梶原一騎 中城健 四角いジャングル 全巻無料公開中!


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梶原一騎(43) 中城健 1 「四角いジャングル」 1
今夜は久々の梶原一騎原作作品で、「四角いジャングル」(講談社刊)。
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週刊少年マガジンで1978年から2年ちょっと連載されていた作品で、単行本はオリジナル版のKC(講談社コミックス)で全11巻です。

まず、今回の作画担当は中城健先生。
私のブログではまだ、四人の漫画家のうち一人として参加したオムニバス作品である「劇画ブルース・リー」の時に少しだけ触れただけの方でしたので、改めてご紹介しましょう。

中城健先生は1938年生まれの高知県出身。
他に中城けんたろう、中城けん、中城建雄…等のペンネームも使い、子供向けから大人向け劇画…それも女が裸にむかれて吊るされ、執拗までに各種リンチ、拷問を受けまくったり、ナチスの残党狩りだとかチャールズ・マンソンみたいなヒッピー等をからめてエグイ描写の連続まで描けてしまう、そして肝心の画力も一級品という実力者。

何と手塚治虫先生、そして「ストップ!にいちゃん」の関谷ひさし先生の下でのアシスタントを経て、18歳だかで上梓した「ロボット狂時代」で漫画家デビューしています!

「ウルトラQ」「ミラーマン」「帰ってきたウルトラマン」「帰ってきたウルトラマンとセブン」…
そういったヒーロー物のコミカライズ、もちろんオリジナル作品も多数あるのですが、何故今でも有名かといえば、梶原一騎先生とのコンビ作がたくさんあるからでしょうね。
「キックの鬼」以来、「紅の挑戦者(チャレンジャー)」「ザ・レフェリー」「おんなプロレス地獄変 女子レスラー紅子」「ボディガード牙」「正編カラテ地獄変」…
そして今夜から紹介する「四角いジャングル」!!

皆が恐れた生前の梶原一騎先生と最も深く交流し、対等の立場で話が出来た稀有な漫画家だったそうなのですが、後にやはり梶原原作で描いた『カラテ地獄変シリーズ』で毎回毎回出てくるエログロ趣味全開の拷問シーン(例えば、硫酸の浣腸!女陰部を糸で吊り上げ!等)の連続をどうしても描けなくなり、
『ああいう殺伐とした絵を描くのが、気が狂いそうなくらい嫌になってしまったんです』
と、郷里に帰って中城家が祖母の代から信仰していた天理教の教会長になったのだとか。
その後も天理教教団の機関誌等で漫画の連載を続けていたそうですが、まぁ中城健先生に関する余談も含めた紹介はここまでにして…
そろそろ作品としての「四角いジャングル」を語りましょう。

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ギャンブル都市ラスベガス 一九七六年。
そこへ皮袋一つ持って上陸した日本人、赤星潮。
行方不明の兄の赤星壮介を探しに、ここまで来たのだそうで、空港で声をかけてきたソニーというデブを一日だけガイドに雇い、兄が空手道場を開いたらしいネバダ砂漠近くへ行きますが…

そこで『麻薬をすってはオートバイを暴走させる狂犬どものグループ』に襲われます。
しかし赤星潮は人数も多くバイクで襲ってきた相手を、高度な空中技であっさり撃退しました。
感激したソニーが、
『あの技はブルース・リーの映画そっくり ジャパニーズ・カンフー!! そうだカラテだ!!』
と見抜いた通り、"東心会空手"の達人だったのです!!

回想シーンで東心会空手の総師・東山清玄先生の顔も出ますが、当然この時期の梶原一騎原作作品ですから、モデルは大山倍達総裁。つまり東心会空手のモデルは極真会館か…
「カラテ地獄変」で出てくる"徹心会"の大東徹源と同じ顔をしています。

赤星潮と兄・壮介の兄弟は東心会の竜虎とまで呼ばれるようになっていた実力者で、兄はラスベガス部長として渡米していたのに連絡が途絶えていて…
ついに知った事の真相とは、兄の道場がマーシャル・アーツの道場やぶりによって潰されていた事。

マーシャル・アーツとは。
新勢力の格闘技で、最も危険で荒っぽく、ルールはケンカに近い上、ボクシング、タイ式キック、プロレス、柔道、あらゆる格闘技の殺しの要素が取り入れてあるのだそうです!
ここでさらに作者からの補足を引用すれば、
『この新・格闘技が一部で「プロ空手」と訳されていたのはあやまりであって
ただしくはマーシャル(軍隊)の格闘技である そう すなわちスポーツにあらず
軍隊が戦場で殺しあう技なのだ!』
との事ですが…まずここ!

