銀河英雄伝説  「人間の行為のなかで、何がもっとも卑劣で恥知らずか。 それは、権力を持った人間が、権力に媚びを売る人間が、安全な場所に隠れて戦争を賛美し、 他人には愛国心や犠牲精神を強制して戦場へ送り出すことです」(ヤン・ウェンリー)




















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10分でわかる『銀英伝』。

小説, 田中芳樹, 超オススメ!


 先日、平和さん(id:kim-peace)が、こんなことを書いていた。


実は・・・銀英伝が判りません

小説を読んだことも、アニメを見たこともありません。ヤン提督の名前と顔はかろうじて一致します。

スターウォーズのデススターみたいな要塞がでるんでしたっけ?

某所と某所がDVD-BOXの話題で盛り上がっていたのですが、全然付いていけません・・・

 読めよ。

 いや、ひとの価値観はそれぞれなので、どの本を読むのも読まないのもそのひとの勝手ではある。でも、ライトノベル読みなのにこの作品を読み逃がしているなんて、それは人生の損失でしょ。

 およそ、日本のキャラクタ小説で、この作品を超えるものは存在しないと思う*1。単純に商業的側面だけを見ても、正編全10巻だけで1000万部を超えるセールスを記録している。日本出版史上屈指のベストセラーなのである。

 もちろん、世の中には何がおもしろいのかわからないベストセラーもある。しかし、『銀英伝』は違う。

 「架空歴史小説」というジャンルはこの作品によって生まれ、この作品によって完成した。そしておそらく、今後もこの方向性でこの作品を超えるものは出て来ないだろう。それほどの傑作である。

 何よりとにかくおもしろい! 波乱万丈、痛快無比、そして深い悲しみに満ちた物語は、いままで100万もの読者を魅了してきた。

 まだこの作品を読んでいないひとに対しては、この使い古された言葉を送りたいと思う。「あなたは幸せだ。これからこの小説を読めるのだから」。

 しかし、いったいどこがそんなにおもしろいのか? 以下に簡単に記しておこう。

■あらすじは?■

 物語の舞台はいまから数千年後の未来世界。宇宙空間に進出した人類は、ふたつの巨大国家に分かれ、はてしない戦争を続けていた。独裁者ルドルフによって建国された銀河帝国と、民主主義を掲げ帝国に反旗をひるがえした自由惑星同盟である。

 この二国家の抗争は実に150年に及び、両国に甚大な犠牲を生んでいた。そして、宇宙暦8世紀末、停滞しきった歴史は突如として転換点を迎えることになる。

 帝国と同盟、その双方にふたりの天才的な用兵家が登場したのだ。のちに帝位を簒奪することになる「戦争の天才」ラインハルトと、「黒髪の魔術師」と呼ばれる若者ヤン・ウェンリーである。

 ふたりは帝国軍と同盟軍を率い、何度となく激突する。そして、独裁者としてその天才を存分に発揮するラインハルトに対し、民主主義の理念を墨守しようとするヤンは、次第に不利な状況に追い詰められていくのだった。

 さいごに勝つのはどちらなのか? ふたりの英雄を中心に、壮大な物語が幕をあける。


「平和というのはな、キルヒアイス。無能が最大の悪徳とされないような幸福な時代を指して言うのだ。貴族どもを見ろ」



――ラインハルト・フォン・ローエングラム


■どんなひとが出て来るの?■

 トルストイの『戦争と平和』には、400名以上の人物が登場するという。それに対して、『銀英伝』の登場人物は600名以上にのぼる。

 しかし、憶えきれるかどうか心配する必要はない。それぞれの人物は実に個性的かつ魅力的。忘れたくても忘れられなくなること請け合いだ。

 なかでも一方の主役である「魔術師」ヤン・ウェンリーの人物像は忘れがたいものがある。射撃や格闘の腕は最低で、ひとりの兵士としてはまるで役に立たないにもかかわらず、司令官としては天才的な才能を発揮するという性格設定がおもしろい。

 出世したいなんて思ってもおらず、早く年金暮らしに入りたいと願っているいるのに、ヤンはいつのまにか同盟軍史上最年少の元帥にまでのしあがってしまう。

 そして、ラインハルトの天才に比肩しうる宇宙でただひとりの男でありながら、さいごまで自分の行動に疑問を抱きつづける。

 ラインハルトを倒すことは本当に正しいのか? この腐敗した国家を守ることに意味はあるのか? そして、民主主義の理念のためにひとを殺しつづける自分を歴史はどう評価するのか? そう悩みながらヤンは戦いつづけるのだ。

 と、こう書くといかにもまじめな人物のようだが、その実、ひょうひょうとして捉えどころがなく、真剣にやっていても軽口が飛び出す、好きにならずにいられないような若者だ。ちょっとぼくの筆では説明しきれないほど複雑で微妙な性格である。

 ほかにも、先述のラインハルトをはじめ、英雄、天才、勇者、名将、美女、愚者、皇帝、商人、貴族、政治家、宗教家、卑劣漢、売国奴など、魅力的な人物にはことかかない。

 ひとりひとり取り上げて説明したいことは山々だが、それをはじめてしまうととても終わらないので、ぜひ自分で本編を読んでたしかめてほしい。


「皇帝ラインハルト陛下、わしはあなたの才能と器量を高く評価しているつもりだ。孫を持つなら、あなたのような人物を持ちたいものだ。だが、あなたの臣下にはなれん。ヤン・ウェンリーも、あなたの友人にはなれるが、やはり臣下にはなれん。他人ごとだが保証してもよいくらいさ。なぜなら、えらそうに言わせてもらえば、民主主義とは対等の友人をつくる思想であって、主従をつくる思想ではないからだ。わしはよい友人がほしいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下も持ちたいとは思わない。だからこそ、あなたとわしは同じ旗をあおぐことはできなかったのだ」



――アレクサンドル・ビュコック


■どこがおもしろいの?■

 この作品の特色は、SF的な設定でありながら、SF的要素が皆無に近いところにある。宇宙人は出て来ない。超能力者も出て来ない。ガンダム*2もイデオン*3もナイト・オブ・ゴールド*4も出て来ない。

 したがって、「SFってむずかしいんでしょ?」というあなたにも問題なく読みこなせるはずである。舞台こそ未来ではあるものの、『銀英伝』はむしろストレートな歴史小説なのだ。

 先述したように数多くの魅力的な人物が登場するのだが、しかし、さいごまで生きのこるものは少数派である。この作品では、重要人物であるかそうでないかを問わず、死ぬときはあっさりと死んでしまう。

 あるものは戦場で爆死し、あるものは暗殺の凶弾に斃れる。その死に様はさまざまだが、とにかく死亡率はやたらに高い。「まさか」と思うほどの最重要人物ですら死なせてしまうことから、田中芳樹は「皆殺しの田中」とまで呼ばれるようになった*5。

 だから、この物語は悲しみの物語だ。しかし、そこから戦争の悲惨さ、かけがえのない命の貴重さ、いとしさを知ることが出来る。

 そして、それでいて、『銀英伝』にはありきたりの平和教育ものにはないすごみがある。作者は、この作品を通して、決して戦争を否定してはいない。主人公であるラインハルトにしてからが、戦争中毒ともいうべき若者だ。

 かれは戦争のなかでのみその生命を燃焼しきることが出来る。そして、帝国にも、同盟にも、平和な世界には居場所がないような男が何人も出て来る。

 読みすすめるうちに、戦争とは何か、そして平和とは何なのか、読者は自分自身で考えざるをえなくなるだろう。

 この物語ではあらゆる価値観が相対化されている。主人公であるラインハルトやヤンでさえ、厳しい批判から逃れることは出来ない。

 完全な正義も、悪もなく、何かを押しつけてくることのない物語。だから読者は自分で考えるしかないのである。

 たとえば、作中のある人物は、ひとを陥れることばかりが得意な卑劣な男のように見えたが、しかし、その死後、匿名で募金を続けていたことがあきらかになる。善にせよ、悪にせよ、一筋縄では行かない、それが『銀英伝』だ。

 この小説は、平和の意味や、民主主義の理念をわかりやすく教えてくれる小説「ではない」。物語こそすべてであり、そこから何を学び取ることも読者に任せられている。まさにエンターテインメントである。


「戦闘もない、殺人もない、喧嘩もなければもめごともない。おまけにこの2日ばかりは、佳い女も見あたらない。何のために軍人やってるんだか、わかりゃしない」



――オリビエ・ポプラン


■どの本で読めばいいの?■

 現在までに『銀英伝』は四つの版で出版されている。徳間ノベルス版、徳間文庫版、徳間デュアル文庫版、そして創元SF文庫版である。

 徳間ノベルス版は現在入手困難だ。しかし、そこはベストセラー、ブックオフに行けば全巻そろっている可能性もある。たぶん、そうやって買うのが一番安いだろう。

 でも、先の巻のあらすじは決して読まないこと。仕方ないことだが、ネタバレの嵐なのだ。素直に第1巻から順番に読もう。

 外伝は本編より前の話が多いので外伝から読みはじめてもかまわないが、たぶんあらかじめ本編を読んでおいたほうがより深く楽しめると思う。

 徳間文庫版は、ノベルス版をそのまま文庫にしたもの。豪華解説陣が解説を執筆していてお得だが、たしか、外伝は出ていないんじゃなかったかな。その点を除けば大きな問題点はないと思う。

 デュアル文庫版は道原かつみの挿絵が付いていて、文字も大きく、低年齢層向けと思われる。ある意味、一番ライトノベルっぽい。

 この版の問題点は、ノベルスの1冊を2冊に分けているところにある。つまり、ほかの版では全10巻のものが、全20巻になるわけである。

 自然、そのぶんお金もかかるので、個人的にはあまりお勧めしない。イラストもイメージを限定してしまう効果があるしなあ。

 さいごの創元SF文庫版は、字も読みやすく、イラストもなく、まさに「決定版」というにふさわしい出来である。しかし、大きな問題点がひとつあって、現在第3巻までしか刊行されていないのだ。

 きっとそこまで読めばすぐにも続きを読みたくなると思うので、この版で買ってしまうと少々辛い思いをするかもしれない。完結するまで待って買うのもいいが、あと1年以上はかかるだろう。

 ま、個人的には、どうにかしてノベルスを見つけて読むことがお勧めかな。やはり『銀英伝』といえば、あれがスタンダードだと思うから。あのぎっしりと詰まった文字がいい。

 なお、これから読む際は、ラインハルトとヤン登場以前の銀河の歴史を綴った序章は飛ばしてもかまわない。そこで挫折するひとが多いらしいから。読まなくても話はだいたいわかるのである。

 『銀英伝』はぼくが最も愛し、最も深くのめりこんだ物語である。そこから膨大なものを学び、膨大なことを考えさせられた。

 もちろん、欠点がないわけではない。SFとしては恐ろしく古くさい作品でもある。作中の政治理念はナイーヴすぎると感じる向きもあるだろう。

 しかし、その長所は、欠点を補って余りある。何より、既に完結していることが素晴らしい。『アルスラーン戦記』や、『タイタニア』や『灼熱の竜騎兵』のように、じりじりと続きを待つ必要はないわけである。

 さて、もう一度こういわせてもらおう。『銀英伝』を読んでいないあなたは幸福である。これから読むことができるのだから。至福の物語体験が、あなたを待っている。


「中尉……私は少し歴史を学んだ。それで知ったのだが,人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。命以上の価値が存在する、という説と、命に勝るものはない、という説とだ。人は戦いを始めるとき前者を口実にし,戦いをやめるとき後者を理由にする。それを何百年,何千年も続けてきた……このさき、何千年もそうなんだろうか」



――ヤン・ウェンリー

http://www.yumei.com/gin/yang_serifu.html
銀英伝 名言集   ---特別編---
ヤン:中尉……私は少し歴史を学んだ。それで知ったのだが、人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。生命以上の価値が存在する、という説と生命に勝るものはない、という説とだ。人は戦いを始めるとき前者を口実にし、戦いをやめるとき後者を理由にする。それを何百年、何千年も続けて来た……




