牛島辰熊と戦ったシュワイジャオ 常達偉老師 インタビューより

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【Interview】摔跤の真実。常達偉(チャン・ターウェイ)「摔跤とは、功夫の母のようなものです」
















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2014.09.01
Interview
Special
.Shuai jiao,
常東昇,
常達偉,
摔跤
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David Chang【写真】恐らくは日本のMMAファンの多くが、摔跤についてそれほど知識がないかと思われるが、チャン・ターウェイ氏によって、その歴史と武術性の一端が垣間見られることとなった(C)MMAPLANET

摔跤……シュワイジャオ、日本ではほとんど知られていない英名チャイニーズ・レスリングという組技格闘技。ちょっとした格闘技通の間では木村政彦の師・牛島辰熊が北京で戦ったことがあるという話が伝わっているぐらいだ。

その摔跤、鍛錬方法を紐解くと柔道やレスリングという近代競技とは一線を画した中国拳法の流れをくむ武術という見方もできる。常達偉(チャン・ターウェイ)は、大陸を代表する摔跤の指導者であった祖父・常東昇(チャン・ドンシェン)が台湾に移り住んだ後、その技術を受け継いだ。そんなチャン・ターウェイ氏に摔跤とは何かを語ってもらった。

なお現在発売中のFight&Life Vol.44では、ここで採り上げたチャン・ターウェイと共に散打、MMA、そしてブラジリアン柔術各分野を取材。MMAと武術の接点についてレポートした「Fight&Life 格闘紀行=台北編」が掲載されています。

――英語ではチャイニーズ・レスリングといわれ、日本だと中国式柔道と捉えている人も少なくない摔跤ですが……。

「ハハハ、コスチュームのせいですかね」

――ただ、体を鍛錬するトレーニングの風景を見ると、功夫そのもののようでもあります。いったい、摔跤とはどのような格闘技なのでしょうか。

「摔跤とは、功夫の母のようなものです。その歴史は、中国の武術のなかで最も歴史が長いものです。チンシュフアン(秦始皇=始皇帝)よりも以前の時代に遡ります。長年、各王朝の軍隊に取り入れられてきました」

――功夫からルールある近代スポーツへと、1950年代に大陸の方でまとめられたと聞き及んでいますが、軍事用だとすれば武器術も存在していたのですか。

「摔跤には当然、武器術も含まれています。徒手格闘術、武器術、どちらも持ち合わせているのです。もちろん、打撃もあります。摔跤には3種の段階が存在します。基本は生徒用で組技のみです。上級の生徒は打撃もあり、最終的には関節技も修得しています。そのような形に徐々に体系づけられてきたのです」

――中国武術は本来、人殺しの術で、競技などないものだったのが、打撃の散打、組技の摔跤と競技化されたと聞いていました。
【写真】米国のマーシャルアーツ・マガジンに掲載されたチャン・ターウェイ師範と摔跤。その鍛錬方法を見ると、単なる競技格闘技でないことは明らかだ(C)MMAPLANET
【写真】米国のマーシャルアーツ・マガジンに掲載されたチャン・ターウェイ師範と摔跤。その鍛錬方法を見ると、単なる競技格闘技でないことは明らかだ(C)MMAPLANET

「摔跤はスポーツでもあり、武術的な側面も持ち合わせているのです。ただし、嘉納治五郎が創始者として存在する柔道と、摔跤は違います。嘉納治五郎は日本の柔術、戦闘武術をスポーツに変化させました。安全で平和なスタイルです。摔跤に創始者はいません。自然と発展してきたものなんです。今では大陸でも、とても人気のある競技になっています。そして、世界に広まりつつもあります。私も4月にフランスの国際試合に列席していました。去年は大陸で行われた国際大会には、30カ国から選手が参加しています。ただし、大陸では複数の摔跤が存在しています」

──中国本土と台湾では、摔跤も違ったモノになっているということでしょうか。

「第二次世界大戦後1948年に私の祖父、常東昇(チャン・ドンシェン)が大陸から台湾にやってきました。そして摔跤を台湾中に広めました。私は幼少の頃より、摔跤の稽古をしてきました。摔跤は私の人生です」

――チャンさんの一族は、皆が摔跤をマスターしているのですか。

「私と弟だけです」

――では台湾で摔跤はどれぐらい普及しているのでしょうか。台湾の人々は、太極拳のイメージはあっても、コンバットスポーツとの結びつきは余りないようで、競技として行われている摔跤がどれぐらいこの国で親しまれているのか教えていただけますか。

「レスリング、サンボ、柔術、柔道、摔跤をやっている者は、他の格闘技の経験者も多いのですが、台湾は少し特殊です。台湾人は摔跤の練習しかしていません。摔跤の核は蹴り、パンチと投げ、関節技、そして擒拿のように経穴(※ツボ)を攻撃し、力を奪い取ることも含まれています。このように何でもできることが摔跤の特徴であり、だからこそ台湾の特別警察や特殊警察も摔跤を取り入れているのです」