マスコミが未発達で情報の全てを梶原一騎漫画から得て鵜呑みにできた時代と違って、現在の人々が今普通に読んだら、ポカンとするでしょう。
martial arts…まぁ英語が分かる人じゃなくても、かなり多くの方々がこの単語は格闘技の総称であり、外人は柔道や空手もそう呼んでいる事を知っているのではないでしょうか。
かくいう私もリアルタイムではないまでも、少年時代に古本屋で「四角いジャングル」を購入して読んでますので、そのマーシャル・アーツという格闘技が存在したと信じてましたが、いつか敬愛するブルース・リー(BRUCE LEE)が残した肉声でこの単語を頻繁に聞き取れて、どういう事か調べたら、何かおかしいと気付いたのです。
やはり梶原一騎先生がでっちあげた格闘技って事でまとめていいのでしょうかね。
実際に存在した当時の選手は…アメリカ式(?)キックボクシング選手って所でしょうか。

いや、本当は深く考える必要はないのです。
とにかくここでは新格闘技のマーシャル・アーツという恐ろしい格闘界が存在し、日本をも制覇しようとしてると考えてください。
そのマーシャル・アーツのスーパースターにしてライト級チャンピオンとして登場したのが、ベニー・ジェット・ユキーデ!!

ちなみに…『これは事実談であり・・・・この男は実在する!!』
私が動くベニー・ユキーデ(Benny Urquidez)を初めて見たのは既にアクション俳優に転向してからで(ネタバレですが、後に俳優になるのです)、ジャッキー・チェン主演の名作映画「スパルタンX」ですよ!
「サイクロンZ」でもいいので、観た方は思い出してください、あの凄まじく強い白人とジャッキーの決闘を!!
その共演したジャッキーはユキーデを後継者の有力候補と語っていた事もありましたが、私が一番最後に観た彼の映像は「エンター・ザ・イーグル」(Enter the Eagles)。
ずいぶん安易に「燃えよドラゴン」(Enter the Dragon)のタイトルを流用した映画ですが、その主演は…
そう、誰も文句は言えません。その父親はブルース・リー 、すなわちブランドン・リーを兄に持つ、シャノン・リー(Shannon Lee、李香凝)その人なわけですよ!

嗚呼もう、ここまで"李さん一家"の話が出てきたらそちらを熱く語りたい私ですが、話を「四角いジャングル」に戻しまして…
とにかくベニー・ユキーデってのが、前半の主人公(この言い方の意味は後に説明します)である赤星潮の最強のライバルとして扱われます。

赤星潮が、漫画では実物の100倍くらいカッコよく描かれたユキーデの試合は…何と対戦相手が兄の赤星壮介!
行方不明になってた兄は消えたのではなく、復讐を狙ってロッキー山脈の山中にこもり、鬼となって猛特訓にはげんでいたわけです!!
しかし、それでも結果はユキーデの楽勝。それほどの実力差がありました。
(ここまでは同原作・作画者による「紅の挑戦者(チャレンジャー)」にそっくりですね)

それを目の前で見た赤星潮は、東心会空手ではユキーデに勝てないと判断し、東心会を脱退する決意を固めました…
この後の展開が異常すぎる「四角いジャングル」ですが、今夜はここまでです。


これは兄貴の復讐なんて ありふれたケチな動機からじゃない
マーシャル・アーツのすごさに ベニー・ユキーデの天才にホレた!
だから男の命をかけてユキーデたちをたおし その絶頂をきわめたい!!
ネバダ砂漠の夕日・・・・
血の色だ・・・・血の予感がするぜ!