ヤン:いいかい?ユリアン。軍隊というのは道具に過ぎない。それもない方がいい道具だ。そのことを覚えておいて、その上でなるべく無害な道具になれるといいね





ヤン:ひとつ狂うと、すべてが狂うものだな


ヤン:心配するな。私の命令に従えば助かる。生還したいものは落ち着いて私の指示に従ってほしい。わが部隊は現在のところ負けているが、要は最後の瞬間に勝っていればいいのだ


ラインハルト:どうやら勝ったな
ヤン:どうやら、うまく行きそうだな


トリューニヒト:150万の将兵はなぜ死んだのか?
ヤン:首脳部の作戦指揮がまずかったからさ


ユリアン:提督、どうなさいますか
ヤン:仕方ない、歩こう
ヤン:たまにはいいさ、一時間も歩けば着くだろう。いい運動になる
ユリアン:そうですね
ヤン:いくぞ、ユリアン
ユリアン:アイアイサー
ユリアン:………
ヤン:何だ、ユリアン、歩くのが嫌なのか
ユリアン:いいえ、そんなこと
ヤン:じゃ、なぜついて来ない?
ユリアン:そっち、反対方向ですよ
ヤン:………


ユリアン:ねえ、提督
ヤン:何だい
ユリアン:いま、提督と、僕と、同じ星を見てましたよ。ほら、あの大きくて青い星……
ヤン:うん、あの星は……
ユリアン:何ていう星です?
ヤン:何と言ったかな、たしか


ヤン:私はあいつのシェークスピア劇風の演説を聞くと、心にジンマシンができるんだよ
ユリアン:残念ですね、身体にジンマシンができるなら有給休暇がとれるのに


ヤン:生意気言うな、子供のくせに。子供ってのはな、おとなを喰物にして成長するものだ


オペレータ:閣下、新たな敵が二時方向に出現しました
ヤン:へえ、そいつは一大事


シェーンコップ:私が噂通り七人目の裏切者になったとしたら、事はすべて水泡に帰します。そうなったらどうします?
ヤン:困る
シェーンコップ:そりゃお困りでしょうな、たしかに。しかし困ってばかりいるわけですか? 何か対処法を考えておいででしょうに
ヤン:考えはしたけどね
シェーンコップ:で?
ヤン:何も思い浮かばなかった。貴官が裏切ったら、そこでお手上げだ。どうしようもない

ヤン:要するに私の希望は、たかだかこのさき何十年かの平和なんだ。だがそれでも、その十分の一の期間の戦乱に勝ること幾万倍だと思う


ヤン:もし私が銃を持っていて、撃ったとしてだ、命中すると思うか?


ヤン:信念で勝てるのなら、これほど楽なことはない。誰だって勝ちたいんだから


ビュコック:貴官が無事で良かった。ウランフもボロディンも帰ってこなんだな
ヤン:そのお言葉は、まだ早いでしょう


キルヒアイス:形式というのは必要かもしれませんが、ばかばかしいことでもありますね。ヤン提督
ヤン:同感です


ラインハルト:ところで、どんな男であった?ヤン・ウェンリーとは?
キルヒアイス:はい。正直掴みかねております。恐ろしいほどに自然体で、懐深く、おそらくは今回の作戦も見抜いているかと…
ラインハルト:なに?では、なぜこちらの策に乗るのか?
キルヒアイス:わかりません。なにか手を考えているのか、それとも、いかなる状況からでも逆転できる自信があるのか…。しかし、そのあたりがヤン提督の人となりの深さかと…
キルヒアイス:いずれにせよ、敵としてこれほど恐ろしい相手を知りません。しかし……
ラインハルト:しかし?
キルヒアイス:友とできれば、これに勝るものはないかと……
ラインハルト:…ヤン・ウェンリーか……会ってみたいものだ……




ヤン:もうすぐ戦いが始まる。ろくでもない戦いだが、それだけに勝たなくては意味がない。勝つための計算はしてあるから、無理をせず、気楽にやってくれ。かかっているものは、たかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べればたいした価値のあるものじゃない……それでは、みんな、そろそろ始めるとしようか


ヤン:専制とはどういうことだ?市民から選ばれない為政者が、権力と暴力によって市民の自由を奪い、支配しようとすることだろう。それはつまり、ハイネセンにおいて現に貴官たちがやっていることだ
ヤン:貴官たちこそ専制者だ。そうではないか


ヤン:国家が、社会的不公平を放置して徒に軍備を増強し、その力を、内に対しては国民の弾圧、外に対しては侵略という形で乱用するとき、その国は滅亡への途上にある。これは歴史上、証明可能な事実である。


ヤン:軍隊は本質的に解放の手段としての暴力ではなくて、支配・抑圧のための暴力だ


ヤン:相手の予測が的中するか、願望がかなえられるか、そう錯覚させることが、罠の成功率を高くするんだよ。落とし穴の上に金貨を置いておくのさ


ヤン:どうもやたらと眠いな。夏ばてらしいよ、ユリアン
ユリアン:提督のは、四季ばてですよ。夏の責任にしないでください


ヤン:ユリアン、陰謀だけで歴史が動くことはありえないよ。いつだって陰謀はたくらまれているだろうが、いつだって成功するとはかぎらない


ヤン:ほう、わが自由の国では、古代の専制国家みたいに、親の罪が子におよぶというわけですか


ヤン:模範解答の表があったら、見せていただけませんか。あなたがたが、どういう答えを期待しておいでか知っておきたいんです


ヤン:人間の行為のなかで、何がもっとも卑劣で恥知らずか。それは、権力を持った人間、権力に媚を売る人間が、安全な場所に隠れて戦争を賛美し、他人には愛国心や犠牲精神を強制して戦場へ送り出すことです。宇宙を平和にするためには、帝国と無益な戦いをつづけるより、まずその種の悪質な寄生虫を駆除することから始めるべきではありませんか


ヤン:何にしても、わが同盟政府には、両手をしばっておいて戦いを強いる癖がおありだから、困ったものですよ、ビュコック提督


ヤン:じゃあ、大尉、わが家に帰るとしようか


ヤン:見たか、ユリアン。これが名将の戦いぶりというものだ。目的を明確に持ち、それを達成したら執着せずに離脱する。ああでなくてはな


ユリアン:ホットパンチをつくりましょう。ワインに蜂蜜とレモンを入れて、お湯で割って。風邪には一番ですよ
ヤン:蜂蜜とレモンとお湯を抜いてくれ
ユリアン:だめです!
ヤン:たいしたちがいはないじゃないか
ユリアン:じゃ、いっそ、ワインを抜きましょうね
ヤン:……お前、四年前に家に来たときは、もっと素直だったよ
ユリアン:ええ、ぼくがこうなったのも、後天的な原因によるのです
ヤン:・・・・
ヤン:ああ、何もいいことのない人生だった……いやな仕事は押しつけられるし、恋人はいないし、せめて酒でも飲もうとすれば叱られるし……
ユリアン:風邪ぐらいで気分を出さないでください! ^^;;


ヤン:酒は人類の友だぞ。友人を見捨てられるか


ヤン:世のなかには達眼の士がいるものだ。ちゃんとわかっている。そのとおり、私はなまけ心で寝ているのじゃなくて、人類の未来に思いをはせているのだ
ユリアン:では提督の未来をぼくが予知してさしあげます。今夜の七時には、豚肉のスープ煮でワインを飲んでらっしゃるでしょう


ヤン:必要がないなんて、そんなことがあるわけないだろう
ヤン:必要がなくなったから傍に置かないとか、必要だから傍にいさせるとか、そういうものじゃなくて……必要がなくても傍にいさせる、いや、必要というのは役に立つとか立たないとかいう次元のものじゃなくてだね……





ヤン:なあ、ユリアン。どれほど非現実的な人間でも、本気で不老不死を信じたりはしないのに、こと国家となると、永遠にして不滅のものだと思いこんでいるあほうな奴らがけっこう多いのは不思議なことだと思わないか
ヤン:ユリアン、国家なんてものは単なる道具にすぎないんだ。そのことさえ忘れなければ、たぶん正気をたもてるだろう


ヤン:キャゼルヌ先輩はひとつだけいいことをしてくれたよ。お前を私のところへ連れてきてくれたことさ



ヤン:敵の戦艦一隻が年金いくら分になるか……


ヤン:まあ、大尉、何はともあれ今後ともよろしく


ユリアン:それにしても、あくまで年金にこだわるんですね
ヤン:当然だろう。せっかくの年金も、同盟政府が存続しないことにはもらいようがない。したがって、私は、老後の安定のために帝国軍と戦うわけだ。首尾一貫、立派なものさ


ユリアン:提督が地獄へいらっしゃるなら、ぼくもおともします。少なくとも、寂しくはありませんよ
ヤン:ばかなことをいうんじゃない。
ヤン:おまえには天国へ行ってもらって、釣り糸で私を地獄からつりあげてもらうつもりなんだ。せいぜい善行をつんでおいてほしいな


ヤン:♪世の中は、やってもだめなことばかり。どうせだめなら酒飲んで寝よか


ヤン:「箱舟作戦」!?もう少し、こう、想像の翼を羽ばたかせるような命名はないんですか?
キャゼルヌ:そんな実利のないことに時間を割いていられるか


ヤン:あれは何だ、いったい
フレデリカ:何だっておっしゃっても、あれはルイ・マシュンゴ少尉ですわ
ヤン:そいつはわかっている。なぜあいつまでこの艦に乗りこんでいるんだ


ヤン:気づいたな・・・、だが、遅かった



ヤン:ガルガ・ファルムル・・・
フレデリカ:レンネンカンプ大将の旗艦ですわ
ヤン:ああ、ミスター・レンネンか
ヤン:敵が射程に入る直前に、主砲を三連斉射、そのあとでライガール星系方面へ逃走する。ただし、ゆっくりと、しかも整然と


ヤン:運が良かった。それだけではないが、とにかく運がよかった


ヤン:フレデリカ、この戦いが終ったら……
ヤン:私は七歳も年上だし、何というか、その、生活人として欠けたところがあるし、その他にも欠点だらけだし、いろいろと顧みてこんなことを申し込む資格があるかどうか疑問だし、いかにも地位利用をしているみたいだし、目の前に戦闘をひかえてこんな場合にこんなことを申し込むのは不謹慎だろうし……
ヤン:だけど言わなくて後悔するよりは言って後悔するほうがいい……ああ、こまったものだな、さっきから自分のつごうばかり言ってる。要するに……要するに、結婚してほしいんだ



ラインハルト:お前が望んだことだ。望みどおりにしてやったからには、私の前に出てくるだろうな、ミラクルヤン


ヤン:闇が濃くなるのは、夜が明ける直前であればこそというからな


ヤン:勝てると思うかい?中将
シェーンコップ:あなたに本当に勝つ気があればね
ヤン:私は心の底から勝ちたいと思っているんだがね
シェーンコップ:いけませんな、ご自分で信じてもいらっしゃらないことを他人に信じさせようとなさっては
ヤン:・・・
シェーンコップ:あなたが勝つことだけを目的にする単純な職業軍人であるか、力量に対する自覚もなしに権力だけを欲する凡俗な野心家であるか、どちらかならわたしとしても煽動する甲斐があるんですがね。ついでに自分自身の正義を信じて疑わない信念と責任感の人であれば、いくらでもけしかけられる。ところがあなたは、戦っている最中でさえ、自分の正義を全面的に信じてはいない人ですからな。
シェーンコップ:信念などないくせに、戦えば必ず勝つ。唯心的な精神主義者から見れば許しがたい存在でしょうな、こまった人だ
ヤン:……私は最悪の民主政治でも最良の専制政治にまさると思っている。だからヨブ・トリューニヒト氏のためにラインハルト・フォン・ローエングラム公と戦うのさ。こいつは、なかなかりっぱな信念だと思うがね





オペレータ:敵軍、イエロー・ゾーンを突破しつつあり……
オペレータ:完全に射程距離にはいりました!
ヤン:撃て!


