レスリング金メダリスト殺人事件 デュポン事件 フォックスキャッチャー

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Foxcatcher 2014.Cima4u.Tv



http://www.foxcatcher-movie.jp/
フォックスキャッチャー

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%9D%E3%83%B3

ジョン・デュポン

ジョン・エルテール・デュポン(John Eleuthère du Pont, 1938年11月22日 - 2010年12月9日)は、かつてデュポン財閥の資産相続人の一人であり、殺人で有罪判決を受けた人物である[1][2]。いくつかの本を書いた鳥類学者でもあり、貝類学者、切手蒐集家、スポーツ支援者やコーチとしての顔も持っていた。慈善事業としてデラウェア自然博物館を設立し、いくつもの施設に寄付を行ってもいる。

1980年代に五種競技に興味を抱いたことから、所有するフォックスキャッチャー農場にレスリング施設を建設する。彼はアマチュアスポーツの支援者、アメリカレスリングチームの支援者として有名であった。1990年代には彼の突飛な行動や強迫性障害的行動は友人らに心配されるほどになっていたが、彼は莫大な資産を持っていたためにそのことが表に出ることはなかった[3]。1997年に彼は友人でありレスリングのフリースタイル金メダリストであるデイヴ・シュルツを殺害する。

2014年には映画『フォックスキャッチャー』において、スティーヴ・カレルがデュポンを演じてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた[4][5]。

目次

1 幼少期
2 科学者として
3 私生活
4 興味を持ったもの
4.1 切手蒐集
4.2 運動競技
5 デイヴ・シュルツの殺害
6 死去
7 慈善活動など
7.1 フォックスキャッチャー農場
8 遺言に関する論争
9 メディアにおける描写
10 著作
10.1 書籍
10.2 論文
11 関連項目
12 参考文献
13 外部リンク

幼少期

ジョン・デュポンは、1938年11月22日にペンシルベニア州フィラデルフィアにて生まれた。ウィリアム・デュポン・ジュニアとジーン・リスター・オースティンとの間に生まれた末子であった。母方の祖父が夫妻にペンシルベニア州ニュートンにある200エーカー以上の広さを持つ土地を与え、父方の祖父がリスターホールという名の大邸宅を建て、ジョンはそこで育った[6]。母方の家系も父方の家系も、19世紀初頭にアメリカに移住してきて成功した一族であった。

1920年代から1930年代にかけて夫妻はさらなる土地を相続し、リスターホール農場を発展させて販売用・競争用サラブレッドを飼育した。ジョンが2歳のときに両親は離婚し、母が農場を相続した。彼女はサラブレッドに加え、ジャージー乳牛とウェルシュポニーも飼育した。ジョンには二人の姉と、兄、腹違いの弟がいた。

デュポンは1957年にハヴァーフォードスクールを卒業し、ペンシルベニア大学に入学したが一年次で中退した[7]。のちにフロリダ州のマイアミ大学に入学し[8]、1965年に動物学の学位をとって卒業、1973年にヴィラノヴァ大学にて自然科学博士号をとった。
科学者として

大学を卒業すると、デュポンは鳥類探索隊に参加してフィリピンや南太平洋を訪れた。鳥類学者として20もの新種の鳥類を発見したとされる。1957年にはデラウェア自然博物館を設立した。若年ながら博物館の経営に携わり、また長らくフィールドワークを行ってきた自然科学者として、博物館のディレクターも務めた。
私生活

1983年9月3日、45歳のときにデュポンは29歳のセラピストであるゲール・ウェンクと結婚する。彼が自動車事故で負傷したことが出会うきっかけとなった[9]。しかし二人が一緒に暮らしたのは6か月にも満たず[10]、デュポンは結婚後10か月で離婚を申し立てた。ウェンクは、デュポンが拳銃を自分に向けたり自分を暖炉に突き倒そうとしたとしてデュポンに対し500万ドルの請求を起こした[9]。1987年に離婚は成立し[10]、デュポンはウェンクを自らの資産の相続人から完全に排除した[11]。1987年時点でデュポンが持つ資産は2億ドルに達していたという[12]。
興味を持ったもの
切手蒐集

デュポンは切手蒐集家として有名であった。1980年のオークションで「英領ギアナ1セント・マゼンタ」という1856年に発行された有名な切手を、93万5000ドルで匿名にて競り落とした[13]。この切手は彼の死後サザビーズで再びオークションにかけられ、950万ドルで落札された。この際にこの切手は、一枚の切手の売却額としての最高額を4度目に更新したことになる[14]。この切手以外にもデュポンは多くのコレクションを持っていた。彼は遺言を残し、売却額の80%はブルガリア人レスラーのバレンティン・ヨルダノフ・ディミトロフの家族に贈り、20%はデュポンが太平洋の野生動物を保護するためにペンシルベニア州パオリに創立したユーラシア・太平洋・野生動物財団に寄付しようとした[14](しかし関係者によって多数の異議申し立てが行われた)。
運動競技

デュポンは母の死により受け継いだニュートンスクウェアにある440エーカーものリスターホール農場を、高度な設備のレスリング施設に変え、アマチュアレスラーに開放した[15]。彼は父が持っていた競走馬にちなんで、私的なレスリングチームを「フォックスキャッチャー」と名付けた。デュポンはオリンピックを目指す水泳・レスリングのトレーニングセンターを作り、それらの競技大会のスポンサーにもなった。また、オリンピック金メダリストであるレスリング選手の兄弟、デイブ・シュルツ、マーク・シュルツ、そしてデイヴの妻に敷地内の住居を提供した。シュルツはチーム「フォックスキャッチャー」のコーチも務めた。

デュポンはレスリングと水泳、トラック競技、近代五種のスポンサーとなった。近代五種の各競技(ランニング、水泳、射撃)それぞれを宣伝するイベントを開いたりもした[16][17]。自身が競技を行うことにも興味を示し、高校生の時に少しやったきりであるレスリング競技に50代になってから取り組んだりもした。55歳のときには競技大会にも出始め、1992年にコロンビアのカリで開かれたシニア世界大会に出場したのを皮切りに、1993年、1994年[18]、1995年の大会にも出場した。
デイヴ・シュルツの殺害

1996年1月26日、デュポンはデイヴ・シュルツを射殺した。自身の800エーカーの私有地内にあったシュルツ家の私道においてである。シュルツの妻であるナンシーとデュポン警護の責任者であったパトリック・グッデールがその場におり、現場を目撃していた。デュポンがシュルツに3発の銃弾を撃ち込むのを、グッデールはデュポンの車の助手席から見た。警察は殺害の動機を見出すことが出来なかった。シュルツは長らくデュポンのレスリングチームのコーチを務めており、デュポンがアルコール中毒を克服する手助けすらしていたのである[3]。

デュポンの友人たちは彼の発砲を信じられないと言った。カリフォルニア州から来た三種競技選手のジョイ・ハンセン・ロイトナーは、デュポンのトレーニング施設で2年を過ごしており[19]、デュポンが彼女を辛い状況から救い出してくれたことを語った。「家族や友人とともに、ジョンは私に人生の新しい期間を与えてくれたのです。彼は金銭的援助のみならず、心に寄り添ってくれたのです」。彼女は殺人を信じられないと言った。「ジョンが正気だったなら、デイヴを殺すなんてことはできないはずです」[3]。ニュートン郡政執行者であるジョン・S・カスター・ジュニアは、「殺害のその瞬間、ジョンは自分が何をしているのか分かっていなかった(のだろう)」と語っている[20]。デュポン家の管理人を30年勤めたチャールズ・キング・シニアとその息子も、デュポンのことをよく知っている(からそんな事を彼がするなんて考えられない)と言った。

しかし多くの人々が、事件が起こる数か月前からデュポンの行動が次第に破たんしつつあると気づいていた[19]。チャールズ・キング・シニアはデュポンの「警備顧問」であるパトリック・グッデールが事件に影響を与えたと非難している。「ジョンが誰かを撃つなんて考えられません。誰かにそそのかされたり、ドラッグでもやっていなければ。うちの息子も、あいつがうろつき始めてからジョンは変わってしまった、と言っていました。何に対しても恐れるようになったのです。正気を失ってしまったのです。そんな彼でさえ、私も息子も受け入れることが出来たのに」[20]。

発砲ののちデュポンは彼の邸宅に二日間閉じこもり、警察は電話で説得を続けた。暖房装置を直すために戸外へ出てきた彼を警察は逮捕した。1996年9月、専門家はデュポンが精神病であり自身の弁護に参加できないと診断し、公判に耐えうることが出来ないと判断された。彼は精神病院に入院させられ、裁判所が3か月以内に彼の状態を確認することとなった[21]。

公判のさなか、精神科の専門家である証人はデュポンを強迫観念症的な統合失調症であるとし、シュルツのことをデュポンを殺そうとしている国際的な陰謀団の一味であると錯覚していたのだと証言した[22]。デュポンは家に押し入られて殺されると信じこんでいたため、家じゅうに様々な防犯設備を取り付けていたという[22]。

デュポンは「心神喪失による無罪」を主張した。この主張は裁判において却下され、1997年2月27日に陪審によって第三級謀殺(Third-degree murder、故意はあるが計画性のない殺人)の有罪であるが同時に精神疾患を患っていると評決された。ペンシルベニア州における第三級謀殺は、第一級謀殺(計画的に故意に殺害)や第二級謀殺(重い犯罪行為の実行時に意図的でなく殺害)よりも量刑が軽い。ペンシルベニア州の刑法では、「心神喪失」は「病気や障害」により自らの行動が誤っていることが分からない、または法律に従うことを理解できない者に当てはめられる。(つまりデュポンはこのケースに当てはまらないとされた)[23]

陪審の「有罪であるが精神疾患を患っている」という評決は、判決が裁判長であるパトリシア・ジェンキンスに差し戻されることを意味していた。5年から40年の実刑判決が選択できるなかで、ジェンキンスはデュポンに13年から30年の収監を宣告し、ペンシルベニア州で最も警備が最低限なマーサー刑務所に収監が決まった[24]。

陪審による評決後、デイヴの未亡人であるナンシー・シュルツは夫の不当な死についてデュポンに訴訟を起こした。和解内容は明らかになっていない。フィラデルフィア・インクワイアー紙は匿名の情報源を引いて、デュポンがシュルツ夫人に少なくとも3500万ドルを支払ったであろうと報じた[25]。

デュポンの代理人は上訴し、2000年には最高裁で争われることとなったが評決は支持され、覆ることはなかった。2009年1月29日には最初の仮釈放が申請されたが受理されなかった。刑期を最も長く務めるとすれば、デュポンが87歳になる2026年まで収監されるはずであった[26]。

2010年に合衆国控訴裁判所は控訴を退けたが、デュポンが事件前にブルガリア人の処方でスコポラミンを服用していた事実などを新たに認めた[27]。
死去

デュポンは2010年12月9日、慢性閉塞性肺疾患と肺気腫により72歳で亡くなった。ペンシルベニア州政府矯正局の広報担当者は、デュポンがローレルハイランド刑務所のベッドで動けずにいるところを発見されたと発表した。サマセット共同病院において死亡が確認された[1][2]。

デュポンは彼の遺言通り、フォックスキャッチャーの赤いレスリングジャージに身を包んだまま埋葬された[28]。
慈善活動など

デュポンは1957年にデラウェア自然博物館を創立し、長らくこの博物館の経営に携わった。
フォックスキャッチャー農場

母の死後、デュポンは父が持っていた競走馬にちなんで、リスター農場を「フォックスキャッチャー農場」と改名した[29]。母の事業をほぼそのまま継承したが、レスリング施設とそれに付属する建物を新たに建設した。

デュポンの逮捕後、家畜と共にデラウェア自然博物館の経営権も人手に渡った。農場の跡地の一部には米国聖公会の寄宿学校が建てられたが[29]、400エーカーを超える部分は今も手つかずのままである。

2013年に邸宅は解体され、跡地に400の家が建てられる予定で「リスター地所」と名づけられている[30]。ほとんどの建物は取り壊されてしまったが、7000平方フィートある古い納屋が新規造成地区の会館として使用されるという。
遺言に関する論争

デュポンの遺言では、資産の80%は親戚でありオリンピック金メダリストでもあるブルガリア人レスラーであるバレンティン・ヨルダノフに贈られることとなっていた。2011年1月にデュポンの姪であるベヴァリー・デュポン・ゴーゲルと甥であるウィリアム・H・デュポンは、デュポンが遺言作成時に「正常な精神状態」ではなかったと主張し、ペンシルベニア州メディアで異議を提訴した。遺言作成時にデュポンはイエス・キリストとダライラマとロシア皇帝を代わる代わる自称していたというのである[31]。

この訴えは最終的にペンシルベニア州上位裁判所によって2012年に退けられた[32]。たとえ2010年の遺言書に瑕疵があったとしても、その前の2006年に作成された2つの有効な遺言書にベヴァリーとウィリアムの名が無かったからである。
メディアにおける描写

デイヴ・シュルツ殺人事件に関しては2013年に発行された『Wrestling with Madness』が詳しい[33]。
スティーヴ・カレルは2014年の映画『フォックスキャッチャー』において、シュルツ兄弟のことや彼らとデュポンとの関係性を丹念にひも解くことでデュポンを演じ[34]、その演技は批評家に称賛された。アカデミー賞主演男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞を含む様々な賞の候補となった[35][5]。
デイヴの弟であり、同じくオリンピック金メダリストであるマーク・シュルツは2014年に『Foxcatcher: The True Story of My Brother's Murder, John du Pont's Madness, and the Quest for Olympic Gold』という本を出版している[36]。

著作
書籍

『Philippine Birds』 (1971)
『South Pacific Birds』 (1976)
『Living Volutes: a Monograph of the Recent Volutidae of the World』

論文

Amadon, Dean; Dupont, John E; (1970). "Notes on Philippine birds". Nemouria 1: 1–14.
Dupont, John E (1971). "Notes on Philippine Birds (No. 1)". Nemouria 3: 1–6.
Dupont, John E (1972). "Notes on Philippine Birds (No. 2). Birds of Ticao". Nemouria 6: 1–13.
Dupont, John E (1972). "Notes on Philippine Birds (No. 3). Birds of Marinduque". Nemouria 7: 1–14.
Dupont, John E (1976). "Notes on Philippine Birds (No. 4). Additions and Corrections To Philippine Birds". Nemouria 17: 1–13.
Dupont, John E (1980). "Notes on Philippine birds (No. 5). Birds of Burias". Nemouria 24: 1–6.
Dupont, John E; Rabor, D S (1973). "South Sulu Archipelago Birds. An Expedition Report". Nemouria (Delaware Museum of Natural History) 9: 1–63. ISSN 0085-3887.
Dupont, John E; Rabor, D S (1973). "Birds of Dinagat and Siargao, Philippines". Nemouria (Delaware Museum of Natural History) 10: 1–111. ISSN 0085-3887.
Dupont, John E; Niles, David M; (1980). "Redescription of Halcyon bougainvillei excelsa Mayr, 1941". Bulletin of The British Ornithologists' Club 100: 232–233.

関連項目

デュポン
フォックスキャッチャー

参考文献

^ a b Jeré Longman (2010年12月9日). “John E. du Pont, Heir Who Killed an Olympian, Dies at 72”. New York Times 2012年11月28日閲覧. "John E. du Pont, an heir to the du Pont chemical fortune whose benevolent support of Olympic athletes deteriorated into delusion and ended in the shooting death of a champion wrestler, died Thursday in a western Pennsylvania prison. He was 72. Mr. du Pont was found unresponsive in his cell at Laurel Highlands State Prison near Somerset, Pa., a prison spokeswoman told The Associated Press. ..."
^ a b “Du Pont heir dies in prison”. United Press International (2010年12月9日). 2010年12月9日閲覧。 “Du Pont fortune heir John E. du Pont, convicted of the 1996 murder of Olympic wrestler David Schulz, died of natural causes, Pennsylvania prison officials said. He was 72. Corrections spokeswoman Sue Bensinger said du Pont was found unresponsive in his Laurel Highland State Correctional Facility cell in Somerset County Thursday, The Philadelphia Inquirer reported. Bensinger said he had been ill for some time.”
^ a b c Longman, Jere; Belluck, Pam; Nordheimer, Jon (1996年2月4日). “For du Pont Heir, Question Was Control”. New York Times
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^ Alice Higgins, "Trials Of A Busy Pentathlete", Sports Illustrated, August 28, 1967
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^ "Silverbacks: Masters 3rd Freestyle Wrestling World Championships Results-1994", Silverbacks Wrestling website
^ a b Randy Harvey, "Signposts to a Tragedy – Du Pont Heir", Los Angeles Times, January 31, 1996
^ a b J.F. Pirro, "In Memory of a Murder", MainLine Today, January 12, 2007
^ Associated Press, "Du Pont Is Ruled Incompetent for Trial in Killing of Wrestler", Los Angeles Times, 25 September 1996, accessed 15 November 2014
^ a b “Defense Doctors: Du Pont Feared He Was Target Of Conspiracy He Worried About The Russians, One Said. Then He Decided The Threat Was At Home”. Interstate General Media. 2014年11月28日閲覧。
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^ “John du Pont was buried in his wrestling singlet - Philly.com”. Articles.philly.com (2011年2月16日). 2015年1月21日閲覧。
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^ “Historic DuPont mansion goes under the wreckers ball - Main Line Suburban Life”. Main Line Media News. 2015年1月21日閲覧。
^ "Du Pont Relatives Contest Validity of Late Killer's Will", Delaware County Daily Times, 1June 15, 2011. Retrieved on June 15, 2011.
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^ Strauss, Chris (2014年11月14日). “Where are the missing seven years in 'Foxcatcher'?”. USA Today 2014年11月15日閲覧。

外部リンク

ジョン・デュポン著の文書 - BioStor

http://matome.naver.jp/odai/2142270620330557601
親も心配する狂気の演技…映画「フォックスキャッチャー」を見逃すな!【実話・デュポン・事件・カレル】

映画「フォックスキャッチャー」主演のスティーヴ・カレル。もともとはコメディアンなのですが、この映画では狂気の役を演じており、その変貌ぶりには共演者や親までもが驚愕してしまうという…。アカデミー賞主演男優ノミネートされています。

更新日: 2015年07月02日

[take0518さん] take0518さん

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2月14日公開の映画「フォックスキャッチャー」

フォックスキャッチャー

フォックスキャッチャー

デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンが起こした殺人事件を映画化した実録ドラマ。

ジョン・デュポンが結成したレスリングチームに引き抜かれた五輪メダリストの兄弟が、彼の知られざる姿を知った果てに悲劇に見舞われる。

監督は『カポーティ』などのベネット・ミラー。『31年目の夫婦げんか』などのスティーヴ・カレルをはじめ、チャニング・テイタムやマーク・ラファロら実力派が共演する。彼らの鬼気迫る演技に圧倒される。

シネマトゥデイより

"監督は「カポーティ」「マネーボール」などを手掛けたベネット・ミラー監督。実在の人物と事件を丹念に映し出すことに定評のある監督で、今年の「カンヌ国際映画祭」監督賞を受賞している。"

出典米国の金メダリスト兄弟を描いた映画「フォックスキャッチャー」が来年2月に日本で公開 | Japan Wrestling Federation - 日本レスリング協会公式サイト - JWF

実話をもとにした映画です。映画賞受賞もあります。

"1996年にアメリカで起きたデュポン財閥御曹司のジョン・デュポンによるオリンピック金メダリストのレスリング選手デイヴ・シュルツ射殺事件をもとにした作品"

出典実在の金メダリスト射殺事件を描いた映画『フォックスキャッチャー』から予告編 - movieニュース : CINRA.NET

"『カンヌ国際映画祭』監督賞を受賞した。"

出典実在の金メダリスト射殺事件を描いた映画『フォックスキャッチャー』から予告編 - movieニュース : CINRA.NET

"『ソウルオリンピック』での金メダル獲得を目指すレスリングチーム「フォックスキャッチャー」の結成プロジェクトを立ち上げたデュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンと、ジョンの誘いでチームに参加したオリンピック金メダリストのマーク・シュルツの関係性を軸に展開。"

出典大富豪による五輪金メダリスト射殺事件を映画化、『フォックスキャッチャー』日本公開 - movieニュース : CINRA.NET

"デュポンの移り気な性格と不健全なライフスタイルが徐々に風向きを変えていき、兄デーブがチームに加わったことで、悲劇の結末へとつながっていくまでが描かれている。"

出典米国の金メダリスト兄弟を描いた映画「フォックスキャッチャー」が来年2月に日本で公開 | Japan Wrestling Federation - 日本レスリング協会公式サイト - JWF

物語の中心となる「ジョン・デュポン」とはいかなる人物だったのか?【ネタバレになるかもしれません】

ジョン・デュポン

ジョン・デュポン

世界でも有数の財閥の御曹司でした。

"火薬で大儲けしたのを発端に、化学製品の分野で数々の発明を行い、世界でも指折りの財閥になった、1802年創業のデュポン。"

出典CIA☆こちら映画中央情報局です: Foxcatcher: 大富豪はなぜ、オリンピック金メダリストのレスリング選手を射殺したのか

"アメリカではロックフェラー、メロンに並ぶ三大財閥として知られている。"

出典フォックスキャッチャー

"デュポンは広大な自分の屋敷をレスリングチームに提供し、マーク・シュルツとともに、1988年に韓国ソウルで開催されるオリンピックに向けて、圧倒的に強いレスリング代表チームをつくり上げようと努力する。"

出典大富豪はなぜ金メダリストを殺したか:実際にあった殺人事件を描く映画『フォックスキャッチャー』(予告編動画) « WIRED.jp

妄想型精神分裂症を患っていたということです。

妄想型精神分裂症を患っていたということです。

殺人を犯し、獄中死します。

"ところが、デュポン氏は1996年1月26日にフィラデルフィアの自宅で、自分がパトロンをしていたレスリングのオリンピック金メダリスト・デヴィッド・シュルツ選手を射殺した後自宅に立てこもり、2日後の28日に投降して逮捕されたのである。"

出典キュート7:殺人者が持っていたOne&Only

"デュポン被告は裁判で懲役13~20年の不定期刑の判決が下り、ペンシルベニア州の刑務所で服役していたが、2010年12月9日に獄死した。"

出典キュート7:殺人者が持っていたOne&Only

映画でデュポンを演じるのは「スティーヴ・カレル」

経歴から分かる通り、コメディアンです。

経歴から分かる通り、コメディアンです。

大学卒業後、シカゴの即興コメディ・グループ、セカンド・シティ・シアターに参加。その後TV界に進出し、報道パロディ番組「The Daily Show」で注目を集める。

「サタデー・ナイト・ライブ」でも好評を得て、イギリスのTVシリーズをリメイクした「The Office」でゴールデン・グローブ賞の主演男優賞を受賞した。

映画では「ブルース・オールマイティ」、「俺たちニュースキャスター」、「奥さまは魔女」などに出演。そして、主役を好演した「40歳の童貞男」が大ヒットし、一躍人気コメディ俳優の仲間入りを果たした。

allcinema ONLINEより

"彼はコメディ俳優として有名です。代表作である「リトル・ミス・サンシャイン」「40歳の童貞男」は日本でも有名です。"

出典スティーヴ・カレルがヤバすぎ!『フォックスキャッチャー』とは? | Ciatr[シアター]

「40歳の童貞男」で人気が爆発!