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梶原一騎(44) 中城健 2 「四角いジャングル」 2
梶原一騎原作、中城健作画の「四角いジャングル」(講談社刊)の続きです。
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マーシャル・アーツ(軍隊格闘技)のスーパースター、ベニー・ジェット・ユキーデの試合を見た赤星潮は"東心会空手"を脱退してまで打倒をユキーデを誓った所からですね。

マーシャル・アーツがあらゆる格闘技の集大成であるため、まずボクシングをマスターするためジムに通い、兄の壮介と共にその日ぐらしの労働者をする日々を経て、メキシコへ渡りました。
そこで覆面レスラーのレッド・スター(もちろん名字の赤星からでしょう)としてプロレスも始め、素顔の方ではボクシングのリングに上がるという激しすぎる方法で自分を鍛える赤星潮…
血に飢えた四角いジャングル、つまりロープで閉ざされた四角い密林のようなリングの空間でバケモノ達を倒し続けていると、何とマーシャル・アーツの幹部からスカウトがきました!

連れて行かれた先は、マーシャル・アーツを楽しみながら飲み食いする高級レストラン。
そして試合に登場したベニー・ユキーデですが、このメキシコはユキーデの生まれ故郷だとか。
ちなみに父はボクサー、母は女子プロレスラー、兄はプロ空手の道場主、姉は全米女子プロ空手チャンピオンですって…
『これは事実である!! (原作者)』
の声も忘れずに入ります。

観客の女性が『まあ すてきなハンサム ハートがキュッとなるわユキーデって』などと言ってますが、後に彼が出たジャッキー・チェン映画等を観た方はご存知でしょう。
実はユキーデの顔ってハンサムでも何でもありません。私も「四角いジャングル」のせいで凄い色男だと思っていたので、映画で実物を観た時はショックを受けましたが…
とにかく試合はユキーデが空手最大の秘技の一つ三角とびで勝利し、ますますホレて倒したくなった赤星潮はマーシャル・アーツ側のスカウトを断りました。

それからメキシコでもすぐにマーシャル・アーツのブームが燃え広がり、負けじと赤星潮はプロレスのリングで鍛えますが、バトル・ロイヤルにおいてミル・マスカラスに完全に気絶させられました。
そのショックから立ち直れずにいる赤星潮は、満員のマーシャル・アーツ大試合場で…極真ケンカ空手の総師、そして"ウシ殺し"の大山倍達と出会い、話を聞いて運命が変わります!

その話とは…いや、その前にですよ。
前回に赤星潮の師匠である東心会空手の総師・東山清玄のモデルは大山倍達だと書きましたが、何と大山倍達本人が登場しちゃっていいのでしょうか!?
実際、1話目に1コマしか出てない清玄でしたが、顔は同じ。
これは作画の中城健先生が、後で大山倍達が出てくるとは知らず1話目に描いてしまったミスでしょうかね。
そしてやはり…東山清玄はこの後、一度も登場しないどころか、話題にも出ませんでした。

とにかく話を戻して、大山倍達が赤星潮に聞かせた話とは!
極真会館がまだ大山道場と名乗っていた創生期に大山の片腕と片足を言われた師範代、鬼の黒崎健時の過去でした。

中村忠、大山茂、大山泰彦、芦原英幸、山崎照朝、ジョン・ブルミン…
「空手バカ一代」でもおなじみの、極真最盛期の大物達を指導した事で知られる方ですが、黒崎健時自身の若き日の修行ぶりといえば、孤独に耐えるため地面に深い穴を掘って入り、空気穴だけ残したその中で三昼夜を耐えぬいたり、地面に指を突き刺し続けて小指が腐ってもげてしまったかわりに畳に指をあてがうとズブズブめりこむまでに鍛えたり…といった感じだったそうです。
その黒崎がタイで空手VSタイ式キックの異種格闘技戦で破れ、復讐のため目白キック・ジム(黒崎道場)を設立して藤原敏男、島三雄らの大物を育て上げた、と。

その全てを聞いた赤星潮は、メキシコのプロレス&ボクシング修行で自信がついたら黒崎健時へ弟子入りする事を誓いました。
そのメキシコにおける修行の締めくくりとして、天下のプロレス王ミル・マスカラスへ復讐戦を申し込み、死闘の末に引き分けまで持ち込みました!!