ラインハルト:それぞれの部所において対応せよ!何のために中級指揮官がいるのか。何もかも私がしなくてはならないのか!?
ヤン:そんなことは敵と相談してやってくれ。こちらには何の選択権もないんだから


ヤン:何とまあ、まずい戦いをしたことか
ヤン:もっと兵力があればなあ。あと一万隻、いや、5000隻、いやいや、3000隻でいい。そうすれば……


ヤン:良将だな。よく判断し、よく戦い、よく主君を救う、か


ヤン:それもいいね、けど私のサイズにあう服じゃなさそうだ


ヤン:四万隻の敵艦にかこまれて紅茶を飲むのは、けっこう乙な気分だな


ヤン:人民を害する権利は、人民自身にしかないからです。言いかえますと、ルドルフ。フォン・ゴールデンバウム、またそれよりはるかに小者ながらヨブ・トリューニヒトなどを政権につけたのは、たしかに人民自身の責任です。他人を責めようがありません。まさに肝腎なのはその点であって、専制政治の罪とは、人民が政治の害悪を他人のせいにできるという点につきるのです。その罪の大きさにくらべれば、100人の名君の善政の功も小さなものです。まして閣下、あなたのように聡明な君主の出現がまれなものであることを思えば、功罪は明らかなように思われるのですが……


ヤン:……私は、あなたの主張に対してアンチ・テーゼを提出しているにすぎません。ひとつの正義に対して、逆の方向に等量等質の正義が必ず存在するのではないかと私は思っていますので、それを申し上げてみただけのことです



フレデリカ:わたしにはわかりません。あなたのなさることが正しいのかどうか。でも、わたしにわかっていることがあります。あなたのなさることが、わたしはどうしようもなく好きだということです


ユリアン:提督、よくこんな人たちをひきいて勝ってこられましたね、裏切者ぞろいじゃありませんか
ヤン:私の人格は、かくて陶冶されたのさ





ヤン:不満なんてあるわけない。とくにこの前の……ええと、何とかいうのはおいしかった
フレデリカ:わたし、昔から料理がへたで……
ヤン:そんなことはないさ、ほんとに。そうそう、エル・ファシルの脱出行のとき、君が作ってくれたサンドイッチはおいしかったけどなあ
フレデリカ:わたし、サンドイッチだけは得意なんです。いえ、それだけじゃないけど、他には、クレープとか、ハンバーガーとか……
ヤン:はさむものばかりだね


ヤン:ああ、気にしないでください、大佐。誰しも給料に対しては相応の忠誠心をしめさなくてはなりませんからね。私もそうでした。あれは紙でなくじつは鎖でできていて人をしばるのですよ


ヤン:仕事をせずに金銭をもらうと思えば忸怩たるものがある。しかし、もはや人殺しをせずに金銭がもらえると考えれば、むしろ人間としての正しいありかたを回復しえたと言うべきで、あるいはけっこうめでたいことかもしれぬ


ヤン:ほしいと思うのは、身体がそれを求めているからだ。だからほしいものをすなおに食べたり飲んだりするのが、いちばん健康にいいんだよ


キャゼルヌ:おい、招かれざる客人よ
ヤン:何です、マダム・キャゼルヌのご亭主
キャゼルヌ:たまにはコニャックの一本もさげてこい。何だ、女房の好物ばかり持ってきおって
ヤン:だって、どうせ媚を売るなら、実力者に売ったほうが効率的ですからね。料理をつくってくださるのは奥さんでしょう
キャゼルヌ:視野の狭いやつだ。料理の材料費を出しているのはおれだぞ。表面どう見えても真の権力をにぎっているのは……
ヤン:やはり奥さんでしょ


ヤン:そうだね、ぜひ宇宙歴870年ものの白ワインを飲んでから死にたい


ヤン:生命のさしいれ、ありがとう
ヤン:ああ、ああ、せっかくの美人が台なしだ。ほら、泣きやんで……
ヤン:超過勤務、ご苦労さま


ヤン:君たちは楽観的すぎる。帝国と同盟を相手にして生き残れると思っているところが度しがたい。明日は葬式自動車に乗っているかもしれんのに
シェーンコップ:まあそれもいいでしょう。不老不死でいられるわけではないし、死ぬのだったら納得して死にたい。帝国の奴隷のそのまた奴隷として死ぬより、反逆者ヤン提督の幕僚として死ぬほうを、すくなくとも私の子孫は喜ぶでしょうよ



ヤン:二ヶ月、たった二ヶ月!予定どおりならあと五年は働かないで生活できるはずだったのになあ……


ヤン:要するに三、四〇〇〇年前から戦いの本質というものは変化していない。戦場に着くまでは補給が、着いてからは指揮官の質が、勝敗を左右する


ヤン:もしもし、こちら葬儀屋……


ヤン:英雄など、酒場に行けばいくらでもいる。その反対に、歯医者の治療台にはひとりもいない。まあその程度のものだろう


ヤン:あせることはないよ、ユリアン。朝食は昼までにすませればいいし、葬式をやるのは死んでからでいい


ヤン:真実ってやつは、誕生日と同じだよ。個人にひとつづつあるんだ。事実と一致しないからといって、嘘だとは言いきれないね


ヤン:世の中で一番有害なバカは、補給なしで戦争に勝てると考えているバカだ


ヤン:不向きなことを克服するのに時間と労力をついやすほど、人生は長くない


ヤン:努力による進歩のあとが顕著だね
フレデリカ:光栄ですわ、閣下


ユリアン:ヤン提督のご先祖ってどんな人だったんですか?
ヤン:そうだな、よくわからないけど、10億年ぐらい前は、地球の原始海洋のなかで、クラゲみたいにぷかぷか浮かんでいたらしいね


ヤン:戦術レベルにおける偶然は、戦略レベルにおける必然の、余光の破片であるにすぎない


ヤン:歴史とは、人類全体が共有する記憶のことだ、と思うんだよ、ユリアン。思い出すのもいやなことがあるだろうけど、無視したり忘れたりしてはいけないのじゃないかな


ヤン:偉人だの英雄だのの伝記を、子どもたちに教えるなんて、愚劣なことだ。善良な人間に、異常者をみならえというも同じだからね


ヤン:ことばでは伝わらないものが、たしかにある。だけど、それはことばを使いつくした人だけが言えることだ

ヤン:だから、ことばというやつは、心という海に浮かんだ氷山みたいなものじゃないかな。海面から出ている部分はわずかだけど、それによって、海面下に存在する大きなものを知覚したり感じとったりすることができる

ヤン:ことばをだいじに使いなさい、ユリアン。そうすれば、ただ沈黙しているより、多くの事をより正確に伝えられるのだからね……





ヤン:正しい判断は、正しい情報と正しい分析の上に、はじめて成立する


ヤン:平和の無為に耐えうる者だけが、最終的な勝者たりうる


ヤン:いうなれば、宇宙はひとつの劇場だよ


ヤン:運命というならまだしもだが、宿命というのは、じつに嫌なことばだね。二重の意味で人間を侮辱している。ひとつには、状況を分析する思考を停止させ、もうひとつには、人間の自由意志を価値の低いものとみなしてしまう。宿命の対決なんてないんだよ、ユリアン、どんな状況のなかにあっても結局は当人が選択したことだ


ヤン:半数が味方になってくれたら大したものさ


ヤン:おとなになるということは、自分の酒量をわきまえることさ


ヤン:宇宙はひとつの劇場であり、歴史は作者なき戯曲である


ヤン:……しかし、もしキャゼルヌの娘とシェーンコップの娘がユリアンをとりあって争うということになると観物だな。不肖の父親どうし、どうはりあうやら
フレデリカ:そうね、どちらが勝っても、ヤン家にはすてきな親戚ができることになりますわね


ヤン:鷹と雀では視点がちがう。金貨の一枚は、億万長者にとってとるにたりないが、貧乏人には生死にかかわるさ


ヤン:ユリアン、吾々は軍人だ。そして民主共和政体とは、しばしば銃口から生まれる。軍事力は民主政治を産み落としながら、その功績を誇ることは許されない。それは不公正なことではない。なぜなら民主主義とは力を持った者の自制にこそ真髄があるからだ。強者の自制を法律と機構によって制度化したのが民主主義なのだ。そして軍隊が自制しなければ、誰にも自制の必要などない
自分たち自身を基本的には否定する政治体制のために戦う。その矛盾した構造を、民主主義の軍隊は受容しなくてはならない。軍隊が政府に要求してよいのは、せいぜい年金と有給休暇をよこせ、というくらいさ。つまり労働者としての権利。それ以上はけっして許されない


ユリアン:でも、ぼくは提督には私情で、私欲で動いていただきたかったです


ヤン:信念とは、あやまちや愚行を正当化するための化粧であるにすぎない。化粧が厚いほど、その下の顔はみにくい


ヤン:信念のために人を殺すのは、金銭のために人を殺すより下等なことである。なぜなら、金銭は万人に共通の価値を有するが、信念の価値は当人にしか通用しないからである


ヤン:運命は年老いた魔女のように意地の悪い顔をしている


ヤン:メモなんてとる必要はないんだ
ヤン:忘れるということは、当人にとって重要ではない、ということだ。世のなかには、いやでも憶えていることと、忘れてかまわないことしかない。だからメモなんていらない


ヤン:明日から突然、年金の額が一〇倍になったら、神さまを信じてもいい


ヤン:戦争の九〇パーセントまでは、後世の人々があきれるような愚かな理由でおこった。残る一〇パーセントは、当時の人々でさえあきれるような、より愚かな理由でおこった……


ヤン:法にしたがうのは市民として当然のことだ。だが、国家が自らさだめた法に背いて個人の権利を侵そうとしたとき、それに盲従するのは市民としてはむしろ罪悪だ。なぜなら民主国家の市民には、国家の犯す罪や誤謬に対して異議を申したて、批判し、抵抗する権利と義務があるからだよ


ヤン:めんどうだよ、お前が書いて私のことを賞めたたえてくれたらうれしいな。どうせだから、知性と魅力にあふれた静かなる男だったと書いてくれよ


ヤン:何かを憎悪することのできない人間に、何かを愛することができるはずがない。私はそう思うよ


ヤン:ところでユリアン、正直なところキャゼルヌの娘とシェーンコップの娘とどっちが好みなんだ?



ヤン:いい人間、りっぱな人間が、無意味に殺されていく。それが戦争であり、テロリズムであるんだ。戦争やテロの罪悪は結局そこにつきるんだよ、ユリアン


ヤン:フレデリカ、ちょっと宇宙一の美男子に会ってくるよ、二週間ぐらいで還ってくる
フレデリカ:気をつけていってらしてね。あ、ちょっと、髪が乱れてるわ
ヤン:いいよ、そんなこと
フレデリカ:だめです、宇宙で二番目の美男子にお会いになるんだから


ヤン:ごめん、フレデリカ。ごめん、ユリアン。ごめん、みんな...