「40歳の童貞男」で人気が爆発!

40男の“ロスト・ヴァージン”を描いた、おかしくて愛おしいコメディ映画。自分だけの世界に生きていた男が、人生の伴侶に出会うまでの紆余(うよ)曲折を下ネタ満載のギャグで笑い飛ばす。

「ゲット スマート」のポスターでも完全にコメディ…。

「ゲット スマート」のポスターでも完全にコメディ…。

1960年代にアメリカで人気を博した伝説のテレビドラマ「それ行けスマート」を映画化したスパイ・アクション。極秘スパイ機関のおとぼけエージェント、マックスウェル・スマートが活躍する。

そんな彼が「狂気の殺人犯」を演じるとは…?

実際の映画の一場面です。本当にカレルなのか!?

実際の映画の一場面です。本当にカレルなのか!?

なんか、すごく怖い…。

"「コメディアンにもかかわらず、現場に入ってくると恐ろしいキャラクターに成りきっていた。映画の撮影が終わってもしばらくあのキャラクターのままでいた」ベネット監督談"

出典オスカー候補『フォックスキャッチャー』に黒澤明監督へのオマージュがあった! - シネマトゥデイ

"最初は財閥の御曹司であった彼が徐々に狂気に染まっていく様相は、本人の役柄も相まってなかなかの雰囲気を出しています。特にこれまで彼の出演作を知っているのであれば、そのギャップに驚くかもしれません。"

出典実話を映画化した「フォックスキャッチャー」 この映画の元となるジョン・デュポンが起こした事件とは?映トレっ

いつもの印象を180度くつがえしています!

いつもの印象を180度くつがえしています!

"事件の加害者ジョン・デュポンに扮したスティーヴ・カレルの常人離れした演技に驚嘆の声が続出。"

出典フォックスキャッチャー

"「挑戦であると同時に、少し怖くもあった。でも怖いと感じることは、挑戦すべき事柄だと考えるようにしてる。経験から多くを学べるからね。そういうものには、大きなリスクが伴うものさ」(本人談)"

出典スティーヴ・カレルがヤバすぎ!『フォックスキャッチャー』とは? | Ciatr[シアター]

"これまでで最もダークなキャラクターに挑戦し、もはやスティーヴとは思えない狂気迫る演技を披露している。"

出典【予告編】スティーヴ・カレルが笑顔を封印し“怪演”!『フォックスキャッチャー』 | シネマカフェ cinemacafe.net



あまりにも普段のイメージと異なり、親が心配の電話をかけてしまう有様…。

親も驚く怪演ぶり…。

親も驚く怪演ぶり…。

"「クリスマスに自宅にあの映画のスクリーナーを持って帰って、うちの両親はマサチューセッツの自宅で初めてその映画を見たんだけど、その数日後に母から電話がかかって来て『あの映画のことが頭から離れないわ。すごく取りつかれちゃった』って言ってきたんだ」「うちの両親は90だからね、すごく響いっちゃったんだね。ちょっとゾッとしちゃったんじゃないかな」"

出典Sカレルの演技に親もビックリ! ≪ イチ押し!海外エンタメニュース ≫ | ダイヤモンドブログ

共演者や関係者もビビってしまうくらいの完成度…。

鼻は特殊メイクですが、この表情はCGでは再現不可能!

鼻は特殊メイクですが、この表情はCGでは再現不可能!

共演者が「悪寒が走った」とまで言ってしまう役の完成度とは、すごいです。

"さらにはよりデュポンに近づくために、スティーブは「鼻」も付け、心身ともにデュポンに成りきった。"

出典映画『フォックスキャッチャー』スティーブ・カレルがシリアスな怪演を魅せる特報解禁!− CINEMA TOPICS ONLINE

"撮影に挑んだ際スティーブの姿は、「スティーブが初めてデュポンとして歩み出てきたとき、僕には悪寒が走った」とマーク・ラファロに言わしめたほど。"

出典映画『フォックスキャッチャー』スティーブ・カレルがシリアスな怪演を魅せる特報解禁!− CINEMA TOPICS ONLINE

実際のデュポンを知っている人物すら居心地悪さを感じていたという…。

実際のデュポンを知っている人物すら居心地悪さを感じていたという…。

"デュポンの特性を捉えるスティーブの能力があまりにも「気味が悪く、異様なほど正確だった」と振り返っている。"

出典映画『フォックスキャッチャー』スティーブ・カレルがシリアスな怪演を魅せる特報解禁!− CINEMA TOPICS ONLINE

"デュポンに殺害された金メダリスト“デイヴ・シュルツ”の実際の未亡人ナンシー・シュルツにでさえ、「スティーブ演じるデュポンは見ていて居心地が悪く、とても落ち着かなかった」と言われるほどの徹底ぶり。"

出典映画『フォックスキャッチャー』スティーブ・カレルがシリアスな怪演を魅せる特報解禁!− CINEMA TOPICS ONLINE

その怪演ぶりに、アカデミー賞にもノミネートされました!

当たり前のように主演男優賞ノミネート!!

当たり前のように主演男優賞ノミネート!!

"『フォックスキャッチャー』からは、監督賞(ベネット・ミラー)、主演男優賞(スティーヴ・カレル)、助演男優賞(マーク・ラファロ)、そして、脚本賞、メイク・ヘアスタイリング賞にノミネートされました!!!"

出典フォックスキャッチャー | Facebook

"喜劇俳優から悪役への転向に成功したスティーヴ・カレル(『フォックスキャッチャー』)もアカデミー賞好みだろう。"

出典【第87回アカデミー賞】米映画サイトが予想、作品賞は『6才のボク』VS.『バードマン』か - AOLニュース

実はコメディアンはアカデミー賞にノミネートされる事は難しいと言われています。

それだけに、今回のノミネートはかなりのインパクトがあったということでしょう。

それだけに、今回のノミネートはかなりのインパクトがあったということでしょう。

また、実在した人物を描いたこともプラスに降下したと言われています。

アカデミー会員は実在の物語に弱いのです。

"コメディアンは、99%不利:ジム・キャリー(ノミネートさえされない)、エディ・マーフィー(アラン・アーキンが受賞し、途中退場)"

出典「アカデミー賞」を受賞する作品はにはパターンがあると思いますか?どん... - Yahoo!知恵袋

"悲しきかな、アカデミー賞に縁がないコメディアンの嘆き!"

出典Singin' in the Rain 2007年02月

試写会や予告編を観た方も、いつものスティーブカレルと違うと感じたようです。

左の人がスティーブ・カレルです。

左の人がスティーブ・カレルです。

はまー 。。。@mumsdoller

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今日初めて予告観た「フォックスキャッチャー」。ポスター見たとき「スティーブカレルどこ?」て思ってしまった。コメディとのギャップ大きい。 #eiga pic.twitter.com/miuIHRTznR

返信 リツイート お気に入りに登録 2015.01.08 19:50

べし@stby_18

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フォックスキャッチャーの予告編観てもどこにスティーブカレルいるか分からんのだけど…特殊メイク?なのか…声がわかるだけ

返信 リツイート お気に入りに登録 2015.01.15 23:08

違う人過ぎるでしょ!

違う人過ぎるでしょ!

tokyopen_x@tokyopen_x

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予告見る限り、スティーブ・カレルさんがマジちびりそうなくらい怖くて堪らん。横向いて座ってるだけとか、ほぼ無表情なのに

返信 リツイート お気に入りに登録 2014.09.09 08:13

migusa@migUSA

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カポーティとマネーボールの監督ってことでどっちもうーん。と思いながら今回実話事件の映画化は相変わらず淡々とした描き方。退屈ではないけど見所がの2時間超え。キャストの演技力で魅せる。これがスティーブカレルとはね️フォックスキャッチャー pic.twitter.com/j8KAcq1nJi

返信 リツイート お気に入りに登録 2015.01.29 22:53

ちなみに・・・というのもなんですが、共演のチャニング・テイタムも高い評価!

弟役です。右側の方です。

弟役です。右側の方です。

兄役のマーク・ラファロが助演男優賞にノミネートされておりますので、まさに演技合戦といった趣です。

"存命するメダリストの弟にふんしたテイタムの鬼気迫る演技が早くも話題となっている。"

出典スティーヴ・カレル×チャニング・テイタム!五輪金メダリスト射殺事件『フォックスキャッチャー』2月公開 - シネマトゥデイ

"ダブル主演を務めたチャニング・テイタム、実力派として名高いマーク・ラファロとの濃密なアンサンブルは、あらゆる観客の目と心を奪って離さない。"

出典フォックスキャッチャー

"新境地をみせたテイタムの憑かれたような演技に息をのむ。"

出典文句なしのアカデミー賞候補『フォックスキャッチャー』2.14(Sat) | MOVIX橋本 | 松竹マ



恐ろしき演技が垣間見える「予告編」はこちら!

1:31

YouTube

フォックスキャッチャー 予告篇

いや、予告編だけで十分こわいです…。

公式サイトです。

フォックスキャッチャー

http://www.foxcatcher-movie.jp/

第87回アカデミー賞(R)全5部門ノミネート。第72回ゴールデン・グローブ賞3部門ノミネート。第67回カンヌ国際映画祭監督賞。なぜ大財閥の御曹司は、オリンピックの金メダリストを殺したのか?2015年2月14日(土)新宿ピカデリーほか、全国公開

http://rr.img.naver.jp:80/mig?src=http%3A%2F%2Ffoxcatcher-movie.jp%2Fcommons%2Fthums_fb.png&twidth=300&theight=300&qlt=80&res_format=jpg&op=r

レスリングつながりなので、吉田選手も宣伝に一役買っているようですね。

レスリング吉田沙保里、金メダリスト射殺事件を描くオスカー候補作に衝撃 - ニュース - Yahoo!映画

http://movies.yahoo.co.jp/news//20150121-00000030-flix/

レスリング吉田沙保里、金メダリスト射殺事件を描くオスカー候補作に衝撃

http://rr.img.naver.jp:80/mig?src=http%3A%2F%2Fi.yimg.jp%2Fimages%2Fmovies%2Fes%2FfaceBook%2Fimg.png&twidth=300&theight=300&qlt=80&res_format=jpg&op=r

http://ciatr.jp/topics/18496


2015年8月27日更新 11,678view
映画『フォックスキャッチャー』では描かれなかった11の真実!
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ベネット・ミラー監督、チャニング・テイタム、スティーブ・カレル主演『フォックスキャッチャー』!アメリカのある富豪が起こした実際の殺人事件が題材となっている作品です。しかし劇中では描かれなかったり、変えられた事実が存在していました。今回は『フォックスキャッチャー』映画で描かれなかった11の真実を紹介します。
第67回カンヌ国際映画祭で監督賞受賞『フォックスキャッチャー』

フォックスキャッチャー
観たい!
感想・ネタバレ

実際に96年に起きたデュポン財団御曹司によるレスリング五輪金メダリスト射殺事件を題材に描かれた人間ドラマです。第67回カンヌ国際映画祭で監督賞に輝きました。

富豪と金メダリストの富や名声、孤独といった人間の欲や闇を映し出し、その狂気の演技が話題を呼びました。米誌『People』に“最もセクシーな男”に選ばれたこともある人気俳優チャニング・テイタムが事件に巻き込まれていくオリンピック金メダリストの弟マークを演じています。
11.マークとデイヴが同時期にフォックスキャッチャーに参加した事実はない!

foxcatcher-11
引用: whatculture.com

『フォックス・キャッチャー』の中でマーク・シュルツとデイヴ・シュルツ兄弟は、二人一緒ににレスリングキャンプのフォックスキャッチャーでトレーニングを行っていましたがこれは事実ではありません。マークは富豪のデュポンと仲たがいをおこし、デイヴがキャンプにくる何年も前に去っています。

”私はデイヴがキャンプに来てからはレスリングをしていない、BYUで柔術をしていた”と映画が公開後、Facebookに投稿しています。

実際、マーク・シュルツはこの映画の事実と異なる脚色により中傷を受けています。マークが兄であるデイヴに介抱されるほど脆弱なレスラーだったということもありません。

なぜならデイヴはその時キャンプにはいなかったのです。マークは真のアスリートで精神的に弱いということはフィクションです。マークはデュポンが新しく建てたレスリング施設でトレーニングをしたこともありません。
10.ジョン・デュポンの母親はフォックスキャッチャー建設前に亡くなっていた!

ヴァネッサ・レッドグレイヴ
出典: bobmann447.files.wordpress.com

この作品で、ジョン・デュポンの母親への承認欲求に同情した人も多いのではないでしょうか?しかし、母親に良いところを見せようとジョンがレスラーにありきたりな筋トレ器具で指導し、そのレスラーがまるですごい技術を教わっているかのように振舞い母親は馬鹿にしたように去ったシーンはフィクションです。

実際は1988年彼の母親はジョンがフォックスキャッチャーキャンプを始める前にに亡くなっていました。
9.UFCはマークにとって栄光の日々!

UFC-Octagon
引用: whatculture.com

マーク・シュルツのUFCでの成功は彼の栄光の瞬間の一つですが、劇中ではUFCを野蛮なイベントとして描いていて、マークはまるで仕方がなくこの世界に入ったかのように思えてしまいます。

一番の間違いは1988年のオリンピックより前に、マークが仲間たちと家でUFCのイベントを見ていることです。なぜならUFCは1993年に設立したからです。映画で見られていた試合は1996年2月に実際に行われた試合です
8.描かれなかった遺産相続!

foxcatcher-trailer
引用: whatculture.com

この作品ではジョン・デュポンが彼と親しい関係にあった、ブルガリアのレスラー、ヴァレンティン・ヨルダノフに80%の財産を残したことは描かれていません。

ヨルダノフはフォックスキャッチャーでトレーニングを積み、デュポンの財産数億円を相続したのです。

さらにデュポンは極端なナショナリストとして描かれていましたが、ブルガリア人レスラーをキャンプで大事な人物として扱っていました。そのためジョン・デュポンはブルガリアで大変な有名人です。
7.印象的なあのシーン!?実はフィクション!

foxcatcher
引用: whatculture.com

『フォックス・キャッチャー』の中でジョン・デュポンがマーク・シュルツの顔を叩く印象的なシーンがあります。マークはFacebookにこう投稿しています。”もしデュポンが私を叩いていたら、彼を張り倒していただろう”

マーク・シュルツはオリンピックの金メダリストであり、WWEのチャンピオンのカート・アングルがアメリカレスリングの歴史において最も強いレスラーの一人だと語るほどの男です。いくらデュポンほどクレイジーな人物であっても彼の顔をはたく勇気はなかったことでしょう。
6.マークにとって迷惑なフィクション!

Foxcatcher1
引用: whatculture.com

この映画の様々な描写により、ジョン・デュポンがマークと肉体関係があるかのように仄めかしていますが、それは馬鹿らしいほどの間違いで、うんざりするとマークは語っています。

この映画がミスリードしていることは確かですが、マークはゲイではなくデュポンと関係は持っていないと主張しています。あるレスリング関係者によると、ジョン・デュポンとあるレスラーが関係を持っていたことを認めていますが真相は確かではありません。
5.映画のような事実が省略されていた!

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引用: whatculture.com

カート・アングルはここ20年で最も有名なWWEレスラーの一人です。それ以前の彼は1996年アトランタオリンピックで金メダルを獲り、間違いなく名声のあるレスラーの一人です。

彼はフォックスキャッチャーでトレイニングを行ったこともあり、デイヴ・シュルツの友人でもありました。しかしこの作品でそのことは描かれていません。

カートの物語はある意味マークの物語よりも数奇なものかもしれません。カートはデイヴに指導を受けていて、デイヴが銃撃事件にあった6ヶ月後にオリンピックで金メダルを獲得しました。
4.ジョン・デュポンの身体的問題!?

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引用: whatculture.com

作中ではジョン・デュポンは身体的に弱い独り者のとして描かれています。しかしこれはフェアな表現ではありません。彼は大学一年の時にレスリング経験があり、スポーツにも興味は持ち続けていました。

カート・アングルは本でデュポンは競技者、スポンサーの両方で熱心にレスリングに関わっていたと語っています。彼は40代、50代のレスリングトーナメントに参加していました。
3.ジョン・デュポンレスリングへの献身性の真実!?

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引用: whatculture.com

ジョン・デュポンがアメリカレスリング史において最も重要な人物であったことはこの作品の描いた通りです。彼はフォックスキャッチャーに8000万円を注ぎ込みベストなトレイニング器具や栄養サプリメントを用意しました。

この作品でスティーヴ・カレルは漫画のようにエキセントリックな人物としてデュポンを演じました。しかし彼は単にエキセントリックな男だっただけではなくアマチュアレスリングへの情熱は本物でした。
2.事件へのきっかけ!?

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引用: whatculture.com

ジョン・デュポンは殺人事件を起こす数日前、頭に衝撃を受けていました。彼は家で倒れ、頭をテーブルか椅子に打ち付け意識を失いました。

これが事件の引き金となったのかは疑問ですが、カート・アングルは本で”彼はレスラーの一人が彼の頭をバットで叩いたと思い込んだのではないか”と書いています。
1.映画『フォックスキャッチャー』時間軸改変点!?

foxcatcher-tatum-ruffalo
引用: whatculture.com

疑いようもなく、この作品で間違っているところは時間軸です。マーク・シュルツはデイヴの影的存在として描かれていましたが、彼は80年代中ごろには活躍していました。1984年にオリンピックで金メダル獲得、1985年に世界チャンピオンになっています。

レスリング関係者もマークが最も才能あるレスラーの1人であることを認めています。最もおかしな時間軸は、マークが1988年のオリンピックに出場し、すぐにUFCへ行ったことが仄めかされている点とデイヴがオリンピック後に撃たれたとされた点です。実際は1996年に起きた事件です。
参考URL
・whatculture.com

http://cia-film.blogspot.jp/2013/09/foxcatcher.html

Foxcatcher: 大富豪はなぜ、オリンピック金メダリストのレスリング選手を射殺したのか ? !、「マネーボール」のベネット・ミラー監督が、デュポン財閥の富豪が起こした異様な殺人事件を、コメディ俳優のスティーヴ・カレルに演じさせた実録サイコ・スリラーの問題作「フォックスキャッチャー」の予告編 ! !
by hirobillyssk 2013年9月28日土曜日

image: http://1.bp.blogspot.com/-KSO6FZXa9Yk/UkZ7uhkWRRI/AAAAAAAB0xY/lautGsX4ibE/s640/Foxcatcher-Steve_Carell-002.jpg

火薬で大儲けしたのを発端に、化学製品の分野で数々の発明を行い、世界でも指折りの財閥になった、1802年創業のデュポンから、SONY に対して、何らかの圧力があったのか、どうか?!は知りませんが、ソニー・ピクチャーズが昨日、予告編を初公開するや、それをすぐに取り下げて、公開延期を発表した、名門デュポン家が生んだ殺人犯ジョン・デュポンが主人公の実録サイコ・スリラー映画の問題作「フォックスキャッチャー」の予告編を、まだ観ることができるので、今のうちに、ぜひ観ておくことをお勧めします…!!









メジャーリーグを舞台に、ブラッド・ピットが実在の人物を演じた球団経営映画「マネーボール」(2011年)が絶賛を集めて、アカデミー最優秀作品賞を含む計6部門で候補にノミネートされたほか、さらに前作「カポーティ」(2005年)で、やっぱり実在した作家に扮したフィリップ・シーモア・ホフマンが見事にアカデミー賞最優秀主演男優賞に選ばれたのを含め計5部門でノミネートを果たした実績などから当然、来春の第86回アカデミー賞にも、ガッチリと絡んでくることが予想されていたベネット・ミラー監督の最新作「フォックスキャッチャー」の予告編です…!!

テレビシリーズ「The Office」のマイケル・スコット役で人気を博したほか、「40歳の童貞男」(2005年)や、ライアン・ゴズリングと共演した「クレイジー、ステューピッド、ラブ」(2011年)といったコメディ・ジャンルの映画で活躍してきたスティーヴ・カレルが、これまでのお人好しのイメージの役どころから一転、怪奇といも言える雰囲気で、2010年に72歳で獄中死した大富豪の故ジョン・エルテール・デュポンに扮した「フォックスキャッチャー」の内容は…、


冒頭のように大財閥の名門の家系に生まれたことから、持て余す富に恵まれたジョン・デュポンが、自分の理想の趣くまま、その財をアマチュア・スポーツの発展に投じ、特にレスリングのアメリカ代表チームの公式スポンサーとして、ペンシルベニア州ニュートンスクエアの邸宅を、選手らのための練習施設に改造したまでは、まぁ、よかったかと思うのですが、自分のもとでトレーニングに励む選手らを、独自に命名した自分のチーム “ フォックスキャッチャー ” のアスリートとして、自ら指導を始めてしまい…といった展開から、動機は現在も明らかになっていないのですが、同施設に滞在し、自らの練習と同時に後輩の指導につとめていたロサンゼルス・オリンピック(1984年)のレスリングのゴールド・メダリストで、友人だったデイヴ・シュルツ選手を、1996年1月26日に突然、射殺してしまいます…!!

image: http://2.bp.blogspot.com/-AAOA9C7L0XU/UkZ7uOiIsNI/AAAAAAAB0xc/JkCvxSjNJLA/s640/Foxcatcher-Steve_Carell-Channing_Tatum-001.jpg

予告編から察する筋書きでは、ハルクだけに無敵?!のデイヴ=マーク・ラファロ(↓)の弟として、その優秀な兄の影響下を抜け出せないことから、自分本来の力を発揮できないらしいチャニング・テイタム(「マジック・マイク」2012年)扮するマーク・シュルツ(↑↓)の鬱屈した魂を、偉大なコーチである自分が解放してやろう…とでもいった妄想を抱いたらしいスティーヴ・カレルのジョン・デュポンが凶行におよんでしまったかのように観受けられるのですが、果たして、ベネット・ミラー監督は実際のところ、この理解しがたい現実の殺人を、映画でどのように描いたのか…?!

image: http://3.bp.blogspot.com/-TM9PXL53fRA/UkZ7wWHV6sI/AAAAAAAB0xk/_SCifyLC10A/s640/Foxcatcher-Channing_Tatum-Mark_Ruffalo-003.jpg

予告編初公開と同時に封印?!といった奇妙な対応を見せたソニー・ピクチャーズが、予定していた「フォックスキャッチャー」の今年末12月20日の北米での封切りを急遽延期して、ひとまず、来年2014年中に公開を先送りした公式の理由としては、ベネット・ミラー監督が念入りに映画を仕上げることができるように、時間の余裕を持ってもらうことにした…と発表されていますが、しかし、年末の一般公開に先がけて、来々月11月7日に開幕のAFIフェストで、初お披露目のプレミア上映を予定していた段取りからしても、映画はほぼ完成に近づいていたのでは…?!
とまぁ、ソニピが「フォックスキャッチャー」の公開を突然、延期した背景に何があったのか…?!はさておき、公式発表通りに、ベネット・ミラー監督が前2作以上の完成度で、この異様な緊張感をはらんだ実録サイコ・スリラー映画を思う存分に仕上げ、無事に一般公開にまで漕ぎつけられることを期待しておきましょう…!!