さて日本へ帰って黒崎道場へ入門…いやその前にハワイに寄り、宿敵ユキーデのタイトルマッチ観戦です。
この闘いの挑戦者が、
『ブルース・オテナという空手出身者で 空手時代には故ブルース・リーをコーチした経験をもった大物だ
その名にあやかってリーがブルースと命名したほどの・・・・』
と説明されていますが、その命名に関しては全くのでたらめだと、今時の読者なら気付くでしょう。

他の梶原一騎作品である「空手バカ一代」においても、このブルース・オテナが登場して同じ命名に関する嘘が出てきて、さらにブルース・リーもかつて極真の門下生であって、成功したリーは大山倍達総帥に黄金の太刀を贈ったとか、って…コラ!!
まぁそれだけブルース・リーが凄かった時代に、それよりもっと凄い極真空手とアピールしたかった梶原手法ですね。
しかもブルース・オテナ、仮にもブルース・リーをコーチしたと称してるくせに、ユキーデにあっさり負けすぎだし…

とにかく日本に帰って黒崎道場を訪ね、黒崎健時門下に入った赤星潮です。
今更ですがこの赤星潮…『これは事実談ではなく・・・・この男は実在しない!!』
そう、セミドキュメンタリーの手法を使った画期的な作品である「四角いジャングル」において、この主人公は完全なる梶原一騎先生の創作。
なのに目白キック・ジムに入門して実在する選手らと絡むものだから、ここから途端に弱くなります!
オープニングでは『麻薬をすってはオートバイを暴走させる狂犬どものグループ』を一人でやっつけ、メキシコでプロレス&ボクシングの二足のわらじを履いて、あのミル・マスカラスと引き分けた赤星潮が、こんなに弱いなんて…

一応梶原一騎先生の命令でか、ある選手を赤星潮のリングネームでデビューさせて実在の人物に見せてはいましたが、それも無理がありました。
普通の格闘技漫画は主人公が強くなっていくのが絶対の定跡ですが、「四角いジャングル」では弱くなっていって、ついでに主人公も降板して出番もほとんどなくなるのです。
ここからは現実の選手を追ったノンフィクョン…いや、説明が難しいのですが、要は梶原先生が情報操作、創作したノンフィクョンというか、そういった形に変化していきます。

現実の格闘技界と同時進行で進む劇画…いや、もはや劇画が逆に格闘技界を引っ張るという影響力まで見せた「四角いジャングル」!!
これほどの影響を持ったドキュメンタリー漫画は、この連載終了から十数年後になる「ゴーマニズム宣言」の登場まで無かったでしょうね。
実際に小林よしのり先生も近年になって、「ゴー宣・暫」(小学館刊)の一巻においてこんな発言をしています。

『「ゴー宣」のスタイルの原型となる漫画がある。梶原一騎の「四角いジャングル」である。
この漫画は実在するプロレスラーや格闘家を登場させながら、作家自身がプロモーターの役割まで果たして、アントニオ猪木と、極真空手出身のウィリー・ウィリアムスの異種格闘技戦を実現させてしまった。
「四角いジャングル」は、漫画の世界と現実の格闘技界の動きがリンクしていて、その虚実の危うい皮膜を洞察するスリルに、読者は胸をときめかせたものだ。
多くの読者がこの漫画の影響で格闘技に興味を持つようになった。』

と。これは嬉しかったな~。
そして、私も連載当時に少年だったらその興奮を味わえたのにと、悔やまれます。
私はこの2008年現在、数年前からブームになっている格闘技の世界には全く興味を持っていないのですが、その理由は梶原一騎先生の不在でしょうね。

これから日本のキック選手達を次々と倒すベニー・ジェット・ユキーデ、そして打倒に燃える黒崎健時率いる黒崎道場の選手達(もはや赤星潮はその他大勢です)。
黒崎道場としては初の挑戦となるのが、道場一の古顔でもある岡尾国光選手で、過去一度もダウンをした事がなかった不敗のスターであるユキーデからダウンを奪いますが…しかし負け、それを見た黒崎健時は、全日本キックのレベルを本場タイに追いつくまで引き上げた立役者だというのにキックをやめる宣言をして、"黒崎流・新格闘術"という団体を設立しました!!

