた。また、ゲーム・パチンコ・演劇なども製作されている。
漫画1986年に発行された書き下ろし原作による外伝『黄金の翼』を始め、一部が漫画化されている。詳しくは別節を参照。アニメ1988年に公開された劇場版を始めとして、大部分のエピソードがアニメ化されている。詳しくは別節を参照。唯一、アニメ化がされていない原作小説、ユリアンのイゼルローン日記はアニメ出演声優が再集結し、キクボンにてオーディオブックで配信されている。ゲーム、パチンコ
詳細は「銀河英雄伝説 (ゲーム)」を参照
携帯サイト2008年10月より株式会社アールアールジェイより、いわゆるフィーチャーフォン向けのキャリア公式サイトがオープン中。待受け画像、FLASH、カレンダー、メール素材、動画、クイズや人物紹介、用語解説などの各テキストコンテンツを配信。各キャリアのアクセス方法【i-mode】iMENU>メニューリスト>待受画面/フレーム>アニメーション総合>銀河英雄伝説【EZweb】EZトップメニュー>カテゴリで探す>待受・画像・キャラクター>アニメ・コミック>銀河英雄伝説【Yahoo!ケータイ】メニューリスト>壁紙・きせかえアレンジ>アニメ・マンガ>銀河英雄伝説【URL】http://ginei.mobi/演劇2011年から物語の一部が舞台劇化されている。詳しくは別節を参照。ミュージカル
詳細は「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」を参照
実写2017年、中国の映像制作会社「稼軒環球映画会社」により3部作の実写として映像化されることが発表された[15]。関連グッズファンの年齢層がやや高めでもあることから、キャラクター商品としての関連グッズの販売は、あまり積極的には行われてこなかった。特典的商品としてのカレンダーやトランプが存在する。2006年より、造形工房アルバクリエイツから、12,000分の1スケールの完成品戦艦模型「銀河英雄伝説フリート・ファイル・コレクション」が順次発売されている。
漫画版[編集]

2015年10月現在、道原かつみ・鴨下幸久・藤崎竜の作画により、一部が漫画化されている。作品はラインハルトの視点から描かれた帝国サイド、及びヤン・ウェンリーと彼の養子となったユリアンを主軸に置いた自由惑星同盟サイドの両面から描かれたもので、掲載誌およびコミックスは、藤崎の漫画が集英社発行であることを除いて、徳間書店より発行。

[icon] この節の加筆が望まれています。

初出・連載[編集]

特に記載のないものは道原かつみによる作画(参考:「Noël」1994 WINTER号〔徳間書店「アニメージュ」1994年1月号増刊〕大特集・THE 田中芳樹 p213 - p247)
1986年 外伝『黄金の翼』アニメージュコミックス書き下ろし この漫画のために原作が書き下ろされたことは前述のとおり。
1992年にはOVAとしてアニメ化、劇場公開もされた。このアニメ版は他のシリーズとは声優、キャラクターデザイン、メカデザインなどが全く異なり、道原の漫画を忠実に再現したものとなっている。これは原作者田中芳樹が、元々道原の作画を前提に原作を書き下ろしたものであることから「道原コミック版のアニメ化」を希望した為と言われている。

1987年12月 外伝『白銀の谷』「SFアドベンチャー増刊」銀河英雄伝説特集号に掲載(鴨下幸久作画) 『トラブル★トライアングル』(1994年4月20日発行、作:田中芳樹、画:鴨下幸久、アニメージュコミックススペシャル)ISBN 4-19-770004-0 に収録されている。表題作も田中芳樹の小説の漫画化作品である。

1988年 本編「月刊少年キャプテン」にて連載開始(1989年1月号-1992年3月号) 以下、「Chara」連載分までに、本編野望篇までの内容が多少のアレンジ(ルビンスキーやホアン・ルイを女性とするなど)を交えつつ収められている。時折言われる「月刊少年キャプテン休刊による同誌での連載終了」は誤り。同誌の休刊は1997年である。
この漫画化前に、道原かつみにより全ての登場人物の性別を逆にしたものが製作発表風にまとめられ前述のアンソロジー本『全艦出撃!!』に掲載されている。ルビンスカヤ(女性版のルビンスキー)も、こちらが初出である。

1992年 本編「アニメージュ増刊Noël(ノエル)」1993 WINTER号にて連載再開
1994年 本編「Chara」にて連載開始(Vol.1-2000年2月号) 掲載誌の変更ではあるが、実際はアニメージュ増刊という位置付けだった「Noël」(季刊)が「Chara」(隔月刊)として独立創刊した。

2006年 本編「月刊COMICリュウ」にて道原かつみの連載再開(2006年12月号(創刊2号)-2012年11月号) 本編雌伏篇以降の内容での連載。

2015年 「週刊ヤングジャンプ」にて連載開始(藤崎竜作画、2015年45号-)

単行本リスト[編集]

道原かつみ作画の作品

掲載誌変更等の理由により、原作に劣らず多くの版が存在する。冗長となるため、発行レーベルの一部について以下の略称を使用する。
SCS:少年キャプテンコミックススペシャル
ACC:アニメージュCharaコミックス[16]
CC:Charaコミックス
ACS:アニメージュコミックススペシャル
RC:RYU COMICS

本編、外伝[編集]
初期コミック最初に単行本として発行されたもの。B6サイズ。 『銀河英雄伝説外伝 黄金の翼』(1986年8月10日発行、アニメージュコミックス) 巻頭口絵はステッカーになっており、巻末には原作本編紹介の4コマ漫画や田中芳樹による解説文などが掲載されている。本編の「月刊少年キャプテン」連載時に新装発行されたSCS版(カバー・表紙の絵柄が変更された)と「Chara」連載時に新装発行されたCC版(カバー等の絵柄はSCS版と同じ)があり、発行日やISBNコードもそれぞれ違う。
『銀河英雄伝説 1』(1990年2月25日発行、少年キャプテンスペシャル[17])ISBN 4-19-830021-6
『銀河英雄伝説 2』(1990年12月20日発行、SCS)ISBN 4-19-830122-0
『銀河英雄伝説 3』(1991年10月15日発行、SCS)ISBN 4-19-831100-5
『銀河英雄伝説 4』(1992年4月20日発行、SCS)ISBN 4-19-832041-1
『銀河英雄伝説 5』(1994年1月20日発行、SCS)ISBN 4-19-834010-2
『銀河英雄伝説 6』(1994年11月10日発行、SCS)ISBN 4-19-830036-4 ここまでに挙げた本編6冊には「Chara」連載時に新装発行されたACC版がある。
『銀河英雄伝説 7』(1995年9月25日発行、ACC)ISBN 4-19-960004-3
『銀河英雄伝説 8』(1996年9月25日発行、ACC)ISBN 4-19-960028-0
『銀河英雄伝説 9』(1998年3月25日発行、CC)ISBN 4-19-960063-9
『銀河英雄伝説 10』(1999年1月20日発行、CC)ISBN 4-19-960087-6
『銀河英雄伝説 11』(2000年3月25日発行、CC)ISBN 4-19-960122-8
総集編「月刊少年キャプテン」連載時には、コミックスが発売される前にまず雑誌の形で「総集編」の発行が行われていた。B5サイズ。 『銀河英雄伝説 総集編 1』(1989年8月30日発行、少年キャプテン8月号増刊)
『銀河英雄伝説 総集編 2』(1990年5月25日発行、少年キャプテン5月号増刊)
『銀河英雄伝説 総集編 3』(1991年4月20日発行、少年キャプテン4月号増刊)
コンビニコミック「月刊COMICリュウ」での連載再開に合わせたコマーシャル的な発行。B6サイズ。 『銀河英雄伝説 黄金の翼&双璧編』(2006年11月15日発行、トクマフェイバリットコミックス)ISBN 4-19-780365-6 『黄金の翼』(本編紹介4コマ漫画や原作者による解説などは収録されていない)と上記1.の7巻の一部を再録。
愛蔵版「月刊COMICリュウ」での連載再開を受けての発行。A5サイズ。『銀河英雄伝説 愛蔵版 1』(2007年3月発行、ACS)ISBN 978-4-19-770137-7 上記1.の1・2巻の再録。この巻ならびに同日発売の2巻には発行日が記載されていない。
『銀河英雄伝説 愛蔵版 2』(2007年3月発行、ACS)ISBN 978-4-19-770138-4 上記1.の3・4巻の再録。
『銀河英雄伝説 愛蔵版 3』(2007年5月20日発行、ACS)ISBN 978-4-19-770139-1 上記1.の5・6巻の再録。
『銀河英雄伝説 愛蔵版 4』(2007年6月20日発行、ACS)ISBN 978-4-19-770140-7 上記1.の7・8巻の再録。
『銀河英雄伝説 愛蔵版 5』(2007年7月20日発行、ACS)ISBN 978-4-19-770141-4 上記1.の9・10巻の再録。
『銀河英雄伝説 愛蔵版 6』(2007年8月20日発行、ACS)ISBN 978-4-19-770142-1 上記1.の11巻および『黄金の翼』(本編紹介4コマ漫画や原作者による解説などは収録されていない)の再録。

英雄たちの肖像[編集]

「月刊COMICリュウ」での連載分を収録した単行本。B6サイズ。 なお、内容的には未完で、ランテマリオ星域会戦までである。

RYU COMICS
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像 1』(2008年1月1日発行、RC)ISBN 978-4-19-950062-6
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像 2』(2009年7月1日発行、RC)ISBN 978-4-19-950124-1
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像 3』(2011年4月1日発行、RC)ISBN 978-4-19-950237-8
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像 4』(2013年4月1日発行、RC)ISBN 978-4-19-950335-1

TOKUMA COMICS【文庫版】
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像 1』(2014年3月15日発行、TC)ISBN 978-4-19-780566-2
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像 2』(2014年9月25日発行、TC)ISBN 978-4-19-780585-3
『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像 3』(2015年3月25日発行、TC)ISBN 978-4-19-780589-1

集英社発行[編集]

過去のコミカライズとの差別化としてはストーリーがラインハルトの幼少期から始まり、外伝まで含めた原作の中で時系列順に展開されている。

また一部キャラクターも掘り下げて描写されている(ワイドボーン、ホーランドなど)
田中芳樹(原作)・藤崎竜(漫画) 『銀河英雄伝説』 集英社〈ヤングジャンプ・コミックス〉、既刊8巻(2017年11月17日現在) 1.2016年2月24日発行(2月19日発売[集 1])、ISBN 978-4-08-890377-4
2.2016年5月24日発行(5月19日発売[集 2])、ISBN 978-4-08-890439-9
3.2016年8月24日発行(8月19日発売[集 3])、ISBN 978-4-08-890440-5
4.2016年11月14日発行(11月9日発売[集 4])、ISBN 978-4-08-890441-2
5.2017年2月22日発行(2月17日発売[集 5])、ISBN 978-4-08-890588-4
6.2017年5月24日発行(5月19日発売[集 6])、ISBN 978-4-08-890638-6
7.2017年8月23日発行(8月18日発売[集 7])、ISBN 978-4-08-890723-9
8.2017年11月22日発行(11月17日発売[集 8])、ISBN 978-4-08-890780-2


アニメ版[編集]

20世紀アニメ版[編集]

詳細は「銀河英雄伝説 (アニメ)」を参照

1988年から2000年にかけて劇場公開アニメ3作、OVA本伝(全110話)、外伝(全52話)が随時公開・リリースされた。アニメーション制作はキティ・フィルム・ケイファクトリーほか。

2016年には株式会社アールアールジェイによる朗読・オーディオブック配信サイトにて、唯一アニメ化がされていなかった原作小説「ユリアンのイゼルローン日記」をアニメ出演声優が再集結して朗読制作・配信されている[18]。

2017年6月21日に同社より、アニメ声優が再集結してオーディオブック化した「ユリアンのイゼルローン日記CDボックス」が発売された。

CDは15枚組。原作者田中芳樹のインタビュー音源だけではなく、100頁のブックレット等もついている。

ボックスの表紙にヤン・ウェンリー、裏面にはイゼルローン組のメンバーが描かれている。このイラストはCDの為に修復させたものである。

またCDボックスのリリースイベントは渋谷、名古屋、大阪、秋葉原で開催され、セル画や田中芳樹直筆の原稿などの資料が展示された。

CDボックスは、株式会社アールアールジェイが、田中芳樹、らいとすたっふ、徳間書店の協力のもと制作されている。

CDボックスには銀河英雄伝説を全て朗読した下山吉光の朗読ディスクも1枚付いている。

21世紀アニメ版『銀河英雄伝説 Die Neue These』[編集]

TV Future Icon.svg この節には放送開始前の番組に関する記述があるため、方針に従い独自研究の予測などは載せず、出典に基づいて正確な記述を心がけてください。(2017年9月)

2015年、Production I.Gの制作で、2017年から「新アニメプロジェクト」を始動する事を発表[1]。2017年5月には制作体制の概要を発表(下記参照)。同年9月20日にはメインキャスト・スタッフの発表及び特別プロモーション映像が上映されるイベント『新アニメプロジェクト「銀河英雄伝説」イベント〜星々の邂逅〜』が開催された[19]。

ファーストシーズン12話『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』は2018年4月より放送予定[20]。セカンドシーズン12話『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』は2019年に全3章構成としてイベント上映予定[20]。

スタッフ[編集]
原作 - 田中芳樹[20]
監督 - 多田俊介[20]
シリーズ構成 - 高木登[20]
キャラクターデザイン - 菊地洋子、寺岡巌、津島桂[20]
総作画監督 - 後藤隆幸[20]
特技監督 - 竹内敦志[20]
メカデザイン - 竹内敦志、臼井伸二、常木志伸[20]
オリジナルメカデザイン - 加藤直之[20]
プロップデザイン - 太田恵子[21]
プロップデザイン・紋章デザイン - 秋篠Denforword日和[21]
3D - I.G3D[21]
3D監督 - 森本シグマ[21]
美術監督 - 竹田悠介[21]
美術設定 - 塩澤良憲、曽野由大、藤井一志[21]
美術デザイン - 渡部隆[21]
色彩設計 - 竹田由香[21]
音響監督 - 三間雅文[21]
撮影監督 - 荒井栄児[21]
編集 - 植松淳一[21]
制作 - Production I.G[20]
監修 - らいとすたっふ[20]
企画協力 - キティエンターテインメント[20]
制作協力 - 徳間書店[20]
製作協力 - DMM pictures[20]
製作 - 松竹、Production I.G[20]

このほか、DMM picturesに日本国外での各種権利と日本国内のインターネット配信権がライセンス供与される。

主題歌[編集]
オープニングテーマ「Binary Star」[21]歌 - SawanoHiroyuki[nZk]:Uruエンディングテーマ「WISH」[22]歌 - ELISA
演劇版[編集]

2011年から「舞台「銀河英雄伝説」実行委員会」による舞台劇が上演されている。

第一章[編集]

2011年1月から11月にかけて、銀河帝国サイドの物語が舞台化された。
木下工務店PRESENTS 舞台 銀河英雄伝説 第一章 銀河帝国篇2011年1月7日-1月16日に青山劇場で公演。[23]。 キャストラインハルト:松坂桃李
キルヒアイス:崎本大海
アンネローゼ:白羽ゆり
マリーンドルフ:宇野実彩子
ロイエンタール:東山義久
ミッターマイヤー:中河内雅貴
オーベルシュタイン:貴水博之
メルカッツ:ジェームス小野田
フリードリヒ4世:長谷川初範
ラインハルト父:堀川りょう(特別出演)
ほかスタッフ脚本:堀江慶/村上桃子/西田シャトナー
演出:堀江慶
音楽:三枝成彰
総合監修:田原正利
総合プロデュース:多賀英典
企画・製作:舞台「銀河英雄伝説」実行委員会(木下工務店/キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ/ニッポン放送/イープラス)
ほか舞台 銀河英雄伝説 外伝 ミッターマイヤー・ロイエンタール編2011年6月22日-2011年6月26日にサンシャイン劇場で公演。初演に続き、ミッターマイヤー役は中河内雅貴、ロイエンタール役は東山義久が務めた。[24]舞台 銀河英雄伝説 外伝 オーベルシュタイン編2011年11月3日-2011年11月23日に渋谷区文化総合センター・さくらホールで公演。初演に続き、オーベルシュタイン役は貴水博之が務めた。[25]
第二章[編集]

2012年からは自由惑星同盟サイドの物語が舞台化されている。
舞台 銀河英雄伝説 第二章 自由惑星同盟篇2012年4月14日-4月22日、東京国際フォーラムにて公演[26]。同年4月28日-4月29日にはNHK大阪ホールで大阪公演も実施。 キャストヤン:河村隆一
ジェシカ:馬渕英俚可
ラップ:野久保直樹
ムライ:大澄賢也
キャゼルヌ:天宮良
ポプラン:中川晃教
シェーンコップ:松井誠
シトレ:西岡徳馬
フレデリカ:はねゆり
トリューニヒト:井田國彦
パトリチェフ:金澤博
アッテンボロー:荒木健太朗
ゼークト:伊藤哲哉 ※ほかに無名端役も演じる
ナオミ:長澤奈央
ユリアン:桑代貴明
コーネフ:中村誠治郎
シェイクリ:大山真志
ヒューズ:仲原裕之
クラフト:川隅美慎
フォーク:樋口夢祈
ある男:LGMonkees
ムーア:深澤英之
シュトックハウゼン:佐藤和久
ラオ:石塚智司
レベロ:遠山裕介
ウィンザー:碓井菜央−Wキャスト
ウィンザー:佐藤愛美−Wキャスト
ほかスタッフ脚本:村上桃子
演出:西田大輔
音楽:三枝成彰/大平太一/出来田智史
振付:山崎たくや
アクション殺陣:深澤英之
舞台監督:木村 力
総合監修:田原正利
総合プロデュース:多賀英典
企画:キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
製作:舞台「銀河英雄伝説」実行委員会(キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ/ニッポン放送/イープラス)
ほかテーマソング「Searching for the light」アーティスト:河村隆一 with 銀河英雄伝説 Choir舞台 銀河英雄伝説 撃墜王篇 angel of battlefield2012年8月3日-12日、天王洲銀河劇場にて公演。[27]撃墜王のオリビエ・ポプランを主役とした物語で、自由惑星同盟篇に引き続き、中川晃教がポプラン役を務めた。[28] キャストポプラン:中川晃教
キルヒアイス:横尾渉
コールドウェル:二階堂高嗣
コーネフ:中村誠治郎
シェイクリ:大山真志
ヒューズ:仲原裕之
シェーンコップ:岩永洋昭
モランビル:三上俊
ナオミ:長澤奈央
ミンツ:桑代貴明
クラフト:川隅美慎
ブルームハルト:松村泰一郎
リンツ:海宝直人
ザムチェフスキー:内藤大希
ローエングラム:ニコラス・エドワーズ
リンチ:高山猛久
ルビンスキー:川合敏之
レムシャイド:佐藤和久
ロボス:深澤英之
ハンナ:藤咲ともみ
ケイト:内田羽衣
ムライ:大澄賢也
キャゼルヌ:天宮良
スタッフ脚本:ヨリコジュン
演出:宇治川まさなり
スーパーバイザー:田原正利
総合プロデュース:多賀英典
企画:キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
製作:舞台「銀河英雄伝説」実行委員会(キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ/ニッポン放送/イープラス)
ほか舞台 銀河英雄伝説 輝く星 闇を裂いて2012年11月15日-18日、東京国際フォーラム ホールCにて公演。[29]キルヒアイスとオリジナルキャラクターであるロイスをメインとした物語。 キャストキルヒアイス:横尾渉
ロイス:二階堂高嗣(舞台版オリジナルキャラクター)
リューネブルク:中原裕也
シェーンコップ:岩永洋昭
ハルテンベルク:三上俊
ミューゼル:間宮祥太朗
ケスラー:岸祐二
デッケン:小林且弥
リンツ:桑野晃輔
オフレッサー:山神佳誉
ビュコック:藤原啓児
ホーランド:廣瀬大介
ブルームハルト:松村泰一郎
グリンメルスハウゼン:志賀圭二郎
セレブレッゼ:山本修
リューネブルク:コトウロレナ
フィッツシモンズ:鶴町梨紗
ミュッケンベルガー:佐藤和久
ロボス:深澤英之
ヴァーンシャッフェ:倉田昭二
アルベルト:四宮勘一
サムウェル:山本拓己
スタッフ脚本:ヨリコジュン
演出:ヨリコジュン
スーパーバイザー:田原正利
製作・プロデューサー:多賀英典
企画:キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
舞台「銀河英雄伝説」実行委員会(キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ/ニッポン放送/イープラス)
ほか
第三章[編集]
舞台 銀河英雄伝説 第三章 内乱2013年3月31日-4月13日、青山劇場にて公演。[30] キャストヤン:河村隆一
キルヒアイス:横尾渉
ミッターマイヤー:二階堂高嗣
ジェシカ:馬渕英俚可
グリューネワルト:白羽ゆり
ドワイト:天宮良
オフレッサー:石坂勇
ブラウンシュヴァイク:園岡新太郎
トリューニヒト:井田國彦
ビュコック:伊藤哲哉
ロイエンタール:内浦純一
シェーンコップ:岩永洋昭
フレデリカ:はねゆり
シュナイダー:荒木健太朗
コーネフ:中村誠治郎
ビッテンフェルト:川隅美慎
ミンツ:長江崚行
マリーンドルフ:中山由香
アンスバッハ:高山猛久※ほかにリンチ役も演じる
クリスチアン:深澤英之
リッテンハイム:佐藤和久
リヒテンラーデ:bable
ローエングラム:間宮祥太朗
ポプラン:中川晃教
オーベルシュタイン:貴水博之
スタッフ脚本:村上桃子
脚色:ヨリコジュン
演出:西田大輔
ステージプロデューサー:ヨリコジュン
製作/プロデューサー:多賀英典
企画:キティエンターテインメント/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
舞台「銀河英雄伝説」実行委員会(キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ/ニッポン放送/イープラス)
ほか舞台 銀河英雄伝説 初陣 もうひとつの敵2013年8月1日 - 8月6日、日本青年館 大ホールにて公演[31]。 キャストラインハルト:間宮祥太朗
キルヒアイス:橋本淳
アンネローゼ:白羽ゆり
ミッターマイヤー:根本正勝
ロイエンタール:藤原祐規
シトレ:三上市朗
クルムバッハ:岸祐二
ラップ:三上俊
グレーザー:鈴木健介
ベーネミュンデ: 広田レオナ
ヤン:田中圭
スタッフ脚本:川光俊哉
演出:大岩美智子
ステージプロデューサー:ヨリコジュン
製作/プロデューサー:多賀英典
企画:キティエンターテインメント/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
舞台「銀河英雄伝説」実行委員会(キティ/エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ/ニッポン放送/イープラス)
ほか
第四章[編集]
舞台 銀河英雄伝説 第四章 前篇 激突前夜2013年11月29日-12月2日、東京国際フォーラムにて公演[32]。舞台 銀河英雄伝説 第四章 後篇 激突2014年2月12日-3月2日、青山劇場にて公演[33]。舞台 特別公演 銀河英雄伝説 星々の軌跡2015年6月10日 - 6月21日、Zeppブルーシアター六本木 にて公演[34]。 キャストヤン・ウェンリー:河村隆一
ラインハルト・フォン・ローエングラム:間宮祥太朗
イワン・コーネフ:中村誠治郎
ウォルフガング・ミッターマイヤー:山本匠馬
オスカー・フォン・ロイエンタール:小柳心
フレデリカ・グリーンヒル:はねゆり
ナイトハルト・ミュラー:三上俊
ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ:中山由香
ジークフリード・キルヒアイス:福山翔大
ユリアン・ミンツ:長江崚行
ルパート・ケッセルリンク:山崎雄介
ルイ・マシュンゴ: 一之瀬ワタル
アドリアン・ルビンスキー:増澤ノゾム
アレクサンドル・ビュコック:伊藤哲哉
ムライ:宮本大誠
ワルター・フォン・シェーンコップ:萩野崇
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ:渡辺裕之
アレックス・キャゼルヌ:雨宮 良
カール・グスタフ・ケンプ:石坂 勇
オリビエ・ポプラン:中川晃教
パウル・フォン・オーベルシュタイン:貴水博之
ネグロポンティ:スガマサミ
ヘンスロー:佐藤和久
ジョアン・レペロ:bable
アントン・ヒルマー・フォン・シャフト:小栗銀太郎
チュン・ウー・チェン/アサドーラ・シャルチアン:大力
スタッフ演出:ヨリコジュン
脚本:ヨリコジュン・川光俊哉
音楽:三枝成彰
企画・制作:キティエンターテインメント
プロデューサー:多賀英典

実写版[編集]

2017年、中国の映像制作会社「稼軒環球映画会社」により3部作の実写として映像化されることが発表された[15]。第1作の公開は2020年を予定している。

朗読・オーディオブック版[編集]

株式会社アールアールジェイより『銀河英雄伝説 -朗読-』のタイトルで、2013年6月よりAndroid・iOSインストール機器向けとして本伝・外伝をすべて朗読アプリ化して順次リリース(現在ではキクボンという朗読配信サイトにて配信中)。こちらは、田中芳樹事務所より公認を受けた朗読音源となる。株式会社アールアールジェイ代表橋満克文氏により企画が立ち上がった当時、有限会社らいとすたっふ代表の安達裕章はブログにて『「本気ですか?」というよりは「正気ですか?」と聞きたくなった』と記している[35]。

2014年11月19日に外伝5巻の朗読アプリのリリースが終わり、kikubonとアプリ共に配信が完了して朗読版は完結した。独唱形の朗読は、声優である下山吉光が行い、約8000分の朗読時間となった。全部聞くのに5日半かかる大作である。一通りオーディオブック化が完了した後は、OVA・アニメにて制作できていなかった原作の音源化に取り掛かり、3つの企画に取り組み完成させた。朗読は1章100円から聞ける。

銀河英雄伝説 下山吉光独唱版 本伝・外伝[編集]
1.下山吉光の独唱版として全15冊を朗読化した。総朗読時間は約8000分といわれている。
2.朗読というものが認知される前から作品つくりに取り組んでおり、現在、更にクオリティを上げるために再収録版の制作を開始している。
3.「ダゴン星域会戦記」の初音源化はkikubonでの朗読にて実現した。
4.朗読者の下山吉光は、21世紀アニメ版『銀河英雄伝説 Die Neue These』ナレーションにキャスティングされている。

ユリアンのイゼルローン日記 キクボン オーディオブックCDボックス[編集]
1.アニメ化されていない小説作品の「銀河英雄伝説 ユリアンのイゼルローン日記」をアニメのキャストを再集結して朗読化した。
2.アニメ製作時に声優変更となった「黄金の翼」をラインハルト役:堀川りょう、ジークフリード・キルヒアイス役:広中雅志、アンネローゼ役:藩恵子、アレクサンドル・ビュコック役:富田耕生にて朗読化を行った。
3.アニメではキャストさえ定められていなかった「ダゴン星域会戦記」をアニメのナレーションを担当した屋良有作にて制作。キャラクターの声は新規でキャスティングした。
銀河英雄伝説 ユリアンのイゼルローン日記 アニメ声優出演版2015年12月20日、kikubonにて配信[18]。キクボン(株式会社アールアールジェイ運営の声優による朗読やオーディオブック配信サービス)は唯一アニメ化されていない長編作品である「ユリアンのイゼルローン日記」を、OVAのオリジナルキャストを再集結して丸々1冊、音源化した。2015年12月20日よりオリジナルフルキャスト版として販売が開始されている(全九章を朗読して完結)。その模様を安達裕章は「伊達と酔狂きわまれり」と賛辞を贈っている。亡くなったキャスト以外の声優は全て収録し、一言だけのキャラクターも含めて全てに声を充てている。また、ヤン・ウェンリーのセリフ部についてはユリアンのモノローグ処理とした。2017年6月21日に全15枚組となる『銀河英雄伝説 ユリアンのイゼルローン日記』キクボン!オーディオブック版CDボックスが発売された。CDボックスのイラストにはOVA銀河英雄伝説のヤン・ウェンリー、イゼルローン組のメンバーのイラストを使用している、特典として、インタビューや対談音源、二次創作品などを含んだブックレットが同梱されている。出演者ユリアン・ミンツ:佐々木望
アレックス・キャゼルヌ:キートン山田
ワルター・フォン・シェーンコップ:羽佐間道夫
ダスティ・アッテンボロー:井上和彦
オリヴィエ・ポプラン:古川登志夫
フレデリカ・グリーンヒル: 榊原良子
ライナー・ブルームハルト: 難波圭一
オルタンス・キャゼルヌ: 松尾佳子
フョードル・パトリチェフ:塩屋浩三
ラインハルト:堀川りょう
ジークフリード・キルヒアイス: 広中雅志
カスパー・リンツ:小杉十郎太
アレクサンドル・ビュコック役:富田耕生
ブッシュ先生、誘拐犯、某議員: 白石稔
校長、テレビの宗教家、サックス少将・士官役:三戸崇史
ブルース・アッシュビー元夫人: 高山みなみ
政治家、ラン・ホー少佐役:羽多野渉
捕虜の男、民間人役:下山吉光
ポプランの女役:柿沼紫乃
ローゼンリッター下士官、パーカスト大尉、兵士役:金光宣明
銀河英雄伝説 黄金の翼 スペシャルキャスト版(広中雅志キルヒアイス ナレーション)OVA版ではキャスト変更になった作品である、黄金の翼をラインハルト役:堀川りょう、ジークフリード・キルヒアイス役:広中雅志、アンネローゼ役:藩恵子、アレクサンドル・ビュコック役:富田耕生で配信。ナレーションは広中雅志が担当。銀河英雄伝説 ダゴン星域会戦記 オリジナルキャスト版ダゴン星域会戦記をアニメでナレーションを担当した屋良有作を朗読版でも起用した。その他キャストは独自キャストで制作された。本作はダゴン星域会戦記の初音源化という事になり、キクボンにて配信されている。ナレーション:屋良有作
リン・パオ:鳥海浩輔
ユースフ・トパロウル:津田健次郎
フロリンダ・ウェアハウザー:柚木涼香
国家安全保障委員&銀河帝国皇帝:太田哲治
ジョアン・パトリシオ:中博史
ヤングブラッド&シュミードリン:坪井智浩
バルトバッフェル候ステファン&ビロライネン大将:宗矢樹頼
ヘルベルト大公:石野竜三
インゴルシュタット:酒巻光宏
ハーゼンクレーバー&ムンガイ:金光宣明
アンドラーシュ[要曖昧さ回避]:新居祐一
ネイスミス・ウオード&通信士官:松原大典
同盟軍兵士:青山桐子
オルトリッチ:白石稔
オズヴァルト・ミュンツァー:下山吉光

脚注[編集]

[ヘルプ]

1.^ a b 『銀河英雄伝説』新アニメプロジェクト 制作決定のお知らせ、株式会社IGポート、2015年8月14日
2.^ 道原かつみによるコミック『黄金の翼』p205
3.^ 星雲賞第19回受賞作一覧
4.^ 田中芳樹公認「銀河英雄伝説」朗読配信サイトkikubon
5.^ 風邪については未だ克服されず時に登場人物がこれに苦しむ描写がある。
6.^ アニメに見えるテロップなどではドイツ語を基にした表記が添えられている。同盟側の英語を基にした表示についても同様。
7.^ たとえば『宇宙戦艦ヤマト』では、瞬間物質移送器で戦闘機を敵の近傍にワープアウトさせるドメル戦法や、艦ごと敵の近傍にワープアウトして奇襲をかけるデスラー戦法がある。また、笹本祐一の作品『ARIEL』や『ミニスカ宇宙海賊』では形勢不利になると跳躍で逃げたり、跳躍を連続で行って行方を晦ます展開がある。
8.^ 本作設定における装甲服は、重火器ミサイルなどの武装は行わず、打撃系武器の威力を高めるためのパワーアシストを行っている様子。
9.^ 惑星レグニッツァ上空の戦いのように無人惑星においてはタブーとはされていない。
10.^ ただしこれは本編の開始時の数値。第二次ティアマト会戦の頃は帝国・同盟とも平均8000隻である(詳細はこちら)。
11.^ 帝国の場合は大将/上級大将クラスでも一個艦隊の司令官に就く例もあるが、同盟では原則として大将以上の階級の者が一個艦隊の司令官に就任することはない。例外はシドニー・シトレとヤン・ウェンリーだが、前者は宇宙艦隊司令長官、後者はイゼルローン要塞司令官との兼務である。
12.^ イゼルローン回廊帝国側宙域の遭遇戦時にアッテンボロー「少将」が指揮した分艦隊の戦力は2200隻。帝国軍のアイヘンドルフ少将が指揮した艦隊は同盟側の最大推定値が1790隻。
13.^ ラインハルトが准将の地位でグリンメルスハウゼン艦隊所属士官としてヴァンフリート星域の会戦に参加した時の指揮下の戦力は、巡航艦40隻、駆逐艦130隻、砲艦25隻、ミサイル艦10隻。
14.^ 第2巻・第1刷のオビの記載より。
15.^ a b “映像化の歴史がまた1ページ 「銀河英雄伝説」3部作で実写映像化”. ねとらぼ (アイティメディア). (2017年11月2日) 2017年11月2日閲覧。
16.^ 「Chara」創刊から「Charaコミックス」レーベル発刊までの極一時期存在したコミックレーベル。雑誌コード等から判断すると「アニメージュコミックス」にカウントされている模様。多くは重刷時などに「Charaコミックス」に変更されている。
17.^ 初期の少年キャプテンコミックススペシャルには誌面上にこのように記されているものがある。多くは重刷時などに「少年キャプテンコミックススペシャル」に表記が変更されている。
18.^ a b 田中芳樹公認「銀河英雄伝説」朗読配信サイトkikubon
19.^ 『新アニメプロジェクト「銀河英雄伝説」イベント〜星々の邂逅〜』、新アニメプロジェクト「銀河英雄伝説」公式サイト、2017年5月10日
20.^ a b c d e f g h i j k l m n o p “銀河英雄伝説:新テレビアニメが18年4月放送 宮野真守がラインハルト ヤンは鈴村健一”. MANTANWEB. MANTAN (2017年9月20日). 2017年9月20日閲覧。
21.^ a b c d e f g h i j k l “澤野弘之ボーカルプロジェクトが『銀英伝』OPテーマも収録したニューシングルをリリース決定”. アニメイトタイムズ (2018年2月5日). 2018年2月5日閲覧。
22.^ “ニューシングル発売決定!TVアニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅」エンディングテーマ!”. ソニー・ミュージックエンタテインメント (2018年2月5日). 2018年2月5日閲覧。
23.^ 銀河の歴史がまた1ページ、田中芳樹のSF小説「銀河英雄伝説」が舞台化GIGAZINE 2010年3月11日
24.^ 舞台『銀河英雄伝説』-外伝 ミッターマイヤー・ロインエンタール編-
25.^ 舞台『銀河英雄伝説』-外伝 オーベルシュタイン編-
26.^ 舞台『銀河英雄伝説』-第二章 自由惑星同盟篇-
27.^ 舞台 銀河英雄伝説|撃墜王篇オフィシャルサイト
28.^ 中川晃教主演で『銀河英雄伝説 撃墜王篇』が上演決定 キスマイ横尾渉、二階堂高嗣も登場(シアターガイド、2012年4月16日)
29.^ 舞台 銀河英雄伝説 輝く星 闇を裂いて オフィシャルサイト
30.^ 舞台 銀河英雄伝説 第三章 内乱オフィシャルサイト
31.^ 舞台 銀河英雄伝説 初陣 もうひとつの敵 オフィシャルサイト
32.^ 舞台 銀河英雄伝説 第四章 前篇 激突前夜 オフィシャルサイト
33.^ 舞台 銀河英雄伝説 第四章 後篇 激突 オフィシャルサイト
34.^ 舞台 特別公演 銀河英雄伝説 星々の軌跡 オフィシャルサイト
35.^ 「銀河英雄伝説」の朗読アプリがリリースされました!、2013年6月8日