ユリアン:提督、イゼルローンに帰りましょう。あそこが僕達の、僕達みんなのうちですから。うちに帰りましょう




















ヤン:イゼルローンに帰るか……
http://anime.geocities.jp/ginga_eiyudensetu/Meiserifu/
銀河英雄伝説名言集

 銀河英雄伝説の登場人物は個性のある人物が多いです。その人たちの台詞(ナレーションも含め、以下台詞)も、良い内容のものが多数あります。なかには、多少毒のあるのも・・・。でも結構人生の中で参考になるような味わい深い台詞がありますので、「名言集」としてまとめてみました。この舞台の背景が、「長年の戦争状態」と言うこともあり言葉・単語は軍事に関するものが多数ありますが、ここで紹介した台詞を現在の実社会に置き換えて考えてみてください。
   (私はけっして戦争を賛美するつもりも、今の日本の政治を批判するつもりもありません。また、右翼でも左翼でもありません。)

 ただこの台詞について、下の「名言集」だけではあまりピンとこないものもあるかもしれません。この台詞がどういう状況の時に使われたのかがわからないからです。少なくともその前後がわかれば理解しやすいと思います。        
 ですから、できればこの作品を全て読むことをおすすめします。はまるかもしれませんよ。ちなみに私は、レーザーディスクで「わが征くは星の大海」を見て、はまってしまいました。この作品は台詞の他にも、映像のきれいさ、音楽はクラシックを使っている所が魅力的です。またこの映像と音楽がマッチしており、アニメについても素敵な作品に仕上がっています。現在はレンタルDVDも有りますので、「本はちょっと」という方は、ぜひこちらをごらんになってみてください。

 

 




アニメサイトリンク


攻殻機動隊 http://anime.geocities.jp/koukaku2029/
精霊の守り人 http://anime.geocities.jp/moribito_s/index.html
のだめカンタービレ http://anime.geocities.jp/nodameutauyouni/
東のエデン http://anime.geocities.jp/edeneasttakizawa/
サマーウォーズ http://anime.geocities.jp/animegallery2010/SW/

 

 

 

Cast

名セリフ集
     
         


 


 
名言集

 

    第1巻 黎明篇





  P42 下段 戦場に着くまでは補給が、着いてからは指揮官の質が、勝敗を左右する ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P84 上段 よい上官とは部下の才幹を生かせる人をいうのです。 ・・・・・・ パウル・フォン・オーベルシュタイン
  P117 上段 大樹の苗木をみて、それが高くないと笑う愚を犯しているかもしれんのだぞ ・・・・・・ アレクサンドル・ビュコック
  P123 上段 恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもの望みはしない。だが何十年かの平和で豊かな時代は存在できた。吾々が次の世代に何か遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和が一番だ。そして前の世代から手渡された平和を維持するのは、次の世代の責任だ。それぞれの世代が、後の世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和が保てるだろう。忘れれば先人の資産は食いつぶされ、人類は一から再出発ということになる。 (中略) 要するに私の希望は、たかだかこの先何十年かの平和なんだ。だがそれでも、その十分ノ一の期間の戦乱に勝ること幾万倍だと思う。私の家に14歳の男の子がいるが、その子が戦場に引き出されるのを見たくない。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P167 上段 私は権力を持った人たちに、つねに問いかけてゆきたいのです。あなたたちは何処にいるのか、兵士たちを死地に送りこんで、あなたたちは何処で何をしているのか、と ・・・・・・ ジェシカ・エドワーズ
  P169 下段 彼の傍にいるこの少年が、彼と同じ星を見上げる必要はいささかもない、とヤンは思う。 ・・・・・・ ナレーション(ヤンの考え)
  P231 下段 人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。生命以上の価値が存在する、という説と、生命に優るものはない、という説とだ。人は戦いを始めるとき前者を口実にし、戦いをやめるとき後者を理由にする。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
DVD vol4 第15話 アムリッツァ星域会戦
       

    第2巻 野望篇







  P47 下段 マリーンドルフ家のためにお前が犠牲になる必要はない。むしろマリーンドルフ家を道具にして、お前の生きる途を拡げることを考えなさい。 ・・・・・・ マリーンドルフ伯フランツ
 
P62下~
P63上
忠誠心というものは、その価値を理解できる人物に対して捧げられるものでしょう。人を見る目のない主君に忠誠をつくすなど、宝石を泥のなかへ放りこむようなもの。社会にとっての損失だとお考えになりませんか。 ・・・・・・ フェルナー大佐
  P140 上段 主義主張なんてものは・・・・・・ (中略) 生きるための方便です。それが生きるのに邪魔なら捨てさるだけのことで。 ・・・・・・ バグダッシュ
  P151 上~
  下 忠誠心ですか。(中略)美しいひびきの言葉です。しかし、つごうのよいときに濫用されているようですな。今度の内戦は、忠誠心というものの価値についてみんなが考えるよい機会を与えたと思いますよ。ある種の人間は、部下に忠誠心を要求する資格がないのだ、という実例を、何万人もの人間が目撃したわけですからね。 ・・・・・・ コンラート・リンザー
 ――たしかに忠誠とは無条件に発揮されるものではない。それを受ける者とは、当然、それなりの資格が必要であるはずだった。 ・・・・・・ (ナレーション)
  P155 下 ここは退くか ・・・・・・ オスカー・フォン・ロイエンタール
 ――後退すべきときに後退を決断できる能力も、名将の資格であった。 ・・・・・・ (ナレーション)
  P166 上 ブラウンシュバイク公の病理は、無意識の、傷つきやすい自尊心だった。本人はそれと気づかないだろうが、自身をもっとも偉大で無謬の存在であると信じているため、他人に感謝することができず、自分と異なる考えの所有者を認めることもできないのだ。彼と異なる考えを持つ者は反逆者にしか見えず、忠告は誹謗としか聞こえない。(中略)
 当然ながら、このような気質を持つ者は、社会に多種の思想や多様な価値観が存在することも認めない。 ・・・・・・ ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ
「なるほど、ブラウンシュバイク公は不運な人かもしれない。だが、その人に未来を託さねばならない人々は、もっと不運ではないのか・・・・・・」 ・・・・・・ ベルンハルト・フォン・シュナイダー
  P178 上 人間は誰でも身の安全をはかるものだ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
 歴史を見ても、動乱時代の人間というものはそういうものだ。それでなくては生きていけないし、状況判断能力と柔軟性という表現をすれば、非難することもない。むしろ、不動の信念などというしろもののほうが、往々にして他人や社会に害を与えることが多いのである。 ・・・・・・ (ナレーション)
  P193 下 政治の腐敗とは、政治家が賄賂をとることじゃない。それは個人の腐敗であるにすぎない。政治家が賄賂をとってもそれを批判することができない状態を、政治の腐敗というんだ。貴官たちは言論の統制を布告した、それだけでも、貴官たちが帝国の専制政治や同盟の現在の政治を非難する資格はなかったと思わないか ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P205 上 ・・・・・・あなたにとって、もっともたいせつにものがなんであるかを、いつも忘れないようにしてください。ときには、それがわずらわしく思えることもあるでしょうけど、失ってから後悔するより、失われないうちにその貴重さを理解してほしいの。 ・・・・・・ アンネローゼ(グリューネワルト伯爵夫人)
  P235 上~
  下 活気に満ちた時代が来そうね。もっとも、少々騒がしいけど、沈滞しているよりはるかにましだわ。 ・・・・・・ ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ

    第3巻 雌伏篇







  P27 下 ヤン・ウェンリーの傍で、大艦隊どうしの会戦を至近に見たことはある。だが、その時判断し洞察し決断するのはヤンであり、どれほど熱心で真摯であっても、ユリアンは責任のない傍観者であったにすぎない。だが、傍観者としてではなく、当事者として戦うということは、自分自身と、そして敵に対して責任を持つということなのだ。 ・・・・・・ ユリアン・ミンツ(ナレーション ヤンからの教訓)
  P37 上~
  下 体制に対する民衆の信頼をえるには、ふたつのものがあればよい。公平な裁判と、同じく公平な税制度。ただそれだけだ。 ・・・・・・ ラインハルト・フォン・ローエングラム
  P60 上 簒奪(さんだつ)が世襲より悪いなどと、誰が定めたのか。それは既得権を守ろうとする支配者の自己正当化の論理にすぎないではないか。簒奪や武力叛乱による以外、権力独占を打破する方法がないのであれば、変革を志す者がその唯一の道を選ぶのは当然のことである。 ・・・・・・ ラインハルト・フォン・ローエングラム(ナレーション)
  P66 上 「とんだ贅沢だ。三十歳を過ぎて独身だなんて、許しがたい反社会的行為だと面わんか」「生涯、独身で社会に貢献した人物はいくらでもいますよ。四、五百人リストアップしてみましょうか」(ヤン)「おれは、家庭を持った上に社会に貢献した人間を、もっと多く知っているよ」 ・・・・・・ アレックス・キャゼルヌ(ヤン・ウェンリーとの会話で)
  P67 上 ・・・・・・ヤン、お前さんは組織人として保身に無関心すぎる。そいつはこの際、美点ではなくて欠点だぞ。 (中略) お前さんは荒野の世捨て人じゃない。多くの人間に対して責任を持つ身だ。自分を守るため、すこし気を配ったらどうだ。 ・・・・・・ アレックス・キャゼルヌ
  P70 上 保護者との差はね、保護者は悪い友人を持っているけど、あいつには友人がいないってことです。 (中略) あの年齢のころには、けんか友だち、カンニング仲間、チームメイト、ライバル――いろいろな名目で同世代の友人がいるものです。ユリアンの場合は、周囲が成人、それもひねた成人ばかりですからねえ。ちょっと問題です。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P70 下 子供は完全な親を見ながら育ったりするものじゃないさ。むしろ、不完全な親を反面教師にして、子供は自主独立の精神を養うんだ。 ・・・・・・ アレックス・キャゼルヌ
  P71 上 「人間にとって最大の義務はなんだ?。人間にかぎらん、生物全般にとってだが、そいつは遺伝子を後世につたえて種族を保存することだ。あらたな生命を産み出すことだ。そうだろう?。」「ええ、ですから、人間にとって最大の罪悪は、人を殺すことであり、人を殺させることなんですよ。軍人ってのは、職業としてそれをやるんです。」(ヤン)「そういうふうに思考を進めんでもいいさ。だが、罪を犯したとしてだ、五人も子供を持てば、ひとりぐらいは人道主義を奉じて、父親の罪をつぐなう奴が出てくるかもしれん。 ・・・・・・ アレックス・キャゼルヌ(ヤン・ウェンリーとの会話で)
  P71 下 お前さんの保護者は昨日のことはよく知っている。明日のこともよく見える。ところが、そういう人間はえてして今日の食事のことはよく知らない。 ・・・・・・ アレックス・キャゼルヌ
  P77 下 同盟の権力者たちは、同盟それ自体を内部から崩壊させる腐食剤として使えます。およそ、国内が強固であるのに、外敵の攻撃のみで滅亡した国家というものはありませんからな。内部の腐敗が、外部からの脅威を助長するのです。そして、ここが肝腎ですが、国家というものは、下から上へ向かって腐敗が進むということは絶対にないのです。まず頂上から腐りはじめる。ひとつの例外もありません。 ・・・・・・ アドリアン・ルビンスキー
  P87 上 一流の権力者の目的は、権力によって何をなすか、にあるが、二流の権力者の目的は、権力を保持しつづけること自体にあるからだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P97 下 現在、宇宙が必要としているのは、ラインハルトの建設者としての能力であって、征服者としての能力ではないと思う彼女である。 ・・・・・・ ナレーション(ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ)
  P104 上 いたずらに兵を動かし、武力に驕るのは、国家として健康なありようじゃない ・・・・・・ ウォルフガング・ミッターマイヤー
  P132 下 国家が細胞分裂して個人になるのではなく、主体的な意志を持った個人が集まって国家を構成するものである以上、どちらが主でどちらが従であるか、民主主義社会にとっては自明の理でしょう。 (中略) 人間は国家がなくても生きられますが、人間なくして国家は存立しえません。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P152 上 政治権力とジャーナリズムが結託すれば、民主主義は批判と自浄の能力を欠くようになり、死にいたる病に侵される。 ・・・・・・ ナレーション
 
P153下~
P154上
忍耐と沈黙は、あらゆる状況において美徳となるものではない。耐えるべきでないことに耐え、言うべきことを言わずにいれば、相手は際限なく増長し、自己のエゴイズムがどんな場合でも通用する、と思いこむだろう。幼児と権力者を甘やかし、つけあがらせると、ろくな結果にならないのだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P154 下 人間の行為のなかで、何がもっとも卑劣で恥知らずか。それは、権力を持った人間、権力に媚びを売る人間が、安全な場所に隠れて戦争を賛美し、他人には愛国心や犠牲精神を強制して戦場へ送り出すことです。宇宙を平和にするためには、帝国と無益な戦いをつづけるより、まずその種の悪質な寄生虫を駆除することから始めるべきではありませんか。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P159 下 目上?政治家とは、それほどえらいものかね。私たちは社会の生産に何ら寄与しているわけではない。市民が納める税金を、公正にかつ効率よく再配分するという任務を託されて、給料をもらってそれに従事しているだけの存在だ。私たちはよく言っても社会機構の寄生虫でしかないのさ。それがえらそうに見えるのは、宣伝の結果としての錯覚にすぎんよ。 ・・・・・・ ホワン・ルイ
  P192 上~
  下 先行投資の重要さというものが。人間には現在はむろんたいせつですが、どうせなら過去の結果としての現在より、未来の原因としての現在を、よりたいせつになさるべきでしょうな。 ・・・・・・ ルパート・ケッセルリンク
 