その一方では、"格闘技世界一"を公言するアントニオ猪木に対して極真空手のニューヨーク支部から、熊殺しのウイリー・ウィリアムスが挑戦状を叩き付け…と、こんな状況になってきた所で、また次回に続きます。


接近戦あるのみ 肉弾の激突あるのみ!!
逃げたりよけたり チョコマカするやつには
かまわんから目ン玉に砂をけりこんでやれーい!!

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梶原一騎(45) 中城健 3 「四角いジャングル」 3
梶原一騎原作、中城健作画の「四角いジャングル」(講談社刊)の三回目です。
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マーシャル・アーツのベニー・ジェット・ユキーデ打倒のために"黒崎流・新格闘術"と、新たな流派まで旗揚げした黒崎健時と、その道場選手達。
当初主役だった架空の人物赤星潮は現実の日本選手達にまぎれたらすっかり弱くなり(前回書き忘れましたが、兄の壮介はいつの間にか姿を消してます)、代わりにアントニオ猪木と、その首を狙う熊殺しのウイリー・ウィリアムスが目立ち始めた所から。


日本が舞台になり、しかも実在の人物ばかりが出てくるようになると、原作者の梶原一騎先生も出番が激増するのですが…
大山倍達総帥に頼まれて黒崎健時と共に極真空手のニューヨーク支部へ行き、私闘は禁じている極真会館ですのでウイリー・ウィリアムスを説得に行くと、ウイリーの師匠にして極真の世界最高師範である大山茂までがウイリーに猪木をやるようにと命じていて、負けたら自分は責任をとってリング上で腹を切りますと吠えるのです。

しかしこれから、プロレスVS空手の異種格闘技戦の実現にはルールや団体の名誉や思惑等が絡みあって、とにかく大変なのですが…その苦難の道のりをつぶさにドキュメンタリータッチで追えるのだから、確かにリアルタイムの「四角いジャングル」は胸をときめかせたに違いないですね。

草も木もない 四角いジャングルに あるのは男の血のロマン・・・・
生きのこるのは 世界一はだれか!?

その四角いジャングルに吹き荒れる、もう一方の風。
つまりベニー・ユキーデVS黒崎健時側の弟子の方ですが、こちらもまた上手くいきません。
黒崎道場最強の藤原敏男がユキーデとの対決を決めたタイミングで、何と五百年の伝統を誇る本場タイ式キック界が初めて外国人である藤原にタイトルマッチのチャンスをくれたので、ユキーデ戦は延期になり…といった感じ。
偉大な藤原は、しっかりタイのチャンピオンを破って王座を奪取しましたが。

ところでユキーデが日本空手道の内藤武を1ラウンドで倒した時、会場にいた原作者の元へ一人の少年がくるのですが…
『"わたし(梶原)に語りかけてきた 一人の少年ファンの感想をわすれない"
梶原先生 ぼくは少年マガジンの"四角いジャングル"を読んでますが
あまりユキーデを強そうにえがいてあるので すこしオーバーじゃないかと思ってました
でも現実に見たベニー・ユキーデは劇画以上にカッコよく強かった!』
ですって。
これが恐らく自作自演なのは、実際に劇画ほど強くなく、二枚目ではないユキーデを見た事がある読者なら分かった事でしょう。

それからも劇画「四角いジャングル」の中では華麗な技と圧倒的な強さ、前に出た三角飛び以外にも後ろ飛びまわし蹴り、ベトナム・ホイップ等の大技も出て快調。
その強さや凄い挑戦者がひしめいている状況を見て、最初は主役だった赤星潮がシャワーを浴びながら
『ぼくの打倒ユキーデの悲願など いまじゃ笑われるだけ・・・・』
と落ち込む、悲しいシーンもあります。
確かに…たまに出てきてもアメリカに行ってたって事で通訳として使われてるだけですからね。

しかしその47戦不敗だったユキーデも、ついに慣れないタイ式選手のシーソンポップが相手で、反則もくらって…判定負けになりました!
これにはユキーデを追う黒崎道場の選手達もショックでしょう。
シーソンポップには後に藤原敏男が挑戦し、間接的なユキーデ戦でもあるこの勝負に勝っています。
やはり今まで出てなかったタイ人にユキーデを最初に倒されたのは、商品価値としてはかなりの痛手で、ここが実在する人物を扱ったセミ・ドキュメンタリーの辛い所ですね。

