サンボ70  元々俺がやってた中国武術にも組技の技術ってのはあってな、関節技は擒拿きんなって言うんやけど、どちらかと言うと合気道に近い関節技やからサンボみたいにガッツリ組む訳ちゃうし、全く通用せんかったわ、、、それどころか遥かに年下の子供にバンバン極められてなぁ、あん時はそこそこ凹んだわ、、、そもそも基礎練習からしてレベル高いんよ。10歳そこそこの子供達が、天井まであるロープを手だけで軽々と昇り降りしてるし、ブリッジやら首を支点にしての前転やら、あとは柔軟にかなりの時間を割いてたなぁ。筋力は勿論やけど、体幹が強いってのを凄く感じた。
























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格パラ 作者:福島崇史



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ロシア その1

若い子は知らんやろけど、昔、冷戦てのがあってな、、、
軍事衝突こそ無かったもののロシア、、、あっ、当時はソ連ね。ソ連とアメリカは緊張状態にあったんよ。
風潮として正義のアメリカと悪役のソ連って感じでな、ソ連は今の北朝鮮みたいな扱いやったんや。
で、ソ連はゴルバチョフの政策、ペレストロイカで軍部縮小されて東西冷戦は終結、、、ソ連は崩壊してロシアに変わる訳よ。
俺が行ったんはそれから数年後やねんけど、1回定着した(悪)のイメージってなかなか抜けんやろ?まだまだ世間のロシアに対するイメージは悪かったわ、、、

えっ?反対?勿論されたよ。
特にオカンなんか俺が生きては帰らない、、、くらいの勢いでさぁ、説得するんに苦労したわ、、ハハハ、、、
尤も俺自身に死出の旅路って覚悟もあってな、万一の時の為に遺書を机に忍ばせてから出発したのを覚えとるわ。
まぁ今となっては笑い話やけどな。
ってのもロシアに対する不安云々よりも、飛行機に対する不安が大きくてな、、、
どうしても飛行機ってのが信用出来んのよ、あんな鉄の塊が飛ぶ訳無い、、、ってな。
だから墜ちた時の為に遺書書いたって訳、笑えるべ?

えっ?今?
今でも飛行機は苦手やで、、、
だからその後も乗るって決まる度に遺書書いてたもんよ、、
海外修行に行く時に4回
新婚旅行で1回の計5回、、、あっ!奈良でとある武術家と野試合で立ち会う時も、死ぬかも知れん思って書いたから、、
僅か36年の人生で6回も遺書書いてるわ俺、、、
どれも無駄に済んでるのは幸いやけどな。

ん?どした?
えっ!?待って待って!
いっぺんに言われてもわからんがなっ!
訊きたい事は順番に言ってくれ。
えっ?、、あぁ、、新婚旅行ね、、、
そういやぁ知らん者もおったな、、、
そうやで、俺バツイチやで。いや、そない驚かんでも、、
なんや最近は2年以上同棲したら事実婚になるらしいな?
それを入れたら実質的にはバツサンやけどな!ハハハ、、、
なんやその顔は?案外モテたんやでっ!
え?そうそう!今は全くやけどなっ!、、ほっとけっ!!
ったく、、、で、次の質問は?

あぁ、野試合の件かいな、、ごめんっ!それは長くなるから別の機会にしてくれ!
という訳で先を話すで?
で、まずは用事もあったんで東京行ってな、成田からモスクワへと旅立った訳よ。アエロフロートで約8時間、、、
怖いから乗って直ぐ寝たんは言うまでも無いけどなハハハ。
修行はモスクワから更に飛行機で1時間程のエカテリンブルクって所でする事になってたんやけどな、まずはロシアの事を少しでも知っておこうと思って、色々見たり聞いたりする為モスクワに3日間滞在する事にしたんや。
でな、手配してたガイドと合流したんやけど、これが傑作でやっ!カール・ゴッチそっくりの爺さんやったんよ!
ロシア人やのにドイツ系のゴッチ似って!!
もう見た瞬間、笑ろて笑ろてっ!、、、