Read more at http://cia-film.blogspot.com/2013/09/foxcatcher.html#4cXgybctUdZwQDXw.99

http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXNASFG190GO_Q4A520C1000000&uah=DF270920114361


セレブの心の闇に分け入る ミラーとクローネンバーグ カンヌ映画祭リポート2014(7)

2014/5/21 6:30
日本経済新聞 電子版

 「その人、有名?」なんて口にするのはかつてはミーハーと相場が決まっていた。ところが近ごろは社会的地位のある大人までが「その人、有名だよ」と堂々と口にする。セレブリティ(有名人)を追いかけ、セレブリティであるかどうかを判断基準とし、セレブリティになりたがる。情報化社会の病は深刻だ。

■「フォックスキャッチャー」 元五輪メダリスト射殺事件を映画化

ベネット・ミラー監督「フォックスキャッチャー」

ベネット・ミラー監督「フォックスキャッチャー」

 そんなセレブが抱える心の闇に分け入り、セレブを追いかける社会の病理に迫る映画が、19日のコンペに相次いで登場した。

 まず米国のベネット・ミラー監督「フォックスキャッチャー」。化学メーカー、デュポンの創業者一族の御曹司であるジョン・E・デュポンが、自身のレスリングチームを指導する元五輪金メダリストのデイブ・シュルツを射殺した事件の映画化だ。実際に起きた事件で、デュポンは統合失調症だった。

 デイブ(マーク・ラファロ)と弟のマーク・シュルツ(チャニング・テイタム)は1984年のロサンゼルス五輪のレスリング競技で共に金メダルを獲得した。ところが米国でのレスリングは伝統競技ではあるが人気競技ではない。次のソウル五輪を目指すマークが講演しても聴衆はまばらだ。練習環境にも恵まれないし、生活は苦しい。

 そんなとき、マークは億万長者のジョン・E・デュポン(スティーブ・カレル)が設立したレスリングチームに勧誘される。かつてはキツネ狩りに使われた広大な敷地に充実した施設がある。報酬もすごい。まじめなマークはすぐに飛びつく。

 マークはデイブにコーチとして来るように誘うが、デイブは断る。妻子と共に暮らす町から動きたくないのだ。巨額の報酬を示したデュポンにはデイブの市民感覚が理解できない。競技会を観戦したデュポンは、デイブが宿泊するホテルの小さな部屋を訪ねるが、はしゃぎまわる子どもたちの相手をしながら「こんにちは」とあいさつするデイブ夫妻の反応に青筋を立てる。「こいつはおれを何だと思っているのか」と言わんばかりだ。

■浮世離れした妄想の世界に生きるセレブリティ

 この御曹司、愛国者の家系に強烈な自負をもち、市民の日常感覚を一切もち合わせない。「失礼じゃないか」と兄たちを責めるマークは、すでにデュポンに心理的に支配されている。デュポンは恐怖とコカインで、マークをがんじがらめにしていく。

 マークに的確なアドバイスができるのはデイブしかいない。デュポンは高圧的な態度でメダル獲得を命じるばかりで、現実には何もできない。それでいて自分を優れた指導者だと礼賛させ、記録映画まで作らせる。デイブはついに指導にあたることになるが、肝心のマークに精彩がない……。

 浮世離れした妄想の世界に生きるセレブリティ。その心の闇は深く、追従する者たちの心も腐らせる。唯一、正気を保っているデイブは、このセレブの目には自身の存在を脅かす異物と映ったろう。猟奇的な事件ではあるが、その人間関係のありようは案外、我々の身近にもありそうだ。凡庸な追従者たちがセレブの狂気を増幅させるのだ。

 「カポーティ」「マネーボール」のミラー監督は、これまで異端のヒーローの活躍を通して現代の米国像をあぶり出してきた。今回はデュポンというアンチヒーローに支配された哀れなマークを描くというダークな物語だが、その心の闇も米国の歴史に深く根ざす。この監督の米国社会を射抜くまなざしは鋭い。

■「マップス・トゥ・ザ・スターズ」 ハリウッド有名人の虚栄心に満ちた生活

デヴィッド・クローネンバーグ監督「マップス・トゥ・ザ・スターズ」

デヴィッド・クローネンバーグ監督「マップス・トゥ・ザ・スターズ」

 もう一作はカナダのデヴィッド・クローネンバーグ監督「マップス・トゥ・ザ・スターズ」。これは文字通りハリウッドのセレブリティたちの虚栄心に満ちた生活を赤裸々に描き出す。痛烈な風刺劇であると同時に奇妙な幽霊物語でもある。

 テレビで人気のセラピスト、スタフォード・ワイス(ジョン・キューザック)はセレブの顧客を多数抱え、建築家が設計したおしゃれな豪邸に住んでいる。妻のクリスティナは、薬物中毒だった13歳の息子ベンジーを売り出そうと画策する。

 ベンジーの姉アガサ(ミア・ワシコウスカ)は放火癖のために入っていた施設を出て、有名女優ハバナ(ジュリアン・ムーア)のアシスタントになる。ハバナはいつも何者かにおびえている。アガサと仲良くなった運転手のジェロームもハリウッドでの野心があり、そんなハバナに近づく。

 「ザ・フライ」「裸のランチ」など奇想の監督として知られるクローネンバーグ。彼が踏み入るのはいつも人間の心の闇だ。カリフォルニアの青い空の下、流行の服に身を包み、洗練された家に住む人々の、金と名誉へのあくなき欲望。嫉妬心と罪悪感。そんな感情を暴き出す。

 クローネンバーグは記者会見で「これはハリウッドへの攻撃ではない。そういう視点から離れなければいけない。これはウォールストリートでもワシントンでも起こり得る、成功し金を稼ぐために闘う人々の物語だ」と語った。

(カンヌ=編集委員 古賀重樹)

http://www.webdice.jp/dice/detail/4569/


金メダリスト射殺事件、大富豪とレスラー兄弟の歪んだ主従関係『フォックスキャッチャー』
アカデミー賞5部門ノミネート、『カポーティ』ベネット・ミラー新作

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金メダリスト射殺事件、大富豪とレスラー兄弟の歪んだ主従関係『フォックスキャッチャー』
Photo by Scott Garfield (C)MMXIV FAIR HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED

『カポーティ』『マネーボール』ベネット・ミラー監督の新作『フォックスキャッチャー』が2015年2月14日(土)に公開される。本作は、全米を驚かせた1996年のデュポン財閥御曹司による金メダリスト射殺事件を基にし、孤独、富と名声、心の暗部でつながれた大富豪と金メダリストの心理を鮮烈に描く。

大富豪ジョン・デュポンをスティーヴ・カレル、金メダリスト兄弟の弟をチャニング・テイタム、兄をマーク・ラファロが演じる。彼らの演技は世界中で賞賛を浴び、第87回アカデミー賞、監督、主演男優、助演男優を含む全5部門でノミネートされている。

webDICEでは、数年間にわたるリサーチに取り組み、実話の真実に迫ったベネット・ミラー監督のインタビューを掲載する。


ベネット・ミラー監督インタビュー
「この映画では、アメリカの男たちがコミュニケーション下手で、抑圧されている状況がよく出てくる」
『フォックスキャッチャー』ベネット・ミラー監督
キャストとベネット・ミラー監督

──今作を撮るにあたって、デュポン一家と連絡を取り合ったのでしょうか?

撮影が始まる前に、家族の何人かと連絡を取り合ったよ。だが、それ以後は、まったく連絡を取り合っていない。

──サウンドエフェクトについて語っていただけますか?沈黙が非常に効果的に使われていたと思うのですが。

この映画も、僕が作ったほかの映画も、物語を語るというよりも、物語を観察するというアプローチを取っている。ストーリーの奥で何が起こっているのかを観客に感じてもらえるような作り方をしているつもりだ。この映画では、アメリカの男たちがコミュニケーション下手で、抑圧されている状況がよく出てくる。つまり、奥深いところで、いろいろなことが起こっている。どのシーンでも、目に見える部分は、ごく一部にすぎないんだ。サウンドは、観客の感覚に働きかける手段のひとつ。時には、それを控えることで、観客を引き込むこともできる。そこに気づいてくれて、ありがとう。映画を作る上に必要とされる数多くの芸術フォームの中で、そこは、最も見逃されやすい部分だけに、感謝するよ。
『フォックスキャッチャー』
レスリングのオリンピック金メダリストでありながら経済的に苦しい生活を送るマーク(チャニング・テイタム)

『フォックスキャッチャー』
デュポン財閥御曹司ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)からソウル・オリンピック金メダル獲得を目指したレスリングチーム"フォックスキャッチャー"の結成に誘われる

──あなたは「カポーティ」でもフィリップ・シーモア・ホフマンが完全に役に溶け込んでしまう状態を作り上げました。今回は、スティーブ・カレルがそれをやってみせています。

僕はこの質問を避けているんだよ。泣いてしまうから。ここにいる俳優たちはみんな、そしてもちろんフィルも、心から僕を信頼してくれた。そのことに、僕は一生感謝し続けるだろう。スティーブは、これまで、こういう役をやったことがなかった。この役は、彼にとって大きなチャレンジとなる。だが、僕らが会って、キャラクターについて話し合いをした時、このキャラクターについてのビジョンを彼が語るのを聞いて、彼ならできると思ったんだ。彼は100%をこの役に注いでくれるだろうと。辛い体験になるかもしれないが、やりとげてくれると。これらの役を、ここにいる人たち以外の役者がやることは、想像できないよ。
『フォックスキャッチャー』
大富豪ジョン・デュポンは、『リトル・ミス・サンシャイン』『40歳の童貞男』の人気喜劇俳優スティーヴ・カレルがコミカルなイメージを一新し挑み、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている

今回は、キャストが関係者に会って、まるでジャーナリストが取材をするように情報を集め、それを映画に持ち込んでくれたんだ。それは、まさに探索のプロセスだったよ。それが僕らをどこに連れて行ってくれるのか、わからなかった。映画の魂はわかっていたけれども、実際に何が生まれてくるのかは、わからなかったんだ。キャストのやってくれたリサーチ、そして、クルーが作り上げてくれた環境。そういうものすべてが、この映画を実現させてくれたわけだ。キャラクターに心底なりきって、そのキャラクターとして呼吸をした彼らは、撮影中、予定にないことをやりだすことも、しょっちゅうあった。完成作の50%は、彼らが突然に思いついことだったと言っても過言ではないよ。カメラが回る直前か、その朝に出てきたアイデアだ。彼らはあまりにも多くのリサーチをしたために、キャラクターの心情になりきっていて、そこから新しい何かが生まれてきたんだ。
『フォックスキャッチャー』
マーク・ラファロは庶民的な家庭人でもあるレスラーの兄デイヴに扮し包容力豊かな演技を披露、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている

──この映画は、アメリカの衰退についても語っているように感じます。

この事件について初めて聞いた時、僕は、こんなことがあるのかと驚愕を覚えたよ。人がこんなふるまいをするなんて、それまで聞いたことがなかったんだ。こういう一族や、彼らのもつ特有の文化についても、知らなかった。そこでは、極端で、信じられなくて、時に笑えるようなことが数多く起こる。そして最終的に、それはとんでもない悲劇につながっていく。僕自身はそういうことを身近に経験していないが、一方で、これはわかるとも思った。これらの細かいエピソードの中には、もっと大きなテーマがあるように感じられたからだ。僕が一番大事にしたのはこのキャラクターとストーリーだったけれども、奥に潜むものにも共感した。だけどそれについてのコメントはしたくないよ。これは、決して政治的な映画ではないから。この映画は、倫理や道徳については語らない。そうではなく、何が起こったのかを検証するものだ。それを、肌で感じようとするものだ。もちろん、衰退の雰囲気は存在する。この物語の中でも感じられるだろうし、もっと大きな構図を見た時にも、感じられるだろう。ジムの内部とか、そこにいる個人とか、この映画は、それを、最も小さい縮図で見せていると言える。

最初に、あの記事を読んだ時、感じたのは、彼らがこの男とどんなディールを結んだのか、だった。彼らはお互いに正直な状態で、その契約を結んだのだろうか?さっさとどちらかの味方をすることなく、僕らは、真実を見つけ出そうとした。そこにあるもの、そしてその奥にあるものを、見つけ出そうとしたんだ。
『フォックスキャッチャー』
デュポン(スティーヴ・カレル)は鳥類学者、慈善家、愛国者、銃器マニアといった多彩な顔を持っていた

※2014年カンヌ国際映画祭プレス公式記者会見より一部抜粋



ベネット・ミラー Bennett Miller

1966年生まれ。98年ドキュメンタリー作品「The Cruise」で長編映画監督デビューし、映画祭で高い評価を得る。実際の犯罪を描いた革新的な小説『冷血』を書きあげる作家トルーマン・カポーティの姿を描いた『カポーティ』(05)でアカデミー賞(R)、作品・監督・脚色賞など5部門にノミネート。主演のフィリップ・シーモア・ホフマンの見事な演技を引き出し、アカデミー賞主演男優賞をもたらす。ブラッド・ピット主演『マネーボール』(11)ではメジャーリーグ球団オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンを独自の視線で描き、全世界の賞賛を得て、その才能はハリウッドが最も注目することに。アカデミー賞では作品賞を含む6部門でノミネート、ゴールデン・グローブ賞では4部門、全米映画俳優組合賞は2部門にノミネート、ほか数々の映画賞を賑わした。
 

『フォックスキャッチャー』
2015年2月14日(土)全国公開

レスリングのオリンピック金メダリストでありながら経済的に苦しい生活を送るマーク。ある日、デュポン財閥御曹司ジョン・デュポンからソウル・オリンピック金メダル獲得を目指したレスリングチーム"フォックスキャッチャー"の結成に誘われる。名声、孤独、隠された欠乏感を埋め合うように惹き付け合うマークとデュポンだったが2人関係は徐々にその風向きを変えていく。さらにマークの兄、金メダリストのデイヴがチームに参加することで三者は誰もが予測しなかった結末へと駆り立てられていく。

監督:ベネット・ミラー
脚本:E・マックス・フライ、ダン・フッターマン
出演:スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ、シエナ・ミラー
2014年/アメリカ/135 分/カラー/英語/シネマスコープ/5.1ch
原題:FOXCATCHER/字幕:稲田嵯裕里 ※PG12
提供:KADOKAWA、ロングライド
配給:ロングライド
(C) MMXIV FAIR HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト

http://poreporekure.hatenablog.com/entry/2015/04/01/015951
「フォックスキャッチャー」(ネタバレ) 俺はデュポンを憎めなかった。

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ベネット・ミラ―が長編3作目にして傑作を生みだした。



主要登場人物は三人。彼らを結びつけるのは、レスリングという身体性を持つ競技。

親に見放され、ただひたすらに孤独を歩んだ世界屈指の金持ち。

才能豊かな兄貴を追いかけ続ける不遇の弟。

人から愛され、故に人から憎まれる天才の兄。



解説

「マネーボール」「カポーティ」のベネット・ミラー監督が、1996年にアメリカで起こったデュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンによるレスリング五輪金メダリスト射殺事件を映画化し、2014年・第67回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したサスペンスドラマ。ロサンゼルスオリンピックで金メダルを獲得したレスリング選手マーク・シュルツは、デュポン財閥の御曹司ジョンから、ソウルオリンピックでのメダル獲得を目指すレスリングチーム「フォックスキャッチャー」に誘われる。同じく金メダリストの兄デイブへのコンプレックスから抜けだすことを願っていたマークは、最高のトレーニング環境を用意してくれるという絶好のチャンスに飛びつくが、デュポンのエキセントリックな行動に振り回されるようになっていく。やがてデイブもチームに加入することになり、そこから3人の運命は思わぬ方向へと転がっていく。「40歳の童貞男」のスティーブ・カレルがコメディ演技を封印し、心に闇を抱える財閥御曹司役をシリアスに怪演。メダリスト兄弟の兄をマーク・ラファロ、弟をチャニング・テイタムが演じた。(引用:映画.com)



80点



冒頭、キツネ狩りの実写映像から、嫌な予感はしていた。誰が獲物(キツネ)で、誰がハウンド犬で、誰が命令役の人間なのか。「実話を基にした、レスリング金メダリスト射殺事件の映画化」と聞けば、それが描かれるのは容易に想像できる。



これほど主要人物全員が役に入り込んでいる映画も珍しい。マーク(チャニング・テイタム)はマッチョなのにどこか陰鬱としている。いつも下見がち。あぁ、うまい。小学生の前で講演するが、スター性が全くない。兄貴と名前を間違えられる。兄貴の話題が出たときの彼の表情で、兄貴という存在のしがらみから解かれていないことがわかる。デイブ(マーク・ラファロ)は雰囲気だけで人から好かれるのがわかる。人懐こい笑顔、愛らしいひげをいじる仕草、家族を心から思っている態度そのものまで、自然だ。二人とも、レスリングをしていて違和感がない。どれだけ練習をつめばこれだけ自然に見えるのか。それだけでただただ素晴らしい。デイヴには家族がいて、マークはどこか孤独を感じている。

マークのもとに、ジョン・デュポン(スティーブ・カレル)から電話がかってくる。ジョン・デュポンはアメリカ最大の財閥・デュポン家の御曹司。法外な資金を使い、レスリングチーム「フォックスハンチャー」を設立。アメリカのレスリングを世界一まで押し上げる野望を掲げる。悲劇の始まりだ。私はこの時まで、てっきりデュポンがマークを殺す展開になると思っていた。師弟の関係のもつれが起こす殺人事件だと。そんな生易しいものではなかった。



マークは兄貴の呪縛から解き放たれたい。彼の幻影を追いかけたくない。自分を誘い友人と認めてくれたデュポンを信奉することで、マークは孤独から抜け出そうと必死にもがく。二人きりでレスリングの練習をする場面がある。もちろん、体を突き合わせる。物静かな場所で二人がレスリングをする音だけが聞こえる。まるで物静かな部屋でセックスをする恋人のようだ。デュポンが用意した原稿を必至で覚え、パーティーで披露するマークの姿は、異様に悲しく映る。陰鬱なマッチョが、信じることのできる人間を見つけ、忠犬のようについていこうとしている。

「フォックスキャッチャー」チームの練習中、ジョンは突然、銃をぶっ放す。彼の奇行は、自分を認めない母親との関係性や、デイブを金で獲得できないもどかしさなど、色々な要素が混ざり合って起きている。この場面はとにかく怖い。いつその銃口を人に向けるのか、さっぱりわからない。とてつもない狂気がうかがえる。スティーブ・カレルの名演だ。何を思っているのか、観客にさっぱりわからせない。難しい演技だ。

マークとデュポンが仲違いしたころ、デイブが妻と子供を連れて、デュポンのもとへやってきた。あれほど金にはなびかないと言っていたくせに、法外な資金を提供された途端にこれだ。ヘリコプターから降りてくるデイブの顔が、とにかく憎たらしい。弟のことを思うなら、来るべきではない。すぐに去るべきだ。マークがデュポンによっておかしくなっていることに、こいつは気づいてるんだから。それでもお金が、家族が大事でここにやって来た。

とてつもなく笑えるシーンがある。デュポンの母親がレスリングの練習を見学しにきた時のこと。「こんな屈強な男たちに、おれはこんな指導をしてるんだぜ!!」と見せつけるため、レスリングの基本中の基本をみなに教え始めるデュポン。それも車いすに座っている母親が見えやすいように、生徒をどかして自分のことを見えやすいようにして。あきれ顔のデイヴと母親。結局母親はすぐに帰り、デュポンはまた拗ねるのであった。デュポンはとにかく親に愛されてこなかった。初めてできた友人は、親が金を渡して無理やり近づけた偽りの友人だ。デュポンはマークのことを友と呼ぶが、結局金で呼び寄せた偽の友人に過ぎない。あまりに寂しい人生である(実際のデュポンは友人がいた、という話もある。ここではあくまで映画中の話で)。

デイブは、自暴自棄になり、暴飲暴食をするマークを何とか立ち直らせ、アメリカ代表の座を勝ち取らせる。マークは何を信じていいのかわからず、兄貴の言うことを聞きはするが、彼の顔が優れることはこの後一度もなかった。結局、ソウル大会では負け、マークとデイブ、そしてデュポンの悲願「フォックスキャッチャー」プロジェクトは失敗に終わる。

マークはデュポンの地から去った。

デュポンは、母親からの愛されず、だからこそ誰かの愛情を渇望した。彼は子供のまま成長した。彼がマークとドラッグをやる場面。彼が笑顔でデイブを向かい入れる場面。自分の思い通りに事が運ぶ時、彼の人間的な一面を垣間見る。母親が亡くなり、馬を解き放つ彼の後姿には哀愁とも狂気とも取れるオーラが漂う。

デュポンは一度、デイブ一家を休日に訪ねている。突然現れたデュポンにデイブは「今日は休日だよ!?」と言う。「いやいや、今日は家族サービスだ!」と。デュポンは別に、練習をしろ、とは言ってない。ましてや、仲間に入れてほしいとも。デイブは全て決めつけで、「俺と家族の時間の邪魔をするな」と、善人ぶって言う。いや、ぶってはいないが、善人だからこそ厄介だ。その場を立ち去るデュポン。これが最後の悲劇の引き金になったといっても過言ではない。

自分の成功体験が描かれたドキュメンタリーを凝視するデュポン。マークと仲が良かったころの映像が映し出されている。「車を用意してくれ」と護衛に伝える。彼の向かった先は、デイブの家。突然デイブを撃ち殺したデュポンの心情はどのようなものだったのか。実際にも明確な理由はわかっていないらしい。色々な要因があるが、少なくともこの映画中では、私はデュポンを憎めなかった。何の罪もない人を殺しているにも関わらず。家族から愛され、マークからも愛され、周囲の人間からも愛されたデイブをデュポンがどう見ていたのかは、想像に難くない。

総合格闘技の世界に足を踏み入れたマークの決断を、私はただただ寂しい結末だと思った。

文句なしに面白かった。静かで不気味で、それでいてスタイリッシュでユーモアもあって。

主要人物三人の演技合戦に注目。

http://youpouch.com/2015/02/16/251796/


動機は? 大富豪が金メダリストを襲った衝撃的な実話『フォックスキャッチャー』【最新シネマ批評】

斎藤香
2015年2月16日
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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのはアカデミー賞の監督賞(ベネット・ミラー)、主演男優賞(スティーヴ・カレル)、助演男優賞(マーク・ラファロ)ほか5部門候補になっている話題作『フォックスキャッチャー』(2015年2月14日公開)。

“フォックスキャッチャー”とは、大富豪が率いるレスリングチームの名称。映画『フォックスキャッチャー』は、このチームの大富豪とレスリングの金メダリスト兄弟の関係を描いた実話の映画化です。
【物語】

ロサンゼルス五輪の金メダリストのマーク・シュルツ(チャニング・テイタム)でしたが、生活は楽ではありませんでした。同じく金メダリストの兄のデイヴ・シュルツ(マーク・ラファロ)は、妻と子供と充実した生活を送っており、マークは孤独……。そんな中、マークに大企業の御曹司ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から声がかかったのです。

ジョンは広大な私有地にレスリングのトレーニング施設を建設し、フォックスキャッチャーというレスリングチームを率いて、世界一を目指していました。マークはジョンのチームと破格の金額で契約しますが、ジョンの奇行に振り回され、やがて兄のデイヴも巻き込まれて……。
【イタ過ぎて怖い大富豪】

実話の映画化なので、この事件の結末は調べれば簡単にわかります。その事件に至るまでのプロセス、当事者の気持ちに寄り添って描かれたのが映画『フォックスキャッチャー』なのです。