作品の方もここらへんから、話は猪木の異種挌闘技戦が中心になっていきます。

次は猪木に挑戦するミスターXが登場しますよ!
この「四角いジャングル」において最も有名な挑戦者、必ず語り草になるのが、このミスターXと言えるでしょう。
一流レスラーを一撃で失神させ、時速80キロのリンカーンを飛び越え、その車体を持ち上げてしまいもする覆面の超人ミスターX…

こいつは同じく猪木を狙うウイリー・ウィリアムスにもケンカを売り、実際に倒した!
と思ったらそいつはウイリーのコスプレするマイク・デビットなる、極真空手を破門になった奴でした。ズコッ。

作中でミスターXの正体探しの推理も盛り上がってきますが、やはりポコ・カブリエル、またの名をザ・ブッチャーという元マーシャル・アーツ選手の黒人という説が最有力でしたが…
実際に猪木が戦ってみると、その覆面挌闘家は図体だけの大ダルマ。
あっさりやられますが、覆面してるだけに実は替え玉だったとか、本物は既に極真の刺客にやられたとの説も出てくるオチに脱力。
このミスターX部分だけB級臭が強くなって、逆に一部の好事家に面白がられたのでした…
それでは、また次回に続きます。


ビッグ・マネー(大金)だった
でもあのときマザーはこういったね

うえて死ぬか世界一強い不敗の男になるか
どちらかをえらびなさい と

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梶原一騎(46) 中城健 4 「四角いジャングル」 4
梶原一騎原作、中城健作画の「四角いジャングル」(講談社刊)紹介…その早くも四回目です。
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今や話の中心はプロレス代表にして挌闘技世界一を自称するアントニオ猪木と、それを許せない極真空手代表にして(大山倍達総帥に許されてないので正式には違いますが)熊殺しのウイリー・ウィリアムスとの対立、そしてその異種挌闘技戦が実現するのかが目玉の、現実と劇画の完全同時進行ドキュメント部分に入ってます。


"黒崎流・新格闘術"の黒崎健時も、あれだけ熱心だったマーシャル・アーツのベニー・ジェット・ユキーデ打倒そっちのけで、プロレス側と極真空手側の仲介役で大忙しです。
ルールが違う格闘技同士ですのですが、グローブを付けるか付けないかが一番重要な論点ですね。
当然、付ければ猪木有利、付けなければウイリー有利。

ウイリーの師匠大山茂は、文明社会に血なまぐさい殺しあいのような試合をやらかしても無意味では?という問いかけに、
『その文明社会とやらに調子をあわせるなら
自分もウイリーもプロ空手かプロレスでもやって適当に稼ぎます!
武人とは古いもの 命よりも名を惜しむもの!』
と凄い剣幕で宣言して譲りません。

この論争で周りの状況は大変ですが、当の猪木はウイリーの前に世界中のバラエティ豊かな強敵何人もと戦っています。
ウイリーも特訓はかかさずに凄まじい強さを見せつけ、猪木と戦って破門となる前に極真空手第2回世界大会に出場。練習相手がいないために、車を一台空手の技でぶち壊す、なんて事もしてました。

現実的にそう簡単に対決できるわけではない二人ですが、劇画の方は同時進行なのでネタが必要。
なのでこれはネタが無い時のページ稼ぎ企画だったような予想も付きますが…
黒崎健時が全国のケンカ自慢を日本武道館に集めて、誰がケンカ日本一かを決める"ケンカ・オリンピック 腕っ節日本一決定戦"というのを企画します。

『すべての格闘技の原点も極限もケンカ』
という黒崎の持論を実現させる面白い企画だったかもしれませんし、そして実際に池袋の拓大体育館で第一次予選を行っていて、中量級では香港より参加のカンフー・スタイルの男・林白竜(リンパイロン)という本物の実力者が登場しますが、この男は実は真樹日佐夫先生だったか、極真の誰かが演じていたのだと後に暴露されています。
そしてその後、この「四角いジャングル」で続報は出なかったのですが…本戦は実現されたのでしょうか。