あれ?みんなして何その顔?
、、ええっ!?マジでっ!?カール・ゴッチ知らんのっ!?
プロレスの神様やで?
強すぎてチャンピオンベルトを巻けなかった無冠の帝王やで?
え?、、あぁ、、そうね、、続き話すわ、、
しかしショックやなぁ、、、ゴッチを知らんとは、、
これがジェネレーションギャップってやつか、、、
はいはい、、、わかりましたよ、ちゃんと話しますよ。
え~っと、、、どこまで話したっけか、、、
あぁ、そうそう!ゴッチと合流してな、ホテル・コスモスへと向かったんよ。一応は一流ホテルやで!
で、ホテルに向かう車の中でゴッチと色々話してさぁ。
当時はネットなんか普及してないもんやから、テレビや新聞やらのマスコミだけが情報源やん?
やっぱ悪い印象の国やから不安もあってさ、ロシアについてなんやかんや訊いてみた訳よ。
そしたらゴッチが言う訳

「この国が世界的に色々言われてるのは知ってマァス、、でもネ、良い人間は沢山居るんデェス、、、ただし悪い人間はその100倍居マァス。だから気を付けて下サァイ」
ってな、、、着いて早々ゾッとしたわ。
で、ホテル着いてチェックイン済ませたんやけど、ここでもカルチャーショック受ける、ちょっとした事件があったんよ、、、

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ロシア その2 娼婦襲来

ホテルにチェックインしたのは夜の9時頃やってんけど、白夜で明るいもんやから感覚狂ってなぁ、、、
疲れてるはずやのに、全然眠くならんかったんよ。
んで部屋に備え付けのルームバーで1人チビチビと飲み始めたらさ、、、え?うん、、未成年やったけど、そこはスルーしてぇな、、、ハハハ、、

で!飲み始めたら直ぐにインターホンが鳴ってな、誰やろ思いながらもドアを開けたら女性が3人立ってるの。
それもスーパーモデルみたいな超美人ばっかり!
唖然として立ち尽くしてたら、ニコニコしながら色々言ってくるんやけど、当然何を言ってるんか解らへん、、、
それでも理解しようと耳を傾けてたら
「3万円」てのと「SEX」「ONE NIGHT」って単語が拾えた訳

あぁ、そういう事か、、、と。
つまり1晩3万で私達を買えって事やね。
当然断ったよ!え?何でって、俺、女性を金で買うのが嫌でさ。好きでも無い女を抱くのに高い金を出すくらいなら、その金を好きな女の為に使いたいのよ。
ん?無いよ、1回も無い。
この歳なってアレやけど「風俗童貞」やで俺。
あっ!ごめんっ!未成年が居るん忘れとったわっ!!
藤井ちゃん、、ちょっと耳塞いどってくれん?
ああそうね、、、もう遅いわな、、すいません、、、

いや、何が言いたいかってぇと、着いて直ぐ娼婦が来るって不自然やと思わへん?
だってその部屋の客が男だけとは限らん訳やん?
それやのにピンポイントでやって来た、、、
そのカラクリは次の日ゴッチに聞いて判ったんやけどな。
そのホテルはロビーのフロントとは別に、各階のフロアに小さいフロントがあってさ、フロントって言っても小さい机におばさんが1人座ってるだけやねんけどな。
チェックインやチェックアウトはロビーのフロントでしか出来んのやけど、外出時に鍵を預けるのはそのおばさんに渡せばOKってシステムでな。
俺は勝手に「鍵おばさん」って名付けてたんやけど、こいつが曲者やってん!

実は鍵おばさん、ロシアンマフィアや売春組織と繋がっててな、どこどこの部屋は男だけの客やって教える事で、娼婦達から手数料貰ってたんよ。
お陰で3日間、毎晩押し掛けられてええ迷惑やったわ、、、
あぁ、話が格闘技と全く関係ない方向行っとるな、脱線してごめんごめんっ!
あっ藤井ちゃん、もう耳塞がんでええでっ!