P197下~
P198上
何も全人類社会が、単一の国家である必要はなく、複数の国家が併存していてかまわないのだ。
 問題は、政治をおこなう手段である。歴史の進歩またはその流れの回復を、ローエングラム公ラインハルトのように傑出した一個人の手にゆだねるか、自由惑星同盟のように、能力も徳性も平凡な多くの人々が、いがみあい、悩み、妥協と試行錯誤を繰り返しながらも責任を分けあって遅々たる歩みを進めていくか。どちらの手段を選択するかなのだ。
 専制君主を打倒した近代市民社会は、後者の道を選んだ。それは正しい選択だった、と、ヤンは思う。ローエングラム公ラインハルトのように、野心と理想と能力を具えた人物の出現は、奇蹟――というより歴史の気まぐれのようなものだ。彼は現在、銀河帝国の全権力を一身に集中させている。帝国宰相にして帝国軍最高司令官!それはよろしい。彼にはその双方の責務をはたす力量がある。しかし、彼の後継者はどうか?
 何百年かにひとり出現するかどうか、という英雄や偉人の権力を制限する不利益より、凡庸な人間に強大すぎる権力を持たせないようにする利益のほうがまさる。それが民主主義の原則である。 ・・・・・・ ナレーション
  P206 下 戦争を登山にたとえるなら・・・・・・ (中略) 登るべき山をさだめるのが政治だ。どのようなルートを使って登るかをさだめ、準備をするのが戦略だ。そして、与えられたルートを効率よく登るのが戦術の仕事だ。 ・・・・・・ ユースフ・パトロウル
  P211 下 自由惑星同盟という国家が消滅しても、人間は残る。「国民」ではなく、「人間」が、だ。国家が消滅して最も困るのは、国家に寄生する権力機構中枢の連中であり、彼らを喜ばせるために、「人間」が犠牲になる必要など、宇宙の涯(はて)までその理由を探しても見つかるはずがない。 ・・・・・・ ナレーション
  P224 下 これが名将の戦いぶりというものだ。明確に目的を持ち、それを達成したら執着せずに離脱する。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P234 上 奪ったにせよ、きずいたにせよ、最初の者は賞賛を受ける資格がある。それは当然だ。 (中略) 
・・・・・・だが、自分の実力や努力によることなく、単に相続によって権力や富や名誉を手に入れた者が、何を主張する権利を持っているというのだ? 奴らには、実力ある者に対して慈悲を乞う道が許されるだけだ。おとなしく歴史の波に消えていくことこそ、唯一の選択だ。血統による王朝などという存在自体がおぞましいと私は思う。権力は一代かぎりのもので、それは譲られるべきものではない、奪われるべきものだ。 ・・・・・・ ラインハルト・フォン・ローエングラム
  P242 上 自由と平等を守る軍人になりたいんです。侵略や圧政の手先になるような軍人ではなくて、市民の権利を守るための軍人にです。 ・・・・・・ ユリアン・ミンツ
  P243 上~
  下 ヤンは自らを顧みる。どれほど多くの敵と味方を殺し、どれほど多くのものを奪い、どれほどの回数にわたって敵をあざむいたことか。それが現世において免罪されているのは、単に、国家の命令に従ったから、という一時によるにすぎない。まことに、国家というものは、死者をよみがえらせる以外のことは、すべてなしうる力を有している。犯罪者を免罪し、その逆に無実の者を牢獄へ、さらに処刑台へと送りこみ、平和に生活する市民に武器を持たせて戦場へと駆り立てることもできるのだ。軍隊とは、その国家において、最大の組織された暴力集団なのだ。
「なあ、ユリアン。あんまり柄にない話をしたくはないんだが、お前が軍人になるというのなら、忘れてほしくないことがある。軍隊は暴力機関であり、暴力には二種類あるってことだ。」
「いい暴力と悪い暴力?」(ユリアン)
「そうじゃない。支配し、抑圧するための暴力と、解放の手段としての暴力だ。国家の軍隊というやつは・・・・・・」 (中略)
「本質的に、前者の組織なんだ。残念なことだが、歴史がそれを証明している。権力者と市民が対立したとき、軍隊が市民の味方をした例はすくない。それどころか、過去、いくつもの国で、軍隊そのものが権力機構と化し、暴力的に民衆を支配さえしてきた。昨年も、それをやろうとして失敗した奴らがいる。」 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー(ユリアンとの会話で)
    (上に続き)
 
P243下~
P244上
剣よりペンが絶対に強い、と信じるヤンであった。真理などめったに存在しない人間社会で、これだけは数すくない例外だと思っているのだ。
「ルドルフ大帝を剣によって倒すことはできなかった。だが、吾々は彼の人類社会に対する罪業を知っている。それはペンの力だ。ペンは何百年も前の独裁者や何千年も昔の暴君を告発することができる。剣をたずさえて歴史の流れを遡行することはできないが、ペンならそれができるんだ。」
「ええ、でもそれは結局、過去を確認できるというだけのことでしょう?」(ユリアン)
「過去か! いいかい、ユリアン、人類の歴史がこれからも続くとすれば、過去というやつは無限に積みかさねられてゆく。歴史とは過去の記録というだけでなく、文明が現在まで継続しているという証明でもあるんだ。現在の文明は、過去の歴史の集積の上に立っている。わかるかい?」 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー(ユリアンとの会話で)

    第4巻 策謀篇







  P18 上 暗殺とは過去の清算とはなりえても、未来の構築とはなりがたい ・・・・・・ ナレーション
  P73 上~
  下 恩を売り、こちらの立場を強化するには、相手が窮地に立ったとき救援の手をさしのべることである。順境にある相手に恩着せがましく接近したところで、歓迎されるはずがない。 ・・・・・・ ルパート・ケッセルリンク
  P103 上 盗賊に三種類ある、とは、誰が言ったことであっただろうか。暴力によって盗む者、知恵によって盗む者、権力と法によって盗む者 ・・・・・・ 。 ・・・・・・ ナレーション
  P105 上 組織のなかにいる者が、自分自身のつごうだけで身を処することができたらさぞいいだろうと思うよ。私だって、政府の首脳部(おえらがた)には、言いたいことが山ほどあるんだ。とくに腹だたしいのは、勝手に彼らが決めたことを、無理に押しつけてくることさ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P123 下 絶対的な善と完全な悪が存在する、という考えは、おそらく人間の精神をかぎりなく荒廃させるだろう。自分が善であり、対立者が悪だとみなしたとき、そこには協調も思いやりも生まれない。自分を優越化し、相手を敗北させ支配しようとする欲望が正当化されるだけだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P124 下 彼らの正義と私たちの正義との差を目(ま)のあたりに見ることができるとしたら、それは、たぶんお前にとってマイナスにはならないはずだ。それに比較すれば、国家の興亡など大した意義はない。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P125 上 どれほど非現実的な人間でも、本気で不老不死を信じたりはしないのに、こと国家となると、永遠にして不滅のものだと思いこんでいるあほうな奴らがけっこう多いのは不思議なことだと思わないか。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P125 下 国家なんてものは単なる道具にすぎないんだ。そのことさえ忘れなければ、たぶん正気をたもてるだろう。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P125 下 人類の文明が生んだ最悪の病は、国家に対する信仰だろう、と、ヤンは思う。だが、国家とは、人間の集団が生きていく上で、たがいの補完関係を効率よくすすめるための道具であるにすぎない。道具に人間が支配されるのは愚かしいことだ。いや、正確には、その道具のあやつりかたを心得ている極少数の人間によって、大多数の人間が支配されるのだろう。そんな連中にユリアンが支配される必要はない、と、ヤンは思う。口にこそ出さないが、ユリアンがフェザーンのほうに住み心地のよさを覚えたら、同盟など捨ててフェザーンの人間になってしまってもよいのだ、とさえ考えるヤンだった。 ・・・・・・ ナレーション(ヤンの考え)
  P130 上~
  下 軍事が政治の不毛をおぎなうことはできない。それは歴史上の事実であり、政治の水準において劣悪な国家が最終的な軍事的成功をおさめた例はない。強大な征服者は、その前に必ず有為の政治家だった。政治は軍事上の失敗をつぐなうことができる。だが、その逆は真でありえない。軍事とは政治の一部分、しかも最も獰猛で最も非文明的で最も拙劣な一部分でしかないのだ。その事実を認めず、軍事力を万能の霊薬のように思いこむのは、無能な政治家と、傲慢な軍人と、彼らの精神的奴隷となった人々だけなのである。 ・・・・・・ ナレーション
  P135 下 君には、他人を信頼させる何かがある、ということだろうかな。おそらくヤン提督も他の連中も、君にはいろいろなことを話していると思う。そういうところを、君は大事にしていくことだ。きっと今後の財産になるだろう。 ・・・・・・ ムライ
  P138 上 自分でコントロールできる範囲の金銭は、一定の自由を保障する。 ・・・・・・ ヤン・タイロン(ヤンの父親)
  P138 下 いいか、ユリアン、誰の人生でもない、お前の人生だ。まず、自分自身のために生きることを考えるんだ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P156 上~
  下 私が思いますに、どのような上着をまとおうとも、政治の実相はただひとつです。(中略)少数による多数の支配です。(中略)全体を100として、そのうち51を占めれば、多数による支配を主張できます。ところがその多数派がいくつかのグループに分裂しているとき、51のうち26を占めれば、100という全体を支配できます。つまり、四分の一という少数を占めただけで、多数を支配することが可能となります。 ・・・・・・ ハイドリッヒ・ラング
  P162 下 私としては、虎の児を猫と見誤る愚は犯したくないな。 ・・・・・・ アドリアン・ルビンスキー
  P167 下 権力の座というものは、それ自体が精神上の病巣であって、そこに安住しているかぎり、視野の狭窄と思考の利己化とは必然の病状となるのだろうか。 ・・・・・・ ナレーション
  P169 上 民主制共和国が、軍人の権限を制限するのは正しい、と、わしは思う。軍人は戦場以外で権力や権限をふるうべきではない。また、軍隊が政府や社会の批判を受けずに肥大化し、国家のなかの国家と化するようでは、民主政治は健全でありえんだろう。 ・・・・・・ アレクサンドル・ビュコック
  P183 上 人間がさだめた規則なら、人間の手で破ることもできると思います。帝国のラインハルト・フォン・ローエングラム公爵のやりかたが、万事、旧習にのっとったものとは、ぼくには思えませんし、今上の皇帝が祖国を捨てて亡命したという前例も、ぼくは知りません。(中略)あのローエングラム公なら、勝つため、征服するためなら、伝統や不文律など平然と破ってのけるのじゃないでしょうか。 ・・・・・・ ユリアン・ミンツ
  P199 上 人望は実績によってつちかわれるものである。 ・・・・・・ ナレーション
  P199 下 指揮官は、ときとして演技者でなければならなかった。 ・・・・・・ ナレーション
  P210 下 予言者より実行者のほうがはるかに意味のある生をいきているのは、自明のことではないか。 ・・・・・・ ナレーション
  P213 下 吾々はただ戦い征服するためにここにあるのではなく、歴史のページをめくるためにここにあるのだ。 ・・・・・・ ウォルフガング・ミッターマイヤー
  P216 下 一世紀余にわたって不可侵とされてきた聖域が、まさに侵されようとしているのだ。(中略)安逸になれて危機を忘却しさった人間と組織の脆弱さをさらけだした。 ・・・・・・ ナレーション