出典[編集]

以下の出典は『集英社BOOK NAVI』(集英社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

1.^ “銀河英雄伝説/1|田中 芳樹 / 藤崎 竜|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年2月19日閲覧。
2.^ “銀河英雄伝説/2|田中 芳樹 / 藤崎 竜|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年5月19日閲覧。
3.^ “銀河英雄伝説/3|田中 芳樹 / 藤崎 竜|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年8月19日閲覧。
4.^ “銀河英雄伝説/4|田中 芳樹 / 藤崎 竜|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年11月9日閲覧。
5.^ “銀河英雄伝説/5|田中 芳樹 / 藤崎 竜|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年2月17日閲覧。
6.^ “銀河英雄伝説/6|田中 芳樹 / 藤崎 竜|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年5月19日閲覧。
7.^ “銀河英雄伝説/7|田中 芳樹 / 藤崎 竜|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年8月18日閲覧。
8.^ “銀河英雄伝説/8|田中 芳樹 / 藤崎 竜|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年11月19日閲覧。

関連項目[編集]
銀河英雄伝説@TAKARAZUKA - 本作を原作とした宝塚歌劇団のミュージカル作品
タイタニア - 本作完結後に執筆が開始されたSF小説
十二国記 - 構想のきっかけが本作であった旨、著者(小野不由美)が文庫版の解説で明らかにしている。
史記 - 本作の構想するに当たって参考にした歴史書。主に列伝を参考にしている。
E・R・エディスン(著)「ウロボロス」、マーヴィンピーク(著)「ゴーメンガースト」 - 著者である田中芳樹が本作を読んだ読者に推薦するファンタジー小説。 

外部リンク[編集]
銀河英雄伝説ON THE WEB - 徳間版アニメ公式サイト。
銀河英雄伝説携帯公式サイト - 携帯公式サイト、待ち受け画像や動画の配信など携帯ならではのコンテンツの配信を行っている。
有限会社ティー・ピー・オー - 徳間版アニメのプロデューサー、田原正利(正聖)の製作会社。当時のエピソードを紹介するページもある。
銀河英雄伝説 - スターチャイルド版CD-BOX情報ページ。劇中使用楽曲情報もある。
らいとすたっふ - 田中芳樹のマネージメント、及び作品の著作権管理会社。電子書籍アプリへのリンクはココから。
田中芳樹「『銀河英雄伝説』創元SF文庫版に寄せて」 - ウェブマガジン掲載のオリジナル記事。
アニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」公式サイト - Production I.G版新アニメプロジェクト公式サイト
銀河英雄伝説DieNeueThese (@gineidenanime) - Twitter
舞台版『銀河英雄伝説』公式サイト
『オトナの銀英伝ナイト』公式サイト
株式会社アールアールジェイ - 『銀河英雄伝説』の公式サイト運営&朗読版『銀河英雄伝説』を制作している会社。
『銀河英雄伝説-朗読-』iOS版(本伝のみ)
『銀河英雄伝説-朗読-』Android版
オーディオブックを声優の声と演技で楽しむ朗読サイト 耳で聴く本(キクホン) オーディオブック「銀河英雄伝説」アニメの声優が再集結! 新プロジェクト特設サイト

銀河英雄伝説│公式ポータルサイト (@gineiclub) - Twitter
【超豪華15枚組】アニメ出演声優で朗読する『銀河英雄伝説 ユリアンのイゼルローン日記』キクボン!オーディオブック版CDボックス



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銀河英雄伝説
田中芳樹
SF小説のシリーズ
1982年の小説
日本のSF小説
SFアドベンチャー
徳間デュアル文庫
創元SF文庫
週刊ヤングジャンプの漫画作品
月刊COMICリュウ
月刊少年キャプテン
漫画作品 き
日本の舞台作品
2011年の舞台作品
小説を原作とする舞台作品
宇宙を舞台としたSF作品
宇宙戦争を題材とした作品
宇宙を舞台とした小説
君主を主人公にした物語

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E8%8B%B1%E9%9B%84%E4%BC%9D%E8%AA%AC_(%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1)

銀河英雄伝説 (アニメ)





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曖昧さ回避 この項目では、1988年から2000年までのアニメについて説明しています。2018年からのアニメについては「銀河英雄伝説 Die Neue These」をご覧ください。

銀河英雄伝説 > 銀河英雄伝説 (アニメ)


銀河英雄伝説


ジャンル
SFアニメ

映画:銀河英雄伝説 わが征くは星の大海


監督
石黒昇

制作
キティフィルム

封切日
1988年2月6日[1]

上映時間
60分[1]

OVA:銀河英雄伝説(第1期)


原作
田中芳樹

監督
石黒昇(総監督)

シリーズ構成
河中志摩夫

キャラクターデザイン
本木久年、清水恵蔵

アニメーション制作
キティフィルム三鷹スタジオ

製作
キティフィルム、徳間書店、
徳間ジャパン

発表期間
1988年12月21日 - 1989年6月20日

収録時間
650分(25分×26話)[2]

話数
第1話 - 第26話(全26話)

その他
本編1 - 2巻、外伝1巻

OVA:銀河英雄伝説(第2期)


原作
田中芳樹

監督
石黒昇(総監督)

シリーズ構成
河中志摩夫

脚本
河中志摩夫

キャラクターデザイン
久米一成

メカニックデザイン
田中精美

アニメーション制作
キティフィルム三鷹スタジオ

製作
キティフィルム、徳間書店、
徳間ジャパン、テレビ東京

発表期間
1991年6月21日 - 1992年2月20日

収録時間
700分(25分×28話)[2]

話数
第27話 - 第54話(全28話)

その他
本編3 - 5巻

OVA:銀河英雄伝説外伝 黄金の翼


原作
田中芳樹

監督
清水恵蔵

脚本
小出一巳

キャラクターデザイン
池田裕治

メカニックデザイン
高橋英樹

アニメーション制作
マジックバス

製作
徳間書店、徳間ジャパン、
キティフィルム

発売日
1992年10月

収録時間
60分

その他
1992年12月12日劇場公開

映画:銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲


監督
清水恵蔵

制作
キティフィルム

封切日
1993年12月18日[3]

上映時間
90分[3]

OVA:銀河英雄伝説(第3期)


原作
田中芳樹

監督
石黒昇(総監督)

シリーズ構成
河中志摩夫

脚本
河中志摩夫

キャラクターデザイン
清水恵蔵

メカニックデザイン
田中精美

アニメーション制作
キティフィルム三鷹スタジオ

製作
徳間書店、サントリー、
らいとすたっふ

発表期間
1994年7月20日 - 1995年2月22日

収録時間
800分(25分×32話)[2]

話数
第55話 - 第86話(全32話)

その他
本編6 - 8巻

OVA:銀河英雄伝説(第4期)


原作
田中芳樹

監督
石黒昇(総監督)

シリーズ構成
河中志摩夫

脚本
河中志摩夫

キャラクターデザイン
清水恵蔵

メカニックデザイン
田中精美

アニメーション制作
ケイファクトリー

製作
徳間書店、ビデオチャンプ、
らいとすたっふ

発表期間
1996年9月 - 1997年3月

収録時間
671分[2]

話数
第87話 - 第110話(全24話)

その他
本編9 - 10巻

OVA:銀河英雄伝説外伝(第1期)


原作
田中芳樹

監督
石黒昇(総監督)

シリーズ構成
河中志摩夫

脚本
河中志摩夫

キャラクターデザイン
清水恵蔵(全編)
今泉賢一(「汚名」)

メカニックデザイン
田中精美

アニメーション制作
ケイファクトリー

製作
徳間書店、ケイファクトリー、
らいとすたっふ

発表期間
1998年2月 - 1998年

収録時間
630分[2]

話数
全24話

その他
単行本未収録短編3本と外伝3巻

OVA:銀河英雄伝説外伝(第2期)


原作
田中芳樹

監督
石黒昇(総監督)

シリーズ構成
河中志摩夫

脚本
河中志摩夫

キャラクターデザイン
清水恵蔵

メカニックデザイン
田中精美

アニメーション制作
ケイファクトリー

製作
徳間書店、ケイファクトリー、
らいとすたっふ

発表期間
1999年12月24日 - 2000年7月21日

収録時間
740分[2]

話数
全28話

その他
外伝4巻とOVAオリジナル3本
テンプレート - ノート

プロジェクト
アニメ

ポータル
アニメ

『銀河英雄伝説』(ぎんがえいゆうでんせつ)は、1988年から2000年にかけてOVAを中心として展開されたアニメシリーズ。田中芳樹のSF小説『銀河英雄伝説』を原作とする。



目次 [非表示]
1 概要
2 沿革
3 配役
4 原作からの変更点
5 戦艦デザイン
6 軍服デザイン
7 音楽
8 テレビ放送
9 その他
10 劇場公開作品
11 OVAシリーズ
12 シリーズ作品の時系列
13 スタッフ
14 主題歌
15 脚注
16 外部リンク


概要[編集]

田中芳樹のSF小説『銀河英雄伝説』を原作として、劇場公開アニメ3作[4]、OVA本伝110話、外伝52話が制作された。

『銀河英雄伝説』のアニメ化は、当初はテレビシリーズ放映を目指して企画されたが実現に至らず、テレビアニメ化のためのパイロットフィルムの位置付けで『わが征くは星の大海』がOVA作品として作成され、プロモーション手段として劇場公開が行われた。その後、キティフィルムが手掛けた『うる星やつら』の50枚組LD-BOXの商業的な成功で、テレビアニメ化に行き詰まっていた本作をビデオ作品としてリリースすることが構想され、通信販売で視聴者に直接送付することによる中間コストの削減で、1話2,500円の価格設定[5]で7,000本販売すれば元が取れると判断して、最初にOVA第1期シリーズが発売された。結果としてこの目論見は当たり、本伝110話、外伝52話、長編3話のOVAとして空前の長期シリーズとなった[6]。

OVAの本伝は、まず「VHSビデオ1本に1話収録」の通販で1988年12月にリリースされ、その後に4話を1本にまとめた店頭販売用ビデオ(VHS/レーザーディスク)及びレンタルビデオがリリースされるという販売形態だった[7]。

DVDがソフトメディアの主流になった2001年以降は、全てのアニメがDVDソフト化されている[8]。DVD化に際して35mmフィルムの原板を再テレシネして一部のデジタル化を行っており[9]、DVD版はビデオテープ/レーザーディスクによってリリースされた初期版と比べてデジタルで作り直したシーンが随所に存在するほか、人名や艦名テロップの綴り(スペル)も多くが修正された[10]「リマスター版」で、2006年8月から劇場版を含む全165話がWOWOWで放送された。2009年にはDVD用マスターを使用した[11]Blu-ray BOXがリリースされている[12]。

製作の中心人物であるプロデューサーの田原正利は、徳間書店刊行のムックの編集方針と同時に、本ウィキペディアの記事に関しても批判したことがある。基本的に素人が好き勝手に書き込んでいる場であり素人の知ったかぶり・推測・創作・思い込み・誤解が多々見られるため「信憑性がないと思って」欲しい旨発言し、それらの定説化を憂いている[13][14]。

アニメ冒頭に表示されるタイトルは、フラクトゥール(花文字、ドイツ文字)で「H e l d e n s a g e n {\displaystyle {\mathfrak {Heldensagen}}} {\displaystyle {\mathfrak {Heldensagen}}} v o m {\displaystyle {\mathfrak {vom}}} {\displaystyle {\mathfrak {vom}}} K o s m o s i n s e l {\displaystyle {\mathfrak {Kosmosinsel}}} {\displaystyle {\mathfrak {Kosmosinsel}}}」(Heldensagen vom Kosmosinsel)と表記されているが[15]、他国語版『銀河英雄伝説』の記事ではドイツ語として文法的に不適切と書かれている[16]。ただし、作中で同盟や帝国の公用語が「英語やドイツ語だとは一言も言っていない」ため[10]、前述の人名や艦名の綴りを含めて一概に間違いとも言い切れない。なお『黄金の翼』のみ、欧文タイトルはブラックレターで「Die Legende der Sternhelden」と他と異なる表記である。

沿革[編集]
1988年2月 劇場版第一弾『わが征くは星の大海』公開。
1988年12月 OVA第1期リリース開始。登録した顧客へ1話分収録されたVHSビデオカセットが週1回“配達”されるという特殊な通信販売でのリリース手法(いわゆる定期購入システム)で、当時は“ウィークリー・アニメビデオ”と呼ばれた。価格は1巻2,500円(送料500円別)。セット購入(一括支払い)は65,000円(全26巻/送料込み)[17]。 その後1997年まで、原作本編を4期に分けOVA化が継続。最終的に全110話が製作された。

1992年10月 長編作品『黄金の翼』リリース(詳細は後述)。
1993年12月 劇場版第二弾『新たなる戦いの序曲』が公開。
1998年 OVA外伝シリーズリリース開始。2000年まで全52話が製作された[18]。
2001年 通販版DVD-BOXリリース開始。
2003年 一般向けDVD-BOXリリース開始。
2009年 Blu-Ray BOXリリース開始。
2014年 再アニメ化が発表される。過去のOVAのリメイクではなく、原作小説を改めて映像化した作品になるとされる[19]。
2016年 アールアールジェイにより、アニメ出演者を再集結して、アニメ化が実現出来なかった「ユリアンのイゼルローン日記」「ダゴン星域会戦記」および「黄金の翼」(キャストを全面変更した長編アニメ作品の原作として書き下ろされた外伝作品をOVA版の声優で再収録した)の朗読・オーディオブック化が実現し、同社の配信プラットホーム「キクボン」にて配信が開始された。
2017年 「ユリアンのイゼルローン日記」「ダゴン星域会戦記」「黄金の翼」のオーディオブックのCDボックス販売。

配役[編集]

「銀河英雄伝説の登場人物」、「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」、「銀河英雄伝説の登場人物・自由惑星同盟」、「銀河英雄伝説の歴史上の人物」、および「銀河英雄伝説の登場人物・その他」も参照

膨大な登場人物のほとんどが役を兼ねないため、基本は1人1役でキャスティングされている[20](しかし、モブキャラを除いて例外的に二役演じた声優も存在する[21])。そのため、アニメ版は「銀河声優伝説」との異名を取っていた[22][23]。また、ベテランの同時出演も少なくない。しかし、軍人と政治家中心の物語内容のためキャストのほとんどは男性で、女性や変声期前の幼年男子の登場人物が少ないこともあって、女性声優の起用は少なかった。

原作からの変更点[編集]

基本的には原作小説を踏襲しているが、主に以下の変更点が存在する。
原作では雌伏篇(新書刊第3巻)冒頭部から活躍するダスティ・アッテンボローが、物語当初からヤン・ウェンリーの補佐という役割で登場する。その為原作でこの役割をしたラオは冒頭部での出番がなくなっている。
アレックス・キャゼルヌのイゼルローン要塞着任の時期が、アニメでは原作よりも月単位で遅れている。また、原作(とコミック)では第14補給基地へは単身赴任だったが、妻子が同行した。
イゼルローン要塞の防御壁が流体金属層と設定された。これに伴い「ケンプによる要塞の重力から生じる流体の潮汐を利用した攻略作戦」がOVAにのみ存在する。
外伝で記述されたクロプシュトック事件が本編第1期に組み込まれた為「クロプシュトック領への討伐部隊派遣の過程で生じたミッターマイヤーがブラウンシュヴァイク公爵の縁者を銃殺する件」がアニメ版には存在しない(原作版の解説及びアニメ版の解説を参照)。

その他、大小さまざまな改変(時事経過の変更、戦闘の演出、新規キャラクターの追加[24]、原作の不自然あるいは奇妙なセリフの修正、原作で名称が設定されていない戦艦への命名、一部英語表記の変更[25]など)がみられ、そのせいで時系列に矛盾が生じている事例もある[26]。ただ上述の通り全般的には原作小説を踏襲しており、書き言葉としてはともかく、話し言葉としては不適切・難解なセリフが、原作そのままでアニメ版にも用いられたケースが多々ある。

戦艦デザイン[編集]

アニメ版に登場する軍事艦艇は、原作新書版で表紙と初期の挿絵を手がけたイラストレーター・加藤直之のデザインをベースにしており、端役の提督が座乗する旗艦に至るまで特徴的な外観が与えられるなど、作品の魅力を増すための工夫が随所で試されている。ただし加藤直之が全てのメカデザインをしているわけではない[27]。
旗艦級戦艦
全長800m - 1300m程度。多数の砲・ミサイルに加え、艦載戦闘艇を30機程度搭載できる。標準型戦艦
全長650m程度。攻撃力・防御力共に高く、艦隊戦の主役である。分艦隊や小規模艦隊の旗艦に使用される例も多く、この目的のために標準型戦艦を改造強化し特徴的な外見を持った「派生形」といえる艦も複数種類登場している。
軍服デザイン[編集]

帝国軍の軍服は「黒地に銀の装飾」という基本は共通するが、媒体によってデザインの差異が大きい。このアニメ版では特に士官以上の階級が非常に分かりやすいものとなっている。原作では特に記述がないが新王朝成立に際し、配色は引き継ぎながらも新デザインへと変更された。この新デザインは、公式ファンクラブ「共和倶楽部」の会誌において募集された、一般ファンによるデザイン案が原案となっている(複数のデザイン案の中から、ファン投票で選ばれた)。

同盟軍の軍服はどの媒体でもあまり差異は見られないが、アニメ版では肩口の装飾や腕のワッペンなどが画き込まれている。またジャケットとスカーフで隠れた下に肌着、シャツ、ネクタイを着込んでいることが描かれた。

音楽[編集]

主なBGMにはクラシック、特にマーラーの交響曲など、19世紀後半から20世紀初頭にかけての後期ロマン派音楽を数多く使用している。これはアニメ版製作の中核企業だった徳間グループの音楽部門会社・徳間ジャパンが東ドイツのドイツ・シャルプラッテンレコードの音源を大量に持っていたことから実現したもので[28]、音響監督の明田川進が73枚のCDからキャラクター性を持たせた上でなるべく帝国と同盟の区分けを意識して選曲された[29]。劇場版第一弾『わが征くは星の大海』の第4次ティアマト会戦における「ボレロ」の使用については、脚本を手掛けた首藤剛志の仕事場に原作者の田中芳樹が訪れた際、ラヴェルの「ボレロ」をクライマックスで使うことを提案して了解を貰ったが[30]、後にラヴェルの日本での著作権の保護期間が第二次世界大戦に伴う戦時加算によって延長され、ラヴェルの死後50年以上たっても遺族関係者が権利を保有していたため、著作権フリーで使えないことが判明。しかし原作者了解の下、脚本・絵コンテなど戦闘シーンで「ボレロ」を使用する前提で書かれていたため、プロデューサーの田原がボレロの使用を決断し(「ボレロ」自体は印税を支払えば使用可能)、「どうせ『ボレロ』を使うなら」と『銀河英雄伝説』用に井上道義の指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で新収録した楽曲が使用された[31]。

数少ないオリジナルスコアのうち、アニメ作品中で使用される自由惑星同盟国歌の音源は、イベントに参加した一般応募者が斉唱したものが使用されている[32]。

主題歌は、エンディング曲を担当した小椋佳やオリジナルスコアを作曲した風戸慎介(川辺真)をはじめ、来生たかお、星勝、武沢豊、蛎崎弘、森英治など、キティ・フィルムの母体だったキティレコードに当時所属していたミュージシャンが参加した。

サントラ盤として、これらのクラシックの代表的な楽曲を収録したCDが徳間ジャパンから、第二期までの主題歌・挿入歌を集めた主題歌集がキティレコードよりリリースされた。1992年には詳細な解説書(楽曲解説、未収録音楽リスト、音楽シート、サントラCDリスト)が付いた30枚組CD「銀河英雄伝説 In Classic」が当時存在していた公式ファンクラブ「共和倶楽部」から通販限定でリリースされていた。

2007年にはスターチャイルドレコード(現・キング アミューズメント クリエイティブ)から「TV版・劇場版・OVA版のBGMをコンプリート」[33]した期間限定盤「銀河英雄伝説CD-BOX」帝国SIDE(12枚組)・自由惑星同盟SIDE(10枚組)がリリースされた[34]。

テレビ放送[編集]

OVA第1期は、リリース終了後にテレビ東京において深夜と夕方に一度ずつ、テレビ愛知、くまもと県民テレビ、テレビ神奈川(TVK)でも一度、テレビ大阪では深夜に二度放送された。20世紀末以降は、主にCS放送局や衛星放送局WOWOWで映画版も含む全話が放送されている。2009年にもファミリー劇場にて本編110話が一挙放送された(人物や艦船を紹介するテロップが排除されている)。2010年4月からは外伝も放送された。DVD化に際しては、オリジナル版が製作当時の事情(相当無理のあるスケジュールや人材不足などで海外数か国での外部製作)で粗さが目立っている前半部分を中心に、相当数の人物・背景作画をリメイクしている。2011年現在では余り見られなくなった、残酷描写がごくまれに表現されている。

WOWOWでは2006年7月2日より、映画第1弾とOVA全話をテレビ初となる“リマスター版”を使用して放送した。

その他[編集]

第70話「蕩児たちの帰宅」では明滅が激しいシーンが2箇所あり、DVD第18巻の冒頭では鑑賞時の注意を喚起する文章が挿入されている。

劇場公開作品[編集]
『わが征くは星の大海』(わがゆくはほしのたいかい)(劇場用映画・60分)1988年2月外伝1巻終盤。『黄金の翼』(おうごんのつばさ)(OVA・60分)1992年10月(劇場公開は1992年12月)田中芳樹が漫画家道原かつみのために原作を書き下ろし、1986年に外伝として発売された同名コミックの映像化であり、ラインハルトとキルヒアイスの少年時代から宇宙暦792年 / 帝国暦483年の第5次イゼルローン要塞攻防戦まで(OVA外伝第1期の「白銀の谷」より前の時期および「決闘者」と「奪還者」の間の時期)が描かれている。この作品はOVAリリース後の劇場公開だった[35]。キャラクターデザインは、コミックや小説版の挿絵を描いた道原かつみの絵に準拠した物になっている。装甲服やメカニックデザインも漫画版や小説版と同様の笠原彰デザインである。このために1988年からの劇場版やOVA(メインキャラクターデザイン: 奥田万つ里、メカニックデザイン:加藤直之)とは宇宙艦船の形状[36]や帝国軍の軍服が大きく異なるほか、イゼルローン要塞の外壁はOVA版の独自設定だった流体金属層から原作小説に準じた固体装甲板となっている。BGMもクラシックを使用せずに独自に作曲された物が用いられている。更には、劇中の登場人物で、OVAと同一の声優が配役されたキャラは一人もいない[37]など、映像・音声面では他の劇場版やOVAシリーズとの連続性がほとんど無い。但し、物語上の連続性は維持されている。『新たなる戦いの序曲』(あらたなるたたかいのオーヴァチュア)(劇場用映画・90分)1993年12月本編1巻序盤にオリジナルエピソードを加え、外伝1でフリードリヒ4世が実は聡明な人物かとラインハルトが愕然となり震えが走る謁見も交えて「アスターテ会戦」の部分をリメイクしたもの。
OVAシリーズ[編集]
OVA第1期 — 全26話(1988年12月 - 1989年6月)。本編1 - 2巻、外伝1巻。若干のオリジナルエピソード(第13話、第14話)を含む。また、中盤のエピソードの一部が原作とは異なる時系列(第9話、第11話)で挿入されている。


話数

サブタイトル

脚本

絵コンテ

演出

作画監督

総作画監督

第1話 永遠の夜の中で 首藤剛志 石黒昇 新井豊 本木久年
第2話 アスターテ会戦 清積紀文 秦義人
第3話 第十三艦隊誕生 山田ひろし 黄瀬和哉
第4話 帝国の残照 遠藤明範 福富博 冨沢和雄 青木哲朗
第5話 カストロプ動乱 花園由宇保 福島宏之 長尾粛 清山滋崇
第6話 薔薇の騎士 戸田博史 岡本達也 小田不二夫
第7話 イゼルローン攻略! 湖川友謙 石黒昇
熨斗谷充孝
上野史博 湖川友謙
鈴木伸一 清水恵蔵
第8話 冷徹なる義眼 柳川茂 新井豊 石黒昇 新井豊
西嶋信一郎 本木久年
第9話 クロプシュトック事件 小西川博 奥田誠治 高木真司 黄瀬和哉
第10話 ジェシカの戦い 遠藤明範 岡本達也 小田不二夫
第11話 女優退場 戸田博史 石黒昇 大関雅幸 木下ゆうき
第12話 帝国領進攻 遠藤明範 奥田誠治 高木真司 黄瀬和哉
第13話 愁雨来たりなば… 花園由宇保 山田ひろし 久米一成
第14話 辺境の解放 柳川茂
第15話 アムリッツァ星域会戦 河中志摩夫 清積紀文 清積紀文
熨斗谷充孝
上野史博 清山滋崇
清水恵蔵 本木久年
清水恵蔵
第16話 新たなる潮流 石黒昇 滑川悟 小田不二夫 本木久年
第17話 嵐の前 さかいあきお
第18話 リップシュタットの密約 殿勝秀樹 黄瀬和哉
第19話 ヤン艦隊出動 鈴木幸雄 元永慶太郎 山本清
第20話 流血の宇宙(そら) 湖川友謙 石黒昇 清山滋崇
第21話 ドーリア星域会戦、そして… 岡本達也 小田不二夫
第22話 勇気と忠誠 山田勝久 野田卓雄
第23話 黄金樹(ゴールデンバウム)は倒れた 岡本達也 岡本達也
熨斗谷充孝
上野史博 小田不二夫
鈴木伸一 本木久年
清水恵蔵
第24話 誰がための勝利 さかいあきお 本木久年
第25話 運命の前日 簧原雅人 木村哲
熨斗谷充孝
上野史博 清山滋崇
茅野京子 本木久年
清水恵蔵
第26話 さらば、遠き日 木村哲
上野史博 須田正己
茅野京子
OVA第2期 — 全28話(1991年6月 - 1992年2月)。本編3 - 5巻。13話と半分近くの話で、OP主題歌が省略されている。


話数

サブタイトル

脚本

絵コンテ

演出

作画監督

メカ作画監督

総作画監督

第27話 初陣 河中志摩夫 簧原雅人 棚橋一徳 松田芳明 高橋英樹 清水恵蔵
第28話 肖像 冨永恒雄 上田芳裕
熨斗谷充孝
上野史博 松田芳明
茅野京子
第29話 細い一本の糸 花井信也 木村真一郎 松田芳明
第30話 失われたもの 羽生頼仙
第31話 査問会 篠原俊哉 山崎友正
かとうだいち 松田芳明
伊東秀樹
第32話 武器なき戦い 木村真一郎 茅野京子
第33話 要塞対要塞 牧野行洋 上田芳裕 松田芳明
第34話 帰還 羽生頼仙
第35話 決意と野心と 羽生頼仙 山崎友正 茅野京子
第36話 雷鳴 木村真一郎 水畑健二
茅野京子
第37話 幼帝誘拐 木村真一郎 中村清
熨斗谷充孝
上野史博 中村清
茅野京子
第38話 矢は放たれた 前島健一 前島健一
かとうだいち 前島健一
日向正樹 -
第39話 ひとつの旅立ち 井沢晴美 前島健一
上野史博 前島健一
清水恵蔵
第40話 ユリアンの旅・人類の旅 渡部高志 松村康弘 松岡秀明
第41話 作戦名『神々の黄昏(ラグナロック)』 向後知一 茅野京子 高橋英樹
第42話 鎮魂曲(レクイエム)への招待 木村真一郎 向後知一 松田芳明
第43話 ギャラルホルンは鳴った 前島健一 矢崎しげる
熨斗谷充孝
上野史博 飯田宏義
茅野京子
第44話 フェザーン占領 渡部英雄
簧原雅人 久米一成
熨斗谷充孝
上野史博 水畑健二
第45話 寒波到る 倉井さとし 木村真一郎
上野史博 茅野京子
第46話 ヤン提督の箱舟隊 木村真一郎 前島健一
上野史博 清水恵蔵
前島健一 -
第47話 自由の宇宙(そら)を求めて 羽生頼仙
第48話 双頭の蛇〜ランテマリオの決戦〜 簧原雅人 向後知一
熨斗谷充孝
上野史博 飯田宏義
茅野京子 高橋英樹
第49話 闇が深くなるのは… 福島宏之 北川正人 中田雅夫 -
第50話 連戦 木村真一郎 水畑健二 高橋英樹
第51話 バーミリオンの死闘(前編) 羽生頼仙 茅野京子
第52話 バーミリオンの死闘(後編) 簧原雅人 川島宏
上野史博 飯田宏義
茅野京子
第53話 急転 浅見隆司 矢崎しげる 清水恵蔵
第54話 皇帝ばんざい!(ジーク・カイザー) 石黒昇 北川正人 今泉賢一 -
OVA第3期 — 全32話(1994年7月 - 1995年2月)。本編6 - 8巻。


話数

サブタイトル

脚本

絵コンテ

演出

作画監督

メカ作画監督

第55話 儀式から再び幕は上がり… 河中志摩夫 冨永恒雄 山崎茂 茅野京子 高橋英樹
第56話 地球へ 渡部高志 所俊克 松本文男 舛館俊秀
第57話 キュンメル事件 羽生頼仙 茅野京子 高橋英樹
第58話 訪問者 山崎茂 中田雅夫
第59話 過去と現在と未来と 浦田やすのり 所俊克 今泉賢一 -
第60話 魔術師捕らわる 前島健一 茅野京子 高橋英樹
第61話 歌劇(オペラ)への招待 横田和 山口美浩 池田裕治
第62話 血の流水階段(カスケード) 元永慶太郎 所俊克 今泉賢一 -
第63話 聖地 横田和 中田雅夫 高橋英樹
第64話 休暇は終わりぬ 山崎茂 田中穣
第65話 すべての旗に背いて 元永慶太郎 所俊克 今泉賢一 -
第66話 黄金獅子旗(ゴールデンルーヴェ)の下に 羽生頼仙 岡嶋国敏 田中穣 高橋英樹
第67話 『神々の黄昏(ラグナロック)』ふたたび 横田和 山崎茂 茅野京子
第68話 エル・ファシルへ 石黒昇 所俊克 今泉賢一 -
第69話 イゼルローン再奪取作戦 前島健一 岩本保雄 北崎正浩 高橋英樹
第70話 蕩児たちの帰宅 羽生頼仙 黒田やすひろ 茅野京子
第71話 マル・アデッタ星域の会戦(前編) 石黒昇 所俊克 今泉賢一 -
第72話 マル・アデッタ星域の会戦(後編) 夏木亮 荒木英樹 高橋英樹
第73話 冬バラ園の勅令 浅見隆司 田中穣
第74話 前途遼遠 石黒昇 所俊克 今泉賢一 -
第75話 雷動 牧野行洋 岩本保雄 鈴木伸一 高橋英樹
第76話 祭りの前 羽生頼仙 茅野京子
第77話 風は回廊へ 所俊克 松本文男 -
第78話 春の嵐 横田和 浅見隆司 田中穣 高橋英樹
第79話 回廊の戦い(前編)〜常勝と不敗と〜 前島健一 羽生頼仙 鈴木伸一
第80話 回廊の戦い(中編)〜万華鏡(カレイドスコープ)〜 石黒昇 北川正人 今泉賢一
第81話 回廊の戦い(後編)〜大親征の終幕〜 横田和 岡嶋国敏 下坂英男 浜津武広
第82話 魔術師、還らず 前島健一 茅野京子 高橋英樹
第83話 祭りの後 石黒昇
簧原雅人 花井信也 今泉賢一
戸田真一 -
第84話 失意の凱旋 前島健一 茅野京子 高橋英樹
浜津武広
第85話 遷都令 前島健一 浅見隆司 田中穣 浜津武広
第86話 八月の新政府(ニュー・ガバメント・イン・オーガスタ) 石黒昇 北川正人 今泉賢一 -
OVA第4期 — 全24話(1996年9月 - 1997年3月)。本編9 - 10巻。