で、2日目、、とりあえず服を買いに街に出る事にしたんよ。いや、それがさぁ俺の勝手な思い込みやってんけど、ロシアは年中極寒の地やと思っててん、、、
せやから防寒系の服ばっかり持って行ってたんやけど、8月って向こうも普通に暑くてや、皆Tシャツで過ごしてるんよ。さっきも言うたけど、ネットなんか無い時代やからさ、ニュースで見る分厚いコートと、あの毛皮の帽子ってイメージが強かったもんでな。
だからTシャツ買わざるを得んで街に出たって訳や。
んでゴッチに連れられて街中を走る路面電車乗ったり、あちこち行ってさ。観光ついでに赤の広場にも行ったんよ。そしたらそこに大きい百貨店みたいのがあってさ、そこで無事にTシャツをゲットしたって訳。

でもそん時に思った事があってな、、、
当時のニュースではロシアはまだ国勢が落ち着かず、あらゆる物資が不足してて、国民は飢えに喘いでるみたいな事を報道してたんよ。
でも実際は全くそんな事無くてな、食料、衣料品、日用品、、、充分に揃ってたんよ。
確かに貧富の差があって、一部の国民は苦しい生活してたみたいやけど、それはどこの国でもそうやん?
なんか悪い部分だけを切り取って、情報操作してるみたいでさ、、、マスコミなんて信用出来んもんやなって思ったわ。

あっ!またどうでもええ話なってもうたなっ!
でもどうせやから格闘技以外の話も聞かせたくてな、悪いけどもう暫くオッサンの思い出話に付き合ってくれなハハハ

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ロシア その3 サンボ70

ようやく格闘技の話になるけど、3日目にゴッチの案内である場所に連れてって貰ってな。
それが国立武道学校であるサンボ70や。
なんかロシアって異常な程にサンボを国が推しててな。
空港からモスクワ市内に向かう高速道路の脇にも、サンボジャケットを着た男の写真と「健全な人間形成が強い国家を作る」みたいな事を書いた看板が沢山並んでたわ。
そんな理由からか、このサンボ70に入学するのは子供達の憧れでな、実際にここを卒業した人間はエリート扱いなんよ。
その殆どが国や軍に関係する職に就けるらしいわ。

今ではサンボ以外にも柔道や空手、相撲まで教えてるらしいけど、元々はその名の通りサンボがメインでな。それでも11年の義務教育を施す正式な国立校やねんで。
まぁ、、悲しい話やけど、スポーツによる国威誇示ってのはどこの国でもある。
スポーツと政治の結び付きってのが切れないのは確かやねん。そんな中でも共産国ってのは特にそれが色濃い。
数あるスポーツの中で格闘技、それも自国が生んだサンボの専門校を国立で作ったってのが、かつての軍事大国ソ連らしいよな。
そんで共産主義のソ連が崩壊した今でも、それが残ってるってのも、、なんか、、
「共産主義は資本主義に敗けた訳や無い!俺達は盛り返すぜっ!!」って言ってるみたいで意地を感じたわ。
あ、、誤解されたらアレやから言うとくけど、俺は偏った政治的思想は一切あらへんからなっ!

で、いよいよ練習に参加した訳やけども、、、
まあぁ~~レベルの高い事っ!!
尤も俺が組技に関して素人レベルやった事もあるんやろけどな。
元々俺がやってた中国武術にも組技の技術ってのはあってな、関節技は擒拿きんなって言うんやけど、どちらかと言うと合気道に近い関節技やからサンボみたいにガッツリ組む訳ちゃうし、全く通用せんかったわ、、、
それどころか遥かに年下の子供にバンバン極められてなぁ、あん時はそこそこ凹んだわ、、、
そもそも基礎練習からしてレベル高いんよ。
10歳そこそこの子供達が、天井まであるロープを手だけで軽々と昇り降りしてるし、ブリッジやら首を支点にしての前転やら、あとは柔軟にかなりの時間を割いてたなぁ。
筋力は勿論やけど、体幹が強いってのを凄く感じた。

あらゆる状況下で自由に体を動かせるってんで、ロシアではサンボが宇宙飛行士の必須科目らしいけど、それも頷けるわ。
結局その日は3時間ほど一緒に練習させて貰ってんけど、トレーニングはハードやわ、スパーでは極められまくるわでボロボロなってな、自信無くしてもうてこのまま日本帰ろか、、、って気持ちやったわ。
だってそうやん?学生の子供達にケチョンケチョンにされた俺が、次の日からは軍人やプロ格闘家、、、怪物達の巣で寝泊まりしながら練習するんやで?
どんな地獄が待ってるんか想像したら憂鬱にもなるわな。