金ですべてを得てきたジョン、人の気持ちも金でどうにでもなると思ったのでしょう。ただ金の力でマークは手に入れたけれど、デイヴだけはコントロールできず、それが悲劇の引き金になったのです。事件後、ジョンは統合失調症だったと言われていましたが、周囲は皆、彼の金に集まってきた人間だから、彼の事を親身になって考える人間がいなかった。それが不幸。だってジョン・デュポンの言動を見ていればわかります「この人ちょっとおかしい」と。

レスリング選手でもコーチでもないシロウトなのに、選手を指導したり、自分の栄光を綴った記録映画を撮らせたり、イタイ空気が練習場に蔓延しているのですから。彼が登場すると「何言いだすだろう、何をするだろう……」と緊張と恐怖が交互に来るのです。
【純朴なアスリートの孤独】

レスリング兄弟のデイヴとマークは陽と陰です。健全で温厚なデイヴは家族思いで身の丈に合った暮らしを満喫しています。一方マークは独身で生活も苦しく表情も暗い。デイヴは器用、マークは不器用なアスリートなのですね。

五輪に出るほどの実力のある選手は、人生をその競技に捧げてきたから、その世界しか知らない人もいるでしょう。おそらくマークはそのタイプ。レスリング以外の世界を知らない純粋なアスリートゆえに、ジョンが持ちかけたおいしい話に飛びつき、彼の無茶な要求も飲まざるをえなかった。そして、ジョンの特異な世界に巻き込まれてしまったのです。実話ベースとはいえ、エピソードがどこまで本当なのかわかりませんが、こういうことはあるかもしれないと思えます。
【心地よくない真実】

ベネット・ミラー監督は、この事件に惹かれた理由についてこう語っています。

「デュポンとシュルツ兄弟の知られていない部分を知りたかった。これは心地よくない真実を伴う物語であり、自分が話を聞いたすべての人が、複数の側面を押し殺しているように思えたんだ」

加害者であるジョン・デュポンの動機、そこに至るまでのデイヴとマークの心情。動機は言葉で明らかにされてはいませんが、この映画はその動機を探るための映画でもあります。幼い頃から親の愛を求めても叶わず、すべての解決法は金だと思い込んで成長したら、心は育たず、愛し愛されることもできなくなるのだなあと。人生の歩みを間違えてしまい、そのことに気づかないまま、妄想の中に生きた男の姿を見る映画でもあるのです。

正直デートムービーにはなりませんけど、人間の歪みを静かに描いて恐怖と哀しみを感じさせる映画『フォックスキャッチャー』。一度見たら忘れられない映画です。

執筆=斎藤香(c)Pouch
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『フォックスキャッチャー』
2015年2月14日より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー

監督:ベネット・ミラー 出演:スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ、シエナ・ミラー、ヴァネッサ・レッドグレーヴほか
(C)MMXIV FAIR HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

http://notesleftbehind.hatenadiary.com/entry/2015/02/16/234300


20150216
第73回「『フォックスキャッチャー』を観た」
映画

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Foxcatcher/アメリカ/135分

監督:ベネット・ミラー
脚本:E・マックス・フライ、ダン・ファターマン
撮影:グリーグ・フレイザー
編集:スチュアート・レヴィ、コナー・オニール、ジェイ・キャシディ
音楽:ロブ・シモンセン
出演:スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ、シエナ・ミラー、ヴァネッサ・レッドグレーヴ ほか

1984年のロサンジェルス・オリンピックで金メダルを獲得したレスリング選手、マーク・シュルツ(チャニング・テイタム)。しかし、マイナー競技ゆえに生活は相も変わらず苦しいまま。同じ金メダリストでマークが頼りにする兄のデイヴ(マーク・ラファロ)も、妻子ができて以前のように付きっきりというわけにはいかない。いまや、次のソウル・オリンピックを目指すどころか、競技を続けるのもままならなかった。そんな時、アメリカを代表する大財閥デュポン家の御曹司ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から、彼が結成したレスリング・チーム“フォックスキャッチャー”への参加をオファーされる。この願ってもない申し出を快諾するマーク。最先端トレーニング施設を有するデュポンの大邸宅に移り住み、ようやくトレーニングに集中できる理想的な環境を手に入れたかに思われたマークだったが…。(allcinemaより)

 チネチッタにて鑑賞。

※ネタバレあります!

 今月鑑賞を予定していた映画では『アメリカン・スナイパー』に次いで楽しみにしていた本作ですが、期待を全く裏切らない傑作でした。

 監督はベネット・ミラーで、長編劇映画としては『カポーティ』『マネーボール』に続く3作目で、今回も実話を基にした物語です。『カポーティ』をDVDで観た時に面白かったので(映画を観た後で『冷血』も読みました)、『マネーボール』は映画館で鑑賞、これもとても面白かったです。2作とも、作りとしては特に派手な展開があるわけではない。それに実話ベースだから驚くようなオチもない。そして演出もかなりミニマムというか、沈黙や間で物語を紡いでいくタイプの監督です。どちらかというとアメリカよりはヨーロッパ映画っぽいかもしれません。
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 そして本作『フォックスキャッチャー』もまた基本的な方向性は変わっていないと思います。観ながら、「これ、寝る人は寝るだろうな」と思ってました。僕はずっと画面に釘付けになってましたけど。

 「フォックスキャッチャー」というのはこの映画の主要登場人物であるジョン・デュポンが所有していた農場のことで、彼が結成したレスリングチームの名前でもあります。さらに、イギリスやアメリカではキツネ狩り(fox hunting)というスポーツが過去にあって、これはキツネを追いかけて殺すものだそうです。映画の冒頭、モノクロの記録映像でしっぽのでかい犬みたいな生き物が野原を駆け抜けていくカットがありますが、これは多分そのキツネ狩りの獲物だと思います。

 このお話は、3人のむさいオッサンで成り立っています。ジョン・デュポン、マーク・シュルツ、そしてマークの兄デイヴ・シュルツ。このうち、ジョンとマークにはいくつかの共通点が見られます。

 まずジョンとマークはともに2歳の時に両親が離婚しています。そして2人とも、自分にとって偉大であり、だからこそ時には疎ましく思える存在があります。ジョンの場合は母親であり、マークにとっては兄のデイヴです。デイヴは兄といっても少しマークと歳が離れており、父親のようにマークを見守ってきたので、ほとんど父親の代理といえるかもしれません。

 映画の冒頭、ジョンの邸宅に呼ばれたマークは明らかに緊張して居心地が悪そうですが、次第にジョンに心を許していきます。そこには、自分と同じようなフラストレーションを抱え込んだ者同士というシンパシーがあったのかもしれません。マークはジョンにすすめられてコカインを吸ったり、夜のスパーリングをオファーされたりして、次第に依存していくようになります。

 誰もが思うことでしょうが、このスパーリング場面というのがどう見てもゲイ・セックスという風に撮られています。冒頭のマークとデイヴの兄弟稽古からして近親相姦的な空気が漂っているし、ジョンとマークの場合は、犯されてる風にも見えるカットがあったりします。かといってマークが凄く嫌そうかというと、満更でもなさそうなのですが。

 マーク率いるフォックスキャッチャーはとあるレスリング大会(詳細は忘れちゃった)でメダルを獲得し、ジョンは大喜び。そこで、自らのチームの選手達にタックルを仕掛けたりしてキャッキャウフフとはしゃぎます。僕はもうこのシーンで既に背筋が寒かったです。どう見ても彼の目つきや所作は異常です。

 ジョンはある日、マークに「昔ひとりだけ親友がいた」と言います。でもその親友は彼の母親が金で雇っていたものでした。幼少期にこんな体験をしているせいなのか、ジョンは基本的に「金で買えないものはない」という価値観を持っています。
(2/18 追記)ジョンは、「本当は友だちというものは金で買えるようなものではないはずだ」ということはわかっていると思います。だから、マークにこの話をする時の彼の表情は複雑で、どこか悲しげでもあります。

 最初は拒んでいたものの、結局フォックスキャッチャーに加わることにしたデイヴは、久々に会ったマークの異変に気づきます。兄に口答えをし、何かに苛ついている弟を案じるデイヴ。マークはレスリングでもぱっとせず、ジョンも苛つき始めます。

 そして、ある試合で敗北を喫したマークは、ホテルのランプを殴り壊したり、頭突きで鏡をブチ割ったり、やけ食いをしたりします。この頭突きのシーン、脚本にはなくてチャニング・テイタムのアドリブだったそうです。頭パッカーて割れたらどうするんでしょうか。しかもこの後デイヴが入ってきてマークにビンタを喰らわせるのですが、なんとここでチャニング・テイタムの鼓膜は破れてしまったそう。「そんなとこ殴ったら鼓膜破れるで」と思ってたら、マジで破れてたんですね。怖すぎ。

 この後マークは食い過ぎて増えた体重を戻すために、デイヴの指示で胃の中のものを吐きまくり、サイクルマシンでめちゃくちゃ運動をした結果90分で5.5kgの減量を成功させたます。これぐらいの根性があれば世のダイエットできずにいる女性も皆スレンダーになれるでしょう。

 そして大事な試合に勝利するマーク。でもそこにジョンの姿はありません。彼は家に帰ってしまっています。それは彼の母親が死んだからなのですが、実際には彼女は息子がフォックスキャッチャーを結成する前に亡くなっています。どうしてこのような脚色を施したのかというと、ジョンが彼女に認められたがっていることが明確にわかるシーンのためでしょう。

 ジョンは、自身はど素人レスラーのくせにレスリング大会を主催して、あからさまな八百長で優勝。その手柄を母親に報告。そしてフォックスキャッチャーの練習ではチームの選手に技をかけたりかけさせたりして、その姿を母親に見せます。まるで「ママ、見ててね。僕こんなに凄いんだよ」とアピールする幼児のようです。でもレスリングを嫌っている母親は、すぐにその場を去ってしまいます。いい歳をした大人の、強迫観念にも近い承認欲求がそこにあります。

 母の死の直後、ジョンは彼女が愛した馬たちを野に放ちます。ここはかなり幻想的に撮影されていて、現実なのか妄想なのかが曖昧です。まわりくどい解釈ですが、馬たちを解放することで、ジョンは母親の呪縛を解こうとしたのかもしれません。母に愛され管理されていた馬たちは自由の身になります。母はこの世からいなくなり、もう馬を自らの手中に収めることはできません。馬の解放は、母親へのささやかな復讐だったのではないでしょうか。

 このシーンで、アルヴォ・ペルトのFur Alina(ガス・ヴァン・サントの『ジェリー』などでも使用されていた)が流れるのですが、何故か僕はここで泣いてしまいました。どう考えたってまともとは思えないジョンに、共感のようなものを感じてしまったからかもしれません。僕の母親はあんな風ではないし、普通の家族で育ったと思うけど、それでも、彼の気持ちはどこかでわかる気がしてしまうのです。馬を解放したジョンの表情の、なんと寂しく孤独なことか。彼は宿命的に救われない男なのです。

 大事な試合でのマークの勝利をもたらしたのはジョンではなく、デイヴでした。ジョンは自分が他人に対して何の影響力も持っていないという事実を恐れ、自身のドキュメンタリーの製作に着手します。ドキュメンタリーの中では、ジョンは皆にあがめられる愛国者であり、最強のレスリング集団フォックスキャッチャーを統率するリーダーです。実質的にはデイヴがフォックスキャッチャーの支柱なのですが。ちなみに劇中でデイヴのインタビュー映像を撮っているのは、実際にフォックスキャッチャーのドキュメンタリーを監督していた人だそうです。

 そんな中、マークはフォックスキャッチャーから抜けることになります。彼は薄々、ジョンと自分が共依存のような関係に陥っていることに気づいていたのかもしれません。先に、ジョンとマークに共通点があると書きましたが、決定的な違いは、マークはあたたかく厳しい兄であり父親代わりでもあるデイヴという存在を得ていたのに対し、ジョンには冷たい母親しかいなかったということです。この点で、彼らの運命は決定的に分かたれてしまった。

 ジョンは自分の思うがままになるはずだった男の裏切りに絶望し、その歪んだ怒りは兄のデイヴに向けられます。金では得られないものをこの男は持っている。そして自分はそれをこの先一生得ることはできない。最早彼にできることはただひとつです。

 それにしても主要3人を演じる俳優たちの演技力。圧巻です。外見を近づけるだけでなく、まさに彼らは役を生きています。企画初期段階ではヒース・レジャーやライアン・ゴズリング、ビル・ナイ等がキャストに想定されていたようですが、できあがった作品を見てしまうともうスティーヴ・カレルとチャニング・テイタムとマーク・ラファロ以外ありえないというか。

 ミラー監督はスティーヴ・カレルがコメディー俳優であることから、ジョン・デュポンを演じるのには向いていないと当初思っていたそうですが、昼食を共にして考えを変えたようです。「コメディアンというものは、皆ダークな人たちなんだと思う」と監督は語っています。これは日本の優れた芸人なんかでも同じかもしれませんね。

 ジョン・デュポンはアメリカそのものだという見方もあります。銃を愛し、金を愛し、マッチョイズムを愛するが、結局は誰にも愛されない。しかし自分は世界の庇護者を気取り、孤立していく。ジョン・デュポンの事件から、ミラー監督はいろいろな角度から光を当てた多層的な物語を作り出すことに成功していると思います。実際のジョン・デュポンはもっと派手に狂ってたそうですけど、映画では徐々に徐々に静かに狂っていくことにした演出も功を奏しています。これはただの統合失調症患者の錯乱を描いた作品ではないということですね。

 さて、多分これまでで最長の記事になってしまいました。いつも以上に文章のまとまりが悪く、読みにくいです。とにかく、この映画が2015年のベスト5に入ることはほぼ間違いなさそうです。

http://stk1985.hatenadiary.jp/entry/2015/04/05/164245


2015-04-05
誰かに認められる≒支配される人生/『フォックス・キャッチャー』

くhttp://img.cinematoday.jp/res/T0/01/43/v1418369670/T0014356p.jpg

『カポーティ』のベネット・ミラー監督作品という点に惹かれ鑑賞。

この監督は『マネーボール』も監督しており、この『フォックス・キャッチャー』も事実に基づいています。



正直、あらすじも何も全く知らない状態で観たとしたら、大満足しただろう映画。

おそらく本国では有名な話のため、そもそも国民が知っている前提なのでしょうが、

私は知らなかったので、予告編でわざわざ教えてくれなくてもいいのに。。。と思いました。

じゃあどうやって宣伝するんだと言われると「アカデミー賞5部門ノミネート作品」という1点のみに。。。

仕事ができない。困りますね。マーケティングって難しいです。。



これから観る方は予告編はおろかポスターさえも観るべきではないと思います。

以下のあらすじはネタバレを含んでいないので、掲載します。



あらすじ

大学のレスリングコーチを務めていたオリンピックメダリストのマーク(チャニング・テイタム)は、

給料が払えないと告げられて学校を解雇される。失意に暮れる中、

デュポン財閥の御曹司である大富豪ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から、

ソウルオリンピックに向けたレスリングチーム結成プロジェクトに勧誘される。

同じくメダリストである兄デイヴ(マーク・ラファロ)と共にソウルオリンピックを目指して張り切るが、

次第にデュポンの秘めた狂気を目にするようになる。(シネマトゥデイ)



演技派の実力半端ない度&休日の昼間に見るべきじゃない度 10/10

カップルで行くのはNGな作品ですね。

女性目線でも男性目線でもで(なんでこの人この映画一緒に観たいと思ったんだろう)となります。

「固い絆で結ばれているの!」という方はその固さをぜひ試してください。



見どころは、2点

・この映画が事実が基になっている点

→なぜ事件が起きたのか?を掘り下げていくのが楽しい

・ジョン・デュポンを演じるスティーブ・カレルの怪演

→不気味、の一言。『40歳の童貞男』を演じていた人には見えない



http://i.ytimg.com/vi/RSNaNr8v7qg/maxresdefault.jpg

ジョン・デュポンを演じるスティーブ・カレルの演技が半端なく不気味。。

劇中の会話が圧倒的に少ないので、表情や空気で伝えるシーンが多いが、これが怖い。怖くて不気味な負の空気がスクリーン越しに館内を包み込みます。そのくらいの凄さです。



以下ネタバレ。

「どんな映画なの?」と聞かれたら、

「アメリカ3大財閥の御曹司がオリンピック金メダリストを殺害しちゃう話。

犯人のジョン・デュポンは友達もいなくて、母親の支配から逃れられなかった子供みたいな人なんだ。

人との距離の測り方すらわからなくて、ちょっと可哀想な気持ちになるよ。

劇中の台詞はすくなくてスティーブ・カレルの怪演が際立つ作品さ。とにかくすごいから見たほうがいい」てなところでしょうか。



この映画は大人に成長できないお坊っちゃま君(=ジョン・デュポン)が、

自分の言うこと聞かないヤツにイラツイて殺人を犯す話ですが、

・殺した相手が元オリンピック金メダリストという点と、

・お坊ちゃんの度合いが世界レベルという点が、この話を興味深いものにしています。

※デュポン財閥はメロン財閥、ロックフェラー財閥と並び三大財閥と呼ばれるレベルだそうです。



この事件の原因は3つあると思いました。



ひとつ目はジョン・デュポンが圧倒的に世間知らずの金持ち坊ちゃんだという点です。世の中には様々なタイプのお坊ちゃんがいますが、勝手に大きく以下2つに分けました。

・知性を持ち、振る舞いを熟知し、立場をわきまえたよく教育されたお坊ちゃん

・甘やかされ、周りが何でもお膳立てしてくれる世間知らずなお坊ちゃん



ジョン・デュポンは間違いなく後者にあたります。

後者の場合、自分がすごいのではなく、ご先祖様と周りの人がすごいだけですが、勘違いしがちです。勘違い発言や行動が増えて、痛い人になります。



ふたつ目の原因はジョン・デュポンが後者に該当していながらも、先祖と周りの人がすごいという事実に気がついていたこと。

これは圧倒的に悲しいことですが、気がついている点で素晴らしく、自分と向き合い、自分の力で克服することもできます。



ジョン・デュポンがとった行動は、フォックスキャッチャーという名のレスリングチームを作り、

兄弟金メダリスト(ひとりはコーチになっていて、ひとりは現役選手)を招聘し、ソウル五輪で自分がセコンドに入るというものでした。以下兄弟写真。

http://openers.jp/wp-content/uploads/2015/02/893282/top.jpg

自分で何かをしようとしているのはわかりますが、たくさんあるお金を使って優秀な人を連れてきただけ。

本人にはレスリングの知識もそんなになく、どちらかと言えば口を出して邪魔をしてしまいます。

http://img-cdn.jg.jugem.jp/5e6/1864267/20150219_1024022.jpg

選手からすれば「お金だけ出してくれればいいのに」といったところでしょうか。。。



あるとき、このジョン・デュポンがマーク・シュルツに

「僕には友人がいない。いたと思っていたら母親がお金を渡しているのを見た。雇われた友人だったんだ」

と打ち明けるシーンがあります。めちゃめちゃ悲しい気持ちになります。



友人がいないということは、人との適切な距離が測れないということなのだと思います。

劇中でそれを表現する2つのシーンがありました。

・夜中にマーク・シュルツのところへ行き「一緒にトレーニングしよう!」とやってくるシーン。

・日曜日の家族サービス中のデイブ・シュルツのところへやってくるシーン。



マーク・シュルツは対応しますが、デイブ・シュルツは「日曜日なんだ。ごめん」と断ります。

ジョン・デュポンは距離の取り方=入ってはいけない領域がわからないから、デイブ・シュルツに否定されたと思ったことでしょう。

これが殺害の伏線になっています。



みっつ目は母親の存在。

残念なことにジョン・デュポンは母親の目を気にして=支配されて生きています。

いい歳したおっさんが完全に子供のまま、というのがよくわかります。

支配されているのがわかる3シーンがでてきます。

・「レスリングチームを作ったんだ」と言えば「レスリングは下品」と否定され、

・母親がレスリングの練習を見に来たら突然デイブ・シュルツに代わり指導をし出す。周りの選手はポカーン

・自分が後援するレスリング大会へ出て「優勝したんだ」と母親に報告して、受け流されるシーン



母親の支配から逃れるためにレスリングチームを始めたのに結局は母親に認められたいと思っている。

そりゃ大人になるまで支配されたんだからレスリングチーム作ったからと逃れられるわけないわな。。。



ジョン・デュポンはソウル五輪までのドキュメンタリーTVでのデイブ・シュルツの言動を見て犯行に及びます。

デイブ・シュルツはインタビュアーに「ジョン・デュポンの良い所を話して」と言われ、「環境を整えてくれて~」と精一杯に話をするが、ジョン・デュポンはバカにされたと受け取ってしまう。



ジョン・デュポンから学ぶべきは、「いい歳して誰かに認められるための人生を送るのはやめろ」ということ。

支配されるなら、最期まで支配され続けるべき。



4月4日アートフォーラムで鑑賞。

http://www.japan-wrestling.jp/2015/02/13/64909/

【特集】「お金がたくさんあっても幸せではなかったということでしょう」…太田章さん、映画「フォックスキャッチャー」を語る
– 2015/02/13

アカデミー賞候補に挙げられているレスリングの金メダリスト射殺事件の実録映画「フォックスキャッチャー」の日本公開が近づいてきた(2月14日、下記劇場で公開)。主役の大財閥の御曹司ジョン・デュポンと、オリンピック金メダリストのデーブ&マーク・シュルツ兄弟を日本でだれよりもよく知る人物、オリンピック4度連続代表(1980~92年)の太田章さん(早大教)が、試写会を見たうえで映画について語ってくれた。

 太田さんは、デーブ・シュルツとは20歳のころから親交があり、事件の5年前には、実際にレスリングクラブ「フォックスキャッチャー」を訪れたこともあるという。“フォックスキャッチャー通”でもある太田さんに映画評、その他を聞いた。

《2月14日、公開劇場一覧》 / 《映画サイト》

《アメリカ在住の映画評論家・町山智浩さんが、映画「フォックスキャッチャー」を解説しています=You tube》
《ストーリー》
この世にも奇妙な実話は、1984年のロサンゼルス・オリンピックで金メダルに輝いたレスリング選手、マーク・シュルツに届いた突然のオファーから始まる。有名な大財閥デュポン家の御曹司ジョン・デュポンが、自ら率いるレスリング・チーム“フォックスキャッチャー”にマークを誘い、ソウル・オリンピックでの世界制覇をめざそうと持ちかけてきたのだ。その夢のような話に飛びついたマークは破格の年俸で契約を結び、デュポンがペンシルベニア州の広大な所有地に建造した最先端の施設でトレーニングを開始する。しかしデュポンの度重なる突飛な言動、マークの精神的な混乱がエスカレートするにつれ、ふたりの主従関係はじわじわと崩壊。ついにはマークの兄で、同じく金メダリストのデイヴを巻き込み、取り返しのつかない悲劇へと突き進んでいくのだった……。

Q: 試写会を見た率直な感想を教えてください。

太田: アカデミー賞候補ということで注目度も評価も高く、映画としての完成度も高いといううわさでしたが、私は、全く違う気持ちで見ておりました。どうしてデーブが撃たれてしまったのか? 殺されてしまったのか? 真実は、どうだったのか? 仲の良かった友人ということで、この事件の映画化は複雑な気持ちで見守っていました。しかし、この映画の主役はジョン・デュポンであり、デーブのことは、客観的に描かれています。映画としての出来は見事であると思います。

1978年世界選手権(メキシコ)での太田さん(左から2人目)とデーブ・シュルツ(左端)。右端は富山英明・現日大監督
Q: この映画は何を訴えたかったのでしょうか。

太田: 億万長者のジョン・デュポンが、どうして、なぜ、レスリングに巨額の寄付をし、なぜ選手にお金を与えていったのか? そして、なぜ撃ってしまったのか? 殺人の訳は? その犯罪の理由? クライムミステリーとしての映画です。残念ながら本当に起きてしまった事件なのです。

Q: シュルツ兄弟の仕種やレスリング・シーンが「実物そっくりだ」など、リアル感十分との評判ですが、そうですか?

