柔術家ジェイソン・リーがリオのギャング警官に拉致され金銭を強奪される!





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五輪が開幕間近 リオの治安は悪化傾向、警察も犯罪に加担

THE PAGE - 7月28日(木) 7時0分




 リオ五輪開幕まで10日をきったブラジルだが、国内では様々な問題が山積している。弾劾裁判の渦中にいるルセフ大統領と、彼女の前任者で国営石油会社を巻き込んだブラジル政財界を揺るがすスキャンダルに関与した疑惑が浮上しているルラ前大統領の2人は五輪の開会式に参加しないと表明しており、五輪開幕前にブラジルの政界や社会が一枚岩になれていない現状が露呈した。しかし、国内の政治スキャンダル以上にブラジルを訪れる外国人を不安にさせるのが、世界でもワーストクラスといわれる治安状況だ。内戦状態にあるわけでもないブラジルで、殺人によって年間に5万人が命を奪われている。

年間5万人が殺人事件で殺されるブラジル
 8月5日に開幕するリオ五輪。組織的なドーピングが疑われ、ロシア人陸上選手に出場の道が閉ざされた。ブラジル国内でも、国家会計を粉飾したとして職務停止に追い込まれたルセフ大統領の弾劾裁判が五輪期間中も続き、1930年代以降最悪とされる景気低迷に具体的な打開策を見出せない政府に対して各地でデモが行われるなど、開幕を前にして競技以外の話題が先行している。

 米CNNテレビは23日、複数の五輪組織委員会関係者の話として、約170万枚のチケットが未だに売れ残っている状態であると報じた。また、リオ五輪開催に反対するブラジル国民が約半数に達したとの最新世論調査の結果も伝えている。景気低迷や汚職疑惑に対するブラジル国民の不満や、ジカウイルス感染症に対する不安など、開幕前から多くの懸念材料が浮上しているが、最も懸念されているのがオリンピック期間中の犯罪の増加だ。

 リオデジャネイロを州都にもつリオデジャネイロ州は、ブラジルで最も小さな州の一つだが、約1600万人が暮らし、州都リオデジャネイロの人口は約650万人だ。リオデジャネイロはブラジルで犯罪発生率が最も高い地域ではないが(ブラジルでは一般的に南部よりも北部の方が治安は悪いことで知られている)、近年の景気悪化に比例する形で犯罪も増加している。今年1月から5月の間にリオデジャネイロ州で発生した殺人事件は2083件。昨年の同時期と比較して、13%も増加していた。

 単純に計算しても、1か月の間に400人以上が殺害されており、ニューヨーク市や日本全体で1年間に発生する殺人事件の件数を超えている(※)。国連薬物犯罪事務所が発表した統計によると、2014年にブラジル全土で発生した殺人事件は5万674件で、他国を大きく引き離す形で世界ワーストとなっている。世界第2位の人口で知られるインドよりも殺人事件が多く、殺人事件の被害者となる確率はアメリカの6倍以上となっている。近年、ラテンアメリカやカリブ海諸国で凶悪犯罪が増加傾向にあるが、年間1万件以上の殺人が発生する11か国の中で、約半数となる5か国がアメリカ大陸(アメリカ、ブラジル、メキシコ、ベネズエラ、コロンビア)にある。

(※)警察庁資料によると、2015年の日本での殺人事件による死者は363人

貨物を狙った窃盗が新たなトレンドに
 窃盗や強盗といった殺人以外の犯罪になると、その数はさらに増加する。ブラジルで近年、大きな問題となっているのが貨物を狙った窃盗だ。2014年にはブラジル国内で1万7000件以上の貨物窃盗が発生し、地元メディアの報道によると、被害総額は600億円近くに達したのだという。貨物窃盗は犯罪組織にとって新たな収入源となっており、多くのケースで組織的に犯行が行われているのが特徴だ。貨物窃盗が最も多い都市はサンパウロだが、増加率が最も高いのはリオデジャネイロで、2010年から2015年の間に約2600件から約7200件に激増している。