藤原敏男がガッツ石松、そしてアントニオ猪木はジャイアント馬場と戦いそうになるエピソードとその顛末も出てきますが、これはどちらも実現しませんでしたね。

あ、最初は主人公だったの確実に弱くなっていき、ただの通訳にまで落ちた赤星潮も一応キックの試合してます。観客の
『本当に少年マガジンの劇画ほど強いのかいな!?』
という心配をよそに、プロ空手の炎一心という選手を相手に1ラウンドKOを決めました。おめでとう!
しかし、極真空手第2回世界大会にも出て二回戦負け。

「四角いジャングル」の後半は、あくまでアントニオ猪木とウイリー・ウィリアムスが主役なのですが、やはり原作者が梶原一騎先生ですので、この作品だけ読むとウイリーがバケモノすぎて、どう考えても猪木より強そう…
黒崎健時に預けられて黒崎道場で修行するウイリーが木を蹴りまくっている時の、そばで見守る黒崎と赤星潮の会話シーンはこうです。
『潮よ いまウイリーのブッたたいとる木の名前を知っちょるか?』
『ハ・・・・ハ-・・・・杉でしょうか?』
『猪木っちゅう木じゃよッ ワハハハハ』

さて、それでは次回で「四角いジャングル」紹介も最後です。
はたして、アントニオ猪木VSウイリー・ウィリアムス戦は実現するのでしょうか!?


今度ばかりは ほめるしかない
人間が強くなれる限界にまで
ウイリーは近づきつつありますわい
心・技・体ともに!

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梶原一騎(47) 中城健 5 「四角いジャングル」 5
梶原一騎原作、中城健作画の「四角いジャングル」(講談社刊)紹介も、五回目の今夜が最後です。
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もはや主題が新日本プロレス代表のアントニオ猪木VS極真空手代表のウイリー・ウィリアムスが実現するのか、そしてそのルールは?という所に絞られ、周りでも賑やかな騒動が起こりながら進んでいきます。


ウイリーは"黒崎流・新格闘術"の藤原敏男と共に、岩手県の七時雨山(ななしぐれやま)で山ごもり特訓をするのですが、猪木と戦う事によって愛する極真空手を破門になるため、こうしみじみ語ります。
『あとは名誉も金もいらない プロに転向なんてことは絶対ない
アメリカに帰ってスクール・バスの運転手にもどり ひっそりくらすよ』
…実際にこの「四角いジャングル」連載終了以降も、正道空手の佐竹雅昭と対戦したり、リングスに参戦して前田日明と戦ったりもしましたが、現在は本当に引退してバスの運転手をしているようです。

猪木の方も力道山の門下にジャイアント馬場とほぼ同期で入門したものの、貧しい移民の子と差別され殴られながら、真の最強のレスラーを目指して努力した過去を振り返ります。
そして何と、ウイリーとの一戦を前に猪木もカラテの新流派を作るのですが…
その名も"寛水流"(かんすいりゅう)!
『寛は猪木寛至の名からとり 水は名古屋のカラテ道場主で わたしに協力してくださる水谷先生にちなんでです』
との事。

ところで、「四角いジャングル」後半ではウイリーが主役という事もあり、かなり多く極真空手の猛者達が登場します。
これが当然「空手バカ一代」にも出ていた人々ですから、「空バカ」終了後の続編としても読めるのがファンには嬉しい。
"ケンカ十段"の異名で呼ばれ、主人公の大山倍達館長と人気を二分した芦原英幸がウイリーを茶化すか無視してあしらい続けてショックを与え、その本心を知って感激し…
そうそう、おなじみ『それもしかするとカラテ?』のセリフも出てきますよ!

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猪木は他の強敵も倒し、あとは異種格闘技戦の最終試合としてウイリー・ウィリアムス戦を残すのみになったのですが、ここで雑誌に載った極真の座談会がきっかけで、ますます新日本プロレスと極真空手、団体同士の対立が興奮気味になり、代表十五名ずつ出してルール無用のデスマッチにてどちらかが潰れるまでの全面戦争、なんて話も飛び出します!
もちろんそれは実現せずに和解したのですが、極真空手の裏の顔…正式の大会のルールなどには収まらない影の怪物達がいるとかって、漫画みたいな話になってきて、面白くなっておりました。

ドキュメンタリー色が強まってから存在する意味がほとんど無くなった赤星潮は…
やはり『この赤星潮はミスター・ウイリーの通訳だけ・・・・ ちょっとさびしいな』などとぼやいてます。