    第5巻 風雲篇







  P25 下 わしに誇りがあるとすれば、民主共和制において軍人であったということだ。わしは、帝国の非民主的な政治体制に対抗するという口実で、同盟の体制が非民主化することを容認する気はない。同盟は独裁国となって存続するより、民主国家として滅びるべきだろう。(中略)だが、実際、建国の理念と市民の生命とが守られないなら、国家それ自体に生存すべき理由などありはせんのだよ。 ・・・・・・ アレクサンドル・ビュコック
  P40 下 吾々は戦略的にきわめて不利な立場にあるし、戦術レベルでの勝利が戦略レベルでの敗北をつぐなえないというのは軍事上の常識だ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P57 下 戦略および戦術の最上なるものは、敵を喜ばせながら罠にかけることだろうね。(中略)種をまいた後、ぐっすり眠って、起きてみたら巨大な豆の木が天にむかってそびえていた、というのが最高だな。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
 
P77下~
P78上
フロイライン・マリーンドルフ、私は覇者たろうと志してきたし、それを実現するためにひとつの掟を自分自身に科してきた。つまり、自ら陣頭に立つことだ。かつて戦って倒してきた能なしの大貴族どもと私が異なる点はそこにある。兵士たちが私を支持する理由もだ。 ・・・・・・ ラインハルト・フォン・ローエングラム
  P79 下 フロイライン、どうせ宇宙をこの手につかむなら、手袋ごしにではなく、素手によってでありたいと思うのだ。 ・・・・・・ ラインハルト・フォン・ローエングラム
  P108 下 個人が勝算のない戦いを挑むのは趣味の問題だが、部下をひきいる指揮官がそれをやるのは最低の悪徳である。 ・・・・・・ ナレーション
  P114 上 愛国心が人間の精神や人類の歴史にとって至上の価値を有するとは、ヤンは思わない。同盟人に同盟人なりの愛国心があり、帝国人に帝国人なりの愛国心がある――結局、愛国心とは、ふりあおぐ旗のデザインがたがいに異なることを理由として、殺戮を正当化し、ときには強制する心情であり、多くは理性との共存が不可能である。とくに権力者がそれを個人の武器として使用するとき、その害毒の巨大さは想像を絶する。 ・・・・・・ ナレーション
 
P130下~
P131上
ユリアン、戦っている相手国の民衆なんてどうなってもいい、などという考えかただけはしないでくれ。(中略)国家というサングラスをかけて事象をながめると、視野がせまくなるし遠くも見えなくなる。できるだけ、敵味方にこだわらない考えかたをしてほしいんだ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P151 下 ……人間なにかとりえがあるものだ ・・・・・・ ワルター・フォン・シェーンコップ
  P159 下 エミールよ、それはちがう。名将というものは退くべき時機と逃げる方法とをわきまえた者にのみ与えられる呼称だ。進むことと闘うことしか知らぬ猛獣は、漁師のひきたて役にしかなれぬ。 ・・・・・・ ラインハルト・フォン・ローエングラム
  P168 上 部屋で寝ている(コーネフ) くだらんことを堂々という奴だな(ポプラン) くだらないかね(コーネフ) ジョークだったらくだらんし、事実だったらいっそうくだらん(ポプラン) お前さんはジョークのほうが好きだからな(コーネフ) (中略) ジョークだけでは生きられないが、ジョークなしでは生きたくないね、おれは(ポプラン) お前さんは存在自体がジョークだろうが(コーネフ) ……このところ悪意の表現にみがきがかかったのとちがうか、コーネフさん(ポプラン) いやいや、もてない男の嫉妬にすぎませんよ、気にしないでください、ポプランさん(コーネフ) ・・・・・・ オリビエ・ポプランとイワン・コーネフの会話から
  P198 上 失われたものの何と巨大なこと、失ってはならぬものを失った愚かさの何と深いことであろう。 ・・・・・・ ナレーション
  P203 上 軍需用ならともかく、ここに集積された物資はすべて民需用のものだ。支配者や政治体制がどう変わろうと、民間人の生活を破壊するわけにはいかない。 ・・・・・・ オーブリー・コクラン
  P205 下 良将だな。よく判断し、よく戦い、よく主君を救う、か。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P213 上 おそらくヤン・ウェンリーは、権力より貴重なものがあるということを、理念でなく、皮膚で感じている人物なのではないかと思います。それは賞賛すべき気質とは思いますけど、卑劣を承知で、この際は利用するしかありません。 ・・・・・・ ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
 
P217下~
P218上
これでいいでしょう。権力者というものは、一般市民の家が炎上したところで眉ひとつ動かしませんが、政府関係の建物が破壊されると血の気を失うものです。 ・・・・・・ ウォルフガング・ミッターマイヤー
 
P223下~
P224上
「・・・・・・だが、ハイネセンにはおれの家族がいるんだ。もし降伏を拒否して無差別攻撃をうけていたら・・・・・・政府が降伏してくれたからこそ、家族は助かったんだ。」 それ以上の発言は不可能だった。周囲の戦友たちが血相を変えて立ちあがったからで、一市民としての人情を口にするにはおびただしい勇気が必要であることを彼はさとったのである。 ・・・・・・ 一兵士~ナレーション
 
P224下~
P225上
お気持ちはよくわかります。でも、もしそんなことをしたら、悪い前例が歴史に残ります。軍司令官が自分自身の判断をよりどころにして政府の命令を無視することが許されるなら、民主政治はもっとも重要なこと、国民の代表が軍事力をコントロールするという機能をはたせなくなります。ヤン提督に、そんな前例をつくれると思いますか。(ユリアン)(中略)
それでは聞くがな、もし政府が無抵抗の民衆を虐殺するよう命令したら、軍人はその命令にしたがわねばならんのかね。(シェーンコップ)(中略)
そんなことは、むろん許されません。そんな非人道的な、軍人という以前に人間としての尊厳さを問われるようなときには、まず人間であらねばならないと思います。そのときは政府の命令であっても、そむかなくてはならないでしょう。(中略)でも、だからこそ、それ以外の場合には、民主国家の軍人としてまず行動しなくてはならないときには、政府の命令にしたがうべきだと思います。でなければ、たとえ人道のために起ったとしても、恣意によるものだとそしられるでしょう。 ・・・・・・ ユリアン・ミンツ(ワルター・フォン・シェーンコップとの会話で)
  P225 下 自分自身を納得させることは、他人を説得するよりはるかに困難な事業だった。 ・・・・・・ ナレーション
    (上に続き)
  P225 下 でも、トリューニヒト議長は市民多数の意志で元首に選ばれたんです。それが錯覚であったとしても。その錯覚を是正するのは、どんな時間がかかっても、市民自身でなくてはいけないんです。職業軍人が武力によって市民の誤りを正そうとしてはいけないんです。そうなったら二年前の、救国軍事会議のクーデターと同じです。軍隊が国民を指導し支配することになってしまいます。 ・・・・・・ ユリアン・ミンツ
  P229 上 わたしにはわかりません。あなたのなさることが正しいのかどうか。でも、わたしにわかっていることがあります。あなたのなさることが、わたしはどうしようもなく好きだということです。 ・・・・・・ フレデリカ・グリーンヒル
  P238 下 人民を害する権利は、人民自身にしかないからです。言いかえますと、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム、またそれよりはるかに小者ながらヨブ・トリューニヒトなどを政権につけたのは、たしかに人民自身の責任です。他人を責めようがありません。まさに肝腎なのはその点であって、専制政治の罪とは、人民が政治の害悪を他人のせいにできるという点につきるのです。その罪の大きさにくらべれば、100人の名君の善政の功も小さなものです。まして閣下、あなたのように聡明な君主の出現がまれなものであることを思えば、功罪は明らかなように思えるのですが・・・・・・。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P239 上 ・・・・・・私は、あなたの主張に対してアンチ・テーゼを提出しているにすぎません。ひとつの正義に対して、逆の方角に等量等質の正義が必ず存在するのではないかと私は思っていますので、それを申しあげてみただけのことです。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P239 下 私がきらいなのは、自分だけ安全な場所に隠れて戦争を賛美し、愛国心を強調し、他人を戦場にかりたてて後方で安楽な生活を送るような輩です。こういう連中と同じ旗のもとにいるのは、耐えがたい苦痛です。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー

 

    第6巻 飛翔篇





  P18 上 公正さに背いても既得権を確保したい、と望み、反対者を抑圧することによってその確保を絶対のものとしようとする精神のどこに、向上と進歩への余地が残されているであろうか。 ・・・・・・ イブン・シャーマ
  P34 下 彼女に言わせれば、ワインにも宝石にも専門家がいるので、蘊蓄(うんちく)は彼らにまかせておけばよい、自分たちに必要なのは信頼にたる専門家を見ぬく目だ、というのである。 ・・・・・・ ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
  P57 下 特定宗教に対する狂信ほど、それと無縁な人間の反発と嫌悪をそそるものはない。 ・・・・・・ ナレーション
  P72 上 過去の実例が未来を全面的に保証するわけではない。 ・・・・・・ ナレーション
  P81 上~
  下 専制君主の善政というものは、人間の政治意識にとってもっとも甘美な麻薬ではないだろうか、と、ヤンは思う。参加もせず、発言もせず、思考することすらなく、政治が正しく運営され、人々が平和と繁栄を楽しめるとすれば、誰がめんどうな政治に参加するだろう。しかし、なぜ人々はそこで想像力をはたらかせないのか。人々が政治をめんどうくさがるとすれば、専制君主もそうなのだ。彼が政治にあき、無制限の権力を、エゴイズムを満足させるために濫用しはじめたらどうなるか。権力は制限され、批判され、監視されるべきである。ゆえに専制政治より民主政治のほうが本質的に正しいのだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P82 上 だが、何かをなそうとするときには、思考停止が必要なようだった。多くは、人が「信念」と呼ぶものである。自分は正しく、反対する者は悪だと思いこまねばならないとすれば、ヤンは大事業などできそうになかった。(中略) ・・・・・・ ナレーション
「信念とは、あやまちや愚行を正当化するための化粧であるにすぎない。化粧が厚いほど、その下の顔はみにくい。」
「信念のために人を殺すのは、金銭のために人を殺すより下等なことである。なぜなら、金銭は万人に共通の価値を有するが、信念の価値は当人にしか通用しないからである。」 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P88 上 圧倒的な武力とは、人間のもつ本能の最悪の部分と共鳴して、その濫用をうながす。 ・・・・・・ ナレーション
  P117 上 この世でもっとも醜悪で卑劣なことはな、実力も才能もないくせに相続によって政治権力を手にすることだ。それにくらべれば、簒奪は一万倍もましな行為だ。すくなくとも、権力を手に入れるための努力はしているし、本来、それが自分のものでないことも知っているのだからな。 ・・・・・・ オスカー・フォン・ロイエンタール
  P136 上 道を切りひらく者とそれを舗装する者とが同一人であらねばならぬこともなかろう。 ・・・・・・ パウル・フォン・オーベルシュタイン
  P149 下 法にしたがうのは市民として当然のことだ。だが、国家が自らさだめた法に背いて個人の権利を侵そうとしたとき、それに盲従するのは市民としてはむしろ罪悪だ。なぜなら民主国家の市民には、国家の侵す犯罪や誤謬に対して異議を申したて、批判し、抵抗する権利と義務があるからだよ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
    (上に続き)
  P149 下 彼は闘争のすべてを否定はしなかった。不当な待遇や権力者の不正を受けいれ、それに抵抗しない者は、奴隷であって市民ではなかった。自分自身の正当な権利が侵害されたときにすら闘いえない者が、他人の権利のために闘いうるはずがない。 ・・・・・・ ナレーション
  P167 下 おとなになるってことは、やりたいこととやらねばならぬことを区別することさ。 ・・・・・・ オリビエ・ポプラン
  P174 上~
 下 だが、結局のところ、あなたたち権力者はいつでも切り捨てるがわに立つ。手足を切りとるのは、たしかに痛いでしょう。ですが、切り捨てられる手足から見れば、結局のところどんな涙も自己陶酔にすぎませんよ。自分は国のため私情を殺して筋をとおした、自分は何とかわいそうで、しかもりっぱな男なんだ、というわけですな。『泣いて馬謖(ばしょく)を斬る』か、ふん。自分が犠牲にならずにすむなら、いくらだってうれし涙が出ようってものでしょうな。 ・・・・・・ ワルター・フォン・シェーンコップ
  P183 下 長生きするにしても、おもしろい人生でなくては意味がありませんからな。 ・・・・・・ ワルター・フォン・シェーンコップ