 リオデジャネイロでは1日に、ドイツの放送局がオリンピック中継で使うための機材がコンテナごと盗まれる事件も発生している。総額で約5000万円相当の放送機材が入ったコンテナを積んだトラックは、リオの港から市内の倉庫に移動中に襲撃された。運転手は無傷で、通報を受けた警察が捜査を開始。程なくして、市内北部で放置された放送機材が発見されている。警察は容疑者の特定と拘束に努めると発表したものの、五輪開催前の事件にエドゥアルド・パエス市長は激怒。地元テレビ局のインタビューの中で、「警察内部にはリーダシップが必要だ」とコメントし、警察の対応の遅さを批判している。

 23日にはリオデジャネイロ郊外を走行中の郵便局のトラックが襲われ、運んでいた荷物や郵便物が奪われる事件が発生した。奪われたものの中に五輪のチケットが含まれていたことが判明。郵便局からの連絡を受けて、リオ五輪組織委員会は襲撃にあったトラックで運ばれていたチケットをすべて無効化し、再発行したものを購入者に届けると発表している。何枚のチケットが盗難被害に遭ったのかについては、組織委員会は具体的な言及を避けた。

 警察の対応の遅さは今に始まった話ではない。リオデジャネイロを拠点にするシンクタンクが発表したデータによると、市内で発生した殺人事件が実際に解決する割合は5件に1件。窃盗などの事件で警察に通報があった場合、それらが解決される可能性はさらに低くなる。一見すると職務怠慢にも思える状況だが、地元警察にも言い分はある。景気低迷は自治体の財政にも大きく影響し、リオデジャネイロの警察ではトイレットペーパーから文具まで、必要な備品すら手に入らない状態に陥り、市民からのカンパに頼る警察署まで出ている。また警察車両の燃料が配給制になった時期もあり、「ガソリンの無駄遣い」を防ぐために警察がパトロールの回数を大幅に減らしたこともあった。

景気低迷で予算削減の標的になった警察
 警察官が犯罪に加担するケースも珍しくはない。ブラジルを含めたラテンアメリカの国々では、現職警察官が誘拐や麻薬ビジネス、契約殺人などに手を染めるケースがたびたび報道されている。24日にはニュージーランド人柔術選手のジェイソン・リーさんが、リオデジャネイロ市内で警察官に銃を突きつけられ、しばらく拉致される事件も発生している。

 ニュージーランドで柔術のチャンピオンとなったリーさんは、1年前からリオデジャネイロで柔術のトレーニングを行っているが、24日に自家用車でリオ市内のハイウェイを走行中、複数の警察官から停車を求められた。停車後すぐに銃を突きつけられ、別の車に乗せられたリーさんは、市内の数カ所のATMに連行され、総額で約8万円を引き出して手渡したところで解放された。警察官はリーさんに「今起きたことを他言するな」と言って立ち去ったのだという。
 景気低迷は多くの失業者を生み、結果として犯罪も増加した。ブラジル現地紙「オ・グローボ」は6月、ブラジル国内における若年層の失業率が過去2年で10ポイント以上増大し、26%に達したと伝えている。しかし、景気低迷の影響で予算削減の標的となった警察には増加した犯罪をカバーできるだけの力もなく、容疑者を拘束する前に射殺してしまうケースも今年になって増加傾向にある。また、安月給を補うために警察官の立場を利用して犯罪に加担する警察官が一定数いることも大きな問題だ。

 ブラジル政府は威信をかけてオリンピック期間中の治安維持に努める構えだ。大会期間中、リオデジャネイロ周辺には8万5000人の警察官と国軍兵士がパトロールに投入されるが、これは4年前のロンドン大会の倍以上となる人員数だ。ブラジル政府は緊急予算として、約800億円の支出を決定。これにより、大会期間中の治安維持は一定のレベルをキープできると楽観視されているが、大会終了後に再びリオデジャネイロ州の警察が財政難に直面するのは間違いない。すでに五輪終了後の警察官の給与カットやリストラまで囁かれている。大会前から「予測不能なニュース」が相次いで報じられるリオ五輪の中で、唯一確実視されているのが、大会後の治安悪化というのは皮肉な話だ。
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■仲野博文(なかのひろふみ) ジャーナリスト。1975年生まれ。アメリカの大学院でジャーナリズムを学んでいた2001年に同時多発テロを経験し、卒業後そのまま現地で報道の仕事に就く。10年近い海外滞在経験を活かして、欧米を中心とする海外ニュースの取材や解説を行う。ウェブサイト(http://hirofuminakano.com/)
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