で!少し怖かってんけど、気晴らししようと思ってな、ホテル近くのバーに1人で行ってみたんよ。
え?なんでホテルのバーで飲まんかったかって?
ゴッチが言うには一流ホテル内のバーに居るロシア人は金持ちやから、マフィアの可能性が高い。だから街のバーの方がある意味安全らしいわ。
それでも危険やから行かん方が無難って言われてたんやけど、、、
飲みたい日だってあるじゃない?人間だものハハハッ!
え?、、うん、、、未成年、、、
だからそこはスルーしろと!ハハハ、、ハハ、、すいません、、、

それとなっ!1つ笑ろた事があるねんっ!
持って行ったタバコが切れてや、街中にあるキオスクみたいや売店で買ったんよ。
そしたら釣り銭用の小銭が切れたから言うて、代わりにガム渡されてやっ!釣りがガムてっ!
おおらかと言うか何と言うか、、、呆れる通り越して笑ってしもたわっ!
ん?、、あぁ、、そうね、、未成年者だものね、、
タバコもダメッ!絶対っ!!
、、、何度も言うけど、そこは頼むからスルーしてぇな、、

で、次の日いよいよエカテリンブルクに向かったんやけど、案の定、、、いや、それ以上の地獄が待ってたんよ、、、

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ロシア その4 モンスターズ・デン

当時ロシアと太いパイプを持った格闘技団体があってな、そこと懇意にさせて貰ってたお陰で実現出来た修行旅やってんけど、エカテリンブルクに着いてからも、そこの団体のロシア支部道場みたいな所で寝泊まりしながら練習させて貰った訳。

で、いよいよ練習に参加するんやけど、、、率直な感想は
「あぁ、、化物って世の中にはこんな沢山居るんや」
って事。まさに怪物の巣、、、モンスターズ・デンやったわ。
そこでは軍警察の人、サンビスト、プロ格闘家が一緒になって練習しててな。ジャンルに関係無く、皆が同じメニューをこなしてたわ。
て言うのも、そこで指導してた人ってのが伝説のサンビストとして、ロシアで知らぬ人が居ないって位の大物でさ、まさにサンボマスターと呼ぶにふさわしい人物やってん。

皆がその人の技術を吸収したくて、そこに集まって来たって感じ。
その人ヒョードロフって言うんやけど、壊し屋としても有名でさ、、、多くの対戦相手に怪我を負わせてるんやけどな、、、
戦闘機のパイロットが1機墜とす毎に、自分の愛機に×のペイントする風習あるやん?
その人も1人壊す度に自分のふくらはぎに×の刺青入れててさ、もう両方のふくらはぎが×だらけよ。
自分でもサンボ界の撃墜王って言うて笑ろてたわ、、怖すぎてこっちは笑えんけどな、、、

え?言葉?勿論ロシア語なんか全く解らんよ。
ただ向こうの人は殆ど英語が話せるから、俺も片言の英語と身振り手振りで暫くはなんとかなったわ。
それと俺が着いてから1週間くらいして、日本サンボ連盟から日本人選手が3人練習に来てな、その連中はロシア語もペラペラやったから凄げえ助かったわ。
あ、話戻すで。
んで最初の練習で俺のレベルを見る為って事で、こともあろうかヒョードロフとスパーをさせられたんよ、、、

もうね、何て言うか、、、せやなぁ喩えるなら、、
「理性のある熊」やなぁ、、あれは。
5分のスパーやってんけど、自分が今何をされてるかすら理解出来んのよ。
え?アレ?何がどうなって極められたん?って感じでさ、極められては開放、また極められての繰り返し、、、
え?バレたか、、、ハハハ、、そやで。こないだ迄お前らにやった講習会はその時の事を模したって訳。
当時ヒョードロフは50歳過ぎてたんやけどな、毎日若いトップクラスの相手と練習してるからか、衰え知らずって感じよ。
肉は分厚いし、骨は太いし、そのくせ柔軟性のある身体って、、、何食やぁそんな身体になるねん!って最初は思ったわ。んで更に驚くべき事に、俺が居た間サンボルールでのスパーでヒョードロフが極められる所を1回も見てないねんっ!
10代から30代の現役バリバリのトップを相手にやでっ?
どんだけの化物か想像つくやろ?