話数

サブタイトル

脚本

絵コンテ

演出

作画監督

第87話 嵐の予感 河中志摩夫 石黒昇 浅見隆司 田中穣
第88話 辺境にて 今泉賢一
第89話 夏の終わりのバラ 清水恵蔵 真野玲 池田裕治
第90話 鳴動 浅見隆司 田中穣
第91話 発芽 石黒昇 今泉賢一
第92話 ウルヴァシー事件 清水恵蔵 真野玲 鈴木伸一
第93話 矜持にかけて 浅見隆司 田中穣
第94話 叛逆は英雄の特権 石黒昇 今泉賢一
第95話 双璧相撃つ! 清水恵蔵 木宮茂 茅野京子
第96話 剣に生き… 柏木晴 真野玲 北崎正浩
第97話 剣に斃れ 石黒昇 今泉賢一
第98話 終わりなき鎮魂曲(レクイエム) 前島健一 木宮茂 茅野京子
第99話 未来への助走 浅見隆司 村田雅彦
第100話 皇妃ばんざい!(ホーフ・カイザーリン) 島崎征宙 金澤勝眞 北崎正浩
第101話 動乱への誘い 真野玲 鈴木伸一
第102話 敢えて武器を手に 鈴木利正 田中穣
古川尚哉(メカ)
第103話 コズミック・モザイク 羽生頼仙 今泉賢一
第104話 平和へ、流血経由 木宮茂 坂本修司
鈴木伸一
第105話 昏迷の惑星 岡嶋国敏 浅見隆司 村田雅彦
第106話 柊館(シュテッヒパルム・シュロス)炎上 篠原俊哉 北崎正浩
第107話 深紅の星路(クリムゾン・スターロード) 岡嶋国敏 羽生頼仙 鈴木伸一
第108話 美姫(ブリュンヒルト)は血を欲す 鈴木利正 浅見隆司 田中穣
第109話 黄金獅子旗(ゴールデンルーヴェ)に光なし 石黒昇 今泉賢一
第110話 夢、見果てたり 簧原雅人 羽生頼仙 茅野京子
山本径子
清水恵蔵(総)
OVA外伝第1期 — 全24話(1998年2月 - 1998年)。単行本未収録短編3本と外伝3巻。


話数

サブタイトル

脚本

絵コンテ

演出

作画監督

総作画監督


白銀の谷

Kap.I - 河中志摩夫 清水恵蔵 西山明樹彦 茅野京子
西村聡(メカ) 清水恵蔵
Kap.II
Kap.III 牧野行洋
清水恵蔵
Kap.IV 清水恵蔵 上野史博 茅野京子
山本径子
西村聡(メカ)

朝の夢、夜の歌

Kap.I - 河中志摩夫 田中穣 岡嶋国敏 田中穣 -
Kap.II 殿勝秀樹 谷口守泰
Kap.III 工藤進 多田俊介
Kap.IV 殿勝秀樹 酒井伸次 田中穣
茅野京子

汚名

Kap.I - 河中志摩夫 石黒昇 今泉賢一 -
Kap.II
Kap.III 横田和 花井信也 今泉賢一
Kap.IV 横田和
今泉賢一 今泉賢一

千億の星、千億の光

第1話 ヴァンフリート星域の会戦 河中志摩夫 清水恵蔵 高橋滋春 茅野京子 清水恵蔵
第2話 三つの赤(ドライ・ロット) 鈴木芳成 山本径子
第3話 亡命者たち 有原誠治 北崎正浩
第4話 染血の四月 石黒昇 今泉賢一
第5話 危険な男 鈴木利正 岡嶋国敏 柳瀬雄之
第6話 混戦始末記 日巻裕二 北崎正浩
第7話 初夏、風強し 日巻裕二 酒井伸次
第8話 伯爵家後継候補 清水恵蔵 上野史博 茅野京子
第9話 パーティーの夜 石黒昇 今泉賢一
第10話 真実は時の娘 簧原雅人 岡嶋国敏 茅野京子
第11話 第六次イゼルローン攻防戦 石黒昇 今泉賢一
第12話 千億の星、ひとつの野心 石黒昇
清水恵蔵 鈴木芳成 山本径子
OVA外伝第2期 — 全28話(1999年12月 - 2000年7月)。外伝4巻とOVAオリジナルエピソード3本、そして外伝1巻序盤。OVAオリジナル・エピソードは斜字タイトルで示す。


話数

サブタイトル

脚本

絵コンテ

演出

作画監督

総作画監督


螺旋迷宮

第1話 エル・ファシルの英雄 河中志摩夫 清水恵蔵 上野史博 山本径子 清水恵蔵
第2話 英雄の新しい仕事 岡嶋国敏 松田芳明
第3話 英雄たちの横顔(プロフィール) 山口頼房 茅野京子
第4話 過去へのささやかな旅 高橋滋春 小林ゆかり
第5話 時の女神に愛された男 〜第二次ティアマト会戦記I〜 浅見隆司 宮崎一哉 河合静男
井藤誠(メカ)
第6話 英雄の死 〜第二次ティアマト会戦記II〜 岡嶋国敏 茅野京子
第7話 喪服と軍服の間 羽生頼仙 上野史博
第8話 収容所惑星 冨永恒雄 熨斗谷充孝 山本径子
西村聡(メカ)
第9話 捕虜と人質 土屋日 杉山東夜美
第10話 顕微鏡サイズの反乱 大宙征基 酒井伸次 石田啓一
第11話 エコニアの英雄 岡嶋国敏 高橋滋春 山沢実
第12話 過去からの糸 四分一節子 石原慎二郎 三宅雄一郎
第13話 ひとつの旅の終わり 高橋滋春 茅野京子
鈴木伸一
第14話 出口をさがす旅 大宙征基 上野史博 山本径子
都築裕佳子

叛乱者

Kap.I - 河中志摩夫 石黒昇 宮田亮
今泉賢一 今泉賢一 -
Kap.II 上野史博 山沢実 清水恵蔵
Kap.III 伊藤喬子 高橋滋春 鈴木伸一
Kap.IV 石黒昇 宮田亮
今泉賢一 今泉賢一 -

決闘者

Kap.I - 河中志摩夫 大宙征基 土屋日 山本径子 清水恵蔵
Kap.II 浅見隆司 高橋滋春 茅野京子
都築裕佳子
Kap.III 大宙征基 岡嶋国敏 山沢実
Kap.IV 前島健一 上野史博 鈴木伸一

奪還者

Kap.I - 河中志摩夫 浅見隆司 熨斗谷充孝 山本径子
都築裕佳子 清水恵蔵
Kap.II 簧原雅人 宮田亮
今泉賢一 今泉賢一 -
Kap.III 江上潔 宮田亮 日向正樹 今泉賢一
Kap.IV 石黒昇 宮田亮
今泉賢一 今泉賢一 -

第三次ティアマト会戦

前篇 - 河中志摩夫 大宙征基 岡嶋国敏 茅野京子
鈴木伸一(メカ) 清水恵蔵
後篇 上野史博 山沢実
今泉賢一
山本径子
都築裕佳子
桝井一平

シリーズ作品の時系列[編集]
劇場版及びOVAでのストーリーの順番は、「次回予告」及び劇中での年代表示を参照して並べると以下の様になり、上記1期・2期の仕分けと矛盾するが、本来OVA外伝第1期の「朝の夢、夜の歌」の第2話冒頭のラインハルトが夢を見るシーンでOVA外伝第2期のシーンを挿入する等して時系列の修正を行っている。 (1) 「螺旋迷宮」
(2) 「白銀の谷」
(3) 「叛乱者」(宇宙暦791年/帝国暦482年8月〜)
(4) 「決闘者」(宇宙暦792年/帝国暦483年1月〜)
(5) 「黄金の翼」
(6) 「奪還者」(宇宙暦792年/帝国暦483年12月〜)
(7) 「朝の夢、夜の歌」
(8) 「千億の星、千億の光」
(9) 「第三次ティアマト会戦」
(10)「わが征くは星の大海」
(11)「汚名」
第1話「永遠の夜の中で」に続く。「新たなる戦いの序曲」は第1話と第2話に相当する。
「ユリアンのイゼルローン日記」、「ダゴン星域会戦記」はアニメに収録されていない作品であるが2017年にアニメ声優が再集結をしてオーディオブック版として制作された。


スタッフ[編集]
劇場版原作 - 田中芳樹、道原かつみ(第2作)
監督 - 石黒昇(第1作)、清水恵蔵(第2作・第3作)
脚本 - 首藤剛志(第1作)、小出一巳(第2作)、河中志摩夫(第3作)
キャラクターデザイン・作画監督 - 奥田万つ里(第1作)
キャラクター原案 - 道原かつみ(第2作)、奥田万つ里(第3作)、本木久年(第3作)、久米一成(第3作)
キャラクター設定・作画監督 - 池田裕治(第2作・第3作)
メカニックデザイン&メカニカルアートディレクション - 加藤直之(第1作)、スタジオぬえ(第1作)
メカニック原案 - 笠原彰(第2作)
メカニックコンセプト - 加藤直之(第3作)
メカニック設定 - 高橋英樹(第2作)、岩倉和憲(第2作)
絵コンテ - 滝沢敏文(第2作)、前島健一(第3作)、羽生頼仙(第3作)
演出 - さかいあきお(第1作)、上田芳裕(第2作)、前島健一(第3作)
メカニック作画監督 - 清積紀文(第1作)、高橋英樹(第2作・第3作)
美術監督 - 金子英俊(第1作)、石垣努(第2作)、谷村心一(第3作)
仕上監督 - 工藤秀子(第1作)
色彩設定 - 村上芳枝(第2作)、伊藤弘子(第3作)
撮影監督 - 石川欽一(第1作)、岡崎英夫(第2作・第3作)
音楽監督 - 佐々木節夫(第1作)
音楽 - 長谷川智樹(第2作)
音響監督 - 明田川進
プロデューサー 第1作 - 田原正利、菅原善雄、菊川幸夫
第2作 - 菊川幸夫、田原正利、横尾道男
第3作 - 菊川幸夫、横尾道男、田原正利、鈴木洋治

アニメーション制作プロデューサー - 丸山正雄(第1作)、岩瀬安輝(第1作)
プロダクションマネージャー - 出崎哲(第2作・第3作)
制作協力 - マッドハウス(第1作)、アートランド(第1作)、マジックバス(第3作)
アニメーション制作 - キティフィルム(第1作・第3作)、マジックバス(第2作)
製作 第1作・第2作 - 徳間書店、徳間ジャパン、キティフィルム
第3作 - 徳間書店、徳間ジャパンコミュニケーションズ、サントリー

OVA原作 - 田中芳樹
総監督 - 石黒昇
シリーズ構成 - 河中志摩夫
シリーズディレクター - 簧原雅人(第2期)、田原正利(第4期)
監督 - 清水恵蔵(外伝第1期「白銀の谷」、外伝第2期)、笠麻美(外伝第1期「朝の夢、夜の歌」)
キャラクター原案 第1期 - 奥田万つ里
第2期・外伝第1期 - 奥田万つ里、本木久年
第3期・第4期・外伝第2期 - 奥田万つ里、本木久年、久米一成

キャラクターデザイン 第1期 - 本木久年(1 - 6、8 - 26)、清水恵蔵(7・15・23・25・26)
第2期 - 久米一成
第3期・第4期・外伝第1期「白銀の谷」「朝の夢、夜の歌」「千億の星、千億の光」・外伝第2期 - 清水恵蔵
外伝第1期「汚名」 - 清水恵蔵、今泉賢一

アニメーションディレクター - 清水恵蔵(第3期・第4期)
メカニックデザインコンセプト - 加藤直之(第1期)
メカニックコンセプトデザイン - 加藤直之(第2期)、清積紀文(第2期)
コンセプチュアルデザイン - 加藤直之(第3期・第4期・外伝)、清積紀文(第3期)
メカニックデザイン - 田中精美(第2期、第3期、第4期、外伝第1期「白銀の谷」「汚名」「千億の星、千億の光」・外伝第2期)
総メカ作画監督 - 清積紀文(第1期)
美術デザイン - 田中精美(第2期・外伝第1期「白銀の谷」「千億の星、千億の光」・外伝第2期)、長尾仁(第3期・第4期・外伝第1期「白銀の谷」「千億の星、千億の光」・外伝第2期)、谷村心一(第3期)、脇威志(外伝第2期)
総美術監督 - 長尾仁(第2期)
美術監督 第1期 - 金子英俊(1・17)、千葉康之(2)、脇威志(4・11・19)、下川忠海(5)、高遠和茂(6・7・10・16・21・23)、長尾仁(7・15・23・25・26)、池田祐二(8)、高田茂祝(15)、山元健生(15)、田原優子(18)、佐貫利勝(20)、勝井和子(22・24・25・26)
第2期 - 呉暦喚(29・31・33・34・35・41・42・48・50・51)、脇威志(43)、明石貞一(49・54)
第3期・第4期・外伝第1期「白銀の谷」「朝の夢、夜の歌」「千億の星、千億の光」 - 長尾仁
外伝第1期「汚名」 - 佐藤広明(I)、田原優子(II、III、IV)
外伝第2期 - 長尾仁、脇威志

色彩設計 第1期 - 新井マリー、伊藤弘子(7・15・23・25・26)
第2期 - 田崎有理、伊藤弘子(28・31・37・38・39・43・45・46・47・48・52)
第3期・第4期・外伝第1期「白銀の谷」「千億の星、千億の光」・外伝第2期 - 伊藤弘子
外伝第1期「朝の夢、夜の歌」 - 三橋曜子
外伝第1期「汚名」 - 坂井憲興

撮影監督 第1期 - 石川欣一、岡崎英夫(7・15・23・25・26)
第2期・第3期 - 岡崎英夫
第4期・外伝第1期「白銀の谷」 - 藤田正明
外伝第1期「朝の夢、夜の歌」 - 小澤次雄
外伝第1期「汚名」 - 宇津畑隆
外伝第1期「千億の星、千億の光」 - 小室正一(1・2・8・12)、藤田正明(3・6・7)、宇津畑隆(4・9・11)、鳥越一志(5)、斎藤秋男(10)
外伝第2期 - 岡崎英夫、川田敏寛

音楽 - ドイツ・シャルプラッテン・レコード、風戸慎介(第1期 - 第4期)
音響監督 - 明田川進
プロダクションマネージャー - 出崎哲(第2期、第3期、外伝第2期)
チーフプロデューサー - 田原正利(第1期、第2期、第3期)
プロデューサー 第1期 - 加藤博之、菊川幸夫
第2期 - 横尾道男、菊川幸夫、小田原明子
第3期 - 菊川幸夫、鈴木洋治
第4期 - 菊川幸夫
外伝 - 菊川幸夫、稲垣高広

制作(第1期はアニメーション制作と表記) 第1期 - キティフィルム三鷹スタジオ、ティー・ピー・オー(7・15・23・25・26)
第2期 - キティフィルム三鷹スタジオ、ティー・ピー・オー(28・31・37・38・39・43・44・45・46・47・48・52)
第3期 - キティフィルム三鷹スタジオ
第4期・外伝 - ケイファクトリー

製作 第1期 - キティフィルム、徳間書店、徳間ジャパン
第2期 - キティフィルム、徳間書店、徳間ジャパン、テレビ東京
第3期 - 徳間書店、サントリー、らいとすたっふ
第4期 - 徳間書店、ビデオチャンプ、らいとすたっふ
外伝 - 徳間書店、ケイファクトリー、らいとすたっふ


主題歌[編集]
オープニングSkies of Love(第1期)歌・作詞・作曲 - 秋吉満ちる / 編曲 - 風戸慎介I am waiting for You(第2期)歌・作詞・作曲 - 秋吉満ちる / 編曲 - 森英治Sea of the Stars(第3期)歌・作詞 - LISA / 作曲 - 川辺真 / 編曲 - 風戸慎介Must Be Something(第4期)歌 - こんのひとみ / 作詞・作曲 - 姫野真也 / 編曲 - 風戸慎介Kid(外伝第1期)歌 - AKEMI / 作詞・作曲 - David Himeno / 編曲 - 風戸慎介Story of Time(外伝第2期)歌 - AKEMI / 作詞・作曲 - David Himeno / 編曲 - 風戸慎介エンディング光の橋を越えて(第1期、第84話)歌・作詞・作曲 - 小椋佳 / 編曲 - 風戸慎介旅立ちの序曲(第2期)歌・作詞・作曲 - 小椋佳 / 編曲 - 風戸慎介歓送の歌(第3期、第84話を除く)歌・作詞 - 小椋佳 / 作曲・編曲 - 星勝宇宙の掛け橋(第4期)歌・作詞・作曲 - 小椋佳 / 編曲 - 風戸慎介説明(外伝第1期 白銀の谷)歌・作詞 - 小椋佳 / 作曲 - 小椋佳、阿部美緒 / 編曲 - 武沢豊永い付き合い(外伝第1期 朝の夢、夜の歌)歌・作詞 - 小椋佳 / 作曲 - 蛎崎弘 / 編曲 - 武沢豊逝くとき、祝うとき(外伝第1期 汚名)歌・作詞 - 小椋佳 / 作曲 - 嘉納正明 / 編曲 - 武沢豊オーロラのアダージョ(外伝第1期 千億の星、千億の光)歌・作詞 - 小椋佳 / 作曲 - 来生たかお / 編曲 - 小野崎孝輔僕たちの航跡(外伝第2期 螺旋迷宮)歌・作詞・作曲 - 小椋佳 / 編曲 - 風戸慎介約束された未来(外伝第2期 後半)歌・作詞・作曲 - 小椋佳 / 編曲 - 風戸慎介その他銀河帝国軍軍楽曲〜ワルキューレは汝の勇気を愛せり〜作曲・編曲 - 風戸慎介自由惑星同盟国歌〜自由の旗、自由の民、レヴォリューション・オブ・ザ・ハート〜歌 - ファン参加によるライブ録音 / 作詞 - 秋吉満ちる / 作曲・編曲 - 風戸慎介劇場版『黄金の翼』ふたり見た夢〜TWO OF US〜歌・作曲 - 松田博幸 / 作詞 - 松井五郎 / 編曲 - デビッド・キャンベル
※ 20世紀アニメ版で使用されたクラシック楽曲名詳細については、外部リンク>“KING AMUSEMENT CREATIVE:銀河英雄伝説”のwebサイトを参照。

脚注[編集]

[ヘルプ]

1.^ a b 銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 - 文化庁日本映画情報システム
2.^ a b c d e f いずれもLD-BOXでの収録時間による。第4期のみメイキングビデオの収録時間(50分)を含む。
3.^ a b 銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲 - 文化庁日本映画情報システム
4.^ ただし、OVA第27話「初陣」も1991年8月31日に劇場公開されているため(銀河英雄伝説 初陣 - 文化庁日本映画情報システム)、正確には4作となる。
5.^ OVA第1期、第2期での価格。OVA第3期以降は1話2,800円に改定。なお、リリース中の1989年4月に消費税が導入されており、導入以降は税込価格での表記。
6.^ 『銀河英雄伝説』のプロデューサーとして - ウェイバックマシン(2005年4月10日アーカイブ分)、有限会社ティー・ピー・オー
7.^ レーザーディスクは、1枚ごとの単品販売の他、本編1期から4期、外伝1期から2期、長編3作をまとめた「劇場版セット」の計7セットがLD-BOXとしてリリースされた。1997年10月22日に再発売された本編第1期レーザーディスクセットは、初期版やそれまでの再発売版とはジャケットが異なり、内容にも修正が加えられたリメイク版である。
8.^ レーザーディスク版同様、1枚ごとの単品販売の他、110話+外伝を4期に分割したDVD-BOXとしてもリリースされた。2007年12月21日にはアニメ製作20周年記念として、アニメ全話を1BOXパッケージ化した“銀河英雄伝説 LEGEND BOX”がリリースされた。
9.^ 田原正利のプロデューサー日記 Blu-rayの作業が終了、2010年6月26日
10.^ a b 田原正利のプロデューサー日記 『銀河英雄伝説』拾遺集2 欧文とテロップ、2009年1月30日
11.^ 田原正利のプロデューサー日記 ブルーレイの「画質」、2010年4月9日
12.^ 映像はSDマスターからのアップコンバート、音声はモノラル2chと、5.1chアップミックス版を選択可能。
13.^ 田原正利のプロデューサー日記 『銀河英雄伝説』拾遺集1 タバコと眼鏡、2009年1月23日
14.^ 田原正利のプロデューサー日記 『銀河英雄伝説』拾遺集3、2009年1月31日
15.^ 劇場版タイトル及びLD-BOXのパッケージでは「H e l d e n s a g e n {\displaystyle {\mathfrak {Heldensagen}}} {\displaystyle {\mathfrak {Heldensagen}}} V o m {\displaystyle {\mathfrak {Vom}}} {\displaystyle {\mathfrak {Vom}}} K o s m o s i n s e l {\displaystyle {\mathfrak {Kosmosinsel}}} {\displaystyle {\mathfrak {Kosmosinsel}}}」(Heldensagen Vom Kosmosinsel)とV o m {\displaystyle {\mathfrak {Vom}}} {\displaystyle {\mathfrak {Vom}}}(Vom)の表記が異なる。
16.^ また、銀河(島宇宙)の意味で「Kosmosinsel」と表記しているが、ドイツ語では通常「Galaxie」と表記する。
17.^ 第1期全巻の料金を一括払いした顧客へは2週に1度の配達となるかわりに偶数話を1週早く見ることができた。ウィークリー・アニメビデオ版第26話に収録された第2期予告編は他の版には収録されていない。ウィークリー・アニメビデオの第1期には『機動警察パトレイバー』の初期OVAシリーズと同様、スポンサーCMが収録されている。この通販版VHSは1988年12月21日に創刊号がリリースされて以降、外伝1期分まで(商品コード:VAM-001からVAM-134)、計134本が製作・販売された。徳間書店のサイトでは『黄金の翼』の通販版VHS(商品コード:TJM-8)もウィークリービデオと記述されていることから、それも含めれば135本となる。
18.^ 本編及び外伝第1期はセルアニメとしてのアナログ制作、外伝第2期はデジタル制作となっている。
19.^ 舞台「銀河英雄伝説」第4章後篇 激突。始まりました!
20.^ これは登場する数多の名ありキャラクターを描き分けることが事実上不可能なので、声で見分けられるよう意図したためである。
21.^ イワン・コーネフとルパート・ケッセルリンクを演じた鈴置洋孝、フリードリヒ4世とロイヤル・サンフォードを演じた阪脩、ウランフ中将とニルソン中佐を演じた大林隆之介などが存在する。
22.^ 「ファンの間で“銀河声優伝説”などと言われるほど、男性の声優には、ほとんど出て頂いていますね。プロデューサーが、後に出てくるキャラクターのために残しておきたいという声優以外はほぼ網羅してしまっています。」銀河英雄伝説 Interview 第6回 明田川進(音響監督)より引用。記事の見出しにも「ドラマチックな会話劇 『銀河“声優”伝説』」とある。
23.^ 「別名“銀河声優伝説”と言われていたように、出ていない人がほとんどいないのではないかというくらいでしたから。」銀河英雄伝説 Interview 第7回 堀川 亮(現:堀川りょう) <ラインハルト>より引用。
24.^ 帝国領侵攻作戦の際のヴァーリモント少尉など。
25.^ フェザーン自治領について、原作ではPHEZZANとされているが、OVA版ではFEZZANに変更されているなど。
26.^ カストロプ動乱においてキルヒアイスがクルト伍長の言うとおり「指向性」のゼッフル粒子を使った場合、帝国の公式記録と整合しないなど。
27.^ 例として、同盟軍第2艦隊旗艦パトロクロスは、石津泰志の基本デザインに依るものである。
28.^ 「銀河英雄伝説サントラ音楽集」(32ATC-183)ライナーノーツ
29.^ 「銀河英雄伝説 In Classic」解説書
30.^ 第74回 はじめてワープロで書いた『銀河英雄伝説』、アニメスタイル、2006年11月8日
31.^ 第76回 銀河英雄……ボレロ……伝説、アニメスタイル、2006年11月22日
32.^ 1988年11月3日に東京・九段会館で行われた「銀河英雄伝説発売記念イベント」で収録された。同イベントでは、「ジーク・カイザー、ラインハルト!!」の歓声も男性のみで収録された。1989年3月21日に九段会館で行われたファンイベントでは、「スタジアムの虐殺」のシーンにおける民衆の悲鳴と怒号が収録され、劇中で使用されている。イベントは複数の都市で催され、ゲストに主要な役をした声優数名が参加している。
33.^ 銀河英雄伝説、キング アミューズメント クリエイティブ
34.^ なおスターチャイルド版CD-BOXは、使用曲を時系列順に収録しているため、一部の楽曲に重複が生じている。
35.^ 最初に通販版VHS発売。次にCDやLD発売・VHSレンタル開始、その後に全国で1館・1週間のみで劇場公開された。OVA第27話「初陣」も「黄金の翼」と同じくOVAリリース2か月後に1館・2週間のみで劇場公開されていた経緯がある。
36.^ OVA版では正面から見て縦長にデザインされている傾向があるが(特に同盟軍が顕著)、漫画版ではむしろ横長にデザインされている傾向がある。戦闘艇であるスパルタニアンやワルキューレのデザインも大きく異なっており、スパルタニアンの発艦もOVA版では母艦の下面に半格納状態で並べられ下方に放出するのに対して、本作では艦内から加速して前方へ放出する。
37.^ OVA版でキルヒアイス役を演じた広中氏はまた演じられるかと思っていた。

外部リンク[編集]
銀河英雄伝説ON THE WEB - 徳間版アニメ公式サイト。
有限会社ティー・ピー・オー - 徳間版アニメのプロデューサー、田原正利(正聖)の製作会社。当時のエピソードを紹介するページもある。
KING AMUSEMENT CREATIVE:銀河英雄伝説 - スターチャイルド版CD-BOX情報ページ。劇中使用楽曲情報もある。
田中芳樹公認「銀河英雄伝説」朗読配信サイトkikubon -ユリアンのイゼルローン日記をアニメ出演声優を再集結して制作・配信している。



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カムイ伝

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カムイ伝





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カムイ伝


漫画:カムイ伝


作者
白土三平

出版社
青林堂

掲載誌
月刊漫画ガロ

レーベル
ゴールデンコミックス(小学館)

発表号
1964年12月号 - 1971年7月号

巻数
全21巻

漫画:カムイ伝[第二部]


原作・原案など
白土三平(原作)

作画
岡本鉄二

出版社
小学館

掲載誌
ビッグコミック

レーベル
ゴールデンコミックス

発表号
1988年5月10日号 - 2000年4月10日号

巻数
全22巻
テンプレート - ノート

プロジェクト
漫画

ポータル
漫画

『カムイ伝』(カムイでん)は、白土三平による日本の長編劇画。1964年から1971年まで『月刊漫画ガロ』に連載された。連載中、『週刊少年サンデー』(小学館)に『カムイ外伝』を不定期連載している。1982年から1987年まで『ビッグコミック』(小学館)誌上に『カムイ外伝 第二部』を連載、そして同誌上に1988年から2000年まで『カムイ伝 第二部』が発表された。『カムイ伝 第三部』の発表は未定。『カムイ外伝』は別項目を参照。



目次 [非表示]
1 作品内容 1.1 第一部
1.2 第二部
1.3 第三部

2 登場人物(第一部) 2.1 日置藩武士
2.2 浪人
2.3 百姓
2.4 非人
2.5 忍者
2.6 商人
2.7 その他の人物

3 その他
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク


作品内容[編集]

江戸時代の様々な階級の人間の視点から重層的に紡ぎ上げられた物語となっている。名脇役が数多く登場する壮大なスケールのこの物語は、1964年の連載開始から40年以上経過しながら未だ完結しておらず、白土自身も漫画家生活の大半をこの作品に費やしていることから、白土のライフワークとも言われる。

第一部[編集]
発表『月刊漫画ガロ』1964年12月号から1971年7月号までの全74回単行本1967年:ゴールデンコミックス『カムイ伝』全21巻1979年:旧小学館文庫『カムイ伝』全15巻1982年:小学館豪華愛蔵版『カムイ伝』全4巻1988年:小学館叢書『カムイ伝』全15巻1995年:小学館文庫『カムイ伝』全15巻2005年:ビッグコミックススペシャル『カムイ伝全集[第一部]』全15巻
「カムイ」とは主人公である忍者、およびサブストーリーとして語られる狼の名前である。主にカムイ(非人)、正助(農民)、竜之進(武士)という三者三様の若者を中心に物語は展開されてゆくが、非人のカムイは物語の進展にともない傍観者的になり、農民の正助が物語の中心になっていく。江戸時代初頭の架空の藩を舞台に展開され、主人公もまた架空の人物である。百姓道具の発案を作中の架空の人物にさせていることや、作品の発表された時代背景により「穢多」「非人」身分を全て「非人」に統一しているなど、フィクション的要素も多い。旧来の漫画にはみられない様々な群像が入り乱れる骨太のストーリーが高く評価され、時代小説に比しても遜色ない漫画路線の礎を築いたとされる。それは「ヴィジュアルは映画を凌ぎ、ストーリーは小説を越えた」というかつてのキャッチコピーにもみて取れる。

白土はこの作品連載のために「赤目プロダクション」を設立。『カムイ伝』前半のペン入れを小島剛夕が[1]、後半のペン入れを白土の弟である岡本鉄二がそれぞれ担当した。物語中盤において画風に少し変化が感じられるのはそのためである(明確ではないが、全15巻型単行本では第10巻第四章辺りから)。作品の最後に『カムイ伝』は全三部作であると述べられるが、これは当初から決まっていたことである[2]。

第二部[編集]
発表『ビッグコミック』1988年5月10日号から2000年4月10日号までの全168回単行本1989年:ゴールデンコミックス『カムイ伝[第二部]』全22巻※連載の途中までを収録1999年:ビッグコミックスワイド『カムイ伝[第二部]』全10巻※ゴールデンコミックス第20巻までの内容2006年:ビッグコミックススペシャル『カムイ伝全集[第二部]』全12巻
基本的に第一部の続きの世界を描いている。ただし、第一部と作中の年号がかぶっていることなど、一部矛盾する点もある。第二部においては、藩の場所をある程度の地域に定めており、歴史上の人物を多く中心においた構造になっている。また、作品に執筆当時の時代の風潮を大きく取り入れる作者であるとされ、例えばマルクス主義に対する時代の評価などが、第一部と第二部の間に大きく変化をもたらしているとの見方もある。

第二部においては岡本鉄二が一貫して作画を行なっており、作画者としてもクレジットされている。なお、「カムイ伝 第二部』は連載中に完結しておらず、単行本(二種)も最後まで収録されないまま続刊の発行を中止。2006年発行の単行本『カムイ伝全集[第二部]』第12巻に初めて連載分の最後まで全てが収録され、さらにラストの5枚が追加され完結となった。

第三部[編集]