太田: 見事です。日本人の俳優がそれを行おうとしても、無理だろうな、と思います。アメリカは、だれもが少しはレスリングの経験があるのです。学校体育にレスリングが組み込まれているからです。(スポーツはシーズン制を取り入れているので)冬のスポーツはバスケットボールかレスリングの選択が多いのです。ただ、実在の強いレスラーの技まで演じるには大変な努力が必要であったと思います。デーブの歩き方、しゃべり方、マークの個性までもが実物そっくりに描かれていて、本当にびっくりでした!

Q: シュルツ兄弟とのつきあいは?

太田: 今もNCAA大会(全米学生選手権)に観戦に行けば、デーブの奥さんのナンシーさんといろんな話をします。マークはあまり出てきませんが、デーブの息子さん、娘さんも、私のことはよーく覚えていてくれて、懐かしい話で盛り上がります。そこにデーブが居ないことだけが残念です。デーブが1985年に日本に来た時は、私の家に夫婦で1泊してくれました。私が1991年にアメリカに1年間行っていた時には、2週間、フォックスキャッチャーの敷地にあるデーブの家に泊めてもらいました。今年の3月にはナンシーがボーイフレンドと日本にやってきます(笑)。

1982年世界選手権、階級を上げて出場してきたデーブ(左)と太田さんが対戦。デーブが3位で、太田さんが4位。
Q: 映画に描かれていますが、1984年ロサンゼルス・オリンピックの頃は、金メダリストといえども、経済的には厳しかったのでしょうか。

太田: アシスタント・コーチくらいでは、月の給料は5万円くらい。それもレスリングシーズンだけで、終わると無給になります。それでも、アメリカ全土にどのくらいのレスリングチームがあるかご存知ですか? レスリング人口は、シーズン開始時には200万人とも言われます。日本の1万人ほどとは大きな違いです。アメリカでは、カレッジスタイルのコーチにお金を支払う訳で、フリースタイルの選手やコーチは、食べていけません。

Q: 試写会を見た若い人には、なぜ最後の場面につながったのか、よく分からなかった、という人がいました。何に注目して見ればいいでしょうか。

太田: 最後のシーンでは、一挙に8年の時間が過ぎています。ソウル・オリンピックの1988年から、アトランタ・オリンピック直前の1996年です。ジョン・デュポンが徐々に蝕まれて行く様子や、デーブも彼のもとを離れようとしていたこと、いろんな事が重なって事件に発展したと聞いています。しかし、ジョン・デュポンが、こうなってしまうことは誰にも予測できなかったのでしょう。お金がたくさんあっても幸せではなかったということでしょう。ジョン・デュポンが語るシーン、幼い頃から友人が居なかった話はとてもつらかった。デーブはそんな彼の唯一の理解者であり、友人であったはずなのに…。とても残念です。ジョン・デュポンは、彼の母に自分を見てほしかった。それがレスリングだったのでしょう。

http://miyearnzzlabo.com/archives/22781

町山智浩 映画『フォックスキャッチャー』を語る

2015/2/3 2015/7/4 たまむすび

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、アカデミー賞5部門にノミネートされている映画『フォックスキャッチャー』を紹介していました。



(町山智浩)というわけで、今回取り上げる映画はですね、『フォックスキャッチャー』っていう映画です。これ、『キツネを捕まえる』っていう意味ですけど、キツネ狩りってイギリスの金持ちっていうか貴族がやるスポーツがあるんですけど。昔やっていたスポーツですが。あれのことですね。で、この映画はですね、アカデミー賞、いま5部門にノミネートされてますね。

(山里亮太)ふーん。

(町山智浩)はい。フォックスキャッチャー、監督賞、主演男優賞、助演男優賞とかですね。脚本賞とか、特殊メイク賞とかにもノミネートされている作品です。

(赤江珠緒)へー。ええ。

(町山智浩)で、2月14日から日本公開なんで、もうすぐですね。その話をしたいんですが、これはどういう映画か?っていうと、一言で言うとですね、大金持ちのおっさんがですね、ロスアンゼルス・オリンピックで金メダルをとったアマレスの選手を射殺したっていう事件なんですね。

(山里亮太)はい。実際にあった。

(町山智浩)実際にあった事件です。で、なんでそんなことが起こっちゃったのか?っていうことを暴いてく映画です。その大金持ちっていうのは、1988年にあったソウル・オリンピック、ありましたけど。それのアメリカのレスリングチームを練習させていた、スポンサーだった人なんですよ。それが、自分のチームのコーチを射殺するっていうことをやってるんですね。

(赤江珠緒)スポンサーがね。どうして?たしかに。

(町山智浩)そういう映画なんですけども。これ、まずこの大金持ちっていうのはですね、いわゆるデュポン財閥の御曹司なんですよ。ジョンっていう人なんですけども。デュポンっていうと、日本だとほら、高級ライターのことが知られてますけど。それとは別で、アメリカにあるんですよ。デュポンっていう財閥が。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)それはね、化学系のコングロマリットでしてね。もともとは南北戦争の時に火薬を作って儲けた死の商人なんですけど。それで財をなして巨大な石油化学関係のコングロマリットを持っていて。デュポンの製品で一番有名なのは、テフロンですね。

(山里亮太)ああ、テフロン加工とかの。

(町山智浩)テフロン加工のテフロンですね。あとは、ゴアテックスとかですね。

(赤江珠緒)あ、ゴアテックスも。へー。

(町山智浩)そういったものをね、開発している大企業で。その大金持ちのおっさんがジョン・デュポンっていう人なんですけど。その人が持っている敷地があるんですよ。広大な敷地が。それが、フォックスキャッチャーっていわれる場所なんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)要するに、昔、キツネ狩りとかやってたところなんですね。で、そこにですね、ロスアンゼルス・オリンピックで金メダルをとったアマレスの選手のマーク・シュルツっていう人がね、そこに住むようになるんですよ。

(山里亮太)はいはい。

(町山智浩)事件はそっから始まっていくんですけど。このマーク・シュルツっていうのはロスアンゼルス・オリンピックで金メダルをとったにもかかわらず、生活できない状態で。で、お金があんまりないんで、今度のソウル・オリンピックにも出場できるかわからないっていう状態になっています。

(赤江珠緒)おお。
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アマチュアレスリング選手の当時の経済状況
(町山智浩)で、それはね、当時は特にそうだったんですけど、アマレスの人たちってその、お金を儲ける手段がほとんどなかったらしいんですよ。

(赤江珠緒)あ、アメリカでレスリングっていうのはあまり?

(町山智浩)アメリカのレスリング、アマレスはすごく層が厚いんですけども、コーチをやる以外に生活の道がないんですよね。

(赤江珠緒)あー。

(山里亮太)なるほど、なるほど。

(町山智浩)特にレスリングの世界っていうのは、特にこの頃はプロとアマの世界が完全にわかれていて。で、アマレスの人たちはなにも、お金儲けのためになにかしちゃいけないっていうぐらい、オリンピックに出る選手っていうのは完全なアマじゃなきゃいけないっていう時代だったんですね。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)いま、オリンピックってプロも出られるじゃないですか。

(赤江珠緒)そうですよね。テニスとか、野球選手とか・・・

(町山智浩)ねえ。だって、ひどいのはNBAの選手がバスケットに出たりしてますからね。

(山里亮太)ドリームチーム、すごかったですからね。昔(笑)。

(町山智浩)ドリームチームとか言ってね。だからそれが可能な時代じゃないんですよ。その当時は。それと、レスラーっていうのは特にそうなんですけど、プロレスラーとアマレスラーの差ってすごく大きいんですよね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)それは他のスポーツのプロとアマと違って、プロレスラーの方は、はっきり言って芝居をするからなんですよ。

(山里亮太)エンターテイメントがね。

(町山智浩)だから、軽蔑されているんですよ。そっちに接触することはできないんですよ。一旦、もうプロレスの方に行ったら、当時はアマレス世界と完全に縁を切る世界だったんですね。

(赤江珠緒)うーん・・・

(町山智浩)まあ、それも変わりましたけどね。その後。すごく、垣根がなくなったりしたんですけども。この当時はアマレスの人は食えなくて大変だったらしいんですよ。で、このマーク・シュルツ選手も次のオリンピックに出たいのに、お金がなくて。で、インスタントラーメンを食べてたりするんですよ。サッポロ一番かなんか、食べてたりするんですけど(笑)。そういうシーンがあるんですが。

(赤江珠緒)体つくらなきゃならないのにね。

(町山智浩)体つくらなきゃいけないのに、肉、食べられないんですよ。

(赤江珠緒)うーん・・・

(町山智浩)で、これはどうしよう?ってことになっていたところにですね、そのデュポンっていう大金持ちから電話がかかってくるんですね。で、『YOU、うちに来なよ!』って言われて、行くんですけども。で、行くと、そこでそのすごい敷地内でですね、もうすごい最新の設備を整えて、ここでオリンピック選手を養成すると。で、君にここに来てほしいんだと。

(赤江珠緒)いや、いいじゃないですか!

(町山智浩)生活は全部面倒を見る。家が余っているから、そこに住めばいいと。

(赤江珠緒)うわっ、大スポンサーじゃないですか。

(町山智浩)そうなんですよ。『もうなんでも好きなものを食べていいし、好きなものを使っていいし。好きなようにしていいよ!だから、YOU、うちに来ちゃいなよ!』っていう話になるんですね。

(赤江珠緒)ちょっとなんか、どっかで聞いたような・・・

(山里亮太)どっかで聞いた誘い方ですよ(笑)。

(町山智浩)いや、アメリカだから、普通に『YOU』って言うんです。あなたのことをね。

(赤江珠緒)まあ、そうですよね。そっちだと普通ですよね。そうですね。

(町山智浩)で、住まわせて、練習をさせるんですけど。それがフォックスキャッチャーチームっていうものになるんですね。フォックスキャッチャーっていう敷地内なんで。で、やっていくんですけども、どうもこのデュポンっていう人はちょっとおかしいんですよ。

(山里亮太)ほう。

(町山智浩)敷地内にですね、拳銃がすごく好きで、警察官の射撃場を作っていて。近所の警察官を呼んで射撃訓練をしてたりするんですけども。その拳銃を持ったままですね、練習場に入ってきて、ぶっ放したりするんですよ。ドバーンッ!と。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)それだけじゃなくて、戦車買ったりしてるんですよ。

(山里亮太)えっ!?

(町山智浩)戦車っていうか、この映画の中では装甲車なんですけども。装甲車を買って、敷地内で走らせたりしてるんですけど。

(赤江珠緒)うわー。お金持ちだからね。

(町山智浩)『ジ・インタビュー』の金正恩と同じなんですけどね(笑)。

町山智浩 金正恩暗殺映画 ザ・インタビュー公開中止騒動の真相を語る
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(赤江珠緒)そうですね。やっかいなお金持ちですな。

(町山智浩)それで、マイ戦車を買ってるんですよ。で、ただその戦車が来た時にですね、ブーたれるんですよ。ジョン・デュポン。大金持ちの。この人、もう60ぐらいですよ。おじいさんなんですけど。『おかしいよ!50口径の機関銃がついてないじゃないか!』とか言うんですよ。

(山里亮太)ちょっと待って。なにがしたいの?この人は。

(町山智浩)よくわからない人なんですけど。要するに、武器をたくさん集めてる人なんですよ。大砲とか。それで、『私は愛国者だ!』とか言って、その戦車乗り回してるんですけど。敷地内で。

(赤江珠緒)仕事はしなくていいんですか?

(町山智浩)この人、要するにお金は有り余っているんですよ。もう、株だけで暮らしているから。

(赤江珠緒)ああ、なるほど。

(町山智浩)そう。なんにもしなくていいんですよ。だから無駄遣いをいっぱいしてるんですけど。だから要するに、年はとっているけど、おぼっちゃまくんなんですよ。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)だからもう、やることないからそういうことをやっているんですけども。これでオリンピックで金メダルをとれれば、自分はその国の英雄になれるんだと思っているんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、選手を集めていろいろ訓練をしているという感じなんですけども。なんかね、マーク・シュルツっていう選手を自分の敷地内に住まわせて、それで仲良くしてるんですけど。いっぱいご飯とか食べさせてあげて。で、『君は僕にとって初めての友達だよ』って言うんですよ。

(赤江珠緒)ふん。

(町山智浩)『僕は子どもの頃、友達がいなくてね。悲しかったんだよ』とデュポン、その金持ちじいさんが言うんですね。『初めて友達ができてうれしかったんだけど、後からわかったんだ。僕のママがお金で買った友達だったよ』って言うんですよ。

(赤江珠緒)あらー・・・

(町山智浩)そういう寂しい人なんですよ。で、この映画はね、なんかおかしなことになっていくんですけども。いちばんその、あれっ?と思うシーンっていうのは、夜中に『僕にスパーリングをつけてくれ』と・・・このデュポンもアマレスをやってるんですね。

(赤江珠緒)あ、レスリングは一応好きなんですね。

(町山智浩)やってるんですよ。それでだから、そのマーク・シュルツに、真夜中なんですけど、『稽古をつけてくれ』って言うんですね。で、暗い中でこう、2人でアマレスのスパーリングをするんですよ。なんか2人でこう、互いのバックを取り合いながら、『ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・』ってやってるんですよ。なんやねん、これは!っていう映画なんですけど(笑)。

(赤江珠緒)なるほど。

(山里亮太)えっ?まさか、そっちの感じ?

(町山智浩)うーん、なんかおかしいんですよ。

(山里亮太)どんだけー?

(町山智浩)っていう映画でね。どうなっちゃうんだろう、これは?という映画なんですけど。

(山里亮太)そこらへんも関わってくるんですか?そこらへんの、色恋じゃないですけど。男同士の・・・

(町山智浩)いや、知らないですよ。僕は。まあ、バックを取り合ってましたよ。はっきり言って。汗まみれで。

(赤江珠緒)寝技ね。あります、あります。

(町山智浩)またこのね、マーク・シュルツ選手を演じる人が、チャニング・テイタムというね、非常に美しい体の人ですね。この人は、どのぐらい美しいか?というと、『マジック・マイク』の主役ですよ。男性ストリップ映画。



(赤江・山里)あー!

(町山智浩)もう必見の映画ですよ。あれでマシュー・マコノヒーもすごかったですけど。お尻が。この、チャニング・テイタムはもう、上半身すごいですよ。

(赤江珠緒)たしかに、キレイな肉体美。

(山里亮太)また出ました。町山さんの男性の肉体美を褒めてくる・・・

(町山智浩)もう、すごいですよ。もう、ね。

(山里亮太)おすすめの裸のコーナー(笑)。

(町山智浩)(笑)。いや、ちゃんとありますから、大丈夫ですよ。

(山里亮太)いやいや、待っているわけじゃないです(笑)。

(町山智浩)でね、その大金持ちのジョンっていう人を演じる人がですね、スティーブ・カレルっていう人で。この人はアカデミー主演男優賞候補になっています。で、このスティーブ・カレルっていう人はですね、バカ映画ばっかり出てた人なんですよ。ずっと、いままで。

(山里亮太)コメディー?

(町山智浩)で、この人が最初に注目されたのは、『40歳の童貞男』っていう映画だったんですよ。



(赤江珠緒)あの、タイトルがなかなかに、ねえ。

(町山智浩)そう。40になってもぜんぜん彼女ができなくて。なんとか、みんなで彼女を作ってあげるっていう話。セス・ローゲンが一緒に出てくる、いわゆるブロマンスものなんですけども。で、いちばんこの映画で笑わせるシーンは、胸毛にガムテープを貼って剥がすっていうシーンで。ほとんど日本のお笑い芸人と変わんないことをやっている人だったんですけどね。このスティーブ・カレルっていう人は。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)で、ところが、この映画の中では、完全にその、まあちょっとどうかしているジョン・デュポンっていう大金持ちをですね、特殊メイクで鼻の形を変えて演じてるんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、写真を見ると、ぜんぜん別人になっていますね。

(赤江珠緒)あ、本当だ。つけ鼻をしてるんですね。

(町山智浩)つけ鼻をして、すごい顔になっていて。だからこれ、いまアカデミー賞の特殊メイクのメイキャップ賞の候補にもなっているんですけど。

(赤江珠緒)あ、でも実際のデュポンさんの写真もこっちにあるんですけど、似てますね。

(町山智浩)似てるんですよ。で、声とかもすごく変えて。そっくりになっていますね。だからまあ、主演男優賞候補なんですけども。で、これね、助演男優賞候補にもノミネートされているんですけど。これはマーク・シュルツのお兄さんで、デーブ・シュルツっていう選手がいて。この人も金メダリストなんですね。ロスアンゼルス五輪の。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)この人を、マーク・ラファロっていう俳優さんが演じていて。この人が助演男優賞候補になっているんですよ。で、これ写真を見るとね、ぜんぜん別人になっているんですよ。マーク・ラファロ。

(赤江珠緒)本当だ。

(町山智浩)このマーク・ラファロっていう人は、アベンジャーズっていう映画で、超人ハルクを演じていた人ですね。いつも結構チャラ系なんですよ。この人。でも、今回ちょっと、はっきり言って、ゲハってますからね。

(赤江珠緒)そうですね。

(山里亮太)結構、おでこがだいぶ広めに・・・

(町山智浩)そう。すごいですよ。体格も変わってますけど。

(赤江珠緒)むしろ、ヒゲの方が目立つ感じで。

(町山智浩)そうそうそう。だからものすごい別人になっていて。なかなかすごいんですよ。それで、この人はレスリング経験とかなかったんだけども、今回は徹底的にやってですね。テクニシャンのお兄さんっていう設定なんで。で、弟のマーク・シュルツの方はパワーのレスリングなんですね。で、テクニシャンで寝技とか得意なのがデーブ・シュルツなんで。その、2人でスパーリングするシーンとかも、本人たちが徹底的にレスリングの訓練をしてやっているんで。まあ、助演男優賞候補になっています。はい。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)でね、こういう非常に奇っ怪な事件で、奇っ怪な映画なんですよ。

(赤江珠緒)でも、ここから殺人事件につながります?

(町山智浩)殺人事件にこれが発展していくんですよ。基本的には男同士がハァハァ言いながら、汗まみれで取っ組み合っている素晴らしい映画なんですけども。

(赤江珠緒)いやいやいや(笑)。

(山里亮太)その説明だと、だいぶ偏ったね、ええ。

(町山智浩)これ、どうしてこれが殺人事件に発展するの?っていう映画なんですけどね。ただね、見ているとすごくこの、ジョン・デュポンという人は大金持ちで、もうなんでもあるんだけども、誰にも尊敬されていないかわいそうな人なんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?ここまでお金があるのに?

(町山智浩)だって、自分で稼いだお金じゃないもん。

(山里亮太)そっかー。ボンボンの悲しさだ。

(町山智浩)だからこれは本当にもう、自分で作ったものじゃない限り、誰も尊敬しないですからね。でも、それがわかっていないんで、どんどんひどいことになっていくんですけども。あの、これを見てるとね、この敷地で、フォックスキャッチャーっていうのはキツネ狩りなんですけど。キツネ狩りって実際はどういうことをするか?っていうと、イギリスの貴族がね。

(赤江・山里)はい。

(町山智浩)猟犬でキツネを追いかけさせるんですけども。最後はキツネを犬に噛み殺させるんですよ。

(赤江珠緒)追い詰めていって。

(町山智浩)そう。だから実際は貴族は追っかけてるけど、なにもしないんですよ。これはまさに、このジョン・デュポンが金メダルをとろうとしたことと同じなんですよね。自分でレスリングを飼って、彼らに金メダルをとりに行かせたことと。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)まさにキツネ狩り状態だったってことを、偶然フォックスキャッチャーが暗示してるんですけど。もっと、この映画を見ていると、あるひとつの映画を思い出すんですけども。これはね、ルキノ・ビスコンティっていう監督が昔いまして。イタリアの名匠なんですが。その人が昔作った映画でですね、72年に作った映画で、『ルートヴィヒ』っていう映画があったんですよ。



(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)これはね、昔、ババリアっていうドイツの一部なんですけども。いまは。ババリア王国の王様でルートヴィヒ2世っていう人がいたんですね。

(赤江・山里)はい。

(町山智浩)その人は、自分が王様になった、王子様だってことがうれしくてしょうがない人だったんですよ。自分がお伽話の中の本当の王子様なんだって思って、うれしくてしょうがなくて。で、お伽話みたいなお城をバンバン建てて。そこでお伽話ごっこをしていた王様なんですよ。

(山里亮太)ほう。

(町山智浩)ところが、当時のドイツっていうかヨーロッパっていうのは、もう群雄割拠で。いろんな国同士が戦っていて。政治的にものすごく厳しい状態だったんですね。だからそんなことをしている場合じゃなかったのに、『私は王子様よ。オホホホ!』とかやっていたんですよ。

(赤江珠緒)ルートヴィヒ2世が。

(町山智浩)お金、無駄遣いして。それで、作曲家のワーグナーが大好きで。ワーグナーが借金とかを抱えているから、『その借金を全部なしにしてあげる』って言って。それで彼を自分のお城に住まわせてたんですよ。

(赤江珠緒)ああ、まさにスポンサーになって。はい。

(町山智浩)スポンサーになって。このレスラーを飼っていたのと全く同じことをするんですね。で、どんどんどんどん滅んでいっちゃうんですけど。ルートヴィヒの国自体が。それで、最終的にはもうどうなるかっていうと、たいへんな悲劇になっていくんですけども。すごくよく似ているんですよ。

(赤江・山里)えーっ!?

(町山智浩)で、ルートヴィヒも同性愛者だったんですけどもね。

(山里亮太)も?

(町山智浩)これね、現代のルートヴィヒなんだっていうのがね、見えてくる、不思議な映画ですね。実話ですけども。

(赤江珠緒)スケールの大きい穀潰しってことですか?