そんな人に指導されてるんやから強くなるのは当たり前でや、当然メンバーも化物揃いやったわ。
その中には後に世界最強の男と呼ばれる事になる、あの男もおったんやで。
え?誰ってか?野暮な事訊きなさんなって。
皆が想像してる男で正解やと思うで、、あ、ヒクソン・グレイシーじゃないでっ!まぁ、それは置いといて、、、
技術云々よりも体力面からして違い過ぎてなぁ、ようやく練習についていける様になるのに2週間かかったわ、、
尤もヒィヒィ言いながら、やっとこさついて行ってるってだけで、技術面は当然まだまだ歯がたたん状態やったけどな。

サンボとコマンドサンボは似て非なる物でな、サッカーとラグビー位に違うと思ってくれたらええ。
今は日本にもコマンドサンボ協会があるけど、本当の意味でのコマンドサンボじゃないと思う。
講習の時にお前らにも一部見せたけど、俺が現地で見たそれはもっとえげつない、競技性なんてこれっぽっちも無い物やったからなぁ、、、

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ロシア最終話 帰国

ある漫画でこんな台詞があってな、、、
「戦場ではフェアプレーこそが悪」
コマンドサンボの技術を見てたら、ほんまにそれを実感出来たわ。
同じサンボの名はついてても、スポーツサンボとは全くの別物でな、こないだの講習会でも少し見せたけど殺し技って呼べる危険な技が多い。
でも俺が見せたのはほんの一部でしかなくてや、現地ではもっとエグいのを見せられた、、、それは格闘技って呼ぶのも躊躇う様な、、、
確実に眼球を抉る方法や、簡単に耳を引き千切る方法、挙げ句は噛み付いて血管を喰い千切るやり方、、、とかな。

あと当然ながらナイフや棒術なんかの武器術もあるんやけど、それもやっぱり殺す為の技術に徹底してたわ。
どこの血管を斬れば何分で死に到るとか、どこの筋を斬れば再起不能に出来るとか、、色々な。
格闘技や武術において殺法を突き詰めたら、解剖学に行き当たるって言われてるんやけど、コマンドサンボも例に漏れずで人体構造の勉強もさせられたわ。
でもこんな技術は普通に生活する上で必要無いし、法治国家である以上は使えば犯罪者や、、、

武医同術って言葉があるように、武術と医術は通ずる部分が多いんやけど、同じ覚えるんなら殺法やなくて活法を覚えた方がよっぽどええ。
活法の代表格が大作の親父さんもやってる柔道整体やな。
柔道整復師は国家資格やから、なかなかに難しいやろけど、このまま関節技の勉強を続けたら取得も夢や無いよ。
この中からそっちに進む人間が出てくれたら嬉しく思うわ。
、、、あぁ、、ごめんな、でもそんな顔すんなって、、
確かに障害がある以上は人より出来る事は少ないかも知れん。それは俺も実感しとるよ。

でもな障害を抱えてるからこそ理解してあげれる事もあるし、人を治したいって気持ちも強くなると思う。
それにあくまで目指す人が現れたら嬉しいってだけで、なれって言ってるんちゃうからさ、軽く聞き流してくれたらええよ。
ただ、殺法より活法、、、この事だけは強く頭に置いといて欲しい。これが言いたかった事、、、ええな?
うん、解ってくれたらそれでええ。

で!後から合流した日本選手達と一緒の日に帰る事なってんけど、帰国前夜にロシア勢が送別会を開いてくれてな。
そこでもビックリする事があったんやけど、、、
俺達が居た所はお世辞にも都会とは呼べんでな、どちらかと言うと村に近い感じでさ。
娯楽施設も少ないんやけども、バーレストランみたいな所でやってくれたんよ。
当然の如くウォッカの洗礼受けてやぁ、、早い段階でベロベロなって飲めや歌えやの大騒ぎやったんよ。

そしたら突然店のドアが開いてな、1人のオッサンが入って来たんやけど、、、手に鎖を握ってたんよ。
んで、その鎖の先を目で辿ったら、、何があった思う?
みんなしてそんなアッサリ判らん言わんと、少しは考えてくれやっ!
もうええわ、答え言うでっ!
熊よ、熊っ!!
もう俺達日本勢は大パニックよっ!一気に酔いも醒めてやぁ、、、ロシア勢はその様子見て大笑いしとるし。
いや、並のデカさや無いねんでっ!!
口枷はしてあるけど爪はそのままやし、鎖のリードがある言うても、あんなん暴れ出したらオッサンが止めれる訳あらへんやん?マジでビビったわぁ、、、