構想は進んでいるが、発表は未定。

登場人物(第一部)[編集]
カムイ(弟)物語序盤の主人公。身分上最下層とされる「夙谷」(しゅくだに)と呼ばれる非人部落の出身だが、物乞いに甘んじる部落の連中を嫌って、自由と誇りを求め単身で生きようとする。百姓小頭たちによって非人の子供が殺され、復讐のため立ち上がったが、あっけなく捕らわれ斬首の刑に処せられた。容姿端麗で熱血漢。カムイ(兄)死んだはずのカムイが再び姿を現したことで、カムイに双子の兄がいることが判明する。以後、兄カムイがシリーズを通しての主人公となる。容姿は弟カムイと瓜二つで、弟に比べ冷静沈着。喧騒を嫌い、特に騒がしい女を毛嫌いしている節がある。強くなることが唯一の自由だと信じ、その信念が自らを忍の道へと導く。類まれな身体能力と洞察力で数々の秘術を体得し、忍者としての才能を開花させた。ときに鏡 隼人(かがみ はやと)という美剣士に変装することもある。正助(しょうすけ)花巻村の下人の出身で、カムイの姉であるナナ(非人)の夫となる。また、自身も父が下人で母は非人という生い立ちである。勤勉で利口な上、慈悲深い性格から仲間内の信頼が厚い。のちに本百姓となり農民の生産力を高め、全ての百姓・非人の生活経済を向上させ平等な世界を築こうと人々を導く。第一部において中心となる人物。草加 竜之進(くさか りゅうのしん)日置藩の次席家老の嫡子。若くして剣の腕が立ち、周囲から前途有望と目されていたが、橘軍太夫との勢力争いに巻き込まれ負傷。さらに家老である父・草加勘兵衛が失脚、一門すべて殲滅され失意に堕ちる。父の遺言に従い自らは脱藩し、浪人の身となり復讐の機を狙うが失敗し、一角とともに非人に身をやつす。ここで苔丸に出会い、さまざまな矛盾に目覚め成長していく。才色兼備で誠実な青年剣士。
日置藩武士[編集]
笹 一角(ささ いっかく)日置藩剣法指南役で竜之進の師匠。道場破りに来た水無月右近に勝負で負け、剣客としての誇りを失い脱藩。露木鉄山(剣豪)のもとで修行を積み、右近への復讐を誓っていたが、橘軍太夫の策により弟の笹兵庫が切腹したことを知り、一門の復讐を果たすべく武士の本能に目覚めた。橘 軍太夫(たちばな ぐんだゆう)日置藩の目付役。野心家で藩の実権を握ろうと企んでおり、ことあるごとに領主に甘言を弄する。都合の悪い相手に対して徹底的に排他的な行動を取る、謀略に長けた男。竜之進や一角たちの仇役。三角を嫌っているが、上下関係を理解しているので表面上は従っているフリをしている。日置藩改易後、元藩士らに切腹するよう要求され自害。橘 一馬(たちばな かずま)橘軍太夫の嫡子。若いころ、竜之進に試合で負け、さらにカムイに右足を切断されて以来、堕落の一途をたどっていたが、叔父の橘玄蕃の荒療治で魔剣・無人流の使い手となる。日置藩の改易と軍太夫の死をきっかけに浪人の身となった。三角 重太夫(みすみ じゅうだゆう)日置藩城代家老。橘軍太夫と地位権力を争う。徹底した現実主義者で、利益のある方に転ぶ。橘軍太夫よりは長期的な視野を持ち、農民に対しては多少の理解があり、正助を高く評価しているが、上下関係はしっかりと示すべきとの価値観を持つ。日置弾正の死後、隣領望月藩から養子に入って新藩主になった若君に藩の秘密を明かし、無礼討ちにあう。橘 玄蕃(たちばな げんば)橘軍太夫の実弟。無人流(むにりゅう)と呼ばれる魔剣の使い手で、初見の時に竜之進に決闘を申し出るも、カムイの邪魔が入り返り討ちにされた。軍太夫の懐刀として悪行を繰り返す残忍な男。日置藩の秘密を探るため手風に挑むが、返り討ちにあい顔を焼かれる。後に一馬とともに竜之進に挑むが敗れて両足を切断される。日置 弾正(ひおき だんじょう)日置藩領主。暗愚で軍太夫の甘言に乗り、藩の重鎮である草加一門を殲滅させるなど失政を重ねているが、徳川家康の出生の秘密を握っているので幕府も手が出せない。草加 十兵衛(くさか じゅうべえ)草加勘兵衛の従兄。草加一門の討伐隊に加わるが、実は勘兵衛の頼みで放浪中の竜之進を援助するため裏切ったふりをしていた。後、事情を知らぬ竜之進に討たれる。宝 監物(たから けんもつ)日置藩江戸家老。三角重太夫と共に藩の秘密を握る。日置藩改易の際に切腹の沙汰が下るが、その前に陰腹を切った。
浪人[編集]
水無月 右近(みなづき うこん)浪人剣士。道場破りにおいて一角を倒すほどの剣客。非人頭の横目に挑まれ、左足を切断された。己の誇りをかけ強い相手を探しながら旅を続けていたが、武士の生きざまに疑問を覚え刀を捨てる。アテナに想いを寄せている。露木 鉄山(つゆき てつざん)剣豪。未熟だったカムイに剣術を教えた最初の師匠。大きな秘密を知る忍者を斬ったことで、自身もまた大きな秘密を知る事件に関わった人物として忍者衆に斬られ最期を遂げた。アテナ露木鉄山の娘で、薙刀の名手。笹一角に想いを寄せており、仇討ちに燃える一角の後を追うようになる。父の死後は青木鉄人(剣豪)のもとに身を寄せていたが、そのうち水無月右近や松林剣風と行動をともにする。一角の死後は仏門に入り尼となった。松林 剣風(まつばやし けんぷう)松林蝙也斎の実弟で、天下一の抜刀術使い。無益な闘いを避ける賢明な男。竜之進が代官になっている時に刀を捨て百姓暮らしになる。堂面 六左(どうめん ろくさ)元島津藩士。不見流を遣う剣士。浪人して後、困窮していたところを日置藩江戸家老の宝監物に腕を買われ日置藩士となる。笹一角と対峙し、一角の右手の親指を切り落とす。青木 鉄人(あおき てつじん)アテナを養子にした老道場主で剣豪として名高い。道場にはアテナや竜之進が稽古をした他、カムイも下働きをしていたことがある。カムイはこの時にアテナの薙刀をヒントに鍛錬し、見たものは必ず死ぬと噂されるほどの「変移抜刀霞切り」という技を編み出す。
百姓[編集]
権(ごん)花巻村の農民の息子で、大柄で力の強い男。正助と共に活動し、正助の試みを支えてきた人物。正助と同じように人々の生活向上を考えるようになるが、段々と正助に頼り過ぎる人々を見て、もし正助が死んだらどうするのかという危機感から、自分自身も強くなろうと成長して行く。小六(ころく)花巻村の農民。娘のオミネを日置藩領主の側女にするための策略にはまり潰れ百姓となった挙句、凌辱されたオミネは自殺。侮辱されたと激昂する領主は、オミネの死体を切り刻み野ざらしにしてしまう。それを見た小六は発狂してしまい、以後、正助が養うようになる。オミネ小六の娘。竜之進の恋人であり、正助が密かに恋焦がれる女性であったが、日置藩領主に凌辱されたことを苦に入水自殺してしまう。その後非人達の手により火葬され、骨だけになった姿を見た竜之進は絶望のあまり号泣した。正助は頭蓋骨をほら穴に安置し、後に身を隠すため非人になりすました竜之進は正助に案内され、日置藩こそ真の敵であると認識し直した。花巻村 庄屋(はなまきむら しょうや)花巻村の庄屋。当初は正助を忌み嫌っていたが、利用する価値があると分かると途端に支えるようになった。農民と武士という関係の中では、武士寄りの発言をする。役人の言いなりで農民からの支持はそれほど無い。竹間沢村 庄屋(ちくまざわむら しょうや)竹間沢村の庄屋。正助に読み書きを教える。正助の良き理解者であり支持者だが、武士からの圧力に抵抗するほどの力は持たない。ダンズリ正助の父で、花巻村の下人。村一番足の速い男。当初は非人を差別していたが、正助の影響で改心してゆく。息子を信頼し、弾圧に屈しない強い意志を持っており、百姓に禁じられている読み書きを、正助が花巻村庄屋に見つかった時に自分で指を数本切り落としている。シブタレ花巻村の農民。密告により父を失った過去を持っている。農民の行動を監視し何かあると直ちに代官等に密告する嫌われ者だったが、正助の影響で次第に農民の立場に目覚めていく。苔丸(こけまる)玉手村の下人。蚕を飼って生計を立てていたが、一揆を起こし失敗したことから人相を変えるため顔に傷を付けて非人に身をやつし「スダレ」とあだ名されるようになる。正助の最大の理解者の1人であり支持者。五郎(ごろう)竹間沢村の農民で末っ子でガキ大将。権達とは少年時代からのケンカ友達。権と違い末っ子なので一人娘のアケミの婿に強引になった。アケミ花巻村の百姓代、武助の一人娘。百姓の中では多少読み書きが出来、正助を色仕掛けで落とそうとする気の強い女。権とは相思相愛だったがそれぞれ長男と一人娘のため家の存続のために結ばれず、五郎を婿に迎えることとなった。最初は五郎とは仲が悪かったが、のちに仲の良い夫婦になる。
非人[編集]
横目(よこめ)日置藩一帯の部落を仕切っている非人頭。橘軍太夫の手先となり、非人でありながら庄屋並みの高待遇を受けている。カムイに一目置いており、自分の配下にしたがっているが結局は拒まれ、あげくカムイと対峙した際に重傷を負った。鎖鎌の使い手で武術者。サエサ横目の娘。カムイの強さに惚れており、その情熱のあまり自らも忍者となった。諜報活動を行いながら神出鬼没のカムイを追い続けている。父・横目からカムイを諦めるよう諭されるが、まったく聞く耳を持たない。キギス横目の下人。自らの立場上、サエサを「おじょうさん」と呼んでいるが、実のところ横目の嫡子であり、サエサの兄であった。そうとは知らないサエサに片目を抉り取られてしまう。カムイの姉ナナを崇拝しており、武士の手先となり非人や百姓たちの仲を裂こうとする横目に不信感を抱くようになる。タブテ夙谷部落の非人で、カムイを崇拝していた。後に仁太夫(にだゆう)と名乗り、江戸こじきの大頭になってからは日置藩の非人に大きな力を行使するようになる。弥助(やすけ)カムイの父で、夙谷部落の小頭。罪人の処刑や牛馬の死体処理など、人が嫌う仕事を請け負う部落民の掟に従いながら生きている。妻を亡くし、男手一つで子供を養っていたが、息子のカムイ(弟)が処刑されるなど、過酷な日々を過ごす。ナナカムイの姉であり、正助の妻。正助との愛をつらぬき結ばれるが、厳しい身分差別のため正式な妻としては認められていない。正助を信じ、厳しい現実に耐え忍びながら生きている。カサグレ無人流の達人。橘一馬を川底から拾い、無人流をスパルタ教育で覚えさせた。かたわであり非人でもあったため、自分から世に出るのではなく自身の分身として成長させた人物がどのようになるかを生き甲斐にしていた。玄蕃の師匠でもあるが拳銃で撃たれてしまう。竜之進にも密かに無人流を教えていた。
忍者[編集]
赤目(あかめ)伊賀忍者でありカムイの師匠。作者に『怪物的な忍び』と語らせるほどの凄腕だったが、非情になりきれぬ己を悟って「抜け忍」となり、忍びの掟によりカムイをはじめとする忍者衆から追われる羽目に。しかし天才忍者と評されるカムイでさえ赤目を倒すことはできなかった。普段は夢屋の番頭の市(いち)と名乗って生活している。搦の手風(からみのてぶり)幕府隠密団の小頭。カムイを窮地に追い込むほどの技を持つ凄腕忍者。日置藩の謎を追いつつ、カムイ抹殺の命を受け暗躍していたが、のちに嫌々ながらカムイの協力者にならざるを得ない立場に追い込まれてしまう。風のトエラ(しなどのトエラ)カムイの兄弟子で、十種の忍術を会得する伊賀忍者。「山陰(やまかげ)」という技を得意とする。忍の掟に翻弄される下忍という自らの立場に疑問を持ち、抜け忍となってしまう。カムイと互角に渡り合えるほどの凄腕。百舌の爺(もずのじい)表向き日置藩鷹匠で忍びの里への連絡員でもある。カムイはここから忍びの世界に入り、犬番として日置藩の鷹狩りに参加することもある。
商人[編集]
夢屋 七兵衛(ゆめや しちべえ)資本力で階級社会の楔さえも越えようとするスケールの大きな商人。流刑に処されていたとき赤目と出会い、己の頭脳と彼の行動力を柱にして資本の拡大を図っていく。赤目と2人だけのときは、「七さん市さん」と呼び合っている。蔵屋(くらや)日置藩の御用商人。莫大な利益を上げるが、途中から経営に失敗し、大きな赤字を出した。そして資本が無くなったため、農民の生産物を安値で買い叩こうとしたが、暴動が起きた。運上金などの献金も日置藩に出来なくなったため、徐々に力を弱める。後に夢屋と市場を争って負ける。最後は日置藩の藩札政策失敗の責任を全てなすりつけられ、打ち首にされた。大蔵屋(おおくらや)夢屋の代理商人。夢屋の名前を出さずして日置藩が生み出す利益を吸い上げようとした。仮に失敗しても、大蔵屋に全ての責任を押し付け、夢屋は無傷であろうとした。イタミ屋(イタミや)日置藩改易後に開業し百姓が開いた市を手中に収めたり代官などに媚を売ったりするあくどい商人。実は夢屋の隠し番頭。
その他の人物[編集]
山丈(やまじょう)山深くに住む野人化した大男。まだ幼きカムイを抱きかかえ「カムイ!」と歓喜の雄叫びを上げた。クシロ海を愛する漁民の青年。漁師の伝統を廃し企業化しようとする夢屋に敵意を抱いており、「金は人を腐らせる」として武士や商人を嫌っている。その頑固すぎる強い意志は、時に愛する人を失うことにもなった。キクという娘と相思相愛の仲。キク流人の娘で隠れキリシタン。夢屋の養女。漁師が起こした一揆をかばい自ら捕縛されるが、後にクシロに救出される。他のキリスト教徒を救うため苦渋の決断のすえ踏み絵を行った。聖母マリアの再来とさえ言われた心美しき女性。
その他[編集]
しりあがり寿がオマージュとして自身の作品の中で、『カムイ伝』を想起させるキャラクターや台詞をパロディ化してしばしば引用している。
「ストリートファイターII」に登場するバルログというキャラクターの必殺技「イズナ・ドロップ」は、カムイの「飯綱落とし」をトレースしており、技の形態も全く同じものである。その後も多くの対戦型格闘ゲームで「空中で相手に抱きついたまま地面に落下して相手の頭を地面に叩きつける技」の名前として使用されている。
手塚治虫原作の劇場用アニメ「クレオパトラ」にカムイがゲスト出演している。

脚注[編集]
1.^ 「ダ・ヴィンチ」2005年10月号(メディアファクトリー)196-199頁
2.^ 「日本読書新聞」1965年9月6日号(日本読書新聞社)

関連項目[編集]
部落問題
唯物史観
唯物弁証法
唯物論
COM (雑誌)
火の鳥 (漫画)

外部リンク[編集]
小学館特別サイト「カムイ伝から見える日本」
松岡正剛『カムイ伝』書評

執筆の途中です この項目は、漫画に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(P:漫画/PJ漫画/PJ漫画雑誌)。
項目が漫画家・漫画原作者の場合には{{Manga-artist-stub}}を貼り付けてください。




カテゴリ: 漫画作品 か
白土三平
ガロ
ビッグコミックの漫画作品
忍者を題材にした漫画
差別を題材とした作品
被差別部落
江戸時代を舞台とした作品

http://www.geocities.jp/msakurakoji/901Comics/37.htm



カムイ伝の系譜

白土三平(1932年生 )はプロレタリア画家の岡本唐貴を父にもち,妹は絵本作家の岡本颯子,弟の岡本鉄二は「赤目プロ」で作画を担当しています。紙芝居,貸本屋,前衛誌,劇画の世界を歩んできた,日本の漫画界の巨人です。

1960年代には「忍者武芸帳 影丸伝」,「サスケ」,「ワタリ」,「カムイ伝」など忍者を題材とした作品で人気を博しました。特に「忍者武芸帳 影丸伝」は貸本屋時代のヒット作であり,カムイ伝がなければ氏の代表作となるほどの高い評価を得ています。

一方,カムイ伝はまちがいなく白土の代表作であり,執筆開始から半世紀近くが経過しても完結していない氏のライフワークとなっています。「カムイ伝」とは忍者カムイを主人公とする物語ですが,作品世界を共有する下記の作品の集合体ということができます。




タイトル

執筆時期

連載誌

単行本

カムイ伝 第一部 1964-1971年 月刊漫画ガロ 21巻
カムイ外伝 第一部 1964-1971年(不定期) 少年サンデー 3巻
カムイ外伝 第二部 1982-1987年 ビッグコミック 17巻
カムイ伝 第二部 1988-2000年 ビッグコミック 22巻
カムイ伝 第三部 発表未定 ■ ■


作者の白土三平は32歳の頃から「カムイ伝 第一部」の執筆を開始しており,その後の漫画家人生の大半をカムイ関連の作品に費やしています。白土はカムイ伝の執筆を開始する前から3部作になることを明言しています。

第一部が終了(1971年)してから第二部が開始(1988年)されるまでの17年間は漫画家としてもっとも充実しているはずの時期ですので,ここが空白期間となったのは大きな痛手となっており,氏の年齢を考えると第三部が実現するかどうかは不透明です。

とはいうものの,カムイ伝が壮大なテーマをもって本当に輝いていたのは「カムイ伝 第一部」ということになります。私としては「カムイ伝」は第一部で完結してもなんら違和感はありません。

第一部には日本の歴史の中でもっとも身分制度が厳しかった江戸時代における階級社会の矛盾,人が人を差別することの不条理,人が人から搾取することへの怒りというテーマに貫かれていますが,それでは第二部のテーマは何かと問われると答えようがありません。

第二部では江戸時代の歴史の中で登場人物を動かしているだけに見えるのは私だけでしょうか。第一部と第二部は体裁は類似していてもまったく異質の作品なのです。カムイ伝から社会の抱えている様ような矛盾や社会の底辺で懸命に生きる人々の姿を取り去ると,後には娯楽作品としての評価しか残りません。

「カムイ外伝」は「カムイ伝」の重いテーマから脱け出し,抜け忍となってからのカムイが追っ手と繰り広げる秘術を駆使した戦いであり,カムイと社会との関わりを描いた娯楽作品となっています。外伝は最初からそのために作られたものですからまったく違和感はありません。

それに対して「カムイ伝」の本作はあくまでも白土氏が描こうとした重いテーマで進めて欲しかったと考えます。残念ながら白土氏が17年間苦吟しても第二部の重いテーマは見つけ出せなかったように感じます。それは,多くの人たちが指摘しているように日本社会の思想的変動によるものが大きいと考えます。

「カムイ伝 第一部」のメインテーマは反差別,反権力,村落コミューンであり,それぞれのテーマの具現者がカムイ(非人),草加竜之進(武士),正助(農民)という優れた個人でした。

彼らはそれぞれの役割を果たすことにより物語は進展していきますが,第一部の最後ではそれぞれに与えられたメインテーマに挫折しており,捲土重来を期すことになります。

私などは第二部も権力と対峙して人間の権利を取り戻す闘いがテーマになると思っていましたが,白土は日本社会の左翼思想の退潮が読者をしてそのようなテーマを消化できないという危惧を抱かせたのではと推測します。

確かに1960年代の学生運動の盛り上がりは1970年代に入ると急速にしぼみ,終焉してしまいます。「カムイ伝 第一部」が終了したのはちょうどその頃であり,そのような変化と軌を一にして白土三平作品の愛読者は激減したという報告もあります。1960年代の白土三平ブームは学生運動の終焉とともに終わりを迎えることになったのです。

社会的背景の変化を目の当たりにして,自身の社会思想をカムイ伝の中で語ってきた白土氏が容易に第二部の構想に着手できなかったのは当然であり,その苦吟の深さはいかほどかと考えます。第二部の構想が具体化しないまま白土氏は「神話シリーズ」,「カムイ外伝」に歩を進めます。

このような事情から私は(第三部を見ずに断定するのことはできないにしても)「カムイ伝 第一部」には白土三平の思想と苦悩と才能がすべてが凝縮されているので,ここで完結してもてよいと考えるわけです。以後,カムイ伝=第一部として扱っていきます。

「カムイ伝」の特徴はなんといっても物語の密度にあります。通常の漫画単行本でしたら1日あれば21巻は楽に読み通すことはことはできます。しかし,「カムイ伝」はその2-3倍の時間をかけないと内容をちゃんと理解することはできません。「カムイ伝」の物語密度はそのくらい高いものなのです。

発表当時は月刊誌の「ガロ」に掲載されていましたので,読者はストーリーを追うのに相当苦労したであろうと想像できます。「反権力」,「反差別」,「農村コミューン」を題材とし,しかも大変な密度の物語を発表できたのはひとえに「ガロ」という媒体があったおかげであり,この雑誌があってはじめて「カムイ伝」は可能であったのです。

月刊誌「ガロ」は1964年に貸本漫画の出版などで知られていた編集者・長井勝一により創刊されました。「ガロ」は「カムイ伝」の発表媒体であったとともに,斜陽化していた貸本漫画家の活躍の場を提供していました。また,商業誌にはなじめない作品を描く新人も受け入れていた前衛誌でした。

読者層は大学生以上の年代であり,商業性よりも作品のオリジナリティを重視する姿勢は,多くの優れた作品を生み出しています。しかし,看板作品である「カムイ伝」が1971年に終了するとガロの発行部数はしだいに落ち込んでいき,1990年には青林堂からツァイトに経営譲渡されています。60年代と70年代を共に駆け抜けた「カムイ伝」と「ガロ」は時代のある部分を写す鏡のようなようなものでした。

カムイ伝が始まった1964年前後は白土がもっとも多様な作品を発表していた時期にあたります。1961年には「シートン動物記」,「赤目」,「真田剣流」,「サスケ」を完結させ,1962年には氏のもう一つの傑作である「忍者武芸帳」を完結させています。

カムイ伝が開始されてからも並行して「ワタリ」,「風魔」,「カムイ外伝(少年サンデー版)」を発表しています。この時期の白土氏は超多忙であり,作品制作のため1964年に「赤目プロダクション」を設立しています。

このような分業体制により多くの作品をこなすことができました。プロダクションの設立は漫画家個人と出版社の力関係に限界を感じていた白土氏がその改善を目指したという側面もあります。

カムイ伝も「赤目プロダクション」による分業体制で制作されています。前半のペン入れは小島剛夕が,後半のペン入れは白土氏の弟の岡本鉄二がそれぞれ担当しています。そのため,単行本の13巻あたりからは作画が変化しています。

カムイとは

カムイは神威などとも表現され,「神を意味するアイヌ語」とされていますが,必ずしも私たちの考えている絶対的な超越者を意味するものではありません。近代以前のアイヌの人々の宗教観はアミニズムであり,生物・無生物を問わずすべてのもの,あるいは自然現象(地震,津波,疫病など)の中に「ラマッ」と呼ばれる精霊が宿っていると考えていました。

アイヌの人々は世界を「人間の住むところ(アイヌモシリ)」と「精霊の住むところ(カムイモシリ)」に分けて理解していました。アイヌモシリのラマッは何らかの役割をもってやって来ており,その役割を果たすと再びカムイモシリに戻ると考えていました。日本語の精霊に相当するアイヌの言葉は「ラマッ」ですから,カムイに相当する日本語は思い当たりません。

私は北海道出身ですので「カムイ」という言葉は小さなころから知っていましたが,北海道以外の日本人がこの言葉を知るようになったのは「カムイ伝」によるところが大きいことでしょう。この特異な響きをもつ言葉は作品中では双子の兄弟とシロオオカミの名前として使用されています。

どちらの場合も命名者は山丈(やまじょう)という山に棲む巨人です。山丈は大きな感銘を受けたときに「カムイ」と口走ります。夙谷(しゅくだに)に現れた山丈は幼児から握り飯を差し出され,幼児を抱き上げて「カムイ」と口にします(第1巻)。

猟師の犬たちに追い詰められたシロオオカミは断崖を背にして犬と闘い全滅させます。これを見た山丈が「カムイ」と叫び,彼に向かって手を合わせます(第4巻)。

物語の最終盤には日置大一揆があり武士と戦う一揆衆を後押しするように山丈が「カムイ…オオーッ」と叫びます(第19巻)。作品中には「人のこころの強さ,美しさ,豊かさに喜びと尊敬の感動があるとすれば,この叫びは一つのものとなる」と解説されています。

「カムイ伝」を白土三平のもう一つの代表作とされる「忍者武芸帳」と比較すると,エンターテインメント要素が可能な限りそぎ落とされ,徳川幕藩体制下で様ような矛盾に突き当たりながらも,懸命に生きていこうとする人々の姿が克明に描かれています。

「忍者武芸帳」では一つの集団として描かれていた農民を「カムイ伝」では個人のレベルまで掘り下げて,圧倒的なリアリティと物語の重厚感を紡ぎ出しています。

物語のタイトルとなっている「カムイ」は忍者カムイとシロオオカミだけではなく権力や差別に立ち向かっていく多くの人々の象徴となっています。言いかえると物語の中には多くの「カムイ」が存在し,新しい人間社会を目指す彼らの苦悩と行動を描き出すことが「カムイ伝」の最大のテーマとなっていると考えます。

差別の構図

カムイ伝の作品世界は人間の世界の物語と狼の世界の物語が並行するという特殊な形態をとっています。なぜ,作者はサブストリートしてシロオオカミを登場させたかを考えると,この作品のテーマの一つである「差別」の本質が見えてきます。

同じときに生まれた数匹の子どものうち一匹だけは毛色が白でした。残りのものは本来の茶系統の毛色であり,兄弟の中で早くもシロオオカミに対する差別が生じます。

このような差別が動物の世界で実際に起こりうるのかどうかという点については疑問が残りますが,作者としては動物の世界でも異質のものは差別され,それは人間の世界と同じだということなのでしょう。

実際,古代インドでは中央アジアから侵入していきた印欧語族のアーリア人が先住民族のドラヴィダ人を隷属化あるいは駆逐してガンジス川流域を支配するようになりました。彼らは自然現象を神々として崇拝する宗教を持っており,その聖典「リグ・ヴェーダ(神々の讃歌)」の中に「ヴァルナ」およびそれに基づく職業階級制度(ヴァルナ・ジャーティ)を記しています。

「ヴァルナ」はそのものずばり「色」を意味しており,肌の色を基準とした階級制度となっています。最大の目的は色の白いアーリア人と褐色の先住民族を識別することでした。ヴァルナが大まかな概念であることに対して「ジャーティ」は内婚と職業選択に関するものであり,2,000とも3,000ともいわれるジャーティはかならずいずれかのヴァルナに属することになります。

このような社会慣習を総称してポルトガル人は「カースト」と呼ぶようになり,その言葉は現在まで使用されています。しかし,本来の階級を決める要素は「ヴァルナ」なのです。人間は作者のいうオオカミと同様に肌の色で差別を行い,肌の色が同じ集団でも,社会慣習的な差別を定着化しています。

日本の中世には河原に住み牛馬を殺して皮を剥ぐ仕事をしていた職業集団が穢れているとして「穢多(エタ)」と差別されています。しかし,支配階級であった武士にとっては馬具や甲冑の材料として欠かせない皮革製品を生産させるために賎民のまま一定の優遇をしたようです。

江戸時代になると支配体制の安定化と経済的必要性から食糧生産と皮革生産は職業として固定化する必要が生じ,士農工商という職業階級制度を制定し,その下に賎民身分として「穢多」,「非人」を定着化させています。

つまり,他の階級との婚姻を禁止することにより身分の定着化が図られています。それはインドの「ヴァルナ・ジャーティ」の内婚制度,職業制度と結びつくものです。

カムイ伝における非人の身分は「穢多」に相当します。江戸時代の「非人」は固定的な賎民身分ではなく,平民が非人になることも非人が平民に戻ることもあったとされています。しかし,おそらく作者は「穢多」という差別用語を使用するのにためらいがあり,「非人」という言葉で代表させたのではと推測します。

ただし,「穢多」を差別する意識は支配階級が意図的に作り出したものではなく被支配階級(平民,大多数は農民)の中から自然発生的に生じたもののようです。支配階級は社会の安定化と身分制度を正当化するため,人々のもつ差別意識を利用したと考えます。もちろん,支配階級にとっては農民と切り離された賎民階級は人々の分断支配の手段として利用できたという側面もあります。

私自身も「エタ」という活字を初めて目にしたのは住井すゑさんの「橋のない川」でした。この著書の中には被支配階級であった人々が新平民となった人たちに対する抜きがたい差別意識が赤裸々に描かれています。まさしく,差別意識は私たち自身の心の中から生まれてくるものなのです。

カムイ伝の中では非人(穢多)は支配階級の都合により社会の最底辺の階級とされており,農業は禁止され,平民との結婚も禁止されているという設定となっています。これは支配,被支配という構図に基づく階級闘争の立場から必要な視点でした。

しかし,繰り返しになりますが,差別意識の源泉は支配されている人々のこころの中にもあることを私たちは認識しなければなりません。このような差別意識は現代にも引き継がれており,社会的弱者や異質なものを貶める意識につながっています。

白土は江戸時代における階級社会の矛盾,人が人を差別することの不条理の象徴として日置藩の秘密をもってきています。カムイと公儀隠密の「搦の手風(からみのてぶり)」は徳川家康が「ささらもの(簓者・筅者)」出身であることを証明する古文書を見つけ出します。

賎民出身の徳川宗家を頂点とする身分制度は矛盾そのものであり,逆にいうと身分制度は支配階級の都合により制度化されたものであることを明示しています。同時に高貴な身分や高貴な血筋も人為的に作りだされたことになります。白土は直接的な表現はしていませんが,高貴な血筋を敬うこころと差別を生み出すこころは同質のものだと言いたいのだと私は解釈しています。

この江戸徳川体制の根本的矛盾を知った人々の運命は明らかです。カムイと搦の手風は自分の身を守るために抜け忍にならざるをえず,新領主に日置藩の秘密を言上した城代家老の三角重太夫は惨殺されます。

新藩主は松平伊豆守に家康の出自に関する秘密文書を送り届けますが,当然のように口封じのため事故にみせかけて暗殺されます。松平伊豆守は誰にも相談することなく秘密文書を燃やし,徳川体制の矛盾は闇の中に消えていきます。

カムイ伝の世界

カムイ伝の主人公に相当するのは「非人のカムイ」,「下人の正助」,「次席家老の嫡男・草加竜之進」という三人の若者と「シロオオカミ」と考えるべきす。ただし,彼ら以外にも社会の矛盾や差別と闘った多くの人々が描かれており,彼らはすべてこの作品の主人公ということもできます。上にあげた3人と1匹は登場回数が多いので主人公に相当するという表現をさせてもらいました。

物語の時期は江戸時代の前期,舞台となるのは架空の日置藩です。カムイ(非人),正助(下人),竜之進(武士)という三人のすぐれた若者が徳川の幕藩体制の礎石となっている身分制度と関わり合いをもちながら自分の生きる道を模索していきます。

また,人間社会の外にあっては「カムイ」と呼ばれる突然変異のシロオオカミがハンディキャップにもめげず,強く生き抜いていくサブストーリーもこの作品の一つのテーマとなっています。さらに,彼らを取り巻く大勢の人々の生き方が重層的に描かれており,「大河小説」と呼ぶべき体裁をもっています。

そのような人々の生き方の総体が「カムイ伝」となっており,たとえあらすじでもストーリーを書き連ねることはとてもできません。そこで,登場人物の何人かに焦点をあてて,物語中で果たした役割を書くことにします。それにより,「カムイ伝」がどのような物語であったかを類推していただきたいと思います。



■ ■ ■ カムイ ■ ■ ■


カムイは一卵性双生児の兄弟であり,弟は物語序盤の主人公となっています。物乞いに甘んじる非人社会から脱け出すため,夙谷非人部落を出て単身で生活するようになり,非人部落の若者たちのリーダーとなります。しかし,百姓との諍いにより人を傷つけることとなり,斬首の刑に処せられます。

荼毘に付された彼の頭骨を拾い上げた兄は弟の犬死を嘆きます。カムイ兄は強くなるため剣を修行し,さらに忍者の道に入ります。厳しい訓練の結果,カムイは一流の忍者になりますが,組織の中にあってはまったく自由はありません。

与えられた任務を命がけで遂行する存在となった自分の生き方に大きな疑問をもつようになります。特に抜け忍となり多くの追っ手を殺害した自分の兄弟弟子である「風のトエラ」の殺害を命じられたとき,さらには師匠の「赤目」の殺害を命じられたときは任務遂行に大きなとまどいを感じることになります。

そして,カムイ自身もそのような立場に追いやられることになります。公儀隠密集団は土井大炊頭(利勝)の遺言から外様大名である日置藩にはなにか大きな秘密が隠されていると推定し,その探索をカムイに命じます。

カムイは日置藩の江戸屋敷と城代家老宅の池で飼育されている多くの亀の中から餌付けにより識別された特別の亀を見つけ出します。二匹の亀の甲羅の内側には金で文字が彫り込んであり,上の句と下の句を合わせると「風鳴りに眠れる六蔵のうちに有りて日を仰げば乱(あや)立ちぬ」となります。

この句の謎を解いてカムイは日置藩の秘密にたどりつきます。それは徳川家康の出自に関する古文書であり,家康が賤民の出自であることを証明するものでした。徳川幕藩体制の礎石を崩すような重大な秘密を知ることとなり,そのまま報告すれば(秘密を守るため)自分が抹殺されることになります。残された道はただ一つ,組織から抜けることしかありません。カムイは組織を抜け,抜け忍として公儀隠密から狙われる存在となります。



■ ■ ■ 正助 ■ ■ ■


正助は花巻村の庄屋の下人となっているダンズリの息子です。江戸時代の農民階級の下人は名主や庄屋などの有力者に隷属する階層の人々です。下人の歴史は古く,平安中期に遡ります。当時は家に隷属する人々でしたが,江戸時代になると家内隷属型ではなく年季奉公のような形態となってきています。

物語の中では花巻村の庄屋宅では家に隷属している人々とされており,「めったに嫁ももらえない」という表現がありますが,それでは下人は一代限りとなりあとが続きません。おそらく,下人身分でも婚姻があり,次の世代も親と同じように家に隷属する身分となるようです。

正助はものごころがついたときから母を知りません。若いときダンズリは行き倒れの若い娘を助け,結婚します。しかし,正助が生まれたとき女は自分が非人であることを打ち明けます。非人などと血を結んでしまったことに怒ったダンズリは女を責め,彼女は首をつります。

正助がこの事実を知ったのはずっと後のことですが,身分制度などにとらわれない性格に育ちます。それは父親が下人として牛馬のように使役させられてきたことを見てきたことによります。

少年となった正助は非人部落のスダレ(苔丸)やナナと親しく交流するようになります。正助は伊集院により学問を教わり,神童と言わしめています。庄屋の帳簿なども読むことができるようになり,虫干しのとき年貢の割り付け帳の不正を読み取り,写しを作成します。