 

    第7巻 怒濤篇





  P20 下 名君にとって最大の課題は、名君でありつづけることなのである。名君として出発し、暗君または暴君として終わらなかった例は、ごく珍しい。君主たる者は、歴史の審判を受ける以前に、自らの精神の衰弱に耐えねばならないのだった。立憲君主であれば、憲法や議会に責任の一部あるいは大半をゆだねることができるが、専制君主がたのみうるものは自分自身の才能と器量と良心のみであった。最初から統治者としての責任感を欠く者ならかえって始末がよい。名君たろうとして挫折した者こそ、往々にして最悪の暴君となるのである。 ・・・・・・ ナレーション
  P87 下 ヤン・ウェンリーは何かと欠点の多い男ですが、何者も非難しえない美点をひとつ持っています。それは、民主国家の軍隊が存在する意義は民間人の生命を守ることにある、という建前を本気で信じこんでいて、しかもそれを一度ならず実行しているということです。 ・・・・・・ チュン・ウー・チェン
 
P96下~
P97上
単一の、しかも個人の資質によりかかった安易な政体が全宇宙を支配するのが、許されるべきではないのである。
唯一絶対の神に唯一絶対の大義名分を押しつけられるより、群小の人間がそれぞれのせまい愚劣な大義名分を振りかざして傷つけあっているほうが、はるかにましだ。すべての色を集めれば黒一色に化するだけであり、無秩序な多彩は純一の無彩にまさる。人類社会が単一の政体によって統合される必然性などないのだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P97 下 冬には冬の服、夏には夏の服、どれを着ても中身は変わらないさ。 ・・・・・・ オリビエ・ポプラン
  P109 下 ユリアンはもうすこしむほん気を持つべきだ。むほん気は独立独歩の源だからな。 ・・・・・・ ボリス・コーネフ
  P113 上 問題はカリンが不幸なことじゃない。自分は不幸だとカリンが思いこんでいることさ。 ・・・・・・ オリビエ・ポプラン
  P126 下 敵に対する尊敬は、ヤンからくりかえし教えられたところだった。 ・・・・・・ ナレーション
  P153 下 民主主義とは対等の友人をつくる思想であって、主従をつくる思想ではないからだ(中略)わしはよい友人がほしいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下も持ちたいとは思わない。だからこそ、あなたとわしは同じ旗をあおぐことはできなかったのだ。ご好意には感謝するが、いまさらあなたにこの老体は必要あるまい。 ・・・・・・ アレクサンドル・ビュコック
  P154 上 つまるところ、みごとな死というものはみごとな生の帰結であって、いずれか一方だけが孤立することはないように思える。 ・・・・・・ ナレーション
  P168 下 たぶん人間は自分で考えているよりもはるかに卑劣なことができるのだと思います。平和で順境にあれば、そんな自分自身を再発見せずにすむのでしょうけど・・・・・・ 。  ・・・・・・ ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ
  P179 上 当然です。あなたが自分ひとり地位を守って友人を見すてるような人なら、私はとうに離婚していましたよ。自分の夫が友情にうすい人間だったなんて子供に言わなきゃならないのは、女として恥ですからね。 ・・・・・・ キャゼルヌ婦人
  P191 上 つまるところ彼らも、ヤンがラインハルトを戦場に倒し、民主国家が宇宙を統一するという夢を素材にして、ヤンに料理させようとしているのだった。そして自分たちはナイフとフォークを手に、刺繍入りクロスのかかったテーブルで待っている。民主主義とは政治という名の高級ホテルの賓客になることではない。まず自力で丸太小屋を建て、自分で火をおこすことからはじめなくてはならないのに。 ・・・・・・ ナレーション
  P194 下 ユリアン、吾々は軍人だ。そして民主共和政体とは、しばしば銃口から生まれる。軍事力は民主政治を産み落としながら、その功績を誇ることは許されない。それは不公正なことではない。なぜなら民主主義とは力を持った者の自制にこそ神髄があるからだ。強者の自制を法律と機構によって制度化したのが民主主義なのだ。そして軍隊が自制しなければ、誰にも自制の必要などない。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー

 

    第8巻 乱離篇





  P34 下 専制政治おける権力悪が、民主政治におけるそれより兇暴である理由は、それを批判する権利と矯正する資格とが、法と制度によって確立されていないからである。 ・・・・・・ ナレーション
 
P37下~
P38上
運命というならまだしもだが、宿命というのは、じつに嫌なことばだね。二重の意味で人間を侮辱している。ひとつには、状況を分析する思考を停止させ、もうひとつには、人間の自由意志を価値の低いものとみなしてしまう。宿命の対決なんてないんだよ、ユリアン、どんな状況のなかにあっても結局は当人が選択したことだ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
(中略)
ヤンは、自分の選択を「宿命」という便利なことばで正当化したくなかったのだ。自分が絶対的に正しいのだ、と思ったことはヤンは一度もない。いつも、もっとよい方法があるのではないか、より正しい道があるのではないか、と思いつづけてきた士官学校の一学生だったころも、大軍を指揮する身になってからもそうだった。彼を信頼してくれる人、彼を非難する人は多く存在したが、彼にかわって考えてくれる人はいなかった。だからヤンは、自分の才能と器量の範囲内で考え、思い悩まなくてはならなかったのだ。「宿命」と言ってすませられるなら、そうしたほうがずっと楽だった。だがヤンはまちがうにしても自分の責任でまちがいたかったのだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P39 上 半数が味方になってくれたら大したものさ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P74 下 おれは皇帝ラインハルト陛下にもおとらぬ貧乏貴族の家に生まれて、食うために軍人になったのだ。何度も無能な上官や盟主にめぐりあったが、最後にこの上なく偉大な皇帝につかえることができた。けっこう幸運な人生と言うべきだろう。順番が逆だったら目もあてられぬ・・・・・・。 ・・・・・・ アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト
  P94 上 つまりは、人は人にしたがうのであって、理念や制度にしたがうのではないということかな。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P134 上 こんな自分でも、いるだけで彼女は喜んでくれるのだから、なるべく健康で、いっしょにいてやりたい。 ・・・・・・ ナレーション(ヤンの想い)
  P139 下 戦争やテロリズムは何よりも、いい人間を無益に死なせるからこそ否定されねばならない。 ・・・・・・ ナレーション
  P149 下 ユリアン、これはあなたの責任であり義務ですよ。あなたはヤンご夫妻の家族だったんですからね。あなた以外の誰が話すというの。もし話さなかったら、話したとき以上に後悔するわよ。 ・・・・・・ キャゼルヌ婦人
  P152 下 人間は主義だの思想だののためには戦わないんだよ!主義や思想を体現した人のために戦うんだ。革命のために戦うのではなくて、革命家のために戦うんだ。 ・・・・・・ ダスティ・アッテンボロー
  P154 下 誰でも、英雄になるのであって、英雄として生まれるのではない。 ・・・・・・ ナレーション
  P162 下 60歳近くまで、わしは失敗を恐れる生きかたをしてきた。そうではない生きかたもあることが、ようやくわかってきたのでな、それを教えてくれた人たちに、恩なり借りなり、返さねばなるまい。 ・・・・・・ ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ
 
P212下~
P214上
いい人間、りっぱな人間が、無意味に殺されていく。それが戦争であり、テロリズムであるんだ。戦争やテロの罪悪は結局そこにつきるんだよ、ユリアン。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P216 下 戦術は戦略に従属し、戦略は政治に、政治は経済に従属するというわけさ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー

 

    第9巻 回転篇





  P14 下 こうやって、想いというものは受けつがれていくのだろうか。ヤン・ウェンリーの想いを、自分が受けついだように。すべてではないにしても、いや、ほんのわずかだけにしても、彼の想いを分かちあたえられたように。年長者から年少者へ、先人から後継者へ、想いのたいまつはリレーされていくのだろうか。その火を貴重に思う者は、それをたやすことなく、つぎの走者に手わたす責任があるのにちがいなかった。 ・・・・・・ ナレーション
  P25 上 わたしは、たしかにあなたを失いました。でも、最初からあなたがいなかったことに比べたら、わたしはずっと幸福です。あなたは何百万人もの人を殺したかもしれないけど、すくなくともわたしだけは幸福にしてくださったのよ。 ・・・・・・ フレデリカ・グリーンヒル
  P27 下 あんたより年齢がずっと若くて、ずっと重い責任を負わされた相手を、口ぎたなくののしるような人間が、周囲の目に美しく見えるかどうか。 ・・・・・・ オリビエ・ポプラン
  P62 上 集団のエネルギーが一定の方向へ、理性をともなわず流出し、奔騰(ほんとう)していくありさまは、集団の外にいる人間にとっては不気味であり、圧迫をおぼえずにいられない光景であった。 ・・・・・・ ナレーション
  P66 下 偉大な敵将と戦うのは武人の栄誉だが、民衆を弾圧するのは犬の仕事にすぎぬ。 ・・・・・・ オスカー・フォン・ロイエンタール
 
P76下~
P77上
いや、ユリアン、そうではないと思う。何かを憎悪することのできない人間に、何かを愛することができるはずがない。私はそう思うよ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
(中略)
ただ、ヤンのことばを拡大解釈してはならない。ヤンは憎悪を奨励しているのではなく、「愛がすべてを解決する」という思考の基本的な矛盾を指摘しているのだ。それを見あやまってはならなかった。 ・・・・・・ ナレーション
  P108 下 物理的利益より心の利益がだいじさ ・・・・・・ ボリス・コーネフ
  P193 下 「(前略) ヤン・ウェンリーの若い後継者が、衝動に駆られて理性より野心を優先させることのないように、と」
メックリンガーの願望に感応したわけではないが、ユリアンは自制した。ひとたび帝国軍の要請に応じた以上、派生した信頼関係をそこなってはならないことを、亜麻色の髪の若者は知っていたのである。 ・・・・・・ ナレーション
  P196 下 生涯の最後、全期間の1パーセントに満たぬ時期の行動によって、それまでの生涯と功績がすべて否定されてしまうという、不幸な人間たちの群像に、彼も加わることになるのだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P227 上 ケスラーは、人間にそなわった双つの面の落差に思いを致さざるをえなかった。公人と私人の、ふたつの顔。 ・・・・・・ ナレーション

 

    第10巻 落日篇





  P36 下 正確な判断を下すには、豊富で多面的な情報を収集し、それを感情を排除して分析しなくてはならない。もっとも忌むべきは希望的観測であり、勘と称して思考を停止することだった。 ・・・・・・ ナレーション
  P45 下 戦いによってもたらされる犠牲を承知して、なお目的を達しようとするか、その手前であきらめ、現実と妥協し、さらには現実に膝を屈し、自力で状況を改善する努力をおこたるか。どちらが人として認められる行きかたか。 ・・・・・・ ナレーション
  P54 下 アンネローゼの表情も声も静かだった。激流よりも、静かな淵のほうがはるかに水深が深いことを、凡庸な人間は、けっして知ることはないであろう。 ・・・・・・ ナレーション
 
P100下~
P101上
もっとも卑劣に感じられる手段が、もっとも有効に流血の量を減じえるのだとしたら、人はどうやって正道を求めて苦しむのか。オーベルシュタインの策謀は、成功しても、それによって人々を、すくなくとも旧同盟の市民たちを納得させることはできないだろう。
納得できないということ。まさしく、それが問題なのだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P157 下 相手の予測が的中するか、願望がかなえられるか、そう錯覚させることが、罠の成功率を高くするんだよ。落とし穴の上に金貨を置いておくのさ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P195 上 ありがとう、あなた、わたしの人生を豊かにしてくださって。 ・・・・・・ フレデリカ・グリーンヒル
 