聞いたらロシアでは結構ポピュラーな事らしいんやけど、熊連れて酒場を廻って、記念写真を撮らせて金を貰ってるらしいわ。
赤ちゃんの時から人間と暮らしてるから、馴れてるし大丈夫って笑ってるんやけど、相手は熊やん?
どこで機嫌損なうスイッチ入るか解らんし、暫くは戦々恐々よ、、、しまいにはオッサン、口枷まで外してフルーツとか喰わしとるしや、、、
でも30分位したら可愛く思えて来てな、デカい犬みたいに錯覚してくるんよ。最終的には抱き締めたり、肩組んだりして楽しく過ごしたわ。、、、身体中引っ掻き傷だらけなったけどなハハハ!

んで次の日帰国やってんけど、ここでもトラブルがあってさ、、、
当時はまだロシアを訪れる日本人は少なかったらしくて、4人もまとまって居る事を不審がられてな、空港で足止め喰らったんよ。
んで荷物を隅々まで調べられてやぁ、、、
そしたら間の悪い事にメンバーの1人が大量にキャビアの缶詰めを入れててな、、、
向こうではキャビアとイクラは驚く位に安くてやぁ、大概のレストランでは食べ放題でテーブルに備え付けられてるんよ。
ん?そうそうっ!日本の食堂でも食べ放題の漬物とか置いてる所あるやろ?鳥やんの言う様にまさにあんな感じや。
だからそいつは安く大量に買って、日本で売って儲けるつもりやったみたい、、、
ところが、キャビアの個人購入には数量規制があってな、そいつのはそれを遥かに超えてたもんやから、俺達全員がまるで密輸団みたいな扱い受けてさぁ、、
規制の事を知らんかったって事で疑いは晴れたけど、結局4時間近く足止めよ。

当然目的の飛行機には乗れんで、別便に乗る事なったんやけど、これがめちゃくちゃ小さい機体でさ、個人のプライベート機くらいで、機内の幅なんて阪急電車と変わらんねんもん、、、
元々飛行機が苦手な俺やん?もう決死の覚悟でさ、、
例の如く飛ぶ前に寝た訳よ。
そしたら突然メンバーが騒ぎ出してな、何事かと目が覚めたんよ。
で、機内を見渡したら白い煙が充満しとってなっ!!
火事か機械トラブルか、、、どちらにせよ、ほんまに終わった、、、って思って覚悟したんやけど、それは機内換気の為に放つフレッシュエアーって物やってさ、、、

ロシアでは当たり前なんか知らんけど、パニクってるんは俺達だけで、他の客は至って通常モード、、、恥ずかしかったわぁ。
他にもカジノで見物人が出る位にメダルが出て、ウヒョーって思ってたら日本円で数千円やったとか、街中のイベントで見たビンゴ大会の1等賞品が
「いや、それ、日本やったら廃車ですやん、、」
て位にボロボロの車やったりと、色々文化的に衝撃受けたロシアやった訳やけど、ほんまに良い経験やったし行って良かったと思ってる。
オランダやタイも面白い話あるけど、それは又いつか機会あったら話すわ。

あ、、、折角の飲み会やのに独壇場で時間使ってしもて、、ごめんな、、、
おっと、、もうこんな時間か、藤井ちゃんはそろそろ帰さんとマズいよな、送ってくから行こか!
え?ママに送って貰うって、、、女性と子供だけで何かあったらアカンから。ほら行くでっ!
あ、ええよ、ええよ、吉川さんは残って楽しんで、俺が送るから大丈夫。
とりあえず送ったら又戻って来るから。ほんなら又後でな。



こうして崇のロシア回顧録は幕を閉じた。
そして藤井との帰り道、色々話していると
(俺もこれ位の子供が居てもおかしく無いんやなぁ、、)
そんな事をぼんやりと思ったりした。
僅かばかりの親気分に浸っていると、不意に藤井がある事を口にした。それは崇の心臓を鷲掴みにする様な言葉だった。
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