百姓の読み書きは禁じられていますので,本を読んでいたことを知られた正助は庄屋にムチで打たれます。しかし,正助は割り付け帳のことを持ち出し,難を逃れます。庄屋は自分の不正の証拠を取り戻すため小さな田と本百姓の身分と引き換えに写しを返すように取引をもちかけます。こうして正助は本百姓になることができました。

正助が取り組んだのはこの地域では初めてのワタの栽培でした。百人手間といわれたワタ栽培の成功は商人の夢屋の注意を引くことになります。正助は農機具の発明などを通して村の若者のリーダーに成長します。

正助は非人の娘ナナ(カムイの姉)と実質婚となります。正助の理想は新田開発と新作物により非人を含め村全体を豊かにすることです。村では若者組が組織され,新しい形態の村落コミューンが形成されます。少年時代からの友人のゴンは若者組のサブリーダーとして活躍し,非人部落のスダレ(苔丸)もそれをサポートします。

新田開発により非人部落との交流も活発化しますが,それは支配階級にとって好ましいものではなく地域の非人を束ねる横目を通して分断工作が行われます。それでも正助の描いた村落コミューンは次第に現実の姿となっていきます。

しかし,藩札の発行により商品作物の取引はピンチとなります。自分たちの生産物は領内でしか通用しない紙になってしまうのです。しかも,藩札の乱発により諸物価は天井知らずに上がることになります。

そんなとき,天候不順による飢饉が村を襲います。餓死するよりは一揆で闘おうとする竜之進や苔丸に対して正助は逃散の道を選択します。人々は各地の職場で働くことになります。

日置藩の秘密が幕閣の手により処分されたことにより,幕府は日置藩を取りつぶし天領とします。逃散していた人々は元の村の戻り農業を開始します。新代官には笹一角(実は竜之進)が就任し,百姓と力を合わせて新しい村づくりを目指します。

しかし,夢屋は幕閣に手を回し,代官を更迭し,この地域の商品作物の独占を図ろうとします。幕府名代の検地を機に「日置大一揆」が勃発します。一揆の首謀者となった正助は領内の百姓を組織して名代に検地十万日延期の証文を書かせます。

一揆は成功しますが,苔丸を除く首謀者は京都所司代に送られ過酷な拷問を受けます。これに耐え,江戸の白州で正助は「百姓なくしてこの国はない」と絶叫します。しかし,百姓たちの死を賭した叫びは支配者には届くことはありません。ひとり正助は舌を切断され,花巻村に戻されます。正助が裏切って自分だけが助かったと誤解した村人はしゃべることのできない正助に石を投げ,打ちかかります。



■ ■ ■ 草加竜之進 ■ ■ ■


竜之進は日置藩の次席家老草勘兵衛の嫡子です。恵まれた環境で育ち,剣技を磨いています。藩主がお蔵役方を変えることに次席家老が反対したことによりうらみを買い,果し合いの名目で暗殺されそうになり左手の指の一部を失います。しかし,百姓女オミネが藩主に夜伽を命じられて自害したことにより,左手の不自由を克服した剣技を編み出します。

日置藩の台所は火の車であり,暗愚な藩主は目付の橘軍太夫の甘言により草加一門を誅殺して所領を没収することに同意します。竜之進は姦計により主君の顔に傷をつけてしまいます。これにより草加家が取り潰しとなり一門は誅殺されることになりますが,勘兵衛は御一門払いの真相を見抜き,その前に竜之進を勘当します。これにより,竜之進は生き残ることになります。

竜之進は笹一角とともに軍太夫に対する復讐の機会を狙います。参勤交代で江戸表に出立する藩主の行列に切り込み,鉄砲で撃たれ,危ういところをカムイに救われます。竜之進と一角は非人部落に身を隠すことになり,百姓や非人の置かれている境遇を知ることにより,階級制度の矛盾に目覚めていきます。

竜之進と一角は時期をみて江戸に脱出します。竜之進の仇は橘軍大夫でしたが,暗愚な藩主が領民を苦しめていることから殺害しようと江戸屋敷に滞在中の領主の動向を探ります。振袖火事の混乱の中で二人は藩主に迫りますが,カムイに阻止され,竜之進は重傷を負います。

カムイは日置藩の秘密を探るため藩主を死なせるわけにはいかないという事情があります。傷の癒えた竜之進は一角ともに日置藩に戻り,百姓仕事に精を出します。しかし,一角はそのような生活に藩主殺害の決意が鈍るのを恐れ,竜之進とたもとを分かち,江戸に出立します。

竜之進は恐るべき無人流の使い手である橘玄蕃と対決することになります。竜之進は敗れ,危ういところを小六に扮したカムイに救われます。竜之進はその後,無人流を使うカサグレに出会いこの恐ろしい剣技を会得することになります。

竜之進はかってこの地を支配していた豪族の流れをくむ木の間党に身を寄せ,悪徳商人や大庄屋を襲い,その金を人々に分け与えます。飢饉が日置藩を襲ったとき竜之進と苔丸は一揆を主張しますが,正助は逃散を選択します。

竜之進は木の間党に裏切られ捕縛され江戸送りとなります。江戸の白州では藩主を殺害した笹一角が草加竜之進と名乗り,取り調べを受けており,彼の口から藩主殺害が明らかになったことから日置藩はお取り潰しとなり,関係者は処分されることになりました。一角は打ち首を拒否し,武士としての最後を遂げます。

これにより竜之進は笹一角として天領となった日置の代官として赴任することになります。竜之進は日置の地に戻った百姓とともに農村の復興を目指し,多くの成果をあげます。しかし,夢屋が幕閣に手を回し,この地域の商品作物の独占を図ろうとします。竜之進は罷免され,新代官により入牢となります。日置大一揆のときに竜之進は赤目により救い出されます。

優れた資質をもったカムイ,正助,竜之進の三人の若者はそれぞれ反差別,反権力,村落コミューンを実現するために最大限の努力をしますが,権力あるいは権力と結びついた政商によりその夢を断たれます。

第一部の終了時はまさに死屍累々といった状態であり,徳川幕藩体制の重しは個人的な努力ではまったく変革できないと知らされた第一部の状況からどのように第二部につなげていくかは皆目見当がつかない状況でした。

作者自身もあとがきで「いまやっとカムイ伝三部作のうち第一部が終わったところだ。しかし,物語の真のテーマはいまだに現れていない。何と不可解なことであろう」と述べています。

実際,登場人物の大半が死んでしまうという第一部の結末から第二部の壮大な物語を発展させるためにはそれに倍するエネルギーが必要になります。これは白土氏の才能をもってしてもあまりにもハードルの高い仕事であったと思います。白土氏はなにをもってカムイ伝は三部作になると明言したのかは知る由もありませんが,個人的には第一部でも十分に作者の描きたかったものが出ていると考えます。



作品データ
作者 : 白土三平(1932年生)
著作時期 : 1964年-1971年
単行本数 : 全21巻
発表雑誌 : ガロ

作者の他の作品
忍者武芸帳(1959年-1962年)
サスケ(1961年-1966年)
忍法秘話(1963-1965年)
ワタリ(1965年-1966年)
カムイ伝第二部(1988年-2000年)
カムイ外伝(1982年-1987年)

主要登場人物

カムイ(弟)

物語序盤の主人公,非人部落の出身,物乞いに甘んじる部落の人々とは異なり,自由と誇りを求め単身で生きようとする。部落の子どもを罰するため木の枝から吊るして死亡させた百姓の家に押し入ったため捕らわれ,斬首の刑に処せられた。

カムイ(兄)

弟の死後に登場した一卵性双生児の兄であり物語の主人公となる。弟と同様に自由と誇りを求め,強くなるため剣を修行し,さらに忍びの世界に入る。師匠であった赤目が抜け忍となったことに大きな影響を受ける。日置藩の秘密を突き止めたことにより,組織を抜けることになる。

正助

花巻村の下人の息子,母親は非人の出身であり正助を生んだ後,事情を打ち明け自害している。非常に聡明で勤勉であり,下人の身でありながら若者たちのリーダーとなっていく。本百姓となり,若者組を率いて非人を含めた豊かな村づくりを目指す。

草加 竜之進

日置藩の次席家老草加勘兵衛の嫡子,若くして剣の才能を開花させる。橘軍太夫の姦計により草加家が取り潰しとなり一門は誅殺される。父親に勘当されたため生き残ることになり,橘軍太夫に対する復讐の機会を狙う。





カムイ伝・第二部

第二部も動物の世界と人間の世界が並行して描かれています。動物の世界ではニホンザルのコミュニティにおけるボスの地位を巡る血みどろの闘争が描かれています。サルの群れと対立する野犬の群れでもリーダーをめぐる争いがあり,こちらは外来種のグレートデンが圧倒的な力の差によりボスの座につきます。しかし,この二つの勢力はシロオオカミに率いられる狼群や人間の世界とはほとんど関わり合いをもちません。

人間の世界では一転して江戸と千葉が物語の舞台となり,動物の世界と同様に権力闘争が描かれています。第一部から引き続いて登場するのはカムイ,正助,竜之進と代官の錦丹波だけです。旧日置藩のとなりの望月藩では望月佐渡守が兄の所領を手中に収めようと画策しています。佐渡守とじっこんの幕府大老酒井忠清は将軍家の権力を牛耳ろうと姦策を弄しています。

このように第二部は動物の世界も人間の世界も「権力闘争」が描かれており,第一部の「階級闘争」とはまったく趣の異なる展開となっています。そのような権力闘争の一方に竜之進やカムイが加担する形となるストリーは個人的にはどうしてそうなるのと思わざるを得ません。


カムイ外伝


真田剣流

「忍者旋風」,「真田剣流」,「風魔」と続く風魔三部作の第2作目です。執筆時期は1961-1964年です。おそらく貸本屋時代の作品でしょう。白土三平の作品集は70年代の小学館漫画文庫で収集しました。しかし,文庫本のサイズは老眼になると読むのは困難であり,手放してしまいました。真田剣流だけは欲しいと思っていたら,最近,ブックオフで入手できました。しかも続編の風魔も一緒に手に入りとても幸せな気持ちになりました。

関ヶ原の戦いで徳川方が勝利を収めたものの,まだ徳川幕府体制が盤石と云えない時代の物語です。家康の懐刀と呼ばれて天海の指示で「暗夜軒」は「丑三の術」を駆使して豊臣恩顧大名を次々と暗殺していきます。この不思議な術の謎ときが物語のテーマとなっています。

作品のタイトルとなっている「真田剣流」とは真田忍群が使用する複数の秘太刀のことをいいます。この秘太刀と「丑三の術」を記した人物は明国から派遣された暗殺者であり,船の難破により一時期真田家に世話になり真田忍群に秘太刀を伝えます。その後,事故で記憶を失い風魔の表の首領となっています。彼の一人娘・桔梗は真田忍群や風魔と行動をともにして丑三の謎を解こうとします。


風魔

「忍者旋風」,「真田剣流」,「風魔」と続く風魔三部作の第3作目です。執筆時期は1965-1966年です。おそらくこれも貸本屋時代の作品でしょう。物語は風魔が中心となります。この一族は「風魔の小太郎」に率いられ,全国の忍びの生活と権利を守るための組織と説明されています。つまり,忍びの者の労働組合のようなものです。

この風魔に対抗しようと服部半蔵の影武者・犬丸半蔵が新たな忍者集団を組織しようとします。このもくろみは失敗します。犬丸半蔵は次に「猿飛の一族」を風魔に対抗させようとして,これも失敗します。最後には犬丸半蔵自身が風魔の首領に化けて組織を乗っ取ろうと画策します。

この作品では「風魔の小太郎」の二人の息子である「太郎」と「二階堂主水」が活躍します。二階堂主水の「心の一方」は瞬間催眠法であり複数の人物が同時にかかることが可能かどうかは議論のあるところです。また,犬丸半蔵の元で活躍した忍犬シジマの悲しい末路も描かれています。


赤目

「赤目」というタイトルの作品はいくつかありますが,この作品に登場するのはウサギです。「赤目」というからには「メラニン色素」を作れないため毛色は白,眼球にも色素がないため内部の血管の色が透けて見えるため赤色になります。このように遺伝子の欠損により「メラニン色素」を作ることのできないものを「アルビノ」といいます。

ペッとして飼われているウサギの多くは「アルビノ」ですのでウサギの眼は赤いと思われていますが,実際にはノウサギの毛は茶色であり,眼は黒や茶色となっています。ノウサギは保護色のため白い冬毛をまといますが,それでも眼の色は変わりません。

この作品ではノウサギを赤目と呼んでおり,残忍な領主により妻を惨殺された農民が僧に扮して赤目のたたりを人々に信じ込ませ,食物連鎖を利用して遂には一揆を成功させます。

http://blog.livedoor.jp/siratofan/archives/6256808.html




白土師匠よ、ふぬけたか!


白土師匠よ、ふぬけたか!
「カムイ伝・第二部」は「花のお江戸の釣りバカ日誌」

 60年代、白土三平は確かに時代の最先端を走っていた。個人的には、手塚治虫・梶原一騎・白土三平を「漫画界三大巨匠」と勝手に命名している。無論、70年代以降になると大友克洋とか新世代の大家が出てくるわけであるが、少なくとも60年代~70年代初頭の漫画が一番熱かった時代においては、この三人がビッグスリーだろう。
 その白土三平が、大手出版社の少年雑誌における表現の不自由さに突き当たった結果として生まれたのが漫画雑誌「ガロ」であり、ガロに連載された「カムイ伝」であった。この漫画は徳川封建体制における士農工商エタ非人の身分制度を取り扱ったヘビイ極まりない作品であり、後に「はだしのゲン」と並んで小学校の日教組部屋に必ず鎮座ましますタブー的作品と化すわけだが、今読むと

 資本論代わりのアンチョコにされたと言われるほど、徹底的にマルクス主義的唯物史観&暴力革命論に沿って描かれている

 という点で娯楽作品としては如何なものか、というものになってしまっているのも確かである。実際、百姓が「人間の力を自然にみせてやるだ」と連帯して雀を追い立てて根絶やしにしているシーンを観るにつれ、「ああーっやめておけーっ、後で飢饉になってみんな死ぬぞー」と思ってしまうわけだ。
 カムイ伝の実際の主人公は、非人部落から抜け出して忍者となるカムイではなく、カムイの義理の兄である百姓の正助である。この正助は、生産力を高め、人間の力で自然を支配し、かつ生産手段の共有化を実現することで全ての百姓・非人の経済状態を向上させ平等な世界を築こうと人民を教育指導する、モロなマルクス主義者。
 この正助が唯物論的革命の理論および大衆教化の指導者である一方、落剥した武士である草加竜之進は浪人を率いて大衆を搾取する悪逆な支配勢力=武士と商人と武力闘争する役割を担っており、マルクス主義の暴力革命論の部分を担った闘争者である。(非人のスダレも竜之進とともに革命実行部隊を率いるキャラクター。)
 最終的には彼らの平和的な革命運動が権力によって圧殺され、ついに彼らが日置藩の百姓を率いて大一揆を起こし、経済的・社会的支配からの自由を勝ち取ろうとする、というのが「カムイ伝」の基本的な物語なのだが、どうしても描かれていた時代と「カムイ伝」の展開とがダブってしまうのだ。つまり、全共闘運動が破れさっていき、左翼組織内部の陰惨な内ゲバと国外脱出によって激動の時代が終息していく70年代初頭に、「カムイ伝」もまた一揆の後の権力の大弾圧・内ゲバによる組織の解体・指導者たちの失脚、地下潜伏、逃亡、死亡という悲惨な終末を迎え、誰ひとりとして幸福にもなれず夢をも叶えられないままに突如「第一部・完」の文字があらわれ、何の救いもないまま連載が終了してしまうのである。
 そもそも江戸時代に百姓が一揆を起こして幕府の支配体制を押しのけ、百姓持ちの国が生まれ栄えたという事実はなく、身分制度が撤廃された藩などもない。従って、「カムイ伝」における正助たちの革命運動は、歴史的事実に沿って当初より挫折する運命を義務づけられていた筈である。「忍者武芸帳」が混沌とした50年代安保闘争を時代劇画の形をとって表現しえたものであるとすれば、「カムイ伝」は閉塞へ向かっていく60年代安保闘争そのものであったと言えよう。
 そして、闘争の季節の終焉・マルクス主義の衰退とともに、白土三平自身もまた、語るべきテーマを喪失し、長い沈黙に入らざるを得なかったのである。
 この間、一時は漫画界内部の旧体制の象徴としてバッシングを受け危機に陥っていた手塚治虫は、白土三平が漫画に持ち込んだ「歴史」という概念を自らの作品へ取り入れ、「火の鳥」などの作品を生みだした。「ブッダ」ではインドのカースト制度を物語の縦糸として取り入れ、江戸幕府の身分制度の不合理さを描いた「カムイ伝」に対抗したりもした。途中からカースト制度の問題が語られなくなったところをみると、あまり成功したとは言えないが・・・
 手塚が手塚的であった点は、それほど白土三平に影響を受けて彼の方法論を取り入れておきながら、マルクス主義をそのまま漫画に持ち込むことをしなかった、という点である。これは手塚の個人的資質によるものだろうが、手塚が「漫画の神様」として崇められることになったのに対して白土が古びてしまった最大の分岐点が、このマルクス主義との距離の違いであることは間違いない。
 漫画界ビッグスリーのうち、梶原一騎は男道を貫き続けた当人の言動が祟って失脚し、白土はマルクス主義の破綻とともに創作の限界に突き当たって沈黙した。かくして、一見無節操とも言うべき自己変容を続けた手塚ただ一人が「漫画の神様」という評価を手にしたわけだが、この手塚の死後、小学館の「ビッグコミック」が手塚につぐ大家である白土に再び「カムイ伝」を執筆させることとなった。
 間に娯楽色の強い番外編である「カムイ外伝」をリハビリ的に挟んで約20年ぶりに復活した「カムイ伝第二部」だったが、しかし、これが「カムイ伝」の続編とは思えない作品。お叱りを受けることを敢えて怖れずに言わせてもらえば、「ふぬけ」た漫画だったのである。
 まず、第一部で幕府の陰謀によって百姓らにリンチ殺害されてしまった筈の日置大一揆の首謀者・正助が妻とともに何故か生き延びていて、開発業をいとなんでいたこと。
 第一部で大量の百姓に襲われた正助の姿の背景に「この後、正助の姿を見たものはなかった。」というナレーションが入っていたのに、いったいこれはどういうことなのだろう。
 「カムイ伝」が悲劇として傑作であるゆえんは、ひとえに正助が幕府側の陰謀に乗せられた百姓仲間たちによって「非人め!どちくしょう!」と一家ともども惨殺されてしまうという点にあった筈なだけに、なんとも腰砕けな展開である。要するに、昔は革命を気取っていた若者たちも、今はすっかりヤッピーなサラリーマンとして社会生活を営んでいる、ということなのか。
 また、「カムイ伝」を後に日教組御用達漫画にしてしまったところの原因でもある士農工商エタ非人という身分制度からの人間の解放、という正助のもうひとつの運動のほうは、もはや全く話にのぼってこない有様。かつては非人の妻をもったために社会から弾圧を受け、そのたびに闘争してきた正助であるが、今は名前を偽って開発業を営んでいるので、妻とも幸せに暮らしているのだという。同じ作品でありながら、あまりにも「ふぬけ」ているではないか。一応、全てはこれからであり、自分の闘争は自分の代では終わらない、未来に希望を託している、といういいわけは用意されているものの、第二部に生きて出てきた正助にはもはやかつての社会革命家の面影は無い。
 第一部では浪人軍団を率いて武力闘争に明け暮れていた竜之進も、第二部ではお小姓のカマを掘ったり、泥棒の娘と乳くりあって結婚してしまったりと、なんともアダルトな浪人生活を送っており、時折町の悪人を闇討ちして懲らしめたりはしているが、なんだか椿三十郎みたいだ。敵はみんなマヌケでオッチョコチョイだし、これではテレビの時代劇のヒーローである。
 その他、第一部では最後の大一揆の際に百姓を勝利へ導く神懸かりの男として活躍した狂人小六に代表されるように、効果的に使われていた「狂人」や「不具者」といったマージナルなキャラクターが、外伝や第二部では本筋とあまり関わりのないところで、露悪的に頻出し、単に作者の趣味なのでは? と思わされてしまう点も、あの第一部を知っているものとしてはどうも残念。
 無論、以上の全ては「この第二部を、カムイ伝第一部と直接繋がっている作品として読んだ」場合の感想であり、カムイ伝第二部そのものは、それはそれで面白い劇画であることは言うまでもない。
 しかし、さらにこの第二部をふぬけた続編にしてしまっている理由は、カムイ・竜之進ら前作で革命闘争を行っていた主人公たちが、今回は体制の内部へとすり寄ることで自己の立場を強化しようと計っているということにある。
 竜之進がカマを掘った小姓の宮城音弥が、その美貌と知性そして剣客ぶりを評価されて、とんとん拍子に将軍付きの小姓にまで出世し、この音弥のコネによって竜之進・カムイらは幕府から浪々追われる身であった筈がいつのまにか将軍家と老中酒井家との内紛に首を突っ込む「影の役人」状態になってしまうのである。
 カムイはご存じの如く、カムイ伝第一部において「徳川家康は実は賤民出身だった」という江戸幕府の秘密を知ってしまったために、一生権力から追われる逃亡者としての人生を余儀なくされ、日置大一揆に参加することも許されずに物語そのものから脱落してしまった悲惨なヒーローであったが、「カムイ伝第二部」の途中からは次第にカムイ暗殺にやってくる追忍が姿を消していき、カムイはなんと江戸に戻ってきて堂々と江戸城へ潜入したり好き放題に行動する始末。
 たとえ竜之進が小姓のコネで市民権を得たとはいえ、カムイの場合は知っている秘密が重大なだけに、決して許され得ない筈なのだが、そもそもカムイ自身も江戸幕府の老中たちも、徳川家康の出生の秘密について完全に忘れてしまっているような感じなのだ。全くその話について誰も触れようとしない。
 いったい、そんな誰もが忘れてしまうようなどうでもいい秘密のお陰で20年間も逃亡者生活を余儀なくされたカムイの人生は何だったのか、と思わざるを得ないのだ。
 結局カムイが握った「徳川家こそがそもそも賤民なのだ、だから徳川家が身分制度によって社会を治める資格などない」という秘密とは、一種の欺瞞、幻想だったのではないか。そういえば、この設定も後に手塚治虫が「アドルフに告ぐ」で取り入れている。こちらでは「実はヒトラーはユダヤ人だった」という秘密を掴んだ日本人がナチに追い回される訳だが、この秘密じたいは話の展開から外れていき、やはり次第にどうでもよくなってしまう。
 また、第一部のラストでサメに食べられて死んでしまった筈のカムイの師匠・赤目さえ、第二部では生きているのではないかと疑わせる伏線が張られており、一体どうやって再生したのか不思議で仕方がないが、「忍者武芸帳」の影丸の如く第一部で死んだのは赤目の影だったのだ・・・とすれば詐欺みたいな話である。
 この他、カムイを追いかけ続けていたくの一のサエサが、第二部では「身勝手な女」とはっきりナレーションで否定されてしまい、カムイへの愛情が屈折して今ではすっかり単なる悪女に成り下がっていることも明らかになる。第一部でのサエサは、カムイという見果てぬ夢を追いかけ続ける女性であり、そのようなキャラクターでは無かった筈である。セクハラ上司に手ごめにされてアヘアヘ言っているサエサを観た時、筆者は、なんだか自分の青春の大事な部分が汚されたような気がした。

 すでに第一部の終盤において、小姓に扮したくノ一である「オト」というキャラが本編の物語と関係の薄いところで登場していたが、第二部ではとうとう本物の小姓である「音弥」が登場し、カムイと同等の大活躍をしてしまうカムイ伝第二部。サエサをこのように貶めてしまったことや、毎回のようにやたらと遊女があへあへ業の深い痴態を見せてくれることを合わせて考えるに、どうも、作者の女性嫌い及び少年愛趣味が濃厚になってきているような気がしないでもない。不具・狂人・スカトロ趣味についても同様である。外伝では狂った独裁者に拷問された連中が仕返しに「あたいのクソを食らえ!ぶりぶり!」とスカトロ拷問をやりかえす、ってシーンが・・・これじゃ「カラテ地獄変」だよトホホ。いや、「ニンジャ地獄変」かな。
 別にそういう描写自体がなんだというつもりは毛頭ないが(でも、あの赤目プロの絵で描かれるとキツい・・・)、第一部と比較するとぬるくてふぬけたご都合主義なストーリー展開といい、作者の作家としてのテンションが20年の間にかなり落ちてしまったと言わざるを得ない。

 第一部では明確な武士・商人・百姓・非人の階級闘争であったのに、第二部では将軍家対老中酒井家という権力者の派閥闘争がひたすら描かれている点も、ふぬけたといえばこれほどふぬけた変節はないのではないか。カムイや正助にとって、江戸城の派閥闘争など、どうでもいい問題ではなかったのか。正助にとって、武士は打倒すべき民衆の敵だったのではないのか。老中が将軍をネチネチといびっているからって、それがカムイにとってどうだというのだろう。ましてや将軍様に釣りのノウハウを教えたりハゼのてんぷらを食わせて歓心を買い、出世街道を走るなど。「釣りバカ日誌」じゃあるまいし、そんなことよりも「カムイ伝」が描くべきテーマはもっとあった筈である。
 要するに、「カムイ伝第二部」は、元左翼学生たちが、サラリーマン社会をいかに生き抜き要領よく出世するかを描いた、90年代の「元安保学生」たちのその後の人生を時代劇として描いたものだと考えれば、それらの変節の謎は解けるわけである。
 別にそのことを倫理的に云々と断罪しようというのではない。筆者はマルクス主義者でもなんでもない。いつものことながら、筆者は淡々と作品の無意識的構造を解読して記述してみたにすぎない。
 しかし、カムイ伝は三部作であるということになっている。果たして第二部は完結するのか、本当に第三部は描かれるのか、カムイは最終的にはどうなるのか。以上のことを考えると、白土三平がマルクス主義に代わる己の思想のバックボーンを持てない限り、カムイ伝の完結は有り得ないのではないか、カムイは最後まで己のアイデンティティを見つけることができず、このままなんとなくその生涯を終えてしまうのではないか、と結論せざるを得ないわけである。
 このまま、ヤッピーとなったカムイたちが江戸で老中に与し将軍様に仇なす悪人どもを懲らしめるという「桃太郎侍」みたいな体制内の派閥闘争話が延々と続くのでは、あまりに「カムイ伝第一部」が色あせてしまうというものではないだろうか。
 まあ、作者が「もう百姓(=大衆)は懲り懲りよ」という気持になったのも判らないでもないが・・・ほとんど出てこないもんね百姓。第一部の主役だったのに。
 死んだ筈の正助や名張の五ツといった善人キャラは生きて再登場しているのに、生き延びた筈の夢屋や手風といった悪玉キャラがいっこうに現れないのも、なんだかぬるいとしか言いようがない。地下に潜伏した筈の苔丸が代官の前に堂々と現れてるし・・・名キャラクターの名張の五ツが出てきたのはちょっと嬉しかったけどね。でも性格が陽気になっていてガッカリ。江戸で遊んでたのか? 奥の手はどうした?

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2017年07月31日19時09分29秒












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アドルフに告ぐ

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アドルフに告ぐ





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アドルフに告ぐ


ジャンル
ストーリー漫画、歴史漫画

漫画:アドルフに告ぐ


作者
手塚治虫

出版社
文藝春秋

掲載誌
週刊文春

レーベル
文春コミックス 他

発表号
1983年1月6日号 - 1985年5月30日号

巻数
文春コミックス全5巻 他
テンプレート - ノート

プロジェクト
漫画

ポータル
漫画

『アドルフに告ぐ』(アドルフにつぐ)は、手塚治虫による日本の歴史漫画作品。



目次 [非表示]
1 概要
2 あらすじ
3 主な登場人物
4 登場人物の結末
5 史実との相違点 5.1 ヒトラーユダヤ人説とヒトラーの人となりについて
5.2 実際の第二次世界大戦下のドイツや日本との差異
5.3 ヒトラー以外の実在人物に関する相違点
5.4 実際のユダヤ人文化・歴史との差異

6 コミックス
7 ラジオドラマ 7.1 キャスト

8 舞台 8.1 主なスタッフ・キャスト

9 翻訳
10 脚注
11 関連項目
12 外部リンク


概要[編集]

1983年1月6日から1985年5月30日まで、『週刊文春』(文藝春秋)に連載された。

第二次世界大戦前後のドイツにおけるナチス興亡の時代を背景に、「アドルフ」というファーストネームを持つ3人の男達(アドルフ・ヒットラー、アドルフ・カウフマン、アドルフ・カミルの3人)を主軸とし「ヒトラーがユダヤ人の血を引く」という機密文書を巡って、2人のアドルフ少年の友情が巨大な歴史の流れに翻弄されていく様と様々な人物の数奇な人生を描く。

作品の視点は主にカウフマンとカミルであり、ヒトラーは2人のドラマからやや離れて描かれているにとどまっている。これらに日本人の峠草平が狂言回しとして加わり、ストーリーが展開する。ベルリンオリンピックやゾルゲ事件、日本やドイツの敗戦、イスラエルの建国など、登場人物たちは様々な歴史的事件に関わる事になる。『陽だまりの樹』と並び非常に綿密に設定された手塚治虫の後期の代表作。

本作でも手塚のスターシステムは健在で、手塚漫画の悪役キャラクターであるアセチレン・ランプとハム・エッグが重要な役柄で登場している。

1986年(昭和61年)度、第10回講談社漫画賞一般部門受賞。

生前の手塚が対談で語ったところによると、当初は空想的・超現実的傾向の強い作品を構想していたが、週刊文春側の要請で「フレデリック・フォーサイスタイプ」の作品になった[1]。また、途中の休載や単行本の総ページ数の制約により、中東紛争の歴史を背景にラストに至る必然性を描写したり、ランプや米山刑事などの「その後」について予定していたドラマなどはすべてカットされることになった[2]。

あらすじ[編集]

Plume ombre.png この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。あらすじの書き方を参考にして、物語全体の流れが理解できるように(ネタバレも含めて)、著作権を侵害しないようご自身の言葉で加筆を行なってください。(2014年8月)(使い方)

1983年、イスラエル。1人の日本人男性がひっそりと墓地の一角に佇み、ある墓の前に花を供えた。彼の名は峠草平。40年前、3人の「アドルフ」に出会い、そしてその数奇な運命に立ち会うことになった彼は、全ての終わりを見届けた今、その記録を1冊の本として綴ろうとしていた。

時は1936年8月、ベルリンオリンピックに湧くドイツへと遡る。協合通信の特派員であった峠草平は、ベルリンオリンピックの取材にドイツに派遣されていた。8月5日、取材中にベルリン留学中の弟・勲から1本の電話が入る。勲はおどおどした調子で草平に「重大な話があるから明後日の夕方8時に必ず自分の下宿に来てほしい」と頼んだ。峠は個人的な話だろうと思い、弟の深刻さを理解しないまま電話を切った。

8月7日、勲との約束の日がやって来た。草平の取材しているオリンピック競技は棒高跳びから始まり、アメリカ勢3人と日本2人のしのぎを削る争いとなった。その後雨が降り出し競技は中断。決勝は日没後にもつれ込んだ。そのため草平は弟との約束の時間である8時に間に合わなかった。

ようやく競技が終わり、草平は急ぎ足でタクシーに乗り込み、勲の住んでいるベルリン大学の西通りへ向かったが、勲は何者かに襲われ、無残な姿となっていた。しかも勲の遺体は予想もしない形で持ち去られ、行方不明になってしまう。さらには事件そのものが跡形もなく消されてしまった。

自分が約束に遅れたために、勲を死なせてしまったと悔やむ峠は、勲の遺した謎を追って奔走するが、彼自身にも危険が迫る。アセチレン・ランプとの邂逅、そして勲の元恋人を名乗る謎の女ローザの出現。様々な奇禍を重ねながら、物語はやがて日本へとその謎の舞台を移して行く。

