ほんの一昨日まで、行政批判に目を輝かせていたテレビはどこへいったのか。この奇怪な状況が意味するのは、やはり、石原批判がいまでも“メディアタブー”になっている、という事実だろう。本サイトでは何度か解説してきたが、周知の通り石原氏は芥川賞選考委員まで務めた大作家で、国会議員に転身後は都知事にまで上り詰め、その間、ずっと保守論客として鳴らしてきた。そのため、“作家タブー”のある出版社だけでなく、テレビなどマスコミと非常に密な関係を築いており、日テレなどは幹部がべったりで、テレ朝は石原プロモーションと結びついているため、ほとんど手が出せない。この結果としてマスコミの間でできあがったのが、どれだけ石原が税金で贅沢三昧をしても、都政の不透明なカネの動きが判明しても、はては公務のサボり疑惑が浮上しても、ほとんど追及を受けることがないという、グロテスクな“石原タブー”だった。


















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豊洲盛り土問題で犯人が石原慎太郎だとわかった途端、ワイドショーが一斉沈黙!「下から聞いただけ」も嘘だったのに

2016.09.16













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石原慎太郎公式サイトより


 大騒動となっている東京・豊洲新市場の「盛り土」問題だが、その“戦犯”について、東京新聞15日朝刊が重要なスクープを報じた。豊洲新市場の主要な建物の下に盛り土がされていなかったことについて、石原慎太郎元都知事が在任中の2008年、現在地下にたまっている強アルカリ性“汚染水”の元凶と見られている“地下コンクリート箱”案をゴリ押ししていたことがわかったのだ。

 石原氏は08年5月16日の会見で「もっと費用のかからない、しかし効果の高い技術を模索したい」と説明。その後、専門家会議の座長が「新しい方法論を試すにはリスクが高い」と指摘したのに、同23日には「その人の専門性というのはどんなものか分からない」などといちゃもんをつけた。さらに、専門家会議が盛り土計画を固めていたにもかかわらず、同30日には「コンクリートの箱を埋め込むことで、その上に市場とかのインフラを支える、その方がずっと安くて早く終わるんじゃないか」と持論を展開していたのだ。

 これはどう考えても、石原がゴリ押しする“コンクリ箱構想”を役人が忖度して、本来、盛り土になっていなければならない地下空間が“ナゾの水浸し”となる異常事態になったと見るべきだろう。

 しかも、石原氏はこの3日前、BSフジ『プライムニュース』に出演し、こんな強弁をしていた。

「僕は騙されたんですね。言葉は悪いかもしれないけど、めくら判を押されたというか、つんぼ桟敷に置かれたっていうかね。結局ね、してない仕事をしたことにして予算出したわけですから、その金どこ行ったんですかね」

 次々と障害者差別を助長する表現を繰り出す様にも呆れるが、しかし、在任中に自分で注文をつけておきながら、「騙された」と被害者面とは、つくづく、この男は恥というものを知らないのか。

 しかし、この石原の厚顔無知ぶりよりもさらに仰天したのは、テレビマスコミの尻込みっぷりだ。

 連日、あれだけ盛り土問題を嬉々として報じていたワイドショーだが、東京新聞のスクープを受けて朝の情報番組からこの“石原慎太郎の責任追及”でもちきりになるかと思いきや、まったくそうはならなかったのだ。

 朝や昼の情報番組とワイドショーでは、かろうじて『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)と『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)が石原の責任に言及したが、他の番組では東京新聞のスクープそのものを完全にネグってしまったのだ。





 たとえば、露骨だったのはTBSだ。『あさチャン!』『白熱ライブ ビビット』『ひるおび!』という午前〜昼帯ワイドショーでは、驚くことに08年の石原発言に一切の言及がなかった。共産党都議による青果棟地下の汚染水調査の模様は長尺で流し、盛り土計画の長年にわたる経緯を詳細に説明したにもかかわらず、である。『ひるおび!』司会の恵俊彰は、都議団の調査に都側が拒否的であることを「ちょっと変な感じですよね〜」と揶揄したが、石原についてまったく触れようとしないTBSのほうが相当に「変」だろう。