ここまで引っ張ってきたアントニオ猪木VSウイリー・ウィリアムス対決は1980年(昭和55年)の2月27日。
その前日、調印式の席上にて一番もめたルールについての最終決定が発表されます。
結果、ウイリーがボクシングのヘビー級なみの8オンスのグラブをはめ、代わりに猪木の寝技は5秒すぎたらブレークするという、お互いの必殺技を公平に三分の二ずつにして生命の危機を防止する特殊ルールとなりました。
この条件で3分15ラウンド、勝敗はKOか棄権のみで決まり、プロレス式フォールなし、判定もなし…以上。

劇画「四角いジャングル」のメインにしてクライマックスであるこの勝負の模様を簡単に説明すると、まず一度は第2ラウンドにして両者リングアウトで試合終了、つまり引き分けとなります!
何たる世紀の対決かと、暴動になりそうな所を立会人である梶原一騎先生の権限で、試合を続行させるのです。

ここで観客から『いいぞーッ 梶原一騎!!』の声がかかるのはご愛嬌。

二人は第4ラウンドまで熱戦を繰り広げますが、リングサイドに陣取った新日本プロレスと極真空手の両陣営もあまりに熱く、何と"極真の猛虎"こと添野義二にいたっては、ハサミでウイリーのグラブのヒモを切断してしまい、素手でやってやれと言ってます!!
しかし…既に重傷を負っている両者に対しドクターストップ。
こういう結末に終わりました。

これにより「四角いジャングル」の連載も終了。
ラストはちゃんと赤星潮が出てきて、黒崎健時に『赤星潮もそろそろ男になれい』等と言われて終わるのです。
メキシコでプロレス&ボクシングを又にかけて闘い、あのプロレス王ミル・マスカラスと引き分けにまで持ち込んだ人物が…この最初の主人公が、実在する日本人選手達とからむようになって不都合からどれだけ弱くなったか、というのも「四角いジャングル」の見ものでしたね。


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作品はこれで終わりましたが、後日譚も軽くしておきましょう。

アントニオ猪木に関しては、日本人ならどんなにプロレスを知らない人でも知ってる大スター(現在そんな選手はいませんね)なのでその後の説明はしませんが、この闘いのプロモート等によって梶原一騎先生との関係が親密になり、その後すぐに新日本プロレスのリングに梶原原作キャラであるタイガーマスクが登場します。
(またこれが原因の一つとなって二人は決裂するのですが…)

ウイリー・ウィリアムスの方は、この猪木戦によって大山倍達館長に破門されますが、後に破門を解かれて極真会館に復帰し、世界大会にも出場します。
さらに1997年、何とこの時から17年も経ってからアントニオ猪木と再戦したのです!
もはやロートルの二人、この試合は決め技を相手に決めれば決着というルールで行われ、結果は猪木がコブラツイストを決めて勝利しました。
そして、既に書いたように現在はバスの運転手。

また話を戻して「四角いジャングル」で描かれた猪木VSウイリー戦ですが、これは後に八百長だったと梶原一騎先生自身が著作で暴露。
それも当事者意外にはほとんど知らされなかったトップシークレットってやつで、両陣営があんなに熱くなってたのは本気だったのです。
全ては梶原一騎先生の掌の上で踊らされていたというか…

劇画「四角いジャングル」も、自分がプロモートする試合を盛り上げるために使っていたわけだし、「格闘技世界一 四角いジャングル」「激突!格闘技 四角いジャングル」「格闘技オリンピック 四角いジャングル」等の劇場公開映画まで作っています。
この作品でスターにのし上げたベニー・ユキーデのレコードも出し…
数ある名作漫画を生み出してきた梶原一騎先生ですが、この「四角いジャングル」一つだけを見ても、この時代に漫画界の枠に収まらず、劇画、格闘技興行、映画、音楽というメディアミックスを完成させているのだから大物すぎますね。

まだまだここから派生した各ジャンルのいろんな出来事があるのですが、今夜はここまで。


世紀の対決は終わったが・・・・
四角いジャングル・・・・リングは・・・・
あくことなく 血をもとめ
あらたな男の血のロマンをつづろうとしている
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