主な登場人物[編集]
峠 草平(とうげ そうへい)本作の狂言回し。協合通信のドイツ特派記者。茨城県新治郡土浦町(現在の土浦市)出身。W大[3]陸上部の元花形選手。スポーツマンらしい正々堂々とした、一本気でおおらかかつタフな性格の持ち主。復讐としてローザをレイプし自殺に追い込むなど冷徹な一面を見せることもあるが、作中では多くの女性に想いを寄せられる。ドイツに留学している弟がおり、ベルリンオリンピックに湧くドイツで取材中、弟から掛かってきた一本の電話が彼の人生を大きく変える事になる。本作品の狂言回し役ではあるものの、彼自身は3人のアドルフ全員と物語途中で別離(ヒトラーに至っては直接会ってすらいない)しており、最期を看取っておらず、語り部に近い立場にいる。そのため本作の一連の事件は峠草平の回想で語られている。最後については#登場人物の結末参照。アドルフ・カウフマンドイツ人外交官にして熱心なナチス党員のヴォルフガングを父に、日本人の由季江を母に持つハーフの少年。大人しく、繊細な性質で、日独混血である事にコンプレックスを抱きながら育つ。神戸の山本通りで裕福な暮らしを送る一方(姓のKaufmannは商人のこと)、下町のユダヤ人のパン屋の息子で同名のカミルとは親友であった。しかし、父親の強い要望によりアドルフ・ヒトラー・シューレ(AHS)への入学が進められ、抵抗を試みるも、ある秘密からカミルを守った結果、ドイツ本国へと送られてしまう。カミルとの強い友情と、再会を胸に日本を発つが、AHSでの教育は徐々に彼をナチズムに染めていく。ヒトラー・ユーゲントとしての活動の中、カウフマンは裕福なユダヤ商人の娘、エリザと出会う。彼女に一目ぼれしたカウフマンは、ついには日本への亡命計画を立案し、エリザにカミルを頼るように言い含めると、強引に実行させてしまう。その一方で優秀生としてヒトラーに面会し、表彰されたカウフマンは大いに感銘を受け、ナチズムとヒトラーへの傾倒を深めていく。さらには列車内で中国人のスパイを捕まえる手柄を立て、小さな英雄として二度目の面会と表彰を受け、ヒトラーから秘書になるように命じられる。ヒトラーの身近で仕えるうち、その人柄、そしてある重大な秘密を知ることとなったカウフマンは、ヒトラー個人への思い入れを深めていく。やがて筋金入りのSD(親衛隊保安部)幹部となった彼は任務を冷酷に遂行してゆくが、ヒトラー暗殺計画でヒトラーの狂気を知り、尊敬していたエルヴィン・ロンメル元帥の死を通じ、自身の在り方に疑問を抱くようになる。ロンメルの逮捕に躊躇したことから、左遷させられてユダヤ人の絶滅強制収容所への移送に従事するが、ランプによって秘密文書に関する新たな任務に抜擢される。ヒトラーの出生についての秘密文書を求めて終戦間際にUボートで来日、親友カミルと、片思いであったエリザと再会するも、エリザとカミルが婚約したことを知って激怒、エリザを強姦した挙句、カミルと絶交する。唯一の肉親である最愛の母、由季江にも縁を切られながら、峠や小城を拷問にかけ、カミルを追い詰めて秘密文書を探し当てるも、当日の新聞で祖国の敗戦とヒトラーの死を知り、全てに絶望する事となる。最後については#登場人物の結末参照。アドルフ・カミルドイツから神戸へと亡命したユダヤ人であり、元町でパン屋「ブレーメン」を営む一家の息子。長い日本暮らしのため、流暢な関西弁を話すことができる。自分の信念を貫き、何事も簡単には諦めない、逞しい精神の持ち主。ハーフであることが原因でいじめの対象となったカウフマンをかばったことから、彼と親交を深め、親友となる。偶然、父親たちの秘密会議を漏れ聞いた事から、ヒトラーの秘密に触れ、結果的に本人の知らぬところでそれがカウフマンとの別れを呼ぶこととなってしまった。やがてその秘密をめぐる事件に巻き込まれ、恩師の小城と共に命がけの活躍をする事となる。その後ドイツに渡ったカウフマンとは戦時下の通信規制により疎遠になるが、カウフマンの手配で日本に亡命したエリザ・ゲルトハイマーを預かり、共に暮らすうちに恋仲となる。大戦末期、来日したカウフマンと再会するも彼が嫉妬に狂ってエリザを強姦したことを知り激怒、彼と絶交する。最後については#登場人物の結末参照。小城 典子(こしろ のりこ)アドルフ・カミルや草平の弟、勲の恩師である小学校教師。同人誌で反戦詩を発表したためにアカの疑いをかけられて特高にマークされ、彼らから過酷な拷問を受けていた。草平の弟、勲から送られた文書を預かり、それによって草平、カミルと共にナチスの文書を巡る陰謀に巻き込まれる事となる。峠 勲(とうげ いさお)草平の弟。ベルリン大学に留学している。共産主義の学生活動を行っていたが、付き合っていたローザ・ランプ(アセチレン・ランプの娘)によってゲシュタポに密告されて殺され、遺体も社会から抹消された。しかし死ぬ前に、入手していたヒトラー出生の秘密についての文書を小城に託していた。赤羽(あかばね)特別高等警察の鬼刑事。草平が持つ重要書類を奪うべくあらゆる卑劣な手段を駆使し峠を苦しめる。彼ともみ合ったときに頭を負傷し脳に障害を負ったため、免職され精神病院に入院したが、脱走。キャラクターの基本設定は、手塚治虫漫画のスター・システムにおけるアセチレン・ランプと並ぶ悪役キャラのハム・エッグである。後述のランプに比べれば多少はコメディ色があるものの、本作では基本的に滑稽さを封印し、執拗で頑迷な特高刑事を演じている。最後については#登場人物の結末参照。ヴォルフガング・カウフマンアドルフ・カウフマンの父。ヘッセン州出身。表向きは神戸の駐日ドイツ総領事館職員だが、その正体は目的のためなら殺人や拷問も厭わない非情なスパイである。東京大使館のリンドルフ一等書記官に頭が上がらない。非常に強権的で威圧感溢れる人物であり、繊細な性格の持ち主である息子のアドルフは常に父に怯えていた。第一次大戦時に帝政ロシアの捕虜となり、そこでランプと知り合った事が、後にナチスへ入党するきっかけとなったようである。第一次大戦終戦後、ドイツへ帰国。その後日本へ留学し由季江と知り合った。機密文書の行方を追っていたが、病に倒れ帰らぬ人となる。息子のアドルフがアドルフ・ヒトラー・シューレに入学後、亡き父が腕利き情報員としてドイツでは有名であると知り、驚きの手紙を母に出している。峠 由季江 / 由季江・カウフマン(とうげ ゆきえ / ユキエ・カウフマン)アドルフ・カウフマンの母。美しく心優しいが、芯は気丈な性格。夫であるヴォルフガングと死別した後、ある事で峠と知り合いとなる。後に神戸の自宅でドイツ料理店「ズッペ」を始め、ボーイとなった峠と再婚。帰国した息子アドルフとの再会を喜ぶも、ナチスとヒトラーに忠誠を誓って狂気に奔り、カミル等を痛めつける息子の姿に衝撃を受け、決別する。最後については#登場人物の結末参照。本多(ほんだ)大阪憲兵隊司令部付大佐。由季江とはヴォルフガングとの結婚前から顔馴染みであり、恋心を抱いていた。職務に忠実な軍人であり、建国にかかわった満州国を「王道楽土」として強い思い入れを抱いている。ゾルゲ事件の発覚後、息子の芳男が組織の末端としてスパイ行為を働いていたことを知り、芳男を自ら射殺する(表向きは自殺)。最後については#登場人物の結末参照。アセチレン・ランプゲシュタポの極東諜報部長。ヒトラー出生の秘密についての文書を追っている。「氷の心臓を持つ男」との異名を持つ冷酷な男。娘ローザが自殺した原因が草平にあることを確信し、その仇討ちのためにも執拗に文書と草平を追う。日本に帰国した彼と例の文書を追って日本までやって来るが、足を負傷し任務に失敗して帰国する。この最中草平を殺害しようと襲撃した際、返り討ちに遭って重傷を負うが、さらに民家の2階から投げ落とされても気絶せず立ち上がるなど、草平曰く「化け物」のように頑丈な肉体の持ち主である。ドイツに帰国後、親衛隊将校となったアドルフ・カウフマンに出会い、半ば錯乱状態にあったヒトラーがカウフマンを危険人物と思い込んだことであわやカウフマンが危機に陥った時に助け舟を出した。その後、カウフマンに草平の抹殺と文書の抹消(焼却)を依頼するものの、この件でカウフマンから本心では「要は失敗の尻拭いじゃないか」と見下されていた。自身は第二次世界大戦末期のベルリン陥落直前までベルリンに残っている。ヒトラーの遺言で遺言執行人、そして次期ナチス党首に指名された党官房長のマルティン・ボルマンに総統地下壕にいるユダヤ人(アドルフ・ヒトラー)の殺害を命令され、遂行する。赤羽刑事役のハム・エッグとともに、手塚漫画の二大悪役スターであるアセチレン・ランプが、滑稽さを封印して出演。多少はコメディシーンのあるハム・エッグと異なり、ひたすら冷酷で怪物的なタフさを持つゲシュタポ将校を的確に演じている。最後については#登場人物の結末参照。イザーク・カミルアドルフ・カミルの父。神戸元町で妻のマルテと共にパン屋「ブレーメン」を営んでいる。同胞のユダヤ人がヨーロッパで弾圧されている現状に心を痛めており、神戸のユダヤ人社会における、自分達の安寧を乱しかねないゴタゴタに関わりたくない一部の人間から脅迫されるも決意を変えることなく、ミールユダヤ神学校の学生500人を日本に亡命させるためリトアニアに向かう。だが、当初の話と違って亡命を希望するユダヤ人の数が多すぎるためにどうすればいいのかわからず途方に暮れる中、混乱した現地で財布と身分証をすられてしまい、ついには密入国の難民の疑いをかけられ逮捕。ドイツに送検されユーゲントにおいてアドルフ・アイヒマンの意向によりアドルフ・カウフマンに射殺される。射殺の直前、カウフマンに気付いて助けを求めるも、運悪くエリザの件と自身がハーフという事で微妙な立場に置かれていたカウフマンにはアイヒマンの命令通りに射殺するしか手が無く、直後にカウフマンは「神戸の親友のおやじさんだが、ここにいるはずがない」とアイヒマンに語っている。仁川(にがわ)刑事。妻は関東大震災の際に濡れ衣を着せられ、暴徒に虐殺されている。そのために「真実」を追い求めて職務に励んでいる。草平を追及した後、彼の言葉に耳を傾けて良き協力者となるが、ランプに射殺される。仁川 三重子(にがわ みえこ)仁川の娘。草平のことが気になっていたが、本多芳男と互いに一目ぼれし、恋仲となる。父親をドイツ人(ランプ)に殺害されたためドイツを憎んでいる。父の殉職後、草平と同居していたが、芳男が死んだことを知り、彼が目を離した間に家出。太平洋戦争後、小城の故郷で再会する。お桂(おけい)戦死した恋人の故郷(小城と同郷)で居酒屋を営んでいる。身体に刺青のある任侠肌の女。本人の回想場面以外では「おかみ」と呼ばれている。重傷を負って警察に追われていた草平を助け、介抱するうちに恋心をいだき、三重子に対して密かに対抗心を持つ。家出して仁川の死んだ地(小城の故郷)に赴いていた三重子を保護し、戦後は共に草平と再会する。米山兵庫県警刑事。芸者芳菊(本名本多サチ。芳男の叔母)殺しでアドルフ・カウフマンの父であるヴォルフガングの周りを捜査する。Q大陸上部出身。大学は違うが峠の先輩に当たる。峠に一連の出来事について小説に書くように勧める。ドクトル・リヒャルト・ゾルゲ実在の人物。ソ連情報部の第1級スパイだが、ナチス党員のドイツの新聞記者として日本に派遣され、ソ連のためにスパイ活動を行う。コードネームは「ラムゼイ」。本作では、防諜責任者の土肥原賢二大将に目をつけられ、日本の警察に身柄を拘束される。取り調べの末、自分が身も心も疲れ果てて、完全に折れてしまったことを恥じる思いを露わにしながら、自らがスパイであることを自供する。本多 芳男(ほんだ よしお)本多大佐の一人息子。ゾルゲ機関の一員として活動、コードネームは「ケンペル」。仁川三重子と恋人関係となる。親しかった中国人が日本人に惨殺された過去の経緯、および共産主義運動に傾斜していた叔母(本多サチ)の影響から、大佐の息子という立場を活用し、ソ連のために日本軍についてのスパイ行為をしている。最後については#登場人物の結末参照。エリザ・ゲルトハイマードイツ在住の裕福なユダヤ人一家の娘で、家族構成は両親と弟。祖先に中国人の血が混じっていることもあり、東洋風の雰囲気と黒髪の持ち主である。ヒトラー・ユーゲントに所属していたアドルフ・カウフマンに一目惚れされ、彼の手引きで、ユダヤ人狩りが本格的に行われる前に日本へ亡命する手筈を整えるが、家族、とりわけ父親は実力者のヘルマン・ゲーリングとコネを持っていたため、これまで色々とお目こぼしをしてもらっていたことから危機感に乏しく、亡命も既得権益を手放すことになると躊躇していた。このため、エリザの亡命自体は成功するも、父親はまだ家に残っていた財産を取りに妻や息子と共に家に戻ったところでユダヤ人狩りに駆り出されたカウフマン達と鉢合わせし、結果的にエリザ以外は全員ナチスに逮捕されてしまうが、これによってカウフマンはフリッツが言うところの「ユダヤ人の娘に惚れて、ユダヤ人の肩を持つ裏切り者」としての嫌疑から逃れることが出来た。亡命後は神戸で暮らし、アドルフ・カミルと婚約する。しかし、文書抹消のため潜水艦で来日したカウフマンがカミルと彼女の婚約に激怒。婚約の撤回を要求され拒否するも、諦めきれないカウフマンに騙され、強姦されてしまう。そのことがカミルに発覚し、2人の友情が破綻する要因になった。戦後はカミルと結婚しイスラエルに渡る。夫の死後、イスラエルを訪問した草平と再会する。マルティン・ボルマン実在の人物。ナチス党官房長。ヒトラーの前では忠実な部下を演じていたが、密かに後継者の座を狙っている。本作ではベルリン陥落の際に、ヒトラーが後継者である総統の座を自分ではなくカール・デーニッツに、首相をゲッベルスに指名する一方で、自分が彼等より格下の党大臣に指名されたことに憤り、ランプにヒトラー処刑を命じる。作中でボルマンのその後は描かれていないが、史実では部下と共にベルリン脱出を図るも失敗し、自決している。アドルフ・ヒットラー実在の人物。ナチス・ドイツ総統。ヒステリックで一度、自分の考えに没頭すると周りが見えなくなる。本作ではユダヤ人の血が入っているという設定であり、ユダヤ人を根絶やしにせんとしながらも自身の血に苦悩する。戦況の悪化から物語途中から精神的な均衡を失い疑いをかけた部下を次々と粛清する。史実でも大戦末期から精神衰弱気味になり、1945年4月30日に総統地下壕で妻のエヴァ・ブラウンとともに自殺したとされるが、本作では同日にランプに撃たれて死亡している(ランプが自殺に見せかける形で殺害したため、作中でも史実同様に自殺したことになっている)。アドルフ・アイヒマンナチス親衛隊中佐(作品初登場時は大尉)。ドイツによるホロコーストの実行者の一人で実在の人物。本作では当初、ユーゲントにいたカウフマンを含めたハーフの面々に対して「純粋なアーリア人でないからこそ、よりたくさん努力しなければならない」と称してユダヤ人を的にした殺人訓練を課し、カウフマンにイザークを射殺させるが初めて人間を撃つカウフマンが手間取って急所以外の場所に弾を撃ち込むなど上手くいかないのに対し「1人殺すのに弾を無駄にするな!次は1発で仕留めろ!」と叱責した。その後、カウフマンの左遷先の上官(この時の階級は少佐)として再会を果たすが、多くの者と同様に総統が狂っていることは知っているが部下も正気では務まらないとの考えをカウフマンに語った。なお、再会時にカウフマンから先術の過去の一件について言及されるも、アイヒマン本人はあまり重要な思い出として捉えてはいなかった。史実では大戦終結後にバチカンなどの助けを受けてアルゼンチンに逃亡したが、イスラエル諜報特務庁に捕えられイスラエルで処刑される。ヨーゼフ・ゲッベルス実在の人物。ドイツ宣伝相。ヒトラーに非常に心酔していた人物として知られているが、本作ではベルリン陥落直前のヒトラーの命令を「世迷い言」とし、破り捨てるなどの描写がある。この時の命令は「急死したルーズベルトに比べて穏健派であるトルーマンと講和し、ナチス・ドイツとアメリカが力を合わせて共通の敵(ソ連)と戦う」といった、まさしく非現実的なものであった。フリッツ・ボーデンシャッツAHS時代のカウフマンの同級生。日本人との混血児でありユダヤ人との関係があるカウフマンをからかっては喧嘩をしていたが、本人曰くクリスマスプレゼントを交換し合った仲で、カウフマンがエリザと密会した場面を盗撮した写真をネタに強請るも、その一方で「あのユダヤ人娘との付き合いは止めないとろくな事にならない」と一応忠告するなど仲はそこまで険悪ではなかったようである。ヒトラー暗殺未遂事件の際に反乱分子の一人として拷問を受け、カウフマンに助けを請うが「次の同窓会では会えそうにないな」と見捨てられ粛清される。エルウィン・ロンメル陸軍元帥。ヒトラー暗殺未遂事件の際に反乱分子の一人とみなされた。「砂漠のキツネ」の異名を持つドイツの英雄で名将だったため、さすがのカウフマンもこれに異議を唱え極秘に電話で本人に警告したが、暗殺未遂事件の関与は否定するもヒトラーに失望していたため何の行動もせずに自宅に留まった。ヒトラーの命令で毒を呷り、粛清される(表向きは事故死として公表された)。
登場人物の結末[編集]
峠 草平文書を巡って特別高等警察に拷問された揚句、協合通信を辞めさせられたが、終戦後、ベルリンオリンピック時に知り合った新聞記者に、「君しかいないんだ!」と乞われて復帰。その記者の勤め先に入社し、作家兼記者となった。カウフマンの母親である由季江の再婚相手となったが終戦直後に死別している。その他の足取りについては他の登場人物やあらすじの項も参照。アドルフ・カウフマン終戦後はユダヤ人による執拗なナチスの残党狩りに追われ、レバノンの荒野で行き倒れ寸前になっていたところをアリ・モルシェード達パレスチナゲリラに拾われ、共に「黒い九月」のメンバーとしてイスラエルと戦う。アラブ人の妻を娶り子をもうける。ささやかな安らぎの中でわが身を振り返り、子供に正義として人殺しを教える恐ろしさを痛感していた。しかし妻と子は街中で起こった戦闘の巻き添えで殺され、そのイスラエル軍部隊を指揮していた将校がかつての親友アドルフ・カミルだと知り、カミルへの復讐と決闘を決意。「アドルフに告ぐ」というタイトルのビラを発行し、各地に貼り出す。これによって組織の調和を乱す存在としてアリ達に危険視された挙句、カミルとの決闘の場(ジザール高地のナビ地区。実在しない)へとやって来たアリ達を待ち伏せし皆殺しにした。国家の「正義」に翻弄された自身を自嘲気味に振り返った後、現れたカミルに復讐の想いをぶちまけ、一対一で戦った果てに死亡する。アドルフ・カミル神戸大空襲で母親のマルテ・カミルと家財を失い、戦後はイスラエルに渡る。そこでイスラエル軍の軍人となり、ゲリラ曰く「ナチス以上の残虐」を行う。戦時中、ドイツ軍に捕らえられた彼の父親イザーク・カミルがカウフマンに殺害されていたことを知り、復讐を決意。決闘の末にカウフマンを射殺する。その際、「あの世でパパにあやまってこい…また来世で会おう」と漏らし、かつての親友への哀惜の涙を流す(ラジオドラマ版では、「アドルフ・カウフマン…地獄で会おうぜ」と言い哄笑する)。1983年に軍を退役した直後、シーア派パレスチナゲリラによるテロに巻き込まれて死亡する。赤羽峠から文書のありかを聞き出すため、カミルと小城を捕獲するようにカウフマンから命令され、2人を捕えて峠の目の前で拷問を行う。ちょうどそこにアメリカ軍機が来襲し、空襲に巻き込まれて死亡。由季江峠との間に子供を身篭るも、それから間もなく神戸大空襲によって重傷を負う。峠の願いを聞き届けた本多大佐の手配で設備の整った阪大病院へと送られるが、植物状態となってしまう。終戦後に帝王切開で娘を出産するも、ほどなくして死亡する。本多大佐敗戦後、連合国軍から戦犯として処刑されることを覚悟する。植物状態の由季江を見舞い、その時峠にねぎらいの言葉を述べた後「由季江と2人きりにさせてくれ」と頼み、由季江にキスをしたのち、自宅で小刀及びピストルで自決した。本多芳男ゾルゲ機関の一員としてソ連のために日本軍についてのスパイ行為をしていたが、ゾルゲの逮捕により発覚。本多家の名誉を守るため、父である本多大佐によって殺害される(表向きは自殺)。アセチレン・ランプボルマンから命じられた重要任務であるヒトラー射殺を執行後、姿を消す。その後の消息は描かれていない。
史実との相違点[編集]

現実の歴史を題材にとって描かれた本作ではあるが、史実との相違点として以下の点が挙げられている。ただし、手塚の歴史漫画では『火の鳥』鳳凰編の橘諸兄と吉備真備の関係など、話の都合上、意図的に史実を改変しているとおぼしきものも存在する。

ヒトラーユダヤ人説とヒトラーの人となりについて[編集]

本作は「アドルフ・ヒトラーはユダヤ人である」という説を前提として創作されたものである。ヒトラーの父アロイスが父親のわからない私生児であり、またナチスの高官であったハンス・フランクがニュルンベルク裁判で絞首刑になる直前に著した『死に直面して』の中で「ヒトラーの祖母がグラーツのユダヤ人の家で家政婦をしていた時に生んだ私生児がヒトラーの父であった」と記述したことから、この説は信憑性を持って語られるようになった。

手塚は、例えば『火の鳥』でも騎馬民族が弥生時代に入植し日本の支配層に入ったとする「騎馬民族征服王朝説」など、しばしば流行の学説を作品に取り入れて作品を作っており、この設定もその一環と推測される(騎馬民族征服王朝説も現在では否定されている)。手塚自身は本作の執筆終了後、『キネマ旬報』に連載していたエッセイの中で「最近、その父親、つまりアドルフ・ヒットラーの祖父にあたる人間は、ユダヤ人フランケンベルガーだった、という説がつよくなってきたそうである。もし事実だとすれば、ヒットラーは存命中必死にこの汚点をかくそうとしたであろう。これはぼくの「アドルフに告ぐ」の物語のひとつのテーマになっている」と記している[4]。しかしこの仮説は手塚が連載を始めるかなり前にヴェルナー・マーザー、グラーツ大学のニコラウス・プレラドヴィッチ教授が行った調査などで否定され、現在ではほとんど支持する専門家はいない。ヒトラーの祖母クララがいた時代には、グラーツではユダヤ人は追放されており、存在していなかった(詳しくはアドルフ・ヒトラー#シックルグルーバー家の項を参照)。

また、作中でヒトラーはウィーン時代極貧生活を送っていたとされるが、実際は親の遺産や恩給を受給し、絵画や絵巻書の製作でそこそこの生活が出来ていた。貧しかったのは食生活だけで、下宿先の夫妻が食事を勧めても自分で入手した物以外は口にしなかったとされる。

悪化する戦況の中、ロンメルに原爆開発による戦況逆転を語る場面があるが、実際はヒトラーは原爆には「ユダヤ人の科学」として関心を示さなかったとされている(ナチスを逃れアメリカに亡命したアインシュタインはじめ、原爆の理論には著名なユダヤ人の科学者が多く関わっていた)。

実際の第二次世界大戦下のドイツや日本との差異[編集]
SDに所属できる一般親衛隊隊員は純粋アーリア系であることを家系の3代以上前まで遡って証明することが絶対条件の一つで、日系ハーフであるカウフマンが入隊することは原則不可能だった(親衛隊 (ナチス)#親衛隊員についてを参照)。そのことを意識してか、手塚は作中でカウフマンを「ヒトラーのお気に入りのため異例の抜擢をあずかった」という但し書きのような描写を付け加えている。一方、ゲシュタポ隊員である駐日ドイツ大使館のリンドルフ一等書記官が、腕きき諜報員のヴォルフガング・カウフマンやオイゲン・オット大使を若いながら威圧するなど、親衛隊幹部は若くても出世が早いという表現は事実に即している。
ヒトラーユーゲントがユダヤ人の家屋を破壊し、さらには処刑する場面が登場するが、実際に「ヒトラーユーゲントが」「組織的に」ユダヤ人迫害へ関与した事実は無い(団員個々人の行為に関してはこの限りではない)。
真珠湾攻撃を行う空母「赤城」が建造当初の三段飛行甲板に描かれているが、実際の真珠湾攻撃時点での「赤城」は、すでに全通飛行甲板一段に改装されていた。
カウフマンは北極回りのルートの潜水艦で日本に戻っているが、当時の技術水準では潜水艦が北極海の氷の下を突破して航海することは不可能である[5]。史実の遣日潜水艦作戦は大西洋・インド洋経由でおこなわれた。また、潜水艦同士の戦闘描写があるが、実際に潜航中の潜水艦同士が交戦した事例はない。

ヒトラー以外の実在人物に関する相違点[編集]
開戦前にホワイトハウスでフランクリン・D・ルーズベルトが直立しているが、実際のルーズベルトは小児マヒの後遺症で立つ事ができず車椅子を使用していた(ただし、ルーズベルトの車椅子姿をとらえたメディアはほとんど無い)。
また、ルーズベルトが真珠湾攻撃をあらかじめ察知していたが敢えて奇襲を許した旨の描写があるが、これは現在にいたるまで日本などで議論されているものの、それを示す確証は無く、否定する専門家も多い(真珠湾攻撃陰謀説を参照)。
ヒトラーの秘書トラウデル・ユンゲがメガネをかけた男性軍人として描かれているが、実際には非軍人の女性である。

実際のユダヤ人文化・歴史との差異[編集]
カミルは「エホバ」という単語を連呼するが、近現代のユダヤ教で神の名前を口にすることはタブーとされている(ヤハウェを参照)。
ラストでカウフマンはカミルに対して安息日である土曜日の正午に決闘に来るようにビラを貼り、カミルも応じるが、ユダヤ教徒が安息日に労働を行うことは原則禁じられている(ただし、決闘を労働と見なさなければその限りではない)。
パレスチナ問題が戦後になってユダヤ人が移住してから始まったとしているが、実際にはパレスチナへのユダヤ人の入植(シオニズム)はそれ以前の19世紀末から開始されている。またパレスチナでは1929年の嘆きの壁事件を始め、戦前の1930年代後半の段階ですでに入植したユダヤ人・パレスチナ人・駐留イギリス軍の間で三つ巴の内戦が展開されていた。さらに大戦中からイスラエル独立までイギリスは白書政策に基づきパレスチナへのユダヤ人の移住を厳しく制限していた(一応、登場人物らが入植したのは1948年のイスラエル建国後とただし書きがある)。
カウフマンがパレスチナ人女性と結婚しているが、非ムスリムの男性がムスリムの女性と結婚する場合は必ずイスラム教に改宗しなければならない。しかし、カウフマンがイスラム教に改宗していることを窺わせるような描写は無い。
カミルがイスラエルでシーア派のテロによって殺されたと述べられているが、イスラエル国内にシーア派はいない(隣国レバノンにはシーア派の武装集団ヒズボラの本拠地があるが、イスラエル国内でのテロ活動は少ない)。
カミルがカウフマンの遺体に向かって「来世でまた会おう」と言う場面があるが、ユダヤ教では来世や転生の考えは無く、作中でもカミル自身が仏教と比較してそのことについて言及している描写もある(ただし、日本育ちのカミルが仏教の思想に影響を受けたと考えることもできる)。

コミックス[編集]

1992年に文庫本(全5巻)で再発されて150万部を売り上げた。これが漫画文庫本が広く刊行される嚆矢となった。
『アドルフに告ぐ』(文藝春秋)全4巻
文春コミックス『アドルフに告ぐ』(文藝春秋)全5巻
文春文庫ビジュアル版『アドルフに告ぐ』(文藝春秋)全5巻
My First WIDE『アドルフに告ぐ』(小学館)上、下巻
手塚治虫漫画全集『アドルフに告ぐ』(講談社)全5巻 1巻 ISBN 978-4-06-175972-5
2巻 ISBN 978-4-06-175973-2
3巻 ISBN 978-4-06-175974-9
4巻 ISBN 978-4-06-175975-6
5巻 ISBN 978-4-06-175976-3

ビッグコミックススペシャル 手塚治虫の収穫『アドルフに告ぐ』(小学館)全3巻 1巻 ISBN 978-4-09-182065-5
2巻 ISBN 978-4-09-182066-2
3巻 ISBN 978-4-09-182067-9


2009年には文春文庫で全4巻に編集され刊行された。
文春文庫『アドルフに告ぐ』全4巻
集英社ホームリミックス『アドルフに告ぐ』(ホーム社/集英社)上、下巻
手塚治虫文庫全集『アドルフに告ぐ』(講談社)全3巻

ラジオドラマ[編集]

1993年3月15日にTBSラジオにてドラマスペシャルとして放送された。同年、放送批評懇談会は中央からローカル局を含め1992年度に放送された全てのラジオ番組において最も優れた番組として『アドルフに告ぐ』を選び、第30回ギャラクシー賞ラジオ部門大賞を贈呈した。のちにドラマCDとしても発売された。

キャスト[編集]
峠草平:柄本明
アドルフ・カウフマン:風間杜夫、鎌手宣行(少年時代)
アドルフ・カミール:上杉祥三、内田崇吉(少年時代)
由季江・カウフマン:二木てるみ
小城典子:倉野章子
赤羽警部:大塚周夫
ヴァルター・ランプ:村松克己
ゲラルド・カウフマン:宮川洋一
本多大佐:佐藤慶
峠勲、本多芳男:安藤一夫
エリザ・ゲルトハイマー:岡坂あすか
米山刑事、クランツ:上田忠好
リヒャルト・ゾルゲ、部長、リンドルフ:内山森彦
カミルの母:此島愛子
お桂:田島令子
絹子:松阪隆子
語り:佐藤オリエ

など。

舞台[編集]

1994年「劇団俳優座 」創立50周年記念公演(脚本:原徹郎 演出:亀井光子)。2007年「劇団スタジオライフ」手塚治虫生誕80周年記念公演。2015年7月戦後70年の節目として同劇団で、アドルフ・カウフマン、峠草平、ヒトラー等主要キャストを同じ役者+若手でのダブル・トリプルキャストにて再演した[6]。同年6月には、時を同じくして別カンパニーとして「KAAT神奈川芸術劇場・シーエイティプロデュース」でも上演。

主なスタッフ・キャスト[編集]




2007年[7]
劇団スタジオライフ公演

2015年[8]
KAAT神奈川芸術劇場
シーエイティプロデュース

2015年[9]
劇団スタジオライフ公演


脚 本
倉田淳 木内宏昌 倉田淳

演 出
倉田淳 栗山民也 倉田淳

アドルフ・カウフマン
山本芳樹
荒木健太朗[* 1] 成河 山本芳樹
松本慎也
仲原裕之[* 1]

アドルフ・カミル
小野健太郎
松本慎也[* 1] 松下洸平 奥田努
緒方和也[* 1]

峠草平
曽世海司 鶴見辰吾 曽世海司
藤波瞬平[* 1]

アドルフ・ヒトラー
甲斐政彦 高橋洋 甲斐政彦

ヴォルフガング・カウフマン
寺岡哲 谷田歩 船戸慎士

由季江・カウフマン
三上俊 朝海ひかる 宇佐見輝

イザーク・カミル
藤原啓児 石井愃一 藤原啓児

マルテ・カミル
篠田仁志 吉川亜紀子 大村浩司

クライツ・ゲルトハイマー
篠田仁志 - 曽世海司
藤波瞬平[* 1]

エリザ・ゲルトハイマー
吉田隆太 前田亜季 久保優二

絹子
吉田隆太 - 深山 洋貴

小城典子
林勇輔 岡野真那美 鈴木智久

本多大佐
石飛幸治 谷田歩 牧島進一

本多芳男
仲原裕之 大貫勇輔 仲原裕之

赤羽刑事
奥田努 市川しんぺー 大村浩司
牧島進一[* 1]

米山刑事
牧島進一 - 牧島進一

仁川刑事
河内喜一朗 安藤一夫

仁川三重子
関戸博一 北澤小枝子

リヒャルト・ゾルゲ
下井顕太郎 -

アドルフ・アイヒマン
大沼亮吉 斉藤直樹

マルティン・ボルマン
河内喜一朗 石井愃一

ゲルハルト・ミッシェ
船戸慎士 - 倉本徹

アセチレン・ランプ
倉本徹 田中茂弘 倉本徹

エヴァ・ブラウン
深山洋貴 彩吹真央 深山洋貴

クルツ
政宗 -

シャウブ
- 大貫勇輔

フリッツ
- 林田航平

カウフマンの妻
- 西井裕美

アリ・モルシェード
- 薄平広樹

少女
- 小此木麻里

リトアニアの警官
- 吉野雄作
江口翔平[* 1]

1.^ a b c d e f g h 役替わりで公演

翻訳[編集]

英語では"Message to Adolf"として翻訳された他、ブラジルやフランス、スペイン、オランダでも翻訳された。ドイツでも翻訳(Adolf)されたが、期待外れだった[10]。

脚注[編集]

1.^ 『手塚治虫対談集―続「虫られっ話」』(潮出版社、1995年)に収録された巖谷國士との対談での発言。
2.^ 池田啓晶『手塚治虫完全解体新書』集英社、2002年、p174 - 175。この内容は、手塚が手塚治虫漫画全集の本作第5巻に収録した「あとがきにかえて」と題した文章(さらに初出は1985年6月に刊行された『手塚ファンmagazine vol.5』に掲載された「『アドルフに告ぐ』回想」)が元になっている。
3.^ W大がどこの大学を指しているのか明確には描かれていないが、拷問された際に、早稲田大学の校歌を口ずさむ場面がある。
4.^ 『観たり撮ったり映したり』キネマ旬報社、1987年、P225
5.^ これは当時の潜水艦がディーゼルエンジンと蓄電池による通常動力型しかなく、長期の潜行が困難だったためである。 北極海横断潜行に世界で初めて成功したのは、1954年に就役した世界初の原子力潜水艦「ノーチラス号」の航海による。
6.^ “舞台「アドルフに告ぐ」終戦70周年の2015年夏、再演決定!”. 手塚治虫オフィシャルサイト (2014年8月6日). 2016年8月30日閲覧。
7.^ “舞台『アドルフに告ぐ』公演ページ”. 劇団Studio Life公式ページ. 2016年8月30日閲覧。
8.^ “舞台「アドルフに告ぐ」KAAT神奈川芸術劇場”. KAAT神奈川芸術劇場公式ページ. 2016年8月30日閲覧。
9.^ “スタジオライフ公演『アドルフに告ぐ』2015年”. 劇団Studio Life公式ページ. 2016年8月30日閲覧。
10.^ ベティーナ・ギルデンハルト「『他者』としての『ヒットラー』」(伊藤公雄『マンガのなかの<他者>』臨川書店 2008年pp.196-221)。