 他局も似たりよったりだ。日本テレビの『ZIP!』『スッキリ!!』でも石原への言及はゼロ。読売テレビ『情報ライブ ミヤネ屋』や、フジテレビ『とくダネ!』も同様だった。

 そして、夕方や夜のニュース番組ともなると、さすがに各局とも石原の過去の発言を取り上げ、なかには昨日の午後に直撃した模様を報じる局もあったが、これにしても石原の「豊洲の盲点はなんですか? それも知らずに質問をしないほうがいいよ!」というお得意の逆ギレ、「下から聞いたことをみなさんに報告しただけ」という八つ当たりを垂れ流すだけ。スタジオで司会やコメンテーターらが石原氏を批判する場面は皆無、という状況だったのである。

 翌日になれば、きちんと取材し、追及するのではないかとわずかな期待を抱いていたが、いまのところ、あまり大きく状況は変わっていない。

 たとえば、『羽鳥慎一モーニングショー』は今日の放送で、石原が「下(市場長)から聞いたことをみなさんに伝えただけ」と発言していたことをとらえ、06〜09年に東京都中央卸売の市場長を務めていた比留間英人氏に直撃。比留間氏から「(私のほうから知事に報告したというのは)ちがいますね。知事のほうからこういう話(コンクリートの箱にする工法)を自分は聞いたから検討してみろと(言われた)。(私から石原氏に提案したことは)ありません」「知事からあったお話(コンクリート工法)は採用できませんと私がブリーフィングで話した」という証言を引き出していた。つまり、取材では石原の嘘を完全に証明していたのである。

 ところが、スタジオでは、「たぶん比留間氏のほうが正しいんでしょうねえ」「石原さんの記憶違いかもしれませんね」と言うくらいで、石原氏を糾弾するコメントは一切なし。わずか2〜3分で別の話題に移ってしまった。

『モーニングショー』では前日も、番組冒頭に石原の発言こそ報じたが、司会の羽鳥が「まあ、どうなんでしょうね。広く見ると、空間の使い方というか利用方法が自分が思っていたのとは違っていたという……そういうふうにとろうと思えばとれますけど」と、すかさず石原のフォローに走っていた。

繰り返すが、テレビのワイドショーやニュース番組は、ここ数日、この「盛り土」問題を大々的に取り上げ、出演者も「なぜこうなったのか」「誰の指示でやったのか」と犯人探しや縦割り行政批判をしたり顔で繰り返してきた。それが、いざ“石原戦犯”を指し示す証拠が出てきたとたんに、一斉に別人のように黙りこくったのだ。

 ほんの一昨日まで、行政批判に目を輝かせていたテレビはどこへいったのか。この奇怪な状況が意味するのは、やはり、石原批判がいまでも“メディアタブー”になっている、という事実だろう。

 本サイトでは何度か解説してきたが、周知の通り石原氏は芥川賞選考委員まで務めた大作家で、国会議員に転身後は都知事にまで上り詰め、その間、ずっと保守論客として鳴らしてきた。そのため、“作家タブー”のある出版社だけでなく、テレビなどマスコミと非常に密な関係を築いており、日テレなどは幹部がべったりで、テレ朝は石原プロモーションと結びついているため、ほとんど手が出せない。

 この結果としてマスコミの間でできあがったのが、どれだけ石原が税金で贅沢三昧をしても、都政の不透明なカネの動きが判明しても、はては公務のサボり疑惑が浮上しても、ほとんど追及を受けることがないという、グロテスクな“石原タブー”だった。

 今回の東京新聞による石原発言のスクープ前後のテレビマスコミの豹変も、この構造がもろに出たということだろう。

 しかも、これはたんにマスコミのへっぴり腰に呆れ果てているだけでは済まない。実は、石原が“コンクリートの箱”案をもち出した背景には、設計事務所やゼネコンとの癒着疑惑もちらついている。さらに、豊洲新市場をめぐっては業者の落札をめぐる不正疑惑も浮上している。

 しかし、この調子だと、石原タブーとともにこうした疑惑追及そのものがうやむやになってしまいかねないのだ。この国のテレビはいったいどうしてしまったのだろう。
(宮島みつや)

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