P198下~
P199上
人間の集団という奴は、話しあえば解決できるていどのことに、何億リットルもの血を流さなきゃならないのかな。 ・・・・・・ ダスティ・アッテンボロー
  P203 上 生き残った者にとって、旅はつづく。いつか死者たちと合流する日まで。飛ぶことを許されず、その日まで歩きつづけなくてはならないのだ。 ・・・・・・ ナレーション
  P204 上 まあ、何にしても、良質の製品を売って信用をえて事業を拡大するのは、いいことです。 ・・・・・・ マリネスク
  P234 上~
 下 「ね、ユリアン、とにかくバーラト星系は民主主義の手に残るのね」
「そう」
「たったそれだけなのね、考えてみると」
「そう、たったこれだけ」
ユリアンは、かすかに笑った。
たったこれだけのことが実現するのに、500年の歳月と、数千億の人命が必要だったのだ。銀河連邦の末期に、市民たちが政治に倦まなかったら。ただひとりの人間に、無制限の権力を与えることがいかに危険であるか、彼らが気づいていたら。市民の権利より国家の権威が優先されるような政治体制が、どれほど多くの人を不幸にするか、過去の歴史から学びえていたら。人類は、よりすくない犠牲と負担で、より中庸と調和をえた政治体制を、より早く実現しえたであろうに。「政治なんておれたちに関係ないよ」という一言は、それを発した者に対する権利剥奪の宣告である。政治は、それを蔑視した者に対して、かならず復讐するのだ。ごくわずかな想像力があれば、それがわかるはずなのに。 ・・・・・・ ナレーション
  P237 上~
 下 あれらの星々は、いずれも数億年、数十億年の生命を閲している。人類が誕生するはるか昔から輝きつづけ、人類が死滅しきった後も輝きつづけるだろう。人の生命は、星の一瞬のきらめきにもおよばない。そんなことは古来からわかりきったことである。だが、星の永遠と、人の世の一瞬とを認識するのは、人であって星ではない。
お前もいつか感じるようになるだろうか。凍てついた永劫と、一瞬の燃焼と、人はどちらを貴重なものと見なすのか、ということを。一瞬だけかがやいた流星の軌跡が、宇宙の深淵と人の記憶とに刻印されることがあるということを。 ・・・・・・ ナレーション
       
  あとがき  
  P242   よい人が何の罪もないのに無惨な殺され方をするからこそ、戦争や独裁政治は否定されなければならないのではありませんか? ・・・・・・ 田中芳樹
       
本編10巻の「名言集」が、一応出来上がりました。・・・見落とした言葉もあるかも知れませんが・・・。
長かったようでいつの間にか、また10冊読んでしまいました。何かよい言葉、心にしみる言葉はないか、と気にして読んでいたら、いつの間にか読み入ってしまっていたことも幾度となくありました。何度読んでも、おもしろい作品ですね。
今度は「外伝」の方に手を付けたいと思います。
さらに、ウィットや、毒の効いた言葉も選びたいと思っています。ポプランやシェーンコップは、そう言うたぐいの言葉を残しています。早く取りかかれるとよいのですが。 ・・・・・・ 2006年5月10日

       

 

    外伝1 星を砕く者





  P21 下 敵将が誰かは知らぬが、理論を無視することが奇策と思っているような低脳らしいな。それにかきまわされている奴らも情けないかぎりだが・・・・・・。 ・・・・・・ ラインハルト・フォン・ミューゼル
  P32 上 英雄など、酒場に行けばいくらでもいる。その反対に、歯医者の治療台にはひとりもいない。まあその程度のものだろう、というのさ。 ・・・・・・ アレクサンドル・ビュコック
(ビュコック中将(当時)が、ウランフ中将に言った台詞であるが、もともと「ヤン・ウェンリー」が言ったものである。)

  P89 下 彼は気持ちのいい男です。ああいう男がひとりいなくなると、その分、世の中から生気が失せてしまいます。 ・・・・・・ オスカー・フォン・ロイエンタール
  P90 上~
 下 五世紀にわたった、ゴールデンバウム王朝という老いさらばえた身体には、膿がたまりつづけてきたのです。外科手術が必要です。
(中略)
手術さえ成功すれば患者が死んでもやむをえないでしょう、この際は。どのみち誰でも不死ではいられません ― あのルドルフ大帝ですら。 ・・・・・・ オスカー・フォン・ロイエンター
  P194 下 ラインハルトさまにはおわかりのはずです。10人の提督の反感など、100万人の兵士の感謝に比して、とるにたるものではありません。 ・・・・・・ ジークフリード・キルヒアイス

 

    外伝2 ユリアンのイゼルローン日記

 



  P12 上 自分の人生の転機も他人から通告されることが多かった、と、ヤン提督は言う。
親父が事故死したときも、士官学校に入学してときも、エル・ファシル方面に配属されたときも、他人からそう告げられたんだからね。逆に言うと、私自身、他人に人生の転機を告げたことが何度もあるし、人生はたがいに宣告しあうことで成立しているんだな。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P21 上~
 下 このような書物が出版されねばならない、ということは悲しむべきである。同時に、このような書物が出版されえたということ、それを禁止する法律がないということは、ともに喜ぶべきである。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P35 上 不安ってやつは恐慌(パニック)と猜疑の卵だからな。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P37 上 口の悪い奴は信用するが、口のうまい奴は信用しない。 ・・・・・・ オリビエ・ポプラン
  P61 上 宇宙に住む400億の人間、400億の個性、400億の悪あるいは善、400億の憎悪あるいは愛情、400億の人生 ― そういう言いかたをヤン提督はする。個人と個性というものがどれほど貴重なものか、ぼくは提督に教えられた。 ・・・・・・ ユリアン・ミンツ(ヤン・ウェンリーの言葉を回想)
  P70 上 そうだな、おれがヤン・ウェンリー以外の司令官の下で、おれ自身でいられると思うかい?。 ・・・・・・ オリビエ・ポプラン
  P96 上~
 下 ユリアン、基本的なところを復習しておこうよ。戦争はなぜ悪なのか、ということだ。それは何よりもまず、無意味な死、無益な死、犬死を大量生産するからだよ。そうじゃないかい?。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
 
P96下~
P97上
国家、法律、社会制度、コンピューター、そういったものはすべて道具にすぎない。人間がなるべくたがいに迷惑をかけずに生きていくためのね。同時に人間が人間を支配するための手段にもなる。法律やコンピューターが人間を支配することはない。そういった道具の使用法を熟知した少数の人間が、多数の人間を支配する。古代には、神の声を聞いたと称する人間が、一国すら支配した。神とは、そういった支配者が自己の権力を正当化する道具であり、人民を思考停止させるための麻酔薬でもあったわけだ。後には、近代主権国家が神にとってかわった。だけど、つねに変わらなかったのは、そういう道具を聖なるものとして強制的にあがめさせるためのもうひとつの道具、つまり軍隊というものの存在だ。
(中略)
ユリアン、軍隊は道具にすぎない。それも、ないほうがいい道具だ。そのことをおぼえておいて、その上でなるべく無害な道具になれるといいね。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P102 上 戦略は構想だ、と私は言ったけど、あるいは価値判断だというべきかもしれないね。戦略の段階で最善をつくしておけば、戦術レベルでの勝利はえやすくなる。なあ、ユリアン、私は奇跡を生むとか一部で言われているけど、それは戦術レベルでのこと。戦略レベルでは奇跡も偶然もおこりっこない。だから戦略こそ、ほんとうに思考する価値があるんだよ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー
  P109 下 ぼくと反対側の宇宙にいるこの人にも、息子がいて、憎らしい上官がいて、帰るべき故郷がある。ただ、生まれ育った場所がちがうだけなのだ。 ・・・・・・ ユリアン・ミンツ
  P116 上 おとなになるということは、訊ねていいことと悪いことの区別をつけるということだ。 ・・・・・・ ヤン・ウェンリー


私はこの言葉が好きで、少し変えた言葉を常々思っています
  「おとなというものは、出来ることと、やっていいことの区別がつく人のことである」
近年、若者が自分の力(物理的にも)を使い、遊び半分で人を殺すことが増えました。年齢は大人でも、精神は成熟していない、限度が分からない、そして自分の力が強いことさえも知らない人が多くなったように思います。

  P165 上~
 下 ヤン提督が問題にしているのは、「無名の市民に対する公共サービスの劣化」なのである。有名人や特権階級に対しては、どんな社会体制においても充分以上の公共サービスがおこなわれることになっているのだから。
(中略)
市民に対する公共サービスの均質化の進みぐあいは、社会の民主性の度合いに正比例する。 ・・・・・・ ユリアン・ミンツ(ヤンウェンリー語録を顧みて)

 

    外伝3 千億の星、千億の光





  P56 上~
 下 地位の向上と権限の拡大とに耐えるだけの、精神的な骨格を持ちあわせていなかったのだ。そうシェーンコップは判断している。大隊長以下の地位であれば、器(うつわ)に応じた有能さと人望とを維持しえたであろう。栄達も、富も、人間をかならず幸福にする架空の方程式の解答ではないようであった。 ・・・・・・ ナレーション

 

    外伝4 螺旋迷宮<スパイラル・ラビリンス>





 
P15下~
P16上
特権を与えられるということは、自分の器量をつねに試されることだ。諸君が下級生の人望をえられるか否か、それは士官となって後、兵士の信頼をえられるか否か、に直結する。私としては、上級生諸君が、厳格さとサディズムとを峻別できるものと期待する。 ・・・・・・ シドニー・シトレ
  P194 上 同時代者は、しばしば主観と感情の深みにはまって、分析や解析をおろそかにする。「その場にいなかった者にわかるものか」という台詞は、人間の理性や洞察力を否定し、思考停止を助長する一語で、すくなくとも歴史が学問として成立するのをさまたげるものだ。 ・・・・・・ ナレーション

 

 




この「名言集」のページも、外伝4巻目まで出来ました。これで全ての巻を見たことになります。
本編と外伝14冊を一度、名言集めとして読んだだけなのに、これだけの言葉が集まりました。情報量が多いことは確かですが、作品として奥が深いと言えると思います。実生活で活用できる、常に心がけることにより真実を見誤らずにすむと確信しています。
テロなど、きな臭い話を見聞きします。みんなが上に掲げた言葉を意識していれば、もっと良い世界、社会になるのではないかと思います。

管理人 2007/1/14
 

 

      また時間を作り、再度読みたいと思います。その時にはまた違う台詞・名言を見つけることでしょう。

http://fox.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1404359402/l10
ネトウヨに読ませたい「銀河英雄伝説」の名言

1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2014/07/03(木) 12:50:02.25 ID:1txF/9I60 ?2BP(1000)
きっこ ?@kikko_no_blog

【銀河英雄伝説の名言】「人間の行為のなかで、何がもっとも卑劣で恥知らずか。
それは、権力を持った人間が、権力に媚びを売る人間が、安全な場所に隠れて戦争を賛美し、
他人には愛国心や犠牲精神を強制して戦場へ送り出すことです」(ヤン・ウェンリー)

【銀河英雄伝説の名言】「人間の社会には思想の潮流が二つあるんだ。
生命以上の価値が存在する、という説と、生命に優るものはない、という説とだ。
人は戦いを始めるとき前者を口実にし、戦いをやめるとき後者を理由にする」(ヤン・ウェンリー)

【銀河英雄伝説の名言】「政治権力とジャーナリズムが結託すれば、
民主主義は批判と自浄の能力を欠くようになり、死にいたる病に侵される」(ナレーション)

【銀河英雄伝説の名言】「この世でもっとも醜悪で卑劣なことは、実力も才能もないくせに
相続によって政治権力を手にすることだ」(オスカー・フォン・ロイエンタール)

【銀河英雄伝説の名言】「法に従うのは市民として当然のこと。だが国家が自ら定めた法に背いて
個人の権利を侵そうとした時、それに盲従するのは市民として罪悪だ。
なぜなら民主国家の市民には国家の侵す犯罪や誤謬に対して異議を申したて、批判し抵抗する
権利と義務があるからだ」(ヤン・ウェンリー)

【銀河英雄伝説の名言】「民主主義とは対等の友人をつくる思想であって、主従をつくる思想ではない。
わしは良い友人が欲しいし、誰かにとって良い友人でありたいと思う。
だが、良い主君も良い臣下も持ちたいとは思わない」(アレクサンドル・ビュコック)

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