関連項目[編集]
アドルフ・ヒトラー
ナチス
ヒトラーユーゲント
ホロコースト
日本のユダヤ人
名誉アーリア人

外部リンク[編集]
手塚治虫公式サイト内作品ページ
舞台舞台『アドルフに告ぐ』 Studio Life公式ページ
舞台『アドルフに告ぐ』 KAAT神奈川芸術劇場公式ページ

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漫画「アドルフに告ぐ」とゾルゲ事件(1)


手塚治虫は晩年の大作「アドルフに告ぐ」について、こう述べている。

「・・・・『アドルフに告ぐ』は、ぼくが戦争体験者として第2次世界大戦の記憶を記録しておきたかったためでもありますが、何よりも、現在の社会不安の根本原因が戦争勃発への不安であり、それにもかかわらず状況がそちらのほうへ流されていることへの絶望に対する、ぼくのメッセージとして描いてみたかったのです。
もう戦争時代は風化していき、大人が子供に伝える戦争の恐怖は、観念化され、説話化されてしまうのではないか。虚心坦懐に記録にとどめたいと思って『アドルフに告ぐ』を描きました。なかでも、全体主義が思想や言論を弾圧して、国家権力による暴力が、正義としてまかり通っていたことを強調しました。・・・・」
(「ぼくのマンガ人生」 手塚治虫 岩波新書 1997年 p92~93)

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手塚治虫記念館特別展示「アドフルに告ぐ」

このとき、手塚は「戦争体験が風化」して、ふたたび戦争が勃発するのではないかという「不安」、「それにもかかわらず状況がそちらのほうへ流されていることへの『絶望』」とまで、強い表現で戦争の危機感を訴えていることに注目したい。そこには、経験したものでないとわからない切実感があるのだろう。
それからまもなく20年近い年月が経たが、もしも手塚が生きていたら、今日の世界状況、アジア情勢、日本国内の政治情勢を、どう論じるだろうか。手塚治虫の危惧したとおり、今は、新たな「戦前」なのだろうか。
私は手塚治虫の切実感に軍配をあげたいと思う。


昭和の終わりに、まるで符節を合わせるようにして亡くなったことが、今更ながらに惜しまれる「マンガの神様」だったとつくづく思う。

周知の通り、漫画「アドルフに告ぐ」は、第二次世界大戦前後の日本及びドイツでの全体主義・軍国主義の時代を舞台にしている。
そこに「アドルフ」というファーストネームを持つ3人の男達(アドルフ・ヒットラー、アドルフ・カウフマン、アドルフ・カミル)が交錯するストーリー展開を主軸としている。
「ヒトラーがユダヤ人の血を引く」という機密文書を巡る角逐、2人のアドルフ少年の友情が巨大な歴史の流れに翻弄され、破綻していく悲劇。

そのなかで、作者自身の分身という「狂言回し役」の新聞記者・峠草平らをはじめ、多様な実在、架空の人物を登場させ、それぞれの織りなす数奇な人生航路を描いたと評価されている。
ともかく面白いから、ついついストーリーを追うことだけに嵌ってしまい、手塚治虫の問題意識を見逃してしまいそうだ。

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アドルフ・カウフマン

  ヒトラーがユダヤ人の血を引くのではないかという、一時流行した言説にヒントを得て、マンガならではの表現の融通性を生かし、虚実織り交ぜた筋書きだった。

もちろん、「ヒトラー=ユダヤ人説」は、今日では学問的にはほとんど否定されているようだ。600万人ものユダヤ人を虐殺したという、ナチス・ドイツの張本人にユダヤ人の血が流れているというのだから、常識が引っくり返るような着想だった。

これは「火の鳥」で「騎馬民族説」を採用したことにもあてはまるが、一時世間で話題になったテーマを採り上げ注目を引く手法。手塚自身も認めていることだが、漫画だからこそ多少「ナンセンス」な動機が許容される融通性を生かした。

ヒトラーの出生にかかわる「超秘密事項」をつかんだ共産主義者や自由主義者と、これを抹殺しようとするナチスの諜報関係者との壮絶な暗闘。そこに実在と想像上の登場人物を織り込んだ、いかにも手塚マンガらしい、起伏に富んだストーリーで人気を博した。

それに、手塚マンガの場合は悪役でも憎めない「可愛げ」があるのだ。柔らかい円を基調にした人や動物の絵柄に、その秘訣のひとつがあるそうだ。
しかし、やはり根本的には、作者の育った宝塚の豊かな自然、そして比較的恵まれた家庭環境などが親しみやすさに反映しているように思う。
だから、かなり深刻なテーマを扱っているのだけど、そこにほっと救われるようなユーモアや優しさがあるのではないだろうか。また、そう感じさせる工夫が施されている。
ただし、面白さだけを消費するのでは、もったいないなとも思う。

「アドルフに告ぐ」は今改めて読んで見ても、現代史を学ぶひとつの恰好の手引になるのではないかと思われる。そのうえで、あの時代の「真実」を更に自分なりに掘り下げてゆけばいいのだろう。作者の本当の狙いも、そこにあるのではないか。

ヒトラーの出生証明書類を巡る角逐は、やがて当時の日本でゾルゲを頂点とする国際スパイ組織にまでたどり着くやに見えた。そこからソ連に送られれば、ヒトラーには致命的なダメージとなるだろう。ソ連だけではない。日本を舞台にアメリカもフランスのエージェントもこの情報を手に入れようと激しい争奪戦が展開された。
証拠書類をゾルゲに渡そうとする地下活動家と、これをなんとか阻止したいゲシュタポや特高刑事たちの、息詰まる壮絶な角逐。

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手塚治虫記念館に展示されたゾルゲ

しかしその試みは、惜しくも実現直前で潰えた。
官憲によるスパイ組織の一斉摘発のためだが、ここで特高にスパイ容疑で捕捉され尋問を受けるリヒャルト・ゾルゲが登場する。(第25章)

拘置所の取調べでゾルゲが自白する様子を描いているのだが、私にはやや唐突な印象を覚えた。いわゆる「ゾルゲ事件」はもっと大きな裾野があって、「アドルフに告ぐ」では傍流の事件なので全体像が描かれていないのが惜しい。これでは要するに一外国人スパイの話に過ぎない。手塚が存命していれば、また別の大作に発展できたかもしれない。

昭和16年10月18日、東条英機を首班とする内閣が成立した、まさにその日にゾルゲグループは一斉検挙された。そして、10月24日に東京拘置所の取調室で、とうとうゾルゲは自白。その場で大泣きする場面を手塚は克明に描いた。
そこでいろいろ調べて見ると、まずこのときのゾルゲの振る舞いは、確かな資料をもとに描いたことがわかった。

孫引きになるが、秦郁彦著「昭和史の謎を追う 上」(文芸春秋社刊 1993年)を引用すると、
「・・・・つまり、1941年秋のゾルゲは、『進も地獄、退くも地獄』という窮地に追いつめられていたわけだが、彼は死の直前までソ連と国際共産主義への忠誠を捨てず、毅然とした態度で通した。吉河検事は、逮捕から一週間後に東京拘置所の2階教誨室で彼が告白した瞬間の情景を次のように回想している(三国一朗『昭和史探訪』)。」

「・・・・ゾルゲは下を向いて『紙をくれ』と言った。また、『鉛筆をくれ』と言った。渡してやると、その小さな紙片に書きました。自分で。『自分は1926年いらい国際共産主義者であった。今でもそうである。』とドイツ語で書いて、その紙を僕のほうへ投げるように差し出してきた。これはゆるぎない自白ですよ。
ぼくはびっくりしてゾルゲを見た。と、ゾルゲはいきなり上着を脱いで床に叩き付けて『負けた、はじめて負けた』と言って、こんどは机に手をついてワイワイ泣くんです。・・・・・・」

「アドルフに告ぐ」では、あくまでヒトラーの秘密の出生書類をめぐる闘いがストーリーの主旋律なのでやむを得ないが、その背景までは詳述できなかったのだろう。ゾルゲほどの大スパイが、最後になって身もふたもなく大泣きしながら自白に至った経過について知りたくなった。

既述したように、手塚治虫は「正義」の名のもとに残酷なユダヤ人迫害が行われ、侵略戦争が正当化された時代の暗部を書き遺したのだが、ゾルゲもまた「正義」を信じて国際共産主義に身を賭したわけで、秦郁彦氏が突き放した指摘をしているように、その志が成就したとはいいがたい。むしろ無慚にも裏切られた可能性も垣間見える。

自白では「日本の警察に負けた」無念さを嘆いているように見えるが、その実はゾルゲ自身が「正義」と信じた世界観があえなく破綻したことを、ここで暗示しているように私には思えた。

リヒャルト・ゾルゲについては、もう少し自分なりに調べてみたいと思った。

http://hiroshia.vivian.jp/archives/3091



漫画「アドルフに告ぐ」とゾルゲ事件(2)


調べてみると、ゾルゲ事件関連については、これまでにも多くの出版物があったことを知った。

ゾルゲ事件の真相を明らかにしようという試みは、敗戦後から始まった。日本のような極東の島国で、ましてや昭和前期の息苦しい閉鎖的な軍国主義の時代に、こんなに国際的なスケールの大事件が勃発したことは前代未聞だった。
そもそも、西欧から最も遠い「地球のはて」の日本列島には、似つかわしくない事象に見える。それだけに、多くの研究者の探究意欲を強く刺激した面もあるのだろう。

ゾルゲを頂点とする、いわゆる「国際諜報団ラムゼイ」の活動領域はソ連、ドイツ、中国、日本にわたり、当時の複雑な国際関係や国内事情を反映している。このため、多数の世界史的人物が相互に絡み合う興味深い事案なので、これまでに多様な角度から研究されてきたようだ。
ずぶの素人としては、いきなり専門的な研究書に入るよりも、まずはとっつき易い映像でおおまかな流れを押さえてみようと、2003年の映画「スパイ・ゾルゲ」を見てみた。

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篠田正浩監督がライフワークと位置づけた大作映画だ。
コンピューターグラフィックスを駆使して昭和初期の上海や東京の情景を再現、人気俳優も多数登場させ20億円もかけたという。そのわりに、どうも面白くない映画だという感想が多かったらしいが、私自身はもっと別の感慨を持った。

思うにこの映画は、事件の背景を可能な限りその時代の状況において再現理解させるために、相当の苦心をしたのだろう。
21世紀初頭の平和な日本で、あの暗い時代のリアリティーを再現するためには、実際の映像記録も入れて、どうしても説明調にならざるを得なかった面があるのではないだろうか。
わずか80年前後の過去だが、これが同じ国とは思えないほどに風景も社会も異なるからだ。

何より観客の時代感覚が決定的に違う。

その落差を埋めるための説明にとらわれたので、多数の細切れ事象を繋ぎ合わせたぶん、ぶつ切れの羅列となった。だから全体として俯瞰すると、単調に見えてしまうきらいは確かにある。
しかし、昭和初期の歴史を学びたいと思った私にはおおいに参考になった。

1931年(昭和6年)生まれの篠田正浩監督は、敗戦の年には14歳だから、いわゆる「戦中派」最後の世代。きっと「軍国少年」の教育(洗脳)を一方的に注入されたのではないか。そのあげくに、過酷な戦災と敗戦、焦土を多感な心に刻印したであろう。
そして変わり身の早いおとなに強い不信を持ったのではないだろうか。青少年は純真なだけに、国家や為政者への懐疑を持ったことだろう。

ちょうど、木下恵介監督の「二十四の瞳」に登場する子供たちにあたる世代ではないだろうか。同世代には、子供のうちに痛ましい戦争の犠牲者になった人が多い。大人たちの愚かな「不始末」のお陰で、一番被害を受けた世代ではないだろうか。
「鐘のなる丘」という、戦災孤児たちの美しくも悲しい歌もあった。戦争を知らない私ですら、だいぶ後だが心に深く染み入る歌の意味を知ったものだ。

映画の説明臭さは、暗黒の昭和初期に生い立ち、戦争を運命的に体験した一人として、現代日本との大きな落差を前に、なんとかそのギャップを埋めようとした結果なのではないだろうか。
平和な時代に生まれ、それが当たり前の、屈託のないいまどきの若者に、なんとか自分の育った時代をわからせたい、と。ちょうど「蟻の兵隊」さんのひとりであった奥村さんが、靖国神社に遊ぶ若者と試みた対話が噛み合わない様子に似ている。

監督よりもすこし上の戦中世代を両親に持つ私には、そう思える。

あの時代の場面設定なしでは、ゾルゲや尾崎の真実は描けないからだ。

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映画「スパイ・ゾルゲ」から。ゾルゲと尾崎秀実

篠田監督はゾルゲと尾崎に相当な思い入れをしたようだが、割り切っていえば、歴史事実に則しつつも、それはあくまで監督が理解したゾルゲや尾崎秀実であるに違いない。

映画では尾崎もゾルゲも単なるスパイではなくて、明確な政治思想を共有する「同志」であった。思想信条に身命を賭すような生き方は、今の若者にはあまり流行らない。
ゾルゲはコミンテルン(共産主義インタナショナル)に尾崎を推薦もしたという。ゾルゲはもともと確信的な共産主義の組織活動家であり、尾崎は「協力者」。思想的に共鳴したからこそ、互いに生死を共有する統一戦線が組めた。二人は日本の植民地主義や帝国主義戦争には反対であり、当時唯一の社会主義国ソ連邦を信奉し護ろうとして動いた人なのであった。

映画製作は、昭和3年生まれの手塚治虫が昭和の終わりに「戦争の再来」への危機感を強く意識して「アドルフに告ぐ」を描いた意図とも繋がるのではないだろうか。
「アドルフに告ぐ」も、とても面白い長編漫画だが、その中には手塚の平和への強い願いが込められている。
漫画では、共産主義者や自由主義者が「アカ」と呼ばれて凄惨な弾圧を受ける場面があった。史実に基づいている。

私は、娯楽作品としてのこの映画自体の出来栄えを、高みにたって批評するよりは(もちろん素人の私にはその能力もない)、この世代の人々の歴史体験に思いを馳せることにも意味があると思う。

テーマのシビアさを考えると、映画の娯楽性だけで安易な評価を下してしまうと、大事な視点を見落としはしないか。



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篠田正浩監督

そう考えると、映画のほうは「尾崎検挙」で幕を切った直後に、列強の植民地支配に苦しむ昭和初期の上海の情景にスイッチ・バックしたことはうなずける。まずは日本帝国主義による中国政策の失敗があったことを強調するためだ。

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上海で中国人デモを弾圧する日本軍(映画「スパイ・ゾルゲ」

列強に食い荒らされる上海の実情を、目の当りにしたアメリカ人ジャーナリスト、アグネス・スメドレーと尾崎秀実が、抑圧される人々への共感からゾルゲにつながっていく過程を諜報団の始まりに設定したことには、監督のゾルゲ事件「解釈」が反映している。

しかし、この時点ではまだ尾崎秀実はゾルゲの正体を知らなかった。
尾崎は朝日新聞の「シナ専門家」だったが、搾取され抑圧される「シナ人」への同情があった。

一方のゾルゲはソ連赤軍第4部の諜報員として、上海で活動していたが、そのあと、日本帝国主義の中国侵略の意図と対ソ連政策を探るためだった。

やがて二人はそれぞれのルートで日本に入り、ゾルゲの要請にもとずいて再び情報を交換し合うようになる。再会の場は奈良・東大寺。
このとき、尾崎は上海でアグネス・スメドレーから「ジョンソン」と紹介を受けた人物が、実は国際共産主義者「リヒャルト・ゾルゲ」であることを知った。
尾崎は最後まで共産党員ではなかったかもしれないが、この時代、日本軍国主義への反対を志向すれば、事の成り行きとして、共産主義への共感は近くなったのだろう。

事実、融和的な社会改良案ではもはや時代の深い闇を克服できないほどに、日本自身は行き詰まっていた。
私は、その主たる遠因は明治維新に発する近代日本の国体の「歪み」に発するように思うが、映画のテーマではないので、これは別途検討してみたい。

尾崎自身は家族に累が及ばないように、妻子にも自分の正体を明かさなかった。「革命家」らしく考え抜いた上でことだろうと思う。検挙後の特高の肉体的拷問に屈して自白をせざるを得なかったものの、絞首刑の最後まで信念の情報提供者であって「金も受け取らず、国民を売ってはいない」殉教者だった。篠田監督としては、ここは絶対に譲れなかったのだろう。

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尾崎秀実

一方のゾルゲは、青年時代に帝政ドイツの熱に焦がれ、第一次世界大戦に意気揚々参加したものの、戦場の現実は悲惨極まりなかった。3度の負傷にまみれた。戦争を起したウイルヘルム2世の帝国主義政策の現実に失望、「世界革命」をめざす共産主義に傾倒する。同時期のドイツには同じような経過をへてコミュニストになった青年が多かったようだ。

理想主義的な「インタナショナル」の歌が流れる場面がある。
私自身も学生時代のアルバイト仲間でひとり、見事にインタナショナルを歌った友人がいた。理想主義的な印象があった。まだ「社会主義」に魅力が残っていたのだ。

ゾルゲは、その明晰な頭脳と行動力を買われ、赤軍第4部の優秀な諜報員として上海に、やがて日本の動向を探るために東京へと派遣されて来たのだった。以後、足掛け8年の日本での諜報活動は、驚くべきことに天皇が臨席する「御前会議」のトップ・シークレットまで正確に捕捉していた。

尾崎は「シナ問題」に精通したジャーナリストとして、近衛首相のブレーン「朝飯会」の一員に推薦され、やがて満州鉄道調査部に入った。帝国のハイレベルの情報に接する立場を得た。一方のゾルゲは表向きドイツのジャーナリストとして、日本の政治経済事情に通じる優秀な専門家という、高い評価を受けていた。更に、ナチの党員証まで取得、ドイツ大使の個人的な信頼を得て、まんまと大使館内に一室を提供されるまでになった。
かくて二人は高度な国家機密を収集し、正確な分析をほどこし、密かにモスクワへ送る任務に就いた。

当時の日本の政治的・軍事的動向は、そのままモスクワに筒抜けだったというのだから驚く。ゾルゲによると、ロンドンやワシントンよりも日本の国内情勢に精通していたのは、実にモスクワだった。しかし、世界革命を身上とするイデオロギーには諜報、謀略、そしてときに目的を達するための「粛清」や「暗殺」までも付き纏う。
いつの間にか、「人間」が革命の手段に貶められるからではないだろうか。

生態の分かりにくい閉鎖的な島国の内部事情を、この暗黒時代に比類なき正確さで把握してみせたインテリジェンスは凄い。
しかもスパイ行為だけでなく、対ソ連戦争を回避するために、あえて情報操作まで行ったらしい。今日の水準から見ても、あの時期によくもこんなに大胆不敵な諜報活動ができたものだと思う。

アメリカ帰りの沖縄出身者宮城與徳(アメリカ共産党員)や天才的な通信技師タウンゼント、フランスの通信社員ヴーケリッチなど一騎当千の諜報員や技師がゾルゲの脇を固めた。ゾルゲは優れたオルガナイザーでもあったのだろう。
80年前、歴史も文化も言語も異なる極東の異境で、「外国人」たちが命懸けの国際諜報組織を維持運営するなどということは、並みの能力でできるわざではないと思う。それほど「コミュニズム」が思想としての魅力を持ち、有能な人材を得た時代だったのだ。

漫画「アドルフに告ぐ」で問題になったヒトラー出生の秘密は、このゾルゲ諜報団(ラムゼイ)に今一歩で繋がる寸前だった、という設定だった。

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手塚治虫記念館から



30年代後半ゾルゲの最大の諜報目的はソビエト防衛のため、日本に「北進」(シベリア侵略)意図があるかないかを正確に読み取ることだった。折からのナチスの台頭で、東西の二正面作戦の危機を回避したいスターリンにとっては必須の情報源の一つだった。ソ連の生き残りがかかっていた。
息を飲むような緊張の諜報活動によって、「独ソ不可侵条約」違反のドイツ軍が東部戦線に170~90個師団以上を集結しているというトップ・シークレットをいち早くモスクワに打電。さらにはABCD包囲網に閉じ込められ「対日禁輸」で石油の枯渇に悩む日本に、北進の意図がないと送信したものの、その貴重なゾルゲ情報は当初採用されなかったようだ。映画ではスターリンのゾルゲへの強い猜疑心が原因であったとされるが、このスターリンの歴史的判断ミスは、専門家の間では今も謎とされる。ドイツ軍の動向については、同じ種類の有力情報が、ドイツに潜入したスパイからも、もたらされていたにもかかわらず、スターリンはドイツの先制攻撃を許してしまった。

この時代のスターリニズムの非道さは映画「カティンの森」でも描かれていた。日本にいるあいだに、ゾルゲを派遣した人々も故国では失脚・粛清されていた。実はゾルゲの帰国を心待ちにしていた妻も、ゾルゲをドイツのスパイと断じた当局から粛清されてしまった。つまりいつの間にかゾルゲとソ連の絆は限りなく細っていたようだ。

ある種の「偽装」かもしれないが、同時代人にゾルゲ自身は「おお法螺ふき」「大酒のみ」「女たらし」と酷評されることが多かったようだが、8年もの過酷な諜報活動では、正常な神経ではいられなくて当たり前だと思える。しかも帰るべき祖国での、自らの足場もかなり絶望的だった。俊敏なゾルゲはそれが良くわかっていたのだろう。

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映画「スパイ・ゾルゲ」特高の摘発

目的がほぼ達成された昭和16年秋、任務を完了しつつあったゾルゲたちは帰国準備の直前で特高に検挙された。それは偶然にも東条英機内閣の成立の日であった。カリフォルニア出身の宮城が捕まったことから芋づる式に挙げられたわけで、まさに一網打尽の摘発だった。

これについては、元共産党員の伊藤律の裏切り原因説などがあったが、今だに決着が着いていないようだ。
行方不明だった伊藤律が突然、亡霊のように再登場したときの騒ぎ(1980年)を憶えているが、なぜこの人物がそんなに話題なのか、昭和史に疎い当時の私にはよくわからなかった。(最近、これを東條英機の近衛文麿追い落としの謀略と見る視点も出ている)

更に、冷戦崩壊後から旧ソ連や東ヨーロッパの情報が濾出し始め、新たなゾルゲ像が発掘されてきているようだし、中国、特に上海での活動実態などの研究はまだ未開拓だという。スケールの大きな事件なので、これからも新しい発見や分析が期待できるのだろう。
ゾルゲ自身についてもドイツとの「二重スパイ説」が根強くあり、映画の中でも尾崎はそれを疑っている場面がある。国家やイデオロギーを股にかけた諜報活動というのは、まことに微妙なものだと思った。

いずれにせよ「世界革命」を目的に生きてきたゾルゲは、自分の帰るべき祖国がすでにスターリンの「一国共産主義」のために大きく変貌してしまい、まさに秦郁夫氏が指摘するとおり「進むも地獄退くも地獄」の行き詰まりにあることをはっきり認識しつつも、最後まで国際共産主義者としてその生を全うしたことになっている。その苦しい胸のうちが乱脈な行動に現われたのだろう。
今日、振り返って見ると、ゾルゲが最後まで忠誠を尽くしたソ連はもはやない。結局、さしも稀代の大スパイ・ゾルゲも「正義」に翻弄されたのだった。
だから篠田監督は、その祖国ソ連が「開祖レーニン」とともに崩壊する映像記録を挿入した。

2.26事件の青年将校もまた同じ位相で描かれている。
この時代の日本の深刻な経済不況は今日の比ではない。都市では大学を卒業しても職にありつけない失業者があふれ、農村の疲弊は目に余る惨状だったようだ。
ゾルゲやアメリカ共産党員の宮城與徳の眼を通して、当時の東北農村の悲惨きわまりのない貧困振りを描いた。
駅で外国人に物乞いする子供や、売春街に身売りをせざるを得ない貧しい家庭の子女は、同時にまた青年将校や兵士たちの家族であり、「尊皇討奸」を掲げる決起将校たちの強い叛乱動機になった。多くの国民が同情した理由もそこにある。
しかし、体制側の政府要人たちは、そこに国体を揺るがす「コミュニズム」との類似性を嗅ぎ取っていた。(近衛上奏文などはその典型に見える)
ところが天皇を奉じた「決起」は、逆に天皇によってあっさり「賊軍」と裁断されてしまう。叛乱軍将校に同情的な軍首脳は、かえって叱責を受けたくらいだという。

こうみると、漫画「アドルフに告ぐ」で、幼馴染ながら最後は命を懸けた果し合いをせざるを得なかった二人の「アドルフ」と同じ位相になっていることに気付く。
つまり、「国家」や「民族」、「イデオロギー」、あるいは「信仰」を「正義」と信じて命を懸けた人々が、まさにその「正義」の故に裏切られ、無残に死んでいった「悲劇」を描かざるを得なかった。
フルシチョフのスターリン批判にもつながる。ここに、戦争と革命の時代を経験した人々の深刻な教訓があるのだろう。それは「革命が裏切られ」た挙句に逢着するニヒリズムに流れやすい。

そこにはまた、上から鼓吹される「正義」への強い「不信感」があるように思う。果たしてどこに「正義」などというものがあるのか。

一見平和で、史上最も繁栄したか見える戦後の日本。
だがその底流には戦争を経験した世代の、深い「虚無感」が流れる理由がそこにあるのではないだろうか。
表面だけが取り繕われただけで、根本的な「不条理」はずっと置き去りにされてきた。
だから、「戦後は終わっていない」のかもしれない。
経済的な復興で表向きを「化粧直し」しただけで、何も本質的な解決をしないままなのだろう。

何よりも歴史認識問題が、日本人自身の中で決着しないまま戦後70年の時が過ぎた。これは「蟻の兵隊」でも指摘した。
たまたま生き残れた喜びは同時に、無残に死んだ仲間への負い目と裏腹だったのかもしれない。父の葬儀に参列してくださった戦友の方々から、その苦しい胸のうちを伺った。
私たち戦後生まれにとってのヒーローには「戦争」の影を背負った人が多いと思う。横綱大鵬もそうだった。司馬遼太郎の問題意識もここにあったようだ。

そういえば、全国民注視の中、1972年ルバング島から帰還した横井庄一さんの最初の言葉は、ハンカチを眼にあてながら「恥ずかしながら帰って参りました」だった。たまたま一緒にテレビを見ていた戦中派の叔父が、「そっとしてやって欲しいな」とポツリと述べたことを今も思い出す。

そういう視点でこの映画を観た。

http://hiroshia.vivian.jp/archives/3131


漫画「アドルフに告ぐ」とゾルゲ事件(3)


たぶん中学1年のときではなかったかと記憶するのだけど、「自分は元特高だった」と自称されていたYという英語の先生がいた。
今思い出しても、元特高なのに英語の先生というのも面白いが、私たち戦後生まれの生徒は「特高」というものがどんなものかよく分からないので、好奇心で聞いていただけだった。

Y先生は「英語にはリズム感があるのだ」とおっしやって、机の上面を鞭みたいなもので叩きながら、リズムをとって「ジッシズ・ア・ペン」みたいな抑揚をつけた音調で発音練習を施された。
先生は確か頭髪が天然パーマで、元特高というだけあってなるほどいかつい相貌と鋭い眼光をされていたけど、普段は生徒に優しい教師であったと記憶する。お昼の給食も、私たち生徒とともに仲良く一緒に食べていた光景を思い出す。

ただし宿題をサボったり、授業中にいたずらをすると、丸い木の棒でふくらはぎを「ピシャリ」と叩く。これがなかなか上手くて、叩かれた跡が残らないのにとても痛い。先生は「殴り方」のうまさを自慢されていたが、あの棒は怖かった。なるほどこれが元特高なのかなと、感心したものだ。
学校での「体罰」など考えられない今日だろうが、私たちのころはもっとのんびりした田舎の学校生活だった。

Y先生は授業の合間に
「見ろ、日本語というのはこんなに遅れた後進国の言語だ。書くのにやたら時間のかかる漢字があって、その上にひらがな、かたかななんて七面倒な文字がある。整理できてないから複雑なだけだ。それにくらべると、英語はたった24文字で済む。とても合理的だ。この差で日本は戦争に負けたんだ。しっかり英語を勉強せい。」
みたいな話をされたことがあった。私は勉強が嫌いだったが、こんな雑談はよく覚えている。妙に感心したからだろう。
Y先生が本当に元特高だったのか、そして日本語がそんなに遅れた後進性の言語なのかは、私にはわからない。
ただ、戦時中の「特高」という言葉のニュアンスが、なんとなく具体的に想像できた。そして、戦争に負けた日本人がこの敗戦国をどう認識していたかが伺われる。



昭和16年10月、東条内閣発足のまさにその日に一斉摘発で逮捕されたゾルゲやそのグループも、おそらく相当酷い扱いを受けたのだろう。(ゾルゲたち外国人は警視庁外事課が取り調べた)
例えば、沖縄出身のアメリカ共産党員で画家の宮城與徳は取り調べの最中、2階の窓から飛び降り自殺を図ったものの、死ぬことができなくて結局すべてを自白した。密室の拷問には耐えられなかったからだろう。素朴で献身的な諜報員だったようだ。そこから芋づる式にグループ全員が摘発された。
映画の中で、宮城は尾崎秀実に共産党員になった理由を、アメリカでの東洋人差別に加えて、沖縄人であるために日本人からも差別されたからだと述べている場面がある。細かい点だが見逃せない。
今も沖縄問題は、なんら本質的な解決をしていない。ゾルゲの時代のだけの話ではない。

その尾崎も素っ裸にされて竹刀で滅多打ちに殴打される場面がある。この時代に「アカ」のレッテルを貼られて当局に捕まることは、恐ろしい拷問が待っていた。暗黒の軍国主義時代に「思想犯」「非国民」として断罪され、人道にもとる迫害を受けた人々の名誉と人権は回復しているのだろうか。国家の過ちとして、正式に謝罪すべきではないだろうか。



漫画「アドルフに告ぐ」では、共産主義者でなくても、日本の戦争政策に反対の意見を持つ教育者や自由・平和主義の文筆家たちが次々に激しい弾圧を受けた事実が描かれている。当局の過酷な追及を逃げ回り、中には自ら首を吊って自死する人々もいた。
戦前の昭和初期とは、そんな非道な暗黒時代だったのだろう。

手塚治虫は「ガラスの地球を救え」でこう述べている。

「人間狩り、大量虐殺、言論の弾圧という国家による暴力が、すべて”正義”としてまかり通っていた時代が現実にあったことが、・・・・ついこの間の厳然たる事実だったのです・・・・」(光文社知恵の森文庫 48ページ」
手塚にとっては同時代の事実だった。

「ぼくたちは、この世の中が百八十度転換して、昨日までは”黒”だったものが、きょうは”白”と、国家によって簡単にすり替えられた現実を目のあたりにしている世代ですから、その恐怖をなんとしてでも伝えたかった。・・・」(同49ページ)

今の憲法で思想・信条の自由が規定されているということが、どれほど大切な意味を持つか改めて痛感する。ここはGHQに感謝しなくてはなるまい。
軍事独裁政権の苛酷な人権侵害は戦後世界にあってもアジアや中南米でたくさんの事例がある。戦後日本では概ね戦中戦前のような事態は避けられた。あって当たり前の空気が欠乏してはじめてその貴重さに気づくように、この憲法の理念をおろそかにしては、自分の首を絞めることになるだけだ。

「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」
(日本国憲法第19条)

日本国憲法
さらに、もし日本がソ連に占領されていたらどうなっただろうか。
それは、映画「戦場のピアニスト」や「カティンの森」で見たポーランドの運命に近いものになっていたのではないだろうか。つまり冷戦終了までは、窒息しそうな息苦しい全体主義の時代が長く続いていた可能性が高い。

政治権力の奪取に偏った「革命思想」。モンスター化した権力は目的と手段をひっくり返す倒錯現象を生み、一番肝心な「人間」を見失い、手段化した。かくて国家は悪魔的な「人間抑圧システム」へと変貌し、その暴力は徹底的に自己を正当化した。

冷戦終結は資本主義の勝利というよりは、「欠陥品」である社会主義イデオロギーの内部崩壊なのだろう。それこそ「歴史的必然」。
「社会的諸関係の総体」には暖かい血が通っていなかった。

一方、様々な矛盾はあっただろうが、ともかくGHQに占領され、「自由主義諸国圏」に入れてもらって来れたことは、戦後日本人にとっては幸運だったと言ってよいと思う。
皮肉なことを言えば、アメリカの軍事力の庇護のもとで経済活動に専念できたのだ。今は、その戦後体制や思想が根本的に揺らいでいる。