――つまりスポーツ、競技としての摔跤だけでなく、近接格闘術としての摔跤も台湾には根付いているということですね。

「摔跤の鍛錬を積む人の目的によって、摔跤も性格を変えるのです」

――スポーツとしての摔跤か、格闘術としての摔跤か、どちらの方が人気があるのですか。

「両方です。摔跤は数多くの功夫の最終形です。功夫を突き詰めていけば、摔跤に行き当たります。台湾での競技人口は30万人です」

【Interview】チャン・ターウェイ<02>「MMAと摔跤。現状に眼を瞑っていては進歩はありません」
















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2014.09.02
Interview
Special
.常東昇,
常達偉,
摔跤
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Shuai Jiao【写真】今年の春に行なわれた欧州摔跤国際カップでチャン氏率いる台湾チームは個人戦で1位が2人、2位が1人、3位で2人を輩出するも、国別では6位。元祖の意地を見せて欲しい(C)Taipei County Shuai Chiao Association

未知の中国武道、摔跤。台湾のベースに武道である摔跤、スポーツである摔跤の普及、伝承に務める常達偉(チャン・ターウェイ)は、大陸を代表する摔跤の指導者であった祖父・常東昇(チャン・ドンシェン)インタビュー後編。

スポーツ競技である摔跤のルールに続き、さらに武術的要素があることを踏まえたうえで、MMAとの関連性をチャン氏に尋ねると、非常に前向きかつ自信のある意見が聞かれた。

なお現在発売中のFight&Life Vol.44では、ここで採り上げたチャン・ターウェイと共に散打、MMA、そしてブラジリアン柔術各分野を取材。MMAと武術の接点についてレポートした「Fight&Life 格闘紀行=台北編」が掲載されています。
<常達偉(チャン・ターウェイ)インタビューPart.01はコチラから>

――では、組技競技としての摔跤はどれぐらいの人がトレーニングしているのですか。

「5万、6万人でしょう」

――なるほど、それだけの競技人口のあるスポーツ摔跤のルールを教えてもらえますか。

「スポーツ摔跤は9ポイントを先制した者の勝利となります。投げは背中からきれいに落せば2ポイント、投げた方がしっかりとした姿勢を保っていると3ポイントになります。ヒザや手をついた場合などは、1Pです。投げを仕掛けても、先にバランスを崩し、手足をマットに着くとポイントを失います。この辺りは散打とも同じです。散打の選手は、摔跤の練習もしています。

擒拿(※ここでいう擒拿は関節技か)も許されていますが、投げへの連係でないと使えません。つまり、投げ、関節とも一本はありません。経穴も攻撃できますが、ポイントにはならないです。力を奪い取ること、動きを制限することで投げに繋げることができる。そのための経穴への攻撃です。パンチは反則で、蹴りはヒザより下のみに当て、バランスを崩すことを目的にしている場合のみ許されます。足払いのようなもので、蹴りでダメージを与えるものではないです」

──試合場は、どのような形状なのですか。

「円形マットを使用して戦います。選手はサークルの外に出されると、1ポイントを相手に献上します。ただし、押し出すことを目的とした動きにはポイントを与えられません。円の移動を利用して、崩しながら外に出したときはポイントとなります。ボディバランスを崩すことを重視しています。だから、功夫の最終形なのです。もちろん、道着を掴むことはできます。指を掴むことはできないです。寝技もありません。足以外をマットにつけた場合は、ポイントを失い、スタンドに戻ります」

──試合タイムは?

「試合時間は2分×2Rで、インターバルは30秒です。2Rを通して、9ポイントを獲得した者の勝利となります。18歳以下と以上では階級は違いますが、男女とも8階級を設けています」
【写真】子どもたちが摔跤の稽古に励む(C)Taipei County Shuai Chiao Association
【写真】子どもたちが摔跤の稽古に励む(C)Taipei County Shuai Chiao Association

――摔跤の練習生は、スポーツ摔跤だけでなく、武術としての摔跤も学ぶのでしょうか。

「本来は両方のスタイルを稽古するべきでしょう。ただし、多くの場合はスポーツ摔跤の大会に出なくなった者が、武術的な摔跤の稽古を始めるというケースが多いです。私達も若く精神的に成熟していない者には、余りコンバット・スタイルの摔跤を指導したいとは考えていません。彼らは体力に任せて動くからです。武道的な摔跤に引退はありません。人生を掛けて、修得するものなのです」

――個人的にそれぞれの武道、それぞれの競技格闘技を尊敬していますが、武道的な動きがMMAで見られた時は格別な想いになります。摔跤の動き、テクニックがMMAで見られることはありますか。武道的摔跤には打撃が許されており、スポーツ摔跤は円の動きの投げ、崩しが中心です。摔跤の動きは、MMAでも有効でないかと期待してしまいます。

「ブラジル人ファイターや、米国人ファイターのなかには、既に摔跤をMMAに生かしている者もいます。中国武術のマスターのなかには、実戦でなく型ばかりを追求している者もいます。そしてMMAを忌み嫌い、MMAは野獣の戦いのようだとくさす者もいます。私はそれは違うと思っています。2人の人間が、ケージのなかで向かい合って戦う何でもありの実戦です。摔跤は既に戦闘格闘技として、数々の経験を重ねてきました。MMAは知力と体力、それまでの経験値を全て使って戦う素晴らしいファイトだと私は理解しています。

摔跤は長い歴史があります。しかし、現状に眼を瞑っていては進歩はありません。だから、私はMMAを研究することも大好きです。これまで欧州には10カ国、支部ができています。しかし、日本には旅行でしか行ったことはないので……日本の武術をもっと知るためにまた、日本語の勉強をし直さないといけないですね(笑)」
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