(山里亮太)(笑)

(町山智浩)そうですね(笑)。はい。まあ、おぼっちゃまくんのどうしようもない人なんですけども。まあ、そういう不思議な映画がフォックスキャッチャーで。来週公開されるんですけどもね。はい。これ、監督ベネット・ミラーっていう人も監督賞にノミネートされて。脚本賞もノミネートされてますね。はい。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)いやー、怖いな!と思いましたよ。

(赤江珠緒)そうですね。

(山里亮太)そしてちゃんとね、お尻情報もいただきました。

(赤江珠緒)(笑)。ねえ。肉体美もね、いただきましたね。

(町山智浩)(笑)。はい。そう。だから『一緒に住まない?』とか言われたら、ちょっと気をつけた方がいいなっていう話ですね。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)同居したりするのは、気をつけた方がいいですね。はい。

(赤江珠緒)気をつけましょう。

(山里亮太)いいスポンサーだと思ったら・・・(笑)。

(町山智浩)はい。50才以上の人とか。男性とか。はい。

(赤江珠緒)なにを言ってるんですか!つらつらと(笑)。

(町山智浩)いろんなことがあると思います。はい(笑)。

(赤江珠緒)えー、今日はアカデミー賞5部門ノミネート、映画フォックスキャッチャーをご紹介いただきました。日本でもすぐ公開ですね。来週の2月14日の公開でございます。さあ、そして町山さん。再来週がスペシャルウィークになりますけども、アカデミー賞のね、裏話など、よろしくお願いします。

(町山智浩)はい。もう直前予想しますんで。よろしくお願いします。

(赤江珠緒)はい。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

<書き起こしおわり>

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC

フォックスキャッチャー





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フォックスキャッチャー

Foxcatcher

監督
ベネット・ミラー

脚本
E・マックス・フライ(英語版)
ダン・フッターマン

製作
ミーガン・エリソン
ベネット・ミラー
ジョン・キリク
アンソニー・ブレグマン

製作総指揮
チェルシー・バーナード
ロン・シュミット
マーク・バクシ
マイケル・コールマン
トム・ヘラー
ジョン・P・ジューラ

出演者
スティーヴ・カレル
チャニング・テイタム
マーク・ラファロ
ヴァネッサ・レッドグレイヴ
シエナ・ミラー

音楽
ロブ・シモンセン(英語版)

撮影
グレイグ・フレイザー(英語版)

編集
スチュアート・レヴィ
コナー・オニール
ジェイ・キャシディ

製作会社
アンナプルナ・ピクチャーズ(英語版)
ライクリー・ストーリー

配給
アメリカ合衆国の旗ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
日本の旗ロングライド

公開
アメリカ合衆国の旗2014年11月14日
日本の旗2015年2月14日

上映時間
135分[1]

製作国
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

言語
英語

興行収入
$11,451,000[2]
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『フォックスキャッチャー』(原題:Foxcatcher)は2014年にアメリカ合衆国で製作された伝記映画である。1996年のデイヴ・シュルツ(英語版)殺害事件を題材にしている。監督はベネット・ミラー、主演はスティーヴ・カレルとチャニング・テイタムが務める。

本作は2014年5月に開催された第67回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、ベネット・ミラーが監督賞を受賞した[3]。

なお、日本語版の字幕は稲田嵯裕里が担当している[4]。



目次 [非表示]
1 あらすじ
2 キャスト
3 製作
4 公開
5 興行収入
6 評価 6.1 マーク・シュルツからの批判

7 受賞
8 出典
9 外部リンク


あらすじ[編集]

1984年のロサンゼルスオリンピックのオリンピックレスリング競技で金メダルを獲得した、マーク・シュルツ(英語版)はデュポン財閥の御曹司であるジョン・デュポンから自ら率いるレスリングチーム結成プロジェクトである「フォックスキャッチャー」に来ないかという誘いを受ける。最新の設備が整ったトレーニング場を持つチームに入れることを喜んだマークはその申し出を受けてしまう。しかし、ジョン・デュポンは妄想型精神分裂病を患っていた。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹替
ジョン・デュポン - スティーヴ・カレル(飛田展男): 大富豪の篤志家、レスリングの熱狂的なファン。演じるカレルは特殊メイクを施してデュポンそっくりに演じている。[5]
マーク・シュルツ(英語版) - チャニング・テイタム(山崎健太郎): レスリングの金メダリスト。
デイヴ・シュルツ(英語版) - マーク・ラファロ(樫井笙人): マークの兄で、レスリングの金メダリスト。
ジャン・デュポン - ヴァネッサ・レッドグレイヴ(宮沢きよこ): ジョンの母親[6]。
ナンシー・シュルツ - シエナ・ミラー(山根舞): デイヴの妻[6]。
ジャック - アンソニー・マイケル・ホール(野川雅史): デュポンのアシスタント[7]。
ヘンリー・ベック - ガイ・ボイド(英語版)
フレッド・コール - ブレット・ライス(英語版)
ダニエル・シュルツ - サマラ・リー
アレクサンダー・シュルツ - ジャクソン・フレイザー
ロージー - ジェーン・モーダー
ロバート・ガルシア - ダニエル・ヒルト

製作[編集]

ベネット・ミラーは2007年より本作の映画化を模索し始めた。ミーガン・エリソンが自身の経営するアンナプルナ・ピクチャーズ(英語版)を通して、資金を提供した。そして、ミラー、エリソン、ジョン・キリク、アンソニー・ブレグマンの4人が製作を務めることになった[8]。コロンビア映画も本作に資金を提供し、配給権を得ていたが、同じくソニー傘下のソニー・ピクチャーズ・クラシックスが配給を担当することになった。この変更はミーガン・エリソンの希望によるものであった[9]。

2012年10月15日よりペンシルベニア州ピッツバーグのメトロポリタン・エリアで本作の撮影が始まり、2013年1月に終了した。[10]。

ペンシルベニア州のニュータウン・スクエアにあった1922デュポン・マンション(ジョンはリスター・ホールと名付け、フォックスキャッチャーの本拠地としても使用された。)は宅地開発業者に売られてしまい、2013年1月に取り壊された[11]。そのため、本作の撮影にはバージニア州リースバーグにあるデュポン・マンションに似た外装の邸宅、モーヴェン・パークが使われた[12]。また、ペンシルヴェニア州スイークリー・ハイツ1899にある邸宅、ウェルペン・ホールが、フィラデルフィアのデュポンの邸宅の代わりに屋内の撮影に用いられた[13]。

チャニング・テイタムはマーク・シュルツを演じたことに対して、「今まで演じた役の中で一番難しい役だった。」と述べている[7]。

公開[編集]

当初、本作の公開日は2013年12月20日の予定だった。しかし、ソニー・ピクチャーズ・クラシックスによると、本作の仕上げに時間をかける必要があったため、公開日が延期になったという[14]。2014年5月、本作は第67回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、パルム・ドールを争ったが、ベネット・ミラーの監督賞受賞という結果に終わった[3][15]。2014年の後半に開催されるテルライド映画祭、トロント国際映画祭、ニューヨーク映画祭、バンクーバー国際映画祭、ニューヨーク映画祭で相次いで上映された[16]。2014年11月14日には、北米で限定公開された[17]。2015年1月より徐々に公開規模を拡大していくと発表されている[18]。

興行収入[編集]

2014年11月14日に全米6館で公開され、27万877ドル(1館当たり45146ドル)を稼ぎ出した[19]。

評価[編集]

本作は批評家から高い評価を受けている。特に、スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロの演技に対する評価は高い。映画批評集積サイトRotten Tomatoesには203件のレビューがあり、批評家支持率は88%、平均点は10点満点で7.3点となっている。サイト側による批評家の意見の要約は「実際の事件を冷徹に描き切った犯罪ドラマである。『フォックスキャッチャー』はスティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロの3人に活躍の場を与えた。そして、この3人は見事な演技でそれに応えた。」となっている[20]。また、Metacriticには40件のレビューがあり、加重平均値は83/100となっている[21]。

バラエティのジャスティン・チャンは「スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロはベネット・ミラー監督の不穏な雰囲気が漂うクライム・ドラマで見事な演技をしている。」と述べている[22]。インディワイアーのエリック・コーンはカレルとテイタムの演技に最大級の賛辞を送っている[23]。アイリッシュ・タイムスのドナルド・クラークは「ミラーは好調である。サイコパスとオリンピック・レスリングという頽廃とは無縁の領域で起きたモラルの衰微を鮮やかに描き出した。」との評している[24]。ハリウッド・リポーターのトッド・マッカーシーはカレルの演技を「キャリアの転換点となる演技」と絶賛している[25]。

マーク・シュルツからの批判[編集]

マーク·シュルツ映画への反応は、個人的な内容を扱っていることから変化していった。シュルツは制作期間中は全般的に映画を支持し、コンサルタントを務めていた。ある時点で、批評家がマーク·シュルツとデュポンとの関係の描写が「同性愛を示唆している」と指摘していることを知って怒り、ベネット·ミラーを批判した。そして、シュルツはミラーが問題に対処しなければ「自分が対処する」と述べた [26] [27] シュルツは「フォックスキャッチャーのシーンは(2,3の例外を除き)自分の本から大部分取られたものである。しかし人間関係や人格は完全なフィクションである。」と述べた [28] [29] 数週間、これらのコメントの後に、シュルツは批判を撤回し、「『フォックスキャッチャー』は奇跡だ。嫌ったことは間違いだった。大好きな映画だ」と延べ、ミラーに謝罪した。 [30]

受賞[編集]




部門

対象者

結果

出典

第67回カンヌ国際映画祭 パルム・ドール ベネット・ミラー ノミネート [31]
監督賞 ベネット・ミラー 受賞 [32][33]
インターナショナル・シネフィル・ソサイエティー・アワーズ 俳優賞 チャニング・テイタム 受賞 [34]
第18回ハリウッド映画賞 アンサンブル演技賞 受賞 [35]
第24回ゴッサム・インディペンデント映画賞 特別賞 スティーヴ・カレル、マーク・ラファロ、チャニング・テイタム 受賞 [36]
第30回インディペンデント・スピリット賞 特別賞 受賞 [37]
第30回サンタバーバラ国際映画祭 年間最優秀演技賞 スティーヴ・カレル 受賞 [38]
第19回サテライト賞 主演男優賞 スティーヴ・カレル ノミネート [39]
助演男優賞 マーク・ラファロ ノミネート
第21回全米映画俳優組合賞 主演男優賞 スティーヴ・カレル ノミネート [40]
助演男優賞 マーク・ラファロ ノミネート
第87回アカデミー賞 主演男優賞 スティーヴ・カレル ノミネート [41]
助演男優賞 マーク・ラファロ ノミネート

出典[編集]

1.^ “フォックスキャッチャー”. 2014年12月10日閲覧。
2.^ “Foxcatcher”. 2014年12月10日閲覧。
3.^ a b “Le Palmarès 2014 : Compétition”. 2014年12月10日閲覧。
4.^ http://www.foxcatcher-movie.jp/
5.^ http://www.crank-in.net/movie/news/35306
6.^ a b “Cannes Check 2014: Channing Tatum and Steve Carell in Bennett Miller's 'Foxcatcher'”. 2014年12月10日閲覧。
7.^ a b “Hall joins Carell in ‘Foxcatcher’”. 2014年12月10日閲覧。
8.^ “Megan Ellison to finance ‘Foxcatcher’”. 2014年12月10日閲覧。
9.^ “'Foxcatcher' Jumps to Sony Pictures Classics; Release Date Set (Exclusive)”. 2014年12月10日閲覧。
10.^ “Film crews back in Sewickley area”. 2014年12月10日閲覧。
11.^ “Historic DuPont mansion goes under the wreckers ball”. 2014年12月10日閲覧。
12.^ “UPDATE: Movie magic at Morven Park?”. 2014年12月10日閲覧。
13.^ “Another Big-Budget Movie Begins Filming Locally”. 2014年12月10日閲覧。
14.^ “Sony Pictures Classics Moves Foxcatcher Back to 2014”. 2014年12月10日閲覧。
15.^ “Cannes Unveils 2014 Official Selection Lineup”. 2014年12月10日閲覧。
16.^ “‘Foxcatcher’ Triumphs at Yet Another Film Festival”. 2014年12月10日閲覧。
17.^ “Foxcatcher’s Director Explains Why It’s Actually a Funny Story”. 2014年12月10日閲覧。
18.^ “FOXCATCHER”. 2014年12月10日閲覧。
19.^ “Weekend Report: 'Dumb' Sequel Takes First Ahead of 'Big Hero 6,' 'Interstellar'”. 2015年1月1日閲覧。
20.^ “Foxcatcher (2014)”. 2014年12月10日閲覧。
21.^ “Foxcatcher”. 2014年12月10日閲覧。
22.^ “Cannes Film Review: ‘Foxcatcher’”. 2014年12月10日閲覧。
23.^ “Cannes Review: Channing Tatum Anchors Bennett Miller's Icy 'Foxcatcher,' But the Revelation is Steve Carell”. 2014年12月10日閲覧。
24.^ “Foxcatcher”. 2014年12月10日閲覧。
25.^ “'Foxcatcher': Cannes Review”. 2014年12月10日閲覧。
26.^ Ben Child (2015年1月2日). “Mark Schultz attacks 'gay relationship' in wrestling biopic Foxcatcher”. The Guardian. 2015年4月8日閲覧。
27.^ “Foxcatcher review: Carell makes a passive aggressive Nero of John Du Pont”. Irish Times. 2015年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月8日閲覧。
28.^ “Mark Schultz on Twitter”. Twitter. 2015年4月8日閲覧。
29.^ “'Foxcatcher' Movie Slammed By Wrestler Mark Schultz - Business Insider”. Business Insider (2015年1月2日). 2015年4月8日閲覧。
30.^ “‘Foxcatcher’ Subject Mark Schultz Recants Criticisms: ‘I Was Temporarily Insane’”. The Newsweek Daily Beast Company. 2015年1月19日閲覧。
31.^ “'The Search' And New Jean-Luc Godard Lead Cannes 2014 Line-Up”. 2014年4月17日閲覧。
32.^ “Cannes: 'Winter Sleep' Wins the Palme d'Or”. 2014年5月8日閲覧。
33.^ “'Winter Sleep' Wins Palme d'Or at 2014 Cannes Film Festival; Full List of Winners”. 2014年5月8日閲覧。
34.^ “2014 winners of the Cannes ICS Awards”. 2014年8月27日閲覧。
35.^ http://www.hollywoodawards.com/winners/
36.^ http://gotham.ifp.org/award-nominees-special-jury.html
37.^ http://www.ifc.com/fix/2014/11/here-are-your-2015-independent-spirit-awards-nominees
38.^ http://sbiff.org/carell2015/
39.^ http://www.pressacademy.com/award_cat/current-nominees/
40.^ http://www.usatoday.com/story/life/movies/2014/12/10/screen-actors-guild-nominations/20183747/
41.^ “The Oscars 2015 87th Academy Awards”. 2015年2月28日閲覧。

外部リンク[編集]
英語版公式サイト
日本版公式サイト
フォックスキャッチャー - allcinema
Foxcatcher - インターネット・ムービー・データベース(英語)
Foxcatcher - Box Office Mojo(英語)
Foxcatcher - Rotten Tomatoes(英語)
Foxcatcher - Metacritic(英語)

http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20150302/1425276488

"お兄ちゃんが許せない"『フォックスキャッチャー』(ネタバレ)CommentsAdd Star

映画 | 15:08 | "お兄ちゃんが許せない"『フォックスキャッチャー』(ネタバレ)を含むブックマーク

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 『マネーボール』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111011/1318040695)のベネット・ミラー監督の最新作。


 オリンピックのレスリングで金メダルを獲得しながら、日々の練習や生活にも苦労しているマーク・シュルツ。同じく金メダリストである兄デイヴの練習場を使わせてもらい、仕事の代理をこなして苦しい生活を送っていた。そんな彼に訪れた転機、それは、大財閥デュポン家の御曹司が彼を中心にレスリングチームを結成したいと電話してきたことだった。喜び勇んでその地「フォックスキャッチャー」へと向かうマークだったが……。


 さて、『マネーボール』も野球そのものではなく、その裏事情や業界の構造に迫る映画だったのですが、今作もレスリングそのものの話ではない。ソウルオリンピック前、前回金メダリストさえもが食い詰めている中、ある大富豪がスポンサーとして救済に乗り出す。同じ金メダリストである兄のチームで練習しながら講演会の代理などして日銭を稼ぐ毎日を送るマーク・シュルツ。世界選手権は近づいているが、環境は良くない。そこへかかって来た一本の電話。訪ねて行った先の大富豪デュポンからの誘いは、練習環境と生活、毎月のギャランティを保証するというもの。


 レスリングを愛する富豪と、オリンピック選手の間に友情が芽生え、大きな目標に向かって勝ち進んでいく……という文句無しのサクセスストーリー。勝利と、それ以上に大切なものを得るために……と、筋書きだけならそうなのだが、もうオープニングからずーっと不穏な気配が漂う。劇伴を使わず、画面隅から聴こえるノイズのような小さな物音だけを響かせ、デュポンを演ずるスティーブ・カレルの抑揚のない台詞がいやに耳に残る。


 まさにアメリカンドリーム!なお話を思い描いて出かけて行ったら、どうもこのデュポンさんがおかしい。大富豪なんて多少は偏屈なものだろう……と思うのだが、愛国心とレスリングへの傾倒の向こうに、それで発散し切れていない衝動がうかがえる。もういい歳なのだが、老母以外に家族もない。屋敷の敷地内に銃の練習場を作って警察にアドバイスし、学位を取って鳥類学者の肩書きも持ち、さらにはレスリングと国に貢献したい……と、一見ノブレスオブリージュを心がけているように見えるのだが、本物の戦車を買ってきて「機関銃がついてないぞ!」と怒ったりして、趣味が危険な方向に走っている感がじわじわ漂ってくる。

 呼ばれてやってきて、友人扱いされて、本来なら悪い気はしないはずのオリンピックレスラーだが、少しずつ違和感が漂う。自身だけでなく兄も呼びたいと言われ、トロフィーや銃のコレクション、戦車、さらに母親のコレクションしている「名馬」の数々を見るにつけ、自分もまた彼にとっての「馬」なのではないか……?との思いが拭えない。

 そして、強烈な腐臭を発してくる自己顕示欲とコンプレックス……。スピーチでデュポンさんをべた褒めする原稿を練習させられるチャニング。極めつけは、


「これからは私のことを”イーグル”、あるいは"ゴールデン・イーグル"と呼ぶように」


 思わず、「えっ……マジ……? い、イーグル?」と、どもってしまいそうになったが、


「"ジョン"か"コーチ"でも構わないが」


 と補足してくれたので、心底ほっとしちゃったね。


 とにかくまず母親に認められず、それがずーっと心に刺さってるせいか、何をやっても自信がなく、他人にリスペクトされている気がしない。尊敬を集めても、それは単に金を持っているからに過ぎず、自分で成し遂げたことは何一つない。今また、コーチとしてオリンピックレスラーに金メダルを獲らせようとしているが、それも決して彼の心を満たすことはない。そもそもコーチのスキルもないのだから……。それこそが、かつて貴族が楽しんだ、自らは手を汚さず猟犬に狩らせる「狐狩り」そのものである。


 しかしながら、いくら背に腹は代えられないとはいえ、こういう人とはなるべく距離を置いて接したいな……と思うのだが、いかにもうじうじしているチャニングことマーク・シュルツは、彼の言うなりになってしまう。彼もまた父親不在の中で兄に育てられ、べったりの甘え体質が板についてしまっている。そして、レスリングでも偉大なる兄の背後に隠れた彼はコンプレックスの塊になっており、それゆえに大金持ちであるにも関わらず「持たざる者」であるデュポンと惹かれ合うことになる……。

 歪ながら関係は深まり、深夜のレスリング練習で絡み合い、汗を流し合う男たち……。二人が前後に対照に収まった二種類のポスタービジュアルは、その一体感を示している。性的なニュアンスと共に、一方が一方の影であるかのような……。


 だが、それを打ち消すかのような光が射す。あまり情報を仕入れずに観に行ったので、いかにもうじうじしているチャニング・テイタムが殺されるのかと思っていたが、二人いる金メダリストの内、兄のマーク・ラファロさんことデイヴ・シュルツがいかにも危ないのがじわじわとわかってくる。

 ホテルでデイヴが妻子と戯れているところに、デュポンが入ってくるところが本当に不穏で、一番恐ろしかった。ほんと、このラファロさんが素晴らしい人間なんだよね。常に自信に満ち、前向きで、レスリングも強く、弟にも優しく家族に愛されている。金では動かず家族を優先し、スポンサーにも敬意を払いつつしかし決して卑屈にならない。誰に対しても分け隔てなく友人として振る舞う。ハゲてても一向に気にしない……!

 なんと言うか……こういう奴が許せないんだ!というその気持ち、よくわかる!

 常に卑屈で、後ろ向きで、レスリングも強くなくて、自分の家族もいない。大事なものもなく金しか価値観がなくて……そんな人間からしたら、このラファロさんのような人格者は、身近にいるだけでコンプレックスを強烈に刺激し、突きつけてくる存在なのだ……。頭突きして、鼻血まで出させたのに怒らず何事もなかったかのようにフェアに相対してくる……そんなところがまた許せない! その正しさが、その優しさが、どれだけ僕を傷つけているのかわかっているのかーっ!