さて、第一次大戦中のドイツ帝国で真面目に祖国を信じて戦い、三度も「名誉の」負傷をするほど献身的に貢献したものの、帝国主義戦争の無意味さを痛感した青年ゾルゲは、野戦病院の看護師や医師から社会主義を学び、1919年にドイツ共産党に入党する。
そしてコミンテルンの理想主義的な運動に参加した。思い込んだら徹底して実践する性格が伺われる。
ちょうど中国では五・四運動の年だ。毛沢東や周恩来が歴史に登場する頃にあたる。朝鮮半島でも「三・一独立運動」が起こった。

しかし、こと志とは違ってゾルゲの前途は決して恵まれた道ではなかった。

スターリンの登場でコミンテルンは変質してゆく。そのためにゾルゲも、所属をコミンテルンから赤軍諜報部に移さざるを得なかった(1929年)のは不本意だったようだ。それでも理想を捨てずに最後まで頑張ったのだろう。もう、元には戻れない。
そのミッションは、とうとう極東の日本にまで到達した。

この弱肉強食の野蛮な帝国主義の時代、世界で唯一の社会主義国家ソ連は東西両国境をナチス・ドイツと日本軍国主義に挟まれ、存亡の際にあった。独ソ不可侵条約(1939年)、三国同盟(1940年)、日ソ中立条約(1941年)という具合に、仁義なき合従連衡が続く。

ゾルゲは持ち前の智力・体力を尽くして、はるか極東の異国に自分の主宰する諜報組織を見事に作り上げた。それは余人の追従を遥かに許さぬ達成と言っても過言ではないだろう。
歴史も文化も異なる島国で、日本軍の「北進」を阻止するための諜報活動にあたった。場合によっては情報操作まで試みた。

ゾルゲの行動を活写した力作として「引き裂かれたスパイ」(上下 ロバート・ワイマント著 新潮文庫 平成15年刊)は、とても読み応えがあって参考になった。

この作品の特徴は訳者・西木正明氏の「あとがき」によると

「現代史の研究家や、このジャンルで仕事を続けている作家にとってゾルゲ事件は情報の宝庫といっていい。ゾルゲ事件を調べることによって、悲劇的なあの戦争の実相に迫れるだけではなく、副次的にさまざまな事柄をあぶり出すことが出来るからだ。
・・・・・本書は、通常の意味での翻訳とはいささか異なる作業の結果生まれたことを、読者におことわりしておかねばならないだろう。
すなわち、翻訳者によって原作の一部が削除ないし加筆されているのだ。当然ながらこのことは、通常の翻訳とは異なり、内容そのものについても、翻訳者が責任の一端を担うことを意味している・・・・
ゾルゲの生涯を描くことは、すなわちあの時代を描くことだと、長い間このテーマをあたためてきた。ゾルゲが命懸けで守ろうとした社会主義の祖国も、今やない。いろいろな意味で、深い感慨を覚えさせられた作業だった。・・・・」

また映画「スパイ・ゾルゲ」の篠田監督も次のように「解説」を寄せている

「・・・・すでに映画『スパイ・ゾルゲ』のシナリオは完成していて、製作の準備に入っていた。読了とともに、ワイマント氏の仕事を早く知っていたらと後悔したものである。ゾルゲ研究では最新の著作であることから、それまで先行した研究著作を上回る資料の発見、解釈の進展などが進み、私はある種の羨望さえ抱いたものである。・・・・リヒャルト・ゾルゲ事件を中心に据えなくては昭和の日本は見えて来ない・・・・・」

ゾルゲ引裂かれたスパイ

しかしその結末は、余りにも孤独で悲惨な最後を迎えたことになる。ときに46歳。

想像を絶する過酷な条件下での諜報活動で、身も心も荒んでゆくゾルゲ諜報団(ラムゼイ)。頼みの綱の通信使クラウゼンも、夫婦ともに逃げ腰になってきた。身辺に迫る監視、尾行の恐怖に神経の休む暇もなかっただろう。ましてや閉鎖的な島国で、言葉の壁も大きい外国人だ。覚悟したこととはいえ、生身の人間、とうに限界点を超えていたことと思える。日本での諜報活動は、すでに8年を経過していた。

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ゾルゲの功績を讃える旧ソ連切手

しかも、もしも社会主義の祖国ソ連に帰ることができたとしても(そこには妻カーシャが待っていた)、スターリンの粛清にあうことがほぼ確実であった。鋭敏なゾルゲは充分それを自覚していたと思われる。
フルシチョフが回顧録で述べているとおり、ボルシェビキ革命の大多数の功労者がすでに抹殺されていた。

ちなみにフルシチョフ時代にゾルゲの名誉回復が行われ英雄に祭り上げられたのだが、「後の祭り」感は否めないし、それもまた権力者の「政治利用」に近い。
もともと社会矛盾の克服と理想世界の実現を描いて立ち上がり、命懸けで共産主義に飛び込んできた人々だけに、さんざん政治に翻弄された末路は悲惨だ。

切手になったゾルゲ

この間の事情は「国際スパイ ゾルゲの真実」(NHK取材班 下斗米伸夫 平成7年刊)が参考になった。
ロシアのマルクス・レーニン主義研究所元部長であったフィリソフ氏の証言を以下に引用しよう

「・・・・1920年代の終わり、コミンテルンによる国際共産主義運動は、スターリンの影響で政治方針を変化させていきました。・・・・・ゾルゲは、コミンテルンに導入された新しい方針に、反対の立場をとっていました。そして、1928年から29年にかけては、コミンテルンの議長だったプハーリンを筆頭に、そうした考えを持った人たちは、次々とコミンテルンから追い出されていったのです」(同書51ページ)

国際スパイゾルゲの真実_

特高の取り調べに対して、最後は大泣きして自白したというゾルゲの心境を想像するに、たんに日本の警察に負けたという以上の「敗北」を意味していたのではないか。

父はドイツ人、母はロシア人だった。両親の国どちらへも帰ることのできないゾルゲの末路は、縁もゆかりもない極東の異人たちの尋問と監獄、そして絞首刑だった。意地の悪いことに、これ見よがしにその日はソ連の革命記念日だったという。

私は自分が生まれ合わせた平和な戦後日本が、いかなる歴史的経過を経て今日に繋がったのか、父祖の時代を振り返って考えるときに、R・ゾルゲの数奇な軌跡がとても参考になると思った。

本当に気の塞ぐような暗い話だが、手塚治虫が言い残したように「ついこの間の厳然たる事実」だったのだ。

そして、今更ながらに「戦後体制」の有難さを噛みしめた。

http://hiroshia.vivian.jp/archives/3198

漫画「アドルフに告ぐ」とゾルゲ事件(4)


「国際スパイ ゾルゲの真実」(NHK取材班 下斗米伸夫 平成7年5月 角川文庫)は、ゾルゲ事件の真実に迫る名著だと思った。

特に独ソ戦(1941年6月22日)勃発前後から約半年の諜報戦は、まさに迫真の史実だったことがよくわかった。
不可侵条約(39年)を一方的に破棄したナチス・ドイツの、不意打ちの大侵略を西から受け、存亡の際に立ったソ連とスターリンの最大の懸念材料は東側の日本帝国の出方だった。日本にどれくらいの「北進」の可能性があるかを探るゾルゲ諜報団の活動はこの時期、まさにその真骨頂を発揮したといって過言ではない。

日本国内にも、卑しいことながらドイツの攻勢を「好機到来」と見て、三国同盟を根拠に「日ソ中立条約」を破棄して参戦すべきと公言する者がいた。あるいは、ナチスに食い荒らされて、ソ連が抵抗力を失ったあとでシベリヤを無傷でいただけば良いというような、姑息な意見もあったようだ。
これが誇りある武士道の国とは思えないような、性根の腐った政治家や軍人がいたのだった。そこに繋がって金儲けを企んだ者もいたのだろう。

昭和16年秋、荒波にもまれる小船のように国際情勢に翻弄された挙句、日本は無謀にも南部仏印進駐に舵を切った。それは長引く日中戦争の始末に行き詰まり、ABCD包囲網に封じ込められ、まるで窮鼠猫を噛むがごとき選択だった。
今更言っても始まらないが、米英との軍事衝突は国策上の大失敗だった。こうして日本の戦争指導者は、真相を知らされていない全国民と、アジアの罪なき人々を奈落へ突き落とした。
まさに地獄絵図の始まりだった。

多くの日本人がのぼせあがって自らを見失っていたとき、ゾルゲは帝国日本の破綻を的確に予測してモスクワに報告していたのだった。

ゾルゲの日本人妻・石井光子へのインタビューによると、この昭和16年10月4日、まさに逮捕の半月前、私服刑事が周囲を見張る銀座のレストランでゾルゲと光子の間にこんな会話があったという。

「・・・・日本がアメリカと戦争をするというのよ。・・・・私は、・・・・日本は日米交渉でうまくやるって言ってやった。・・・・・そうしたらゾルゲは、いや、・・・・日本は電撃戦やるって言ったの。私はそのとき、そうかなあ、と思ってたら、(その後)日本は本当に宣戦布告しないで戦争をやったものね。・・・・」

そして
「・・・・『アメリカはモノイイデキマス。絶対に日本は勝てない。やったら負け、必ず負ける』ってそう言ってた・・・・」とも証言している。

半月後の17日、ゾルゲは逮捕された。
そして翌日12月8日、日本は本当に真珠湾奇襲を敢行してしまった。不意討ちの「戦果」に過ぎないのに、愚かにも国民は熱狂してしまった。真相を見抜けなかったのだ。

巻末に付された解説文を参照してみよう。

国際スパイゾルゲの真実

「・・・・ゾルゲは、単なるソ連のスパイというには巨大であり、スターリン体制と、天皇制国家、そしてナチス・ドイツの運命にかかわった人物として・・・・・多くの人物によって論じられてきた。」(p263 下斗米伸夫)

「・・・・このことは、ゾルゲ事件の一つの性格を物語る。とくにゾルゲや尾崎は情報を入手し、それを通報するというよりも、それ自体が情報源であるような存在だった・・・・」(p298  尾崎秀樹)

「・・・・ゾルゲは個々の情報をそのまま通報しているわけではない。今回公表されたKGB文書のラムゼイ報告を見ても明らかなように、ゾルゲは入手した情報を綜合し分析した上で、それぞれの答えを出していた。指令に応じたものだけでなく、独自の判断でとりあげた問題もある。三国同盟の締結、独ソ戦開始の時期、北進から南方への対外政策の切り替えなど、最高機密に属する情報が多く、しかもそれを正確につかんでおり、報告そのものは短文だが、その裏に秘められたゾルゲの的確な状況の把握が感じられる・・・。」(同 p307)

これらの解説は、この事件の規模の大きさとゾルゲの卓越したな情報収集力、分析力を物語っている。

漫画アドルフに告ぐ

漫画「アドルフに告ぐ」では大阪憲兵隊長の子息でありながら「アカ」の地下活動に従事、父の部屋に入って軍事機密を接写して「ラムゼイ」に送る「本多芳男」が登場する。もちろん架空の人物だが、機密文書をこっそり高性能写真で撮るという行為は、実際にゾルゲがドイツ大使館で行っていたことだった。

また、芳男が機密文書をもうひとりの地下活動家に手渡す場面がある。
互いにまったく見知らぬ地下活動家どうしだが、予め所定の書店の店先でお互いの「暗号」を交わす。
芳男の合図は「私はこの本をとてもおもしろく読みました。一番おもしろいのは25ページです。」、相手は「おれは73ページが一番おもしろいと思うね」と応じている。
これで互いの認知工作は完了して、その直後に芳男はしおりに入れた写真のネガを書籍にはさんで渡す。例のヒトラーの出生書類だ。

これは、実は獄中で書いた「ゾルゲの手記」(みすず書房 現代史資料1962年)に類似の記述があるので、これを読んで手塚治虫がヒントを得たのだろうと思われる。

たとえば、手記の中でゾルゲはこう記している
「・・・・彼ら(伝書使)との連絡は、モスクワと打ち合わせたうえで行われた。連絡の場所、日取り、面会方法に関する条件などすべて無線で打ち合わせるのであった。伝書使とわれわれがお互いを知らない場合は、特別な標識、合図の言葉、お互いを確認するための一連の文句を無線で打ち合わせて決めた・・・・」と、具体的ないくつかの事例を挙げている。

このゾルゲの手記は、獄中で書き残されたもので、冒頭に
「左に掲ぐるはゾルゲの取調に当り、本人に作製せしめたる手記にして独逸大使館関係コミンテルン及日本に派遣された経緯、支那時代、諜報活動関係、連絡方法、其の他6項目に亙り、其の内容は今後の検挙取締上熟読玩味すべきものあり。」
と解説文のあることから、ゾルゲ事件の取調官や裁判関係者に資料として提供されたものであることがわかる。

当然ながら獄中のゾルゲ自身も、その意図を充分認識しており、自分の置かれた状況を仔細に考量したうえで書いたに違いない。
この手記がどう取り扱われれるか、きっとあらゆる可能性を想定しながら慎重に作成したのであろう。
そのうえおそらく、彼はこの手記がたんに当面する裁判記録としてだけではなくて、自分自身のいわば「人間記録」として後世に残ることをも予測していたはずだ。

だからゾルゲの人となりを再現する上で、とても興味深い第一級の資料だ。そう考えてこの手記を解読することには、今日の時点でも大いに意味があるように思った。

切手になったゾルゲ
旧ソ連で切手になっをたゾルゲ

歴史的な背景を確認しながら彼の人生を詳細に追うことは、第1次大戦から第2次大戦に至る「戦争と革命の時代」20世紀を、リヒャルト・ゾルゲに沿って学ぶことにもなると思われる。
そして、ゾルゲ評価の分かれるあり様はまた、現代史を読み解く、それぞれの史観や政治的立場の違いを浮き立たせることになるのだろう。

それほどにゾルゲの存在は大きい。

http://hiroshia.vivian.jp/archives/3217

漫画「アドルフに告ぐ」とゾルゲ事件(5)


昭和18年9月29日東京刑事地方裁判所第9部の判決文を読んでいて、興味深い文面に気づいた。

この判決でリヒャルト・ゾルゲは死刑判決を受けているが、判決理由の冒頭にわざわざ大袈裟な表現で
「被告人は嘗て『カール・マルクス』が『第一インターナショナル』を創設したる当時其の書記として活動したる『アドルフ・ゾルゲ』の孫にして・・・・」
とあるのには、この時代の雰囲気が感じられて興味深い。

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みすず書房 現代史資料

まるで、極悪人「カール・マルクス」の直系の血を引くおどろおどろしき末裔、といった描き方なのだ。なにか時代劇の捕り物の口上のような始まりなのだ。この事件当時の日本の治安当局が、共産主義者をどう見ていたかを雄弁に物語っているように思われる。
言葉つきも、いかにも居丈高なのだ。国家が民衆を睥睨していた。

では、同じ資料の中に収録されているゾルゲの手記をあたってみよう。ゾルゲは本当に「悪漢の血筋」なのだろうか。

みすず書房 1962年刊の「現代史資料 ゾルゲ事件1」には(一)と(二)に分かれて手記が収録されていて、同書の解説によると

「・・・・本文テキスト(一)は、内務省警保局偏『昭和17年中に於ける外事警察の概況』の512-35ページに拠る。本文の最初にある特高警察の前書によれば『左に揚ぐるはゾルゲの取調に当り、本人に作製せしめたる手記にして、・・・・・その内容は今後の検挙取締上熟読玩味すべきすべきものあり』と書かれているが、おそらく本テキストは、1941年10月18日検挙されたゾルゲの、ほぼその一週間後27日月曜日(毎日9時より3時まで)より開始された司法警察官に対する供述の内容を基として、特高警察が内部用にサム・アップし、手記の形式に整えたものではないかと想像される。従って本テキストは判決のさい証拠として採用されていない。・・・・真に手記というべきものは本書にリヒアルト・ゾルゲの手記(二)として掲載されているもので、ゾルゲが検事に対し、自らタイプして提示したものである・・・・・」
とある。

つまり手記は二つ残っていて、(一)は
「・・・司法警察官の訊問調書が本書に収録されていないために、この時期のゾルゲの供述は、本テキストによって知るほかない」性質の資料であって、(2)については

「1941年10月以降、ゾルゲ自身がタイプで打った原稿(ドイツ語)に基づくものである。生駒佳年氏(当時東京外語教授)によるその邦訳全文は1942年2月、司法省刑事局刊『ゾルゲ事件資料』(2)に前半を、1942年4月司法省刑事局刊『ゾルゲ事件資料』(3)に後半が印刷され、政府の関係者に配布された。・・・・・」ものという。

また、「生駒氏の訳された日本文は英訳されて、1951年8月のアメリカ下院非米委聴問会において、証拠書類として提出された・・・・」(いずれも同書)
とあるが、別途後述するように、戦後冷戦期のマッカーシズム時代に占領軍GⅡのウイロビーにも「利用」された。それは、冷戦時代を反映していて「共産主義」の恐ろしさを宣伝するためだった。この頃、ハリウッドは「冬の時代」を経験した。

ゾルゲ事件担当検事であった吉河光貞氏が1949年2月19日、極東軍GⅡの命によって提出した供述書によると

「1941年10月私は東京地方裁判所検事局に勤務を命じられていた検事でありました。・・・・・当時東京拘置所に拘禁されておりましたリヒャルト・ゾルゲに関し、検事の取調を行うよう命ぜられました。私は取調を1942年5月まで行いました。・・・・・取調べの進行中、リヒャルト・ゾルゲは、すすんで私に対し、彼の諜報行動の全体のアウトラインに関する記述を作製の上、提出したいと提議しました、この提案によって、リヒャルト・ゾルゲは私の目前で検事取調室において、ドイツ語でその供述を作製しました・・・・その供述の1章または1節のタイプが終わると、ゾルゲは私の前で読み、私のいる前で、削除や追加をしたのち、私の方へ手渡したのです・・・」

吉河氏の述べるところによると、氏自身ドイツ語も英語も不十分だったが、ゾルゲは話がむつかしくなるので通訳を取調べに入れることには反対したという。そこで吉河検事は不十分ながら辞書の助けをかりて、手記や訊問調書をゾルゲとともに合作したという。原文はドイツ語だったのだろう。
そして、取調べのおわたったあと生駒氏が正式の通訳に採用され、日本語翻訳文を作製したものらしい。ドイツ語の記述についても異論ないかどうかゾルゲに訊ねたうえでゾルゲの署名を付した。
このときのドイツ語の唯一の原文テキストは司法省の戦災で亡失しているが、訊問調書の写しは保存されていて、戦後アメリカ占領軍によって没収されたという。
ただし、この手記が起訴の材料にまでなるとは、ゾルゲ自身は書くとにきは知らなかったらしい。

このときの「言葉の壁」が、取調べに大きな困難を与えたことも興味深い。ゾルゲに通訳として接した生駒氏が後年に貴重な回想を残している。
「・・・・・本来ならば検事の取調べと予審廷での訊問は別の通事を用いなければならないのだが、その時は他に人がいなかった為再び私が通事を依頼される仕儀となった・・・・」(同現代史資料)

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戦後進駐軍に接収されたあとの「巣鴨プリズン」

この当時の日本で、ドイツ語を母国語とする外国人を取調べ、裁判にかけることがいかに困難な作業であったかを彷彿させると同時に、故郷から遠く離れた極東の異国で、言葉も満足に通じないなか、刑事被告人として極刑も想定しながらの孤独な獄中生活を送ったゾルゲの心中も思いやられる。

ところで本題にもどって、ゾルゲが祖父の思想的影響をどれだけ受けていたのかというと、この手記を読む限り、そうはいえない。
たとえば手記(二)第3章 「ドイツ共産党員としての私の経歴」(同現代史資料214項)を紹介すると

「1914年から1918年にわたる世界大戦は、私の全生涯に深刻な影響を与えた。・・・・私はこの戦争だけでりっぱに共産主義者になったものとおもう。・・・・・」
とあるし、肝心の祖父については
「・・・・私は、祖父が労働運動に尽くしていたことを知っていた。そして父の考えは祖父の考えとはまるで正反対だったことも知っている。・・・・」
と客観的に触れているが、祖父の思想・行動がゾルゲが共産主義を主体的に選んだことに何らかの影響があったとは読み取れない。

判決文そのものは、そのあと事細かな罪状を大量かつ克明に書き連ねていて、読んでいても飽きるほどだが、そこは役人仕事でおそらくゾルゲの証言を正確に逐次反映した内容なのだろう。しかし、ゾルゲと取調べ側との間には神経戦にも似た取引があって、それ相応の妥協や合意はもちろんあったようだ。
更には日本側でも固有の国内事情があって、特に軍部の憲兵隊と内務省管轄の特高警察との縄張り争い、反目も指摘されている。こうした複雑な状況の中で「国際諜報団」は摘発され、取調べを受け、そして裁判、判決へと進んだのであったのだ。
最終的に上告棄却は昭和19年1月。

特高側も、最初からゾルゲや尾崎のような大物が網にかかると想定していたわけではなかった。日本人共産主義者を虱潰しに取り締まり検挙しているうちに、芋づる式に宮城にたどり着いた。それがこんなにスケールの大きな国際ネットワークにたどり着くとは、想像の埒外だったようだ。

検挙(41年10月)後の司法省の発表は翌1942年6月16日で、ゾルゲや尾崎の検事調書が済み、証拠堅めが成ったあとだった。国民一般に周知されたのはこれが初めてだった。

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その中の司法内務両当局談には
「国際諜報団事件については、捜査当局の不眠不休の努力の結果やうやくその全貌を明白ならしめ、不逞組織を根柢より覆滅することを得たのであるが、大東亜戦争の開始に先立ち、これを検挙することを得たについては真に関係当局の労を多としなければならない・・・・」(同542項)
「・・・当局としては、今次事犯の経験に鑑み、この種不逞分子に対する取締を一層強化しその徹底を図ると共に・・・・」(同)と記している。

そして「・・・・上層部その他の有識層の各位において、軽々に国際的秘密事項に関する論議をなし不識の間に秘密事項を察知せられるが如きなきやう格段の自粛自戒を切望してやまない・・・」(同543項)
といった具合に取り締まり方の権威をもって、居丈高に関係者を恫喝している。剥き出しの権力意思だ。

ともかくいきなり「不逞組織」「不逞分子」と決めつけて憚らない。しかも「治安維持法違反」の罪科を適用するために、国体変革や私有財産制を否定する革命運動と強引に関連付けた恣意性は否めない。
そもそもゾルゲの諜報活動はソ連のための行動であって、日本共産党の非合法活動と直接の連携はない。また、ソ連当局からも、ゾルゲたちは現地共産党と連携することは厳しく禁じられていたと、手記でも予審でもゾルゲは述べている。
それにゾルゲの身分は、すでにコミンテルンからははずれていた。スパイ行為だから「国防保安法」や「軍機保護法違反」「軍用資源秘密保護法」違反に問われることはゾルゲたちも覚悟のうえだろう。しかし、日本の共産主義革命を取り締まる「治安維持法」違反で外国人のスパイ活動を裁くのは、やや無理筋を感じる。手記を見てみよう。

「・・・・かくして、コミンテルンから分離された結果、私に課せられた任務の性質にははっきりした変化が認められた。私は、中国及び日本の共産党とは一切の交渉を禁ぜられ、勝手に会うことは勿論、彼らを援助することも許されなかった・・・・」(同141項)

「・・・・組織上私がモスクワとそんな関係にあるかという点については、私には何らの説明を与えられなかった。従って、私は一体どんな機関に所属しているのか不明であった。また、私の方からも敢えてこの点について尋ねてみることをしなかった・・・・私がいろいろと考えてみた結果得た結論は・・・・党の最高部、従ってソヴィエト政府の最高部で使用されたことは確かである・・・・」(同142項)

「・・・以上を要約するとこういうことになる。私は、日本におけるスパイ団の長として直接、かつ専らソヴィエト共産党中央委員会との間に関係を持っていた。なお、私の仕事の技術面と若干の諜報活動については赤軍の第4本部にも属していた。前にも述べたように、コミンテルンと私の関係は単に間接的なものにすぎなかった。・・・」(同143項)
微妙な言い回しながら、日本における共産主義革命には直接関与していないと、はっきり述べているのである。

しかし、ソ連赤軍の配下であることだけを衝かれると、今度は憲兵隊にまわされかねない。特高がこの事件をあくまで自分たちの縄張りで裁こうとした思惑が「治安維持法」適用につながったのだろう。当初取調べにあたった警察庁外事課の大橋部長の証言では、ゾルゲも憲兵に捕まると、いきなり銃殺になるのではないかと恐れたから、特高の説得に応じたのだという。取調べ、公判はこうした事情を反映した「合作」なのではないだろうか。

しかし、この段階ではまだゾルゲは助かる可能性に希望を持っていたようだ。確かにスパイではあっても同盟国のドイツ人であり、ドイツ側がどうでるか不明であったし、肝心のソ連とも日ソ中立条約を結んでいるので、折からの太平洋戦争の動向も含めてゾルゲにはまだ脱出可能性が充分あると思えたのだろう。
かつて上海では蒋介石政府のもとで「ヌーラン事件」(1931年)といって類似の事例があったが、最終的にソ連の干渉でスパイは国外退去というかたちで命拾いしている。
しかしその後のソ連のゾルゲ事件への態度(まったく無視だった)や国際関係の変化、戦時下の日本という異常な条件の下では、不幸にしてゾルゲの願いは叶わなかった。
こうして極刑が確定した。

「 本件上告はこれを棄却す。  昭和19年1月20日       大審院第一刑事部」

いずれにせよ、手塚治虫の傑作漫画「アドルフに告ぐ」に描かれた、「アカ」と呼ばれた人々に対する残酷な人権侵害は、こうした政情のもとで白昼堂々と行使された暗黒時代だった。治安維持法は拡大解釈され、共産主義者以外の人々でも容赦なく取り締まり、検挙し、拷問した。戦争に反対する人は無論、政府の政策に疑問を表明する人はたちまち「アカ」として残虐な扱いを受け、その家族は「非国民」として社会から村八分の扱いを受けた。宗教統制に従わない教団も徹底的に弾圧された。
この時代の日本では、「自由」が完全に窒息していた。

この判決文冒頭の表現や司法内務当局発表文も、そうした社会状況を反映しているのであろう。亡くなった叔父がよく「・・・大正生まれは本当に(歴史の)被害者で損した」と問わず語りに話してくれた言葉を思い出す。

同書巻末の「歴史の中での『ゾルゲ事件』」によると、

「・・・・1941年10月ゾルゲら検挙の報は、日本の支配層に電撃のように伝わった。それは、厖大な流言の洪水を招いた。・・・・・一般の人民は、つぎの司法省の発表まで、何も知らされることがなかった。それは、検挙の翌年1942年6月16日・・・」

「この発表ののち、敗戦まで日本国民がゾルゲ事件についてふたたび聞くことはなかった。ゾルゲの刑死したのは、1944年11月7日、ロシア革命記念日であったが、その発表は行われなかった。・・・・」とある。

戦時中の国民には、本当のことは知らされていなかった。
こんな国家犯罪は絶対に許されない。わずか70数年前のことだ。これからも、都合の悪いと思う勢力が歴史の真相を隠そうとするだろう。
その時代に生きた手塚治虫は、自らが生きた酷い歴史の真実を後世のために描き残していたのだと思った。

http://news.kodansha.co.jp/20161113_c01


『アドルフに告ぐ』手塚治虫最高傑作? ナチスと日本特高警察の「正義」

レビュー


歴史


草野真一



『アドルフに告ぐ(1)』
(著:手塚治虫)

2016.11.13

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自分メモ
















アドルフ・ヒットラーはたいへん優秀な政治家であった。

第一次大戦の敗戦と世界恐慌が重なって、当時のドイツは最悪だったと言っていい。政治家ヒットラーはそれを救ったのである。少なくとも、当時のドイツの景気が戻った要因のひとつが、ヒットラーの政策にあったことは、疑いようがない。

彼は景気浮揚策として、アウトバーン(高速道路)の建設を進め、積極的な公共投資をおこなった。これははじめから失業者対策を狙っておこなわれたから、あえて機械化比率を抑制し、雇用を促進する形で進められている。

公共事業をやれば景気は上昇する──これは、日本の高度経済成長を支えた論理とまったく同じだが、裏付けがまったく違う。日本の場合はケインズ経済学あって公共投資が行われているのに対し、ヒットラーにはそんなものなかったのだ。したがって、彼はカンと経験則だけでこれをおこなったのである。大したもんだというほかはない。

もうひとつ、ヒットラーの政策で影響が大きかったのは、アーリア人(ゲルマン民族)の優位を訴えたことだった。アーリア人はたいへん優れた人種(支配人種)である。すべての有色人種に勝っている。ドイツとはそんな優れた人種によって建国された国なのだ。なぜあなたは誇りを持たないのか。ヒットラーはうちひしがれたドイツ国民にそう訴え、鼓舞したのである。本作にも印象的に描かれているベルリン・オリンピックとワーグナーの音楽は、その証明だ。

血統や血筋を持ち上げて、わが民族は優れていると語ることは、多かれ少なかれどの民族もやっている。もちろん日本もやっている。お家芸と言っていいほどだ。大和魂、日本男児、大和撫子、枚挙に暇がない。戦前~戦時中ならなおさらだ。



この理屈をより強力なものにするためには、比較対象を設定すればよい。ヒットラーはこれをユダヤ人とした。アーリア人の純血を汚すユダヤ人は排除してしかるべきだ。こうして、悪名高きユダヤ人大虐殺は実行された。

自分を他人より優れたものと見なしたい。他者を自分より劣ったものと考えたい。そんな気持ちは、誰にだってある。私にもあるし、あなたにもある。ヒットラーはそこをくすぐったのだ。人種を優劣の理由とすれば、多くのものを包含することができる。なんにもない人も勇気づけられるのだ。おそらくはヒットラーも不遇時代に、この考え方で救われた経験があったのだろう。

アインシュタインもボブ・ディランもユダヤ人だから、ヒットラーの考えは誤りだったということができる。だが、これは「ユダヤ人は劣っていない」ことを証明してはいても、「優れた民族と劣った民族がある」ことが間違いだとは言っていない。ひょっとすると現代科学にはこれを証明できてしまうのかもしれないが、主張することはタブーになっている。第二のホロコーストを生みだす論理だからだ。


本作『アドルフに告ぐ』はヒットラーとナチス・ドイツの時代を描いた歴史大河作品である。ヒットラーをふくむ3人のアドルフがたどる数奇な運命を描いている。ことに、ふたりのアドルフ──アドルフ・カウフマンとアドルフ・カミルはそれぞれドイツ人とユダヤ人であり、子供時代を親友として過ごしながら、ナチス・ドイツの国家戦略によって引き裂かれ、反目したまま生涯を終えざるを得なかった。

本作の掲載誌は「週刊文春」。大人向け有名週刊誌への連載は、作者にとっても新しいチャレンジだった。マンガを読む習慣のない大人の読者に、何を訴えるか。何を知らせるか。それを考える瞬間がきっとあったにちがいない。これは、そのうえで出てきたテーマなのである。



ナチスと日本の特高警察がおこなった残虐は、しつこいほどに描写されている。臨終が近いアドルフ・カウフマンの述懐「子どもに殺しを教えることだけはごめんだ/世界の子どもが正義だといって殺しを教えられていたら、いつか世界中の人間は破滅するだろうな」は本作の大きなテーマとなっている。

失業者に職を与えることは正しい。打ちひしがれた人に勇気を与えることは正義である。正義を実行することが悪いはずはない──この非の打ちどころのない論理が、そのまま悪にも変わり得ることを、本作は語っている。

民族の問題は、移民の問題をふくめヨーロッパでは毎日のように論じられている。ここ日本でも、単純に先延ばしにしているだけで、いつかは向き合わざるを得ないテーマだと誰もが知っている。本作がアクチュアリティを失うことは、たぶんないだろう。

言うまでもなくそれは不幸である。作者もそう考えるにちがいない。

この作品を手塚治虫の最高傑作と語る者も多い。(ここではマンガの表記にしたがい「ヒトラー」ではなく「ヒットラー」とした)

電子あり

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アドルフに告ぐ(1)

著:手塚治虫

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神戸に住むドイツ領事の息子のアドルフは、パン屋の息子でユダヤ人のアドルフを通じて、アドルフ・ヒットラーの秘密を知る。その秘密とは……!?  第2次世界大戦を背景に、3人のアドルフの運命を描く著者の代表作。

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レビュアー


草野真一 イメージ


草野真一

早稲田大学卒。書籍編集者として100冊以上の本を企画・編集(うち半分を執筆)。日本に本格的なIT教育を普及させるため、国内ではじめての小中学生向けプログラミング学習機関「TENTO」を設立。TENTO名義で『12歳からはじめるHTML5とCSS3』(ラトルズ)を、個人名義で講談社ブルーバックス『メールはなぜ届くのか』『SNSって面白いの?』を出版。「IT知識は万人が持つべき基礎素養」が持論。2013年より身体障害者になった。

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SYLLABUS








1. Intro



2. Concepts



3. Two Handed Choke



4. Headlock attacker upright



5. Mount Escape (UPA)



6. Rear Bear Hug over arms



7. Mount Control



8. Single Hand Collar Grab



9. Hip Throw



10. Basic Guard Pass



11. Americana from mount



12. Headlock with Punch





13. Scissor Sweep



14. One Handed Collar Grab (Bully grip - Palm turned up)



15. Headlock on the ground defense w/ frame



16. Neck grab from behind



17. Cross Choke



18. Striking Approach and Clinch



19. Guillotine Choke



20. Rear Naked Choke



21. Back Position Control



22. Two handed grab hands apart



23. Extras



24. Conclusion

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