 ……とまあ、そんな身勝手な考え方で殺されてはかなわんのですけど、弟は兄に対してかような鬱屈を抱え、マークが去った後、今度はデュポンがそれに対峙することとなる。

 デュポンとデイヴの関係は、ソウルオリンピックから射殺までの8年間があっさりカットされている通り、深くは描かれない。オリンピックの数日後に撃ち殺されたようだな……。

 これはこれでもっと深く描けば、逆『バーニー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130725/1374739555)のような話になっていたのではないかな。所有から逃れるために殺す話、所有できないがゆえに殺す話。いやあ、恐ろしいですね。


 実話ベースの映画として『ソーシャル・ネットワーク』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20101030/1288442495)などと同じく、物語にするために単純化し捻じ曲げた部分も多い。……つうか、ここまで心理を掘り下げたら、それはもうフィクションだよな。メインのキャラクターに人間関係も事象も集約しすぎでやりすぎ感も甚だしく、これは本物のマーク・シュルツさんが怒るのも無理はない。特にマークとデュポンを感性を同じくする者のように描き、デュポンによるデイヴ殺害は、マークにもまた原因があったかのように描くのはひどい。だからこそ映画としては抜群に面白くなっているのだが。虚実の狭間は曖昧になり、一つの寓話が誕生する。


 93年に第一回大会やってたUFCがなぜか88年のソウルオリンピック前に放送され、ゲーリー・グッドリッジがテレビの中で試合している。完全に時空が歪んでいるのだが、ラストではマーク・シュルツが実際にUFCのオクタゴンへ足を踏み入れる。こっちが実話で、その時の対戦相手がテレビに映ってたゲーリー・グッドリッジ。

 このシーン、リングアナの声は現代のUFCでやってるブルース・バッファーに声が似てたけど別の人で(当時のリングアナも別人)、さらに対戦相手はロシア人になっていた……。うーむ、ここは本物のゲーリー・グッドリッジか、せめて見た目似た人にして欲しかったな。

 この時代のUFCは超バイオレンスだったので、オリンピックレスラーとの対比で堕落したように語られるのもむべなるかな……とは思うが、頭を丸めて皮肉にも未だにUSAコールを浴びながら、栄光なき死地とも言える金網の中に足を踏み入れたマーク・シュルツは、どこか修行僧のように切なく贖罪めいて見えたな……。

http://www.tadamonkugaiitakute.com/8625.html

フォックスキャッチャー(原題 FOXCATCHER)

2月 07, 2015 by 映画男 in 40点台の映画





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fox-feature

41点(100点満点)

ストーリー


大学のレスリングコーチを務めていたオリンピックメダリストのマーク(チャニング・テイタム)は、給料が払えないと告げられて学校を解雇される。失意に暮れる中、デュポン財閥の御曹司である大富豪ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から、ソウルオリンピックに向けたレスリングチーム結成プロジェクトに勧誘される。同じくメダリストである兄デイヴ(マーク・ラファロ)と共にソウルオリンピックを目指して張り切るが、次第にデュポンの秘めた狂気を目にするようになる。

yahoo映画より









文句

レスリングをテーマにしたスポ根ものかと思いきや、先の読めないスリラーに仕上がっている意表をついた実話を基にした作品。レスリングチームをスポンサーする大富豪ジョン・デュポンの行動が気味悪く、権力が才能や夢を打ち砕いていく様子に思わず眉をひそめてしまう一本。





オリンピックメダリストのマーク・シュルツとデイヴ・シュルツ兄弟の五輪への挑戦&殺人事件を追った作品ですが、いわゆる死ぬ気で練習して、みるみるうちに強くなって、金メダルを獲る、といったありきたりのストーリーではありません。純粋にレスリングに打ち込もうとしている兄弟の前にある日、練習施設やお金など必要なものならなんでも用意するという大金持ちの男ジョン・デュポンが現れます。好条件やアメリカの威厳や栄光を取り戻すなどの大義名分を掲げられて、すっかりその気になった弟のマークはジョン・デュポンの敷地内で生活を始め、トレーニング漬けの毎日を送るはずだったのが、次第にジョン・デュポンはレスリングチームやマークを私物化していき、レスリングチームは怪しい方向に進んでいく、というのがあらすじです。





お金のないアマチュアスポーツの選手からしてみればスポンサーは頭が上がらない存在でしょうね。支援が途絶えればバイトをしながらでも練習と両立しなければならず、パフォーマンスに当然ひびいてくるはずです。そんな中、自分の好きなことに没頭するために応援してくれる、生活を面倒見てくれる、なんて人が現れたらその人がちょっと変な人でもぐっと堪えて付き合っていく、なんてことはほかのスポーツの世界にもあるはずです。また、縁を切りづらい上下関係が一度できてしまえばスポンサー企業の社長がアイススケート選手に手を出したり、相撲のタニマチのご婦人が力士をホテルに呼び出したりなんてこともなきにしもあらずですね。





劇中ではとにかくもう金持ちってなんでもできちゃうんだなって思わせるようなシーンの連続で、その気持ち悪さにどれだけ耐えられるかで好き嫌いが割れそうです。ただ、お金持ちのおじさんが若い女の子にいたずらしちゃう話ではなく、お金持ちのおじさんが若くて筋肉隆々の男たちを振り回していく話なので、ストレートの男女が見てもいかがわしさも、エロスも感じないはずです。ゲイの人たちなら興奮するかもしれませんが。





この当時のアメリカの五輪レスリングチームの異様な環境を映画の題材にしてくれたのは嬉しいですね。日本でもボクシングジムの悪徳会長に私物化されている選手や高校野球の監督の独裁的な指導風景など、ネタになりそうなものはたくさんあるけど、本に書かれても映画にはなかなかならないですね。ああいった特殊な環境を鋭く描くのは難しいんでしょうか。気持ちわるぅって思わず言ってしまうような権力者たちをもっとネタにしていったらいいんですけどね。





さて、この映画に出てくるマーク・シュルツはレスリング引退後、総合格闘家に転校して初期のUFCにも出場したようです。その後、40歳過ぎてお金に困って、アントニオ猪木の興行ジャングルファイトにも出場したそうです。マーク・シュルツはこの試合をプロレスだと思っていたのに直前になって総合格闘技だということを聞かされて、結局八百長をして負けることにしたという説が囁かれています。彼がスポンサーに頭が上がらないというのはなにもレスリング時代だけじゃなかったようです。かつて五輪で金メダルを獲ったような選手が引退後も生活のためにこうして戦い続けないといけないというのも大変なことですね。

http://www.kansenki.net/colum/04/1019colum_hine.html


マークシュルツからの告白(無断翻訳:ひねリン)




■投稿日時:2004年10月19日
■書き手:ひねリン ex:ひねリン's blog

(訳者まえがき)


10月12日のWrestling Observer βでも既報の通り、2003年9月13日、ブラジルはアマゾンで行われた第1回ジャングルファイトで、レオポルド・モンテネグロに三角絞めで1R一本負けを喫したマーク・シュルツ(元レスリング五輪金メダリスト)は

「この試合はワークだった。俺は相手の急所を蹴って反則負けになる約束だったのに、本気で三角締めを決められたんだ。ダブルクロスされた(ダマされた)んだ。俺は負けてない。猪木金よこせゴルァ!」

と某掲示板で告発を開始しました。で、その後シュルツは(なかなか奇妙な体裁の)自分のサイト上にて、さらに細かい裏話を暴露 (http://www.markschultz.com/Jungle%20Fight%20Story.htm)。

この文章がなかなかに興味深いので、肝心な部分を翻訳紹介したいと思います。

本人に無断でやりますが、シュルツさんも、より多くの人間に猪木の悪行を知らしめたいと思っているはずなので、きっと許してくれるでしょう…

俺としても、シュルツさんの叫びをぜひ世間に広めねば! と考えております。(本当は、面白いからやってるだけですが)


文の前半では、(国民的英雄だった)シュルツがどーして金が必要になったか、が延々と説明されてます。大学の仕事をクビになり、医者の不手際 で死にかけ、(妻の訴えで)自宅への接近禁止命令を警察から申し渡され、メダルも財産もすべて離婚した妻に奪われ、公園で寝て、友人の家を泊 まり歩き・・・と暗い話がてんこもり。でも、弁護士やってる教え子のおかげで、なんとかメダルや財産の半分を取り戻し、子供との会えるよーに なって・・・ってところからジャングルファイトの記述が始まるので、以下訳。(ちなみにこの文、基本的には本人のことを三人称で描いてるんだ が、たまに「俺の」とか一人称がまざったり、その他もミスと思われる箇所がちらほら。ので、そのへん適宜修正をかけてます)。


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しかし、その前にマークはタダアキ・ハッタから電話をもらった。タダアキはマークの亡き兄、デイブの良き友だ。デイブは1996年1月26日 に、ジョン・E・デュポンに殺された。それはマークがUFC IXでデビューする四か月前のことだった。ダタアキはマークに、カート・アングルやザ ・ロックやハルク・ホーガンがWWFでやっているようなプロレスリングの試合をして、2万5千ドル稼ぐ気はないかと尋ねた。


タダアキは、日本のプロレスラーアントニオ猪木が、ブラジルにおけるジャングルファイトという興行に出場するアメリカ人を探していると言っ た。当然マークは承知した。何年間もロクに報酬なしにトレーニングを続けた後、2万5千ドルを受け取り、プロレスラーになってさらに稼げる チャンスを誰が見逃すだろうか? マークは自分の幸運が信じられなかった。彼はこれが自分の新日本プロレスでの新しいキャリアのスタートにな ると思った。


そこで、タダアキはマークに、1976年のオリンピック王者、ジイチロウ・ダテの電話番号を渡した。ダテは(マークの亡き兄)デーブ・シュル ツの良き友であり、またオクラホマ州立大学におけるデーブのコーチでもあった。ダテは、猪木は、面接やその他の話し合いをするために、マーク を日本に呼んでくれると言った。マークは興奮していた。彼の苦難はすべて終わりを告げるかのように見えた。そこでマークは来日し、いいホテル をあてがわれ、「おこづかい」を与えられ、良い待遇を受けた。マークは空港で猪木と会った。そこで猪木は多くの報道陣に追われていた。猪木が マークに腕を回し、日本語で何かを言うと、皆がそれを撮影した。その後マークと猪木は一緒にスシを食べに行った。この滞在の間、ブラジルでの 興行が、MMAとは違うプロレスリング以外のなにかであるということをマークにほのめかすようなことは一切起こらなかった。アメリカに戻った 後、マークとジャレド・コールマンと、マイク・コールマンは揃ってブラジル行きのビザを取得するため、ロスを訪れた。そこで猪木の養子のサイ モン猪木は、日本のプロレスはいかにアメリカのプロレスと異なるものであるかを話した。サイモンは、違いは(日本のプロレスは)フェイクかリアルかを識別するのが困難であることだと言った。マークはその点は問題にならないと確信していた。どっちにしても彼はリアルファイターなのだから。


ブラジルに飛ぶ一日前に、マークはインターネットでジャングルファイトを調べ、リコ・チャパレリがやはり試合をすることになっているのを見 た。リコとマークは1987年に何度かレスリングの試合をしており、マークはリコもまた、プロレスラーとして試合をするんだろうと考えたが、 疑いの念も抱きはじめた。そこでマークはサイモン猪木に電話し「これはワークであって、シュートではないんだよな?」と言った。驚いたことに サイモンは、これはリアルなシュートだと言った。マークは、左腕の怪我があるからそれなら試合できないと言った。サイモンは、マークが知らな かったことに驚いたようで、後で電話を掛けなおすと言った。そしてサイモンは電話を掛けなおしてきて、この試合をフェイクプロレスリングマッ チに変更することに問題はなく、日本からマークと試合するためのプロレスラー達を連れて行くと言った。マークはブラジルでその中から相手を選 べるとのことだ。サイモンはまた、ミスター猪木はプロレスリングの試合にこれほどの金額(2万5千ドル)は払わないとも言った。サイモンが言 うには、カート・アングルは日本でもっとも人気のあるプロレスラー(か、その一人)だが、彼でさえ一試合で1万ドルしか稼がないとのことだった。サイモンは、猪木はプロレスラーにはMMAファイター達の約10分の1しか払わないと言った。そこでマークが自分はUFCで5万ドル受け取ったと言うと、では(今回のファイトマネーは)5千ドルということで同意に至った。電話を切ると今度は猪木の娘であるヒロコ猪木が電話をよこし、マークの口座に5千ドル入金したと言った。そして彼女は「でも、リアルに見えるようにしてくださいね」と言った。そこでマークはブラジルに飛んだ。


ブラジルでマークは、そこにいるはずの(対戦予定の)プロレスラー達について話し合うために、サイモンを探すのに苦労していた。ミスター猪木 の姿もまた見つからなかった。猪木は選手たちのそばには決していなく、選手たちはホテルのある岸に戻るためだけに、ボートを借りなくてはなら なかった。ついにマークはサイモンを見つけ、自分と試合をするはずのプロレスラー達はどこにいるかと尋ねた。驚いたことにサイモンは、もとも とマークと(シュートで)戦う予定だったブラジリアンがプロレスリングマッチをやることを承諾したので、日本のプロレスラー達を連れて来る必 要はなくなったんだと言った。マークはそれを信じ難いと思ったが、サイモンが嘘を言っていると信じこむ理由もなかった。


マークはそのブラジリアンと話したいと言い、やがてそのブラジリアンのコーチでありプロモーターのヴァリッジ・イズマイウがマークのところに やってきて、俺のファイターは意図的に負けることはしないと言った。ここでマークはサイモンが嘘を付いたことに気が付き、さらに二つの選択を 迫られていた。今すぐアメリカに帰るか、なんとかミスター猪木との関係を損ねない方法を見つけ出し、今後もさらなるプロレスの試合をしに日本 に連れていってもらうか、だ。この時点でマークの「セコンド」であるマイク・コールマンが割って入り、自分がそのブラジリアンと話し合ってど うにかできないかやってみるとマークに言った。そこでマイク(コールマン)はサイモン、イズマイウ、モンテネグロと話し合った。マークのとこ ろに戻って来たマイクは、モンテネグロは、もしマークが彼の急所を蹴って自ら反則負けになるなら、ワークをしてもいいと言ってると言った。そ の後マイクはマークを呼び、イズマイウが通訳をした。モンテネグロとマークは最初の2分間はお互い強くパンチとキックを出し合い、やがてマー クが急所にヒザ蹴りを出して警告を受ける、そしてその後マークがもう一度急所にヒザを入れ、反則負けになるという計画にモンテネグロは同意した。マークとモンテネグロは握手した。


その後、サイモンとマイクとマークとレフェリーの間で、さらなる話し合いが行われた。そこてサイモンは少しのあいだ席を外し、ジャングルファ イトでフェイクプロレスリングマッチをやる予定になっている日本のファイターを連れて来た。サイモンはマークに、このもう一人の日本のプロレ スラーは、脚本の決まっているスタントをして負けることになっていると言った。この日本人はマークに、もし望むなら自分のスタントを使っても いいよ、自分は別のを考えるから、と申し出さえした。試合前、マークはサイモンに向かって、モンテネグロに伝えてくれと言った。もし自分が彼 をテイクダウンしても、それは試合を盛り上げるためだ、どんなことがあってもサブミッションホールドをかけたりはしないから、と。


リング内で、マークとモンテネグロはしばらく打撃の交換をし、マークはモンテネグロからテイクダウンを奪おうとした。モンテネグロはガードに 飛びつき、三角締めをかけようとした。マークはそれをかけさせたが、マークが立ち上がってスタンドに戻ろうとした時、モンテネグロは三角締め を離さず、本気でマークを絞め落とそうとしてきた。マークはモンテネグロが協定を破ろうとしていると気付いたが、もう遅かった。三角締めはあ まりにキツく極まっており、マークには二つの選択しか残されていなかった。タップするか、絞め落とされるか、だ。マークはタップした。その後 すぐさま、モンテネグロは飛び起きてカメラに向かってポーズを取った。マークはすぐさま彼に向かっていって騒ぎを起こそうかとも考えたが、ミ スター猪木との関係を保っておきたかったので、彼は何も言わずにリングを降りた。試合後にマークは、マイクとサイモンと共にモンテネグロに詰 め寄った。当初モンテネグロはマークが脚本を守らなかったことを非難しようとした。その後、三人ともに大声を上げはじめると、ついにモンテネ グロは首を振り、なにかブラジリアン(ポルトガル語)でわめきながら去って行った。


その「闘い」の後、マークはミスター猪木を見つけると、リングで騒ぎ起こすこともできたけど、あなたのためにやらなかったんだと言った。ミス ター猪木は「サンキュー」と言った。そこにイズマイウが二人のもとにやってきて、マークが脚本通りにやらなかったことを非難しようとした。 マークは怒りが込み上げてきて「BS (bullshit=インチキ)だ」と何度も口にした。そこでイズマイウはマークに、モンテネグロは責を負って引退 させると言い、さらに「他に俺は何をすればいい? 奴を殺せばいいか?」と聞いて来た。マークは何も言わなかった。猪木はイズマイウの言うこ とはどうでもよく、ただマークの気分が収まっていることを確かめたいと言った。そこでイズマイウは再び、マークが脚本通りにやらなかったこと を非難しようとした。今度はマークが怒り、二人の声が大きくなると、ミスター猪木は立ち上がり、話し合いは終わった。マークは去った。


翌日、マークはミスター猪木に東京ドームにおける、次の日本でのプロレスリングマッチについて話した。ミスター猪木がマークに最後に言った言 葉は「日本で会おう」だった。これが、マークと猪木の最後の会話だった。


これがマークのはじめてのプロレス体験、はじめての日本のプロレス体験であった。アメリカにおいては、プロレスラー達は試合は競技ではなくエ ンターテインメントであると認めている。日本ではこのような線は引かれていない。マークにとってはまったく苦い教訓だった。もし最初からこれ が純正なプロレスリングの試合ではないということを知っていたならば、マークは決して試合に同意することはなかっただろう。彼はハメられたと 感じているし、もしファンの誰かを失望させたなら、ここに謝罪する。

http://ryonryon.hatenablog.com/entry/2015/02/15/210210


フォックスキャッチャー

映画館鑑賞(新作) ネタバレ注意!!!


ネタバレしていますが、実話ベースなのでネタバレと言えるのかどうか。



映画『フォックスキャッチャー』公式サイト
フォックスキャッチャー



原作(?):Mark Schultz
監督:Bennett Miller
脚本:E. Max Frye、Dan Futterman
出演:Channing Tatum(as Mark Schultz)、Steve Carell(as John du Pont)、Mark Ruffalo(as David Schultz)ほか

なんばパークスシネマで鑑賞



 最初の場面からの、不穏な空気と緊張感が、淡々と静かに進んで行く展開と重なりあって、いつの間にか映画の世界に引き込まれていました。

 実話を元に構成されているとのことですが、映画としての再構成も当然ながらされているようで、劇中での時間の流れは1987年から1988年にかけて、1年から2年程度の期間のお話っぽく作られています。

 映画の中では、デイブ・シュルツがジョン・デュポンに射殺されるのは、1988年のソウルオリンピックが終わってからの最初の冬という流れに思えますが、実際にその事件が起きたのは1996年1月ということで、ソウルオリンピックからは8年経過していることになります。

 総合格闘技のビデオとかをフォックスキャッチャーの選手が観てたりしてますが、この時代はまだなかったと思いますし、あったとしてもテレビとかビデオになるくらい知名度は高くなかったと思います。こういうところが、映画としてのフィクションだったのかな、と。

 もうね、チャニング演じるマーク・シュルツと、スティーブ・カレル演じるジョン・デュポンの病的な雰囲気が凄まじいです。病んでる質は二人とも違うんだけど、明らかに病んでるやろっていう描写なんですよね。

 事実がどうであったかは分かりませんが、この映画から感じたことは、マーク・シュルツもジョン・デュポンも同類というか、お互いにお互いが必要だったモノ(お互いに持っていない能力やモノに対する憧れというものではなく)を持っていて、それによって互いに求め、引き寄せられる運命にあったのかな、ということです。

 ただ、違ったのは、マーク・シュルツは兄であるデイブ・シュルツも求めていたことで、ジョン・デュポンはそのポジションは自分じゃないといけないと思い込んでいたがために、狂気の引き金が引かれることになってしまったんじゃないか、という作りだったとボクは思っています。だから、デイブ・シュルツに執着したんでしょうね、ジョン・デュポンは。

 お山の大将でいることに疑問すら感じない、ある意味天然培養で育ってきたジョン・デュポンにとっては、それは耐え難い、考えられない現実を知らされたことになったのかもしれません。

 マーク・シュルツは、そういうジョン・デュポンを徐々に受け入れられなくなり、内なる爆発を起こしてしまったんでしょうね。

 ジョン・デュポンも、レスリングを実際には教えることなんて(高いレベルで)出来ない自分と、それが出来るデイブ・シュルツを比較して、デイブ・シュルツが邪魔というか、それは自分でないといけないんだという気持ちから、殺すというよりも、排除しようとしたのかなと。

 物語は、終盤近くまで、チャニングの視点から観たジョン・デュポンという形で進みます。ソウルオリンピック後に、チャニングがフォックスキャッチャーを辞めてからは、(この映画を観ている)観客の視点から観るジョン・デュポンへという構成へシフトします。

 ここの視点のシフトが、ちょっとうまくいってなかったように思います。それは、チャニングの演技がそれほど素晴らしかったことの、不幸な弊害だったのではないでしょうか。

 マーク・シュルツは、この映画を観て結構怒っていたみたいですが(ジョン・デュポンとの描写が、同性愛を想起させる云々が理由だったみたいです)、この映画が賞とかでノミネートされたら、一転して良かったとか言ったりしていて、なんか、チャニングが演じた病的な雰囲気のままの人なんかな、って思っちゃいました。猪木のジャングルファイトにも出ていたみたいですね。

 劇中で、ジョン・デュポンというか、フォックスキャッチャーのドキュメンタリーを作っているのですが、本当にあるのなら観たいなぁ。

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=3095373&media_id=98


オスカー有力候補の役者たちが『Foxcatcher』で挑んだ役作りの秘訣を語る!
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2014年10月14日 18:52 Movie Walker

限定公開( 1 )



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Movie Walker


写真たくさんの参考資料からジョン・E・デュポンをリサーチしたスティーヴ・カレル/[c]JUNKO
たくさんの参考資料からジョン・E・デュポンをリサーチしたスティーヴ・カレル/[c]JUNKO
第52回ニューヨーク映画祭で話題作『Foxcatcher』が上映され、ベネット・ミラー監督、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、チャニング・テイタム、スティーヴ・カレル、マーク・ラファロ、シエナ・ミラー、アンソニー・マイケル・ホールが記者会見に応じ、役作りについて語った。

【写真を見る】実際にマーク・シュルツと会って彼の動きを研究したというチャニング・テイタム

ジョン・E・デュポンを演じたスティーヴ・カレルは、「役作りにあたっては、たくさんの参考資料があったのでリサーチはたくさんした。彼が読んでいた本や、彼自身が撮らせたほぼノーカット版のドキュメンタリーなどだ。そこには、彼が公には見せたくないであろう生々しいシーンがたくさんあってとても興味深かった。それを見て彼がどんな人間なのかということをより深く認識することができたので、そのアイデンティティを表現することを常に意識していた。彼はとても気難しい人物だったので、デュポン家の人たちが積極的に(製作に)協力しなかったのは理解的できる」という。

同作は、ジョン・E・デュポンとシュルツ兄弟の弟であるマークを中心に、兄デイブとの3角関係を軸に描かれるが、スティーヴ・カレルの圧巻の演技に負けていないのが、マーク・シュルツを演じているチャニング・テイタムだ。

実際にマーク・シュルツに会って話を聞いたというチャニング・テイタムは、「マーク・シュルツ、ベネット監督、ラファロと僕でディナーに行って、その後でニューヨークの街を歩いたんだ。ラファロと僕は、マーク・シュルツとベネット監督のちょっと後ろを歩いていたんだけど、ラファロが『彼の歩き方を見てごらん』って言ったんだ。それは彼がどうやってこの世界を生きてきたのかを明確に表していた。それから僕は彼の動きすべてを勉強し始めたんだ。それが僕の演技のすべてだと思う。彼は荒っぽくもナイーブで感情的で、ある意味ではわかりやすい人物だった」とうつむき加減で神妙に語り、まるで作品の中のマーク・シュルツが乗り移っているかのようであった。実際にマーク・シュルツはアシスタントプロデューサーとして同作に参加し、カメオ出演もしていることから、チャニングのプレッシャーと責任は大きかったようだ。

またラファロ演じるデイブ・シュルツの妻ナンシーを演じたシエナ・ミラーも、実際にナンシーに会ったことが役作りの基本だという。「撮影が始まるちょっと前にナンシーに会ったわ。撮影初日に現場にいたので、とても緊張したけど、彼女はとても寛大でオープンで、すごく熱心にすべてのキャラクターについて情報を提供してくれたの。信じられないほど快活で強くて魅力的な女性だったわ」と撮影当時を振り返った。

マーク・シュルツの兄であり父親役、そしてナンシーとの間に授かった2児の父親役のデイブ・シュルツを演じ、絶大な存在感と演技力をアピールしているマーク・ラファロ。デイブ・シュルツは亡くなっているため直接役作りはマーク・シュルツやナンシー、文献や映像などに頼るしかなかったが、「2時間以上のドラマだから少しは大げさにしないといけないが、シュルツ兄弟の関係は事実に忠実に描かれていると思う。マークが2歳、デイブが5歳の時に両親が離婚し、実質、デイブがマークの父親代わりだった。母親が恋人と住んでいたから、家には居場所がなくて2人は庭で寝ていたというのは有名な話なんだ。2人は転々と住む場所を変えて、本当に幼いころから常にふたりで、彼ら以外の誰かは存在しなかったようなものだ」と語り、渾身の演技の基盤となった複雑な生い立ちと2人の関係について熱弁した。

同作は、史実に基づいているが、ジョン・E・デュポンが精神を患っていたという説や、ジョン・E・デュポンとヴァネッサ・レッドグレイヴ扮する母親との複雑な関係、ジョン・E・デュポンとマーク・シュルツの関係、デイブとの関係など、結末に至る過程で多くの疑問を投げかける。それは、「真実は誰にもわからない。多面的な要素があり、見た人がいろいろ考え、語ってくれることが望ましい」というベネット監督の意図でもあるようだ。

ベネット監督といえば、『カポーティ』(05)では故フィリップ・シーモア・ホフマンにアカデミー賞主演男優賞をもたらし、『マネーボール』(11)では惜しくも受賞は逃したものの、ブラッド・ピットを同主演男優賞に、ジョナ・ヒルを同助演男優賞にノミネートさせた敏腕監督だ。今年も作品賞はもちろんのこと、スティーヴ・カレルが同主演男優賞の最有力候補に、マーク・ラファロも同助演男優賞にノミネートを確実視されており、オスカーの行方が楽しみだ。【取材・文/NY在住JUNKO】

http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar761278



デイブ・シュルツの親友が語る「フォックスキャッチャーの時代」/レスリング五輪銀メダリスト・太田章



2015-04-01 00:01
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実際に起きたレスリング五輪金メダリスト射殺事件を映画化した『フォックスキャッチャー』。アメリカ有数の財閥の御曹司ジョン・デュポンが私金を投じてレスリングチームを作るも、自らが雇い入れたコーチを撃ち殺してしまうという悲劇的な事件だ(逮捕されたデュポンは統合失調症と診断され、獄中死した)。レスラーの息遣いと御曹司の狂気がスクリーンから迫ってくるこの映画を語っていただく太田章氏(早稲田大学スポーツ科学部教授)は、レスリング競技でロサンゼルス五輪、ソウル五輪と2大会連続銀メダルを獲得した実力者。まさしく“フォックスキャッチャーの時代”を生きた男であり、デュポンの凶弾に倒れたコーチ、ディブ・シュルツの親友でもあった。



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③ビル・ロビンソン最後の弟子・鈴木秀樹「プロフェッショナルレスリングを大いに語る」

④Uと馬場を支えた黒衣の絵描き! 更級四郎 キミは「ほとんどのジョーク」をおぼえてるか?

⑤ご意見番・小原道由が世IV虎vs安川惡斗をぶった斬る!

⑥高校球児がアメリカに渡りUFCを目指すまで〜松田干城のボストン生活〜

⑦小佐野景浩×安西伸一 『ゴング』×『週プロ』天龍番だった男たち

⑧インディの聖地・新木場1stリングとは何か? 管理人を直撃!

⑨達人は実在する! 日本最後の幻想・柳龍拳ロングインタビュー

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――太田先生の親友であったデイブ・シュルツ射殺事件を映画化した『フォックスキャッチャー』についてお聞きいたします。


太田 非常に難しい映画でしたねぇ。映画全体の出来は素晴らしいけど、焦点を当ててるのはレスリングというマイナースポーツでしょ。さらにレアにしようとして監督がいろいろと演出してましたよね。レスラーの歩き方、練習の仕方とかね。



――先生から見てもリアルな描写だったんですね。


太田 映画と同じく実際のデイブとマークは性格が対照的な兄弟で、2人揃ってオリンピックの金メダリストで仲がよかったんです。弟が兄をチーム・フォックスキャッチャーに誘ったことにより、兄が非業の死を迎えてしまったという。あの事件からだいぶ時間は経ってるんだけど、当時は本当にショックな事件でね……。インターネットが出始めた頃なので、情報はあまり行き渡りませんでしたが、日本のスポーツ新聞でもこの事件は大きく扱われて。どうも偏った男同士の愛があったというふうにも書かれたんですね。


――映画の中でも、ディポンとマークのホモセクシャルの関係性を匂わすシーンがありましたね。


太田 真夜中にマークとデュポンがレスリングの練習をやりながらハアハア言ってね。ジョン・ディポンにそういう毛があるんじゃないか、と。殺されてしまったデイブはそっちにモテるタイプじゃないんですよ。身体も筋肉質じゃないし。でも、マークは逆でね。デュポンが恋心を持ったマークには出て行かれて、とくに興味のない兄だけがコーチとしてデュポンのもとに残った、と。そこをメディアが面白おかしく書かれてしまったから。デュポンはお金はあっても友達もいない、親の愛も受けていない。孤独な男だったんでしょう。じつはシュルツ兄弟も幼い頃に両親が離婚していたので、いつもお父さんお母さんがそばにいたわけじゃなかった。2人で寄り添って生きてきたところはあるんです。だから孤独を抱えた男3人が主役の映画というわけなんですよ。



――先生はデイブのお葬式に出られたんですよね。


太田 デイブの追悼式に出るためにアメリカに渡りました。そこには彼らのお父さんお母さんも出席していたんだけど。お父さんはデイブのために自分で作った歌を陽気に歌ったり、笑いながら昔話をするんです。そうやって集まったみんなをなんとか笑わせようとするんですけど、逆にデイブの不在が明らかになってしまってよけいに寂しくなっちゃいましたよねぇ。今回の映画も見れば見るほど笑えないし、泣けもしない。自分の中では親友が突然亡くなったわけですからね。いまでも「いったい何があったんだ……?」という気持ちでいっぱいなんですよね。


――映画でもよけいな説明は一切省かれました。


太田 当時も何が起きたのかがわからないという声はありました。そのうえ日本ではアメリカ現地のニュース番組はどこも放送してなくて、NHKのBSで『ナイトライン』という番組を同時通訳で流してるだけだったんです。その『ナイトライン』でいかにジョン・デュポンが狂っていたかを報道してるんですよね。デュポンの従兄弟は言うには「彼は精神を病んでいた」と。「そばにいたあなたたちが気付かないと本人も気がつかない。先に警告していればこんな事件は起きなかった」とまで言うんですから。番組の司会の方も誰が悪いとか決めつけるじゃなくて「なぜこういう事件が起きたか」を必至に探ろうするんですけど、やっぱりわからないわけですよ。デュポンは愛国心からアメリカのレスリング協会に寄付をして、チーム・フォックスキャッチャーも結成しました。それなのになぜ自分のチームのコーチを殺すのか、と。


――太田先生もチーム・フォックスキャッチャーに行かれたことがあるんですよね。


太田 デイブの自宅に2週間くらい滞在しました。デュポンにも会って握手しましたよ。細くて、ふにゃっとした冷たい手でしたし、一度も目を合わせてくれなかった。嫌な感じはしたんですが、レスラーからすれば、チーム・フォックスキャッチャーは羨ましい場所だったんですよ。練習環境にも恵まれているし、無料であんなにたくさん部屋のある豪邸にも住めてね。


――そのうえ給料がもらえるわけですよね。


太田 生活の心配をすることなく練習ができるわけです。ただ、ディポンは気まぐれで「何時間以内に敷地から出て行け!」みたいなことを選手に突然言うんですって。そんなことをされるとコーチたちも困るんですよ。選手たちはお金が欲しいわけじゃなくて、純粋にレスリングがやりたいだけなんだから。コーチたちは「気分次第でクビを切ったりしてはいけない」とデュポンをなだめるんですけど、デュポンは言うことを聞かないわけですよ。そうしてるうちにレスラーやコーチたちがフォックスキャッチャーを離れていってしまったんですね。デイブも出ていこうとした矢先に撃ち殺されてしまったんじゃないかと言われてますね。


――絶好の環境を捨てたくなるほど、デュポンの性格は歪んでいたということですか。


太田 我慢すれば恵まれた環境にいられるんですけど、限界は限界だったんじゃないですかね。当時、デュポンと養子縁組をして彼の全財産を受け継ぐ約束?をしたというレスラーもいたんですよ。その人間も途中でいなくなってしまいましたから。


――全財産を受け継ぐ約束って……。



太田 91年頃の話ですけどね。そのレスラーはまったくの無名だし、レスリングの実績もなく全然強くなかった。レスリングが強くなりたくてフォックスキャッチャーに来た中のひとりでしたけどね。デュポンとそんな約束をしたので「ラッキボーイ」と言われてたんですよ。


――いったいどういう関係だったんでしょうかね……。


太田 ふたりのあいだにどういった“愛”があったのかはうかがい知れないですけどね。最終的にデュポンの全財産の8割をブルガリアのレスリング協会の会長が受け継ぎました。


――バレンティン・ヨルダノフですね。


太田 彼はフォックスキャッチャーのコーチだったんですけど、身元保証人がデュポンだったんです。デュポンが殺人をしようが何をしようがデュポンが身元保証人であるということで、デュポンが刑務所に入ったときも彼が必要な物をすべて用意して、身の回りの世話もしていたんですね。



――この映画にはMMAのシーンも何度か挿入されていますが、その意味がわからなかったという方が多いですね。


太田 あの映画だとマークがソウル五輪のあとすぐにMMAに出たことになってるけど。UFCが始まったのは93年からだからね。

――マークがフォックスキャッチャーにいるときにUFCが始まったことになってますね。



太田 レスラーたちがUFCぽい番組を見たことはあったかもしれないとは思いますけど、まだ始まっていないんだから。


――映画の中に、マークらチーム・フォックスキャッチャーのレスラーたちが、テレビでMMAイベントを鑑賞する場面がありましたね。「なんでレスラーがこんな試合に?」「金のためじゃないか」という会話もあって。映画のラストはマークがMMAのケージに向かうところで終わりますが、実際にマークはフォックスキャッチャーを離れたあとにUFCでMMAデビューします。対戦相手はゲーリー・グッドリッジ。映画の中にレスラーたちが眺めていたテレビ画面にも映しだされていたのもグッドリッジでした。つまり監督はフォックスキャッチャー以降のマークの人生も暗示したかったんでしょうね。マークは食うためにフォックスキャッチャーにも入るし、のちにUFCに出る。この映画は競技者としてどう食べていくかというテーマも内包されていたと思うんです。


太田 正直、当時は、レスリングで活躍してもなんにも残らないです。金メダルを獲ってもね。アメリカは日本より酷い扱いなんですよ。

http://ism.excite.co.jp/art/rid_E1422412615004/

今週末見るべき映画「フォックスキャッチャー」

2015年 2月 13日 08:05 Category : Art














昨年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受けたベネット・ミラーの「フォックスキャッチャー」(ロングライド配給)は、およそ人間の狂気、奇行を真正面から描いて、飽きさせない。この2月23日(日本時間)に発表になる第87回アカデミー賞では、監督賞(ベネット・ミラー)、主演男優賞(スティーヴ・カレル)、助演男優賞(マーク・ラファロ)、脚本賞(E・マックス・フライ、ダン・ファターマン)、メイク・ヘアスタイリング賞の5部門にノミネートされている。



1996年1月26日、アメリカで、実際に起こった事件である。日本の新聞でも大きく報道された。世界的に有名な化学メーカー、デュポン社の創業者一族のジョン・デュポンが、1984年のロサンゼルス・オリンピックで金メダルを獲得したデイヴ・シュルツを射殺したのである。



映画の結末はすでに知られていることである。ところが、なぜ大富豪のジョン・デュポンが、優秀なレスラーではあるけれど、一介の民間人デイヴ・シュルツを射殺したのかを映画は提出しない。ジョン・デュポンが、レスラーのデイヴ・シュルツを射殺するまでの経緯を、淡々と描くだけである。派手なシーンは皆無。ひたすら、ジョン・デュポンと、アマチュア・レスリング選手のデイヴ・シュルツとその弟マーク・シュルツとの関わりを描いていく。
大富豪であるジョン・デュポンは、近代5種競技の選手であり、アメリカではそれほど人気のないアマチュア・レスリングの振興を図ろうとした人物である。ジョン・デュポンは、結婚はしたがすぐに離婚。母親は馬の育成に夢中で、母の愛にも飢えていたようである。

優秀な兄弟を引き入れ、ジョン・デュポンのレスリングに託した夢が叶うかのように思える。ところが、次第に、ジョン・デュポンの奇行が目立つようになる。結果は、史実通り、最悪の状況となる。なぜ、ジョン・デュポンは、デイヴ・シュルツを射殺したか。単なる狂気だろうか。嫉妬かも知れない。金はあっても、手にできないものを、デイヴが獲得していたのかもしれない。観客のひとりひとりが、答えを出すように作られている。



それにしても、ジョン・デュポンを演じたスティーヴ・カレルの演技は圧巻である。やや顔をあげ、睨み下ろすような視線が、狂気そのもの。後半から見せる奇行、行動を、サスペンスたっぷりに演じる。まさに怪演。デイヴ役のマーク・ラファロが互角に渡り合う。最近公開の「はじまりのうた」(イズムで紹介)では、落ち目の音楽プロデューサー役を力演した。レスリングの訓練をよほど重ねたのだろう、迫真のレスリング・シーンを披露する。
とにかくリアル。まるでドキュメンタリーの風合い。史実を追う監督ベネット・ミラーの執拗なまでの視線が、突き刺さってくるかのよう。「カポーティ」では、フィリップ・シーモア・ホフマン扮する、「冷血」の作家トルーマン・カポーティを精緻に描いた。「マネーボール」では、ブラッド・ピット扮する、オークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャー、ビリー・ビーンを生き生きと描いた。

ベネット・ミラーは、実在した人物の造型に、ひときわ、冴えをみせる。このほどのジョン・デュポンは、屈指の富豪の一族である。品質の優れた火薬を作り、南北戦争以降の大きな戦争で、デュポンの供給した火薬は、膨大な量と思われる。



デュポンは、石油のメロン、鉄鋼のカーネギーと並ぶ大財閥である。ナイロンの発明、ケブラー、テトロン、テフロンなどは、いずれもデュポン社の登録商標である。船舶や航空機、衣服などの化学繊維、フライパンなどの表面加工など、身近な発明もデュポンである。その資産は、莫大だろう。大富豪のジョンでさえ、金で買えなかった「もの」があったのだろう。



アメリカという国だからこその史実かもしれない。ふと思う。すべて、金ではないけれど、金がなければ何もできない国に、アメリカはすでになっているのではないか、と。
【Story】
マーク・シュルツ(チャニング・テイタム)は、1984年のロサンゼルス・オリンピックのレスリング、フリースタイル82キロ級の金メダルを獲得する。兄のデイヴ・シュルツ(マーク・ラファロ)もまた、74キロ級で金メダルを獲得。たいへんな快挙ではあるが、アメリカでのレスリングは、マイナーな競技。シュルツ兄弟の暮らしぶりは、金メダル保持者とはいえ、地味で質素なものであった。マークが講演しても、ギャラは20ドルほど。しかも会場は空席が目立つ。幼い頃に両親が離婚、いわば親がわりの兄デイヴと苦労してきたマークである。

やがてデイヴは結婚、いまは妻のナンシー(シエナ・ミラー)との間にふたりの子供がいて、貧しいながらも、幸せな日々を過ごしている。悶々と一人暮らしを続けているマークに、ある日、電話がかかってくる。「直接、会って話したい」と。アメリカでも指折りの大企業、デュポン社の創業者一族のジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)の代理人からである。



マークは、デュポン側の用意したファースト・クラスの飛行機と、デュポンの自家用ヘリコプターを乗り継ぎ、ペンシルベニア州にあるデュポンの豪邸に到着する。デュポンは、単に金持ちというだけではない。鳥類学者でもあり、いろんな社会事業にも援助をしている人物である。さらに、キツネ狩りができるほどの広大な敷地には、レスリングのトレーニングが出来る施設を所有している。

デュポンは、「フォックスキャッチャー」と称するチームを率い、アメリカのレスリングを、世界でも有数のものにしようとの夢を抱いていた。デュポンは、マークに言う。「アメリカはきみに栄誉を与えていない。ふたりで偉大なことを成し遂げよう」と。
マークは、破格の契約内容に驚く。年棒は2万5千ドル。すっかりのぼせ上がったマークは、一旦、自宅に戻り、デイヴに事の詳細を告げる。デュポンは、デイヴの参加を望んでいることも。デイヴにとっては、今の平和な生活を壊す気はない。デュポンの申し出を断ることになる。マークの新しい人生がスタートする。



1987年。2ヶ月後には、フランスのクレルモン・フェランでの世界大会が控えている。練習する環境に恵まれたマークは、トレーニングに励む。マークは、デュポンの期待に応え、フリースタイルの82キロ級で、見事、優勝する。マークたちの帰国後すぐ、祝勝会が開かれる。

泥酔したデュポンは、母親ジャン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)への不満をぶちまける。ジャンは、馬の育成に熱中し、息子のすることには、まるで無関心。デュポンの奇行が目立つようになる。ジムにやってきたデュポンは、突然、天井に銃を向け、発砲する。また別の日、ヘリコプター内で、マークにコカイン吸引を強制する。マークは、酒と麻薬に溺れるようになる。
デュポンの度重なる要請がデイヴに届く。弟の身の上を心配しているデイヴは、妻子を連れて、デュポンの許に向かう。フォックスキャッチャーでのマークの変容ぶりに驚くデイヴ。やがて、ソウル・オリンピック代表の座をかけた、国内予選が始まろうとしている。


<作品情報>
「フォックスキャッチャー」
2月14日(土)より、新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、シネマライズ、シネ・リーブル池袋、品川プリンスシネマほか、全国ロードショー
配給:ロングライド
Photo by Scott Garfield ©MMXIV FAIR HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト

文/二井康雄

http://www.japan-wrestling.jp/2015/02/04/64592/
【特集】レスリング映画「フォックスキャッチャー」に魂を吹き込んだ八田忠朗氏インタビュー

– 2015/02/04





デーブ役のマーク・ラッフアロー氏(右)と八田忠朗氏
 レスリングを題材にしたアカデミー賞候補映画「フォックスキャッチャー」の日本公開が近づいてきた(2月14日)。試写会を見た人の話では、俳優がレスラーになり切って演技しており、リアル感は抜群とのこと。

 デーブ&マークのシュルツ兄弟を知っている人は「歩き方までそっくり」と評したが、選手になり切るための指導をした一人が、何度かのオリンピックで米国女子チームのコーチを務めた八田忠朗氏(米国在住)。日本レスリング界の祖、八田一朗会長の次男であり、教え子にタックル返しを伝授し、吉田沙保里選手の連勝記録をストップさせた名伯楽でもある。

 映画に“魂を吹き込んだ”八田氏に、撮影にまつわるエピソードなどをメール・インタビューした。(映画では「Thanks(感謝)」として八田氏の名前が掲載されています)、 

《2月14日、公開劇場一覧》 / 《映画サイト》

【関連記事】全日本女子チームが「フォックスキャッチャー」を一足先に“特別鑑賞”(1月22日)



映画にも出てくる1988年オリンピック予選でのマーク(選手)とデーブ(セコンド)


1993年世界選手権での八田氏とデーブ



Q:レスラー役の俳優さんの指導をしたと聞いていますが、どんな指導をされましたか?

八田:レスリングの振り付けを指導したのは、ジョン・ジウラ氏(John Giura=1989年世界選手権フリースタイル68kg級代表)です。約6ヶ月間をかけ、本格的にレスリングを教えました。私はロケ中、休み時間の時などにデーブ役のマーク・ラッファローさんにデーブのくせや歩き方、レスリングの姿勢などを教えました。撮影のあと、「本人よりうまかった」と言ったら、大喜びでした。デーブと実際にした会話など入れて、本当のデーブと話をしているようにやりました。「デーブの魂が体に入り込んで来た」と言ってくれ、デーブになりきれた様子でした。ラッファローさんとはその後、メールでやりとりしています。

Q:俳優さんにとって、レスリングの動きはかなりきつかったのではないでしょうか。

八田:ラッファローさんは45才だったので、ロケ中はかなり疲れていました。氷で腕を冷やしたりしていました。マーク役のチャニイング・テイタムさんには、胴絞り(ローリング)の時、「しっかり頭を上げてブリッジしろ」とアドバイスしました。「マーク本人よりスピードがあるぞ」と言ったら、喜んでいました。



ベネット・ミラー監督と八田氏
Q:八田さんとシュルツ兄弟とは、どんな間柄でしたか。

八田:私がデーブと会ったのは、彼が大学1年生の時でした。全米チームの強化合宿で出会い、お互いにオクラホマ州立大ということで仲良くなりました。その頃、伊達治一郎氏(1976年モントリオール・オリンピック金メダリスト)がオクラホマ州立大学でデーブのコーチをしていました。伊達氏が日本に帰国してしまうと、デーブは「転校する」と言い出しました。ヘッドコーチが私に「伊達氏に電話して、オクラホマ州立大学に戻って来てくれないか」と頼んできました。そこで毎週、伊達氏に電話しましたが、「国士舘大学のコーチをしているので、できない」とのこと。結局、デーブは転校しました。

そのあと、毎年のようにあった強化合宿で一緒になり、私の家族と一緒に観光や食事をしたり、ベビーシッターをやってもらったりしました。家族の一人のような感じでした。私の次男はデーブがいる近くのペンシルバニア大学に進学すると、すぐ決心しました。

弟のマークとは家族的なつき合いはありませんでした。マークがいる時は、だいたいデーブが一緒でした。彼が色々な人生経験をしている時、伊達氏と私でマークにもう一度花をさかせようとなり、アントニオ猪木さんと組んでMMA(総合格闘技)の試合を組んだのですが、1回だけで終わりでした。

Q:事件から20年近くが経った今、この事件が映画化された理由は何なのでしょうか。

八田:20年経ってからの映画化でなく、7年前頃から映画化の計画がありました。デュポン氏が生きている間にはできなかったのが、20年間という年月が経った理由です(2010年、獄中で死去)。もうひとつ、デーブを主題にしたドキュメントの映画も製作されています。

Q:試写会を見た若い人には、「なぜ最後のシーンにつながるのか分からなかった」という声がありました。何に注目して見るべきでしょうか。

八田:私は映画に出て来るほとんどの人物を個人的に知っているので、映画の筋書は大体把握しています。レスリングや事件を知らない人達には、筋書がちょっと分からないところもあるかたと思います。1988年から1996年に話がジャンプしています。「筋書がスローだ」と言っている人もいました。注目する点は、マーク・シュルツとスポンサーのデュポンの人生観です。2人とも、子供の時に親から無視されたこと、誰かに愛を求めていたことでしょう。

Q:マーク・シュルツの講演代が20ドルというシーンがありますが、当時はオリンピック金メダリストであっても、このような状況だったのでしょうか。



90分で5.5kgの減量に挑んだマーク・シュルツ(1987年)
八田:1984年ロサンゼルス・オリンピックのあと、デーブに私の住んでいる近くの学校でレスリングの講習会をやってもらいました。選手から参加費を取って総計400ドル(約9万円=現在なら約4万7000円)位だったと思います。デーブは「もうやりたくない」と言っていました。

Q:マークが大会初日で自暴自棄になって暴飲暴食をし、デーブがなだめ、翌日の試合のために再度減量させるシーンがありました(注=当時は連日計量)。90分で12ポンド(約5.5kg)の減量に挑んだとなっていますが、本当でしょうか。

八田:本当です。実際に立ち会った人を知っています。(右写真)

Q:米国では昨年11月に公開されていますが、どんな反響でしたでしょうか。

八田:アメリカでの反響は良いようです。レスリング人口が多いですから。両親、友達、親戚をプラスして鑑賞者が多くなりました。アカデミー賞候補に入っているので、関心を呼